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「障害者介護等支援サービス(ケアマネジメント)体制整備推進事業実施要綱」

厚生省 19990401 障第249号

萩原 浩史 20191210  『詳論 相談支援――その基本構造と形成過程・精神障害を中心に』,生活書院,資料

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last update:20200719


平成11年度障害者介護等支援サービス(ケアマネジメント)体制整備推進事業の実施について

障第249号
平成11年4月1日
厚生省大臣官房障害保健福祉部長


 障害者の地域における生活を支援し、自立と社会参加を推進するためには、公的サービス等の社会資源の充実とともに、障害者がこれらを有効に活用できる支援体制が整備されなければならない。
 特に、様々なニーズ(需要)を有する障害者に対しては、必要とする複数の社会資源を適切に活用できるように調整を図り、生活を支援するための機能が必要とされる。
 このため、国においては、障害者介護等支援サービス(以下「ケアマネジメント」という。)体制を全国的に整備することとし、身体障害、知的障害及び精神障害それぞれについてケアマネジメントのあり方を検討し、介護等支援専門員(以下「ケアマネジャー」)養成指導者研修を行うとともに、各都道府県・指定都市においては、障害者ケアマネジメントの試行的事業の実施をお願いしているところである。
 今般、ケアマネジメントを総合的かつ効果的に推進するため、身体障害、知的障害及び精神障害それぞれの障害種別で実施してきた事業を統合し、別紙のとおり「障害者介護等支援サービス(ケアマネジメント)体制整備推進事業実施要綱」を定め、平成11年4月1日より実施することとしたので、御承知の上、関係者に対し本事業を通知するとともに、積極的な実施に務められたい。
 なお、平成10年7月24日障第433号本職通知「平成10年度障害者介護等サービス体制支援試行的事業(身体障害者)の実施について」、平成10年8月11日障第480号本職通知「平成10年度障害者介護等サービス体制支援試行的事業(精神薄弱者)の実施について」及び平成10年8月12日障第487号本職通知「平成10年度障害者介護等サービス体制支援試行的事業(精神障害者)の実施について」は廃止する。

(別紙)
「障害者介護等支援サービス(ケアマネジメント)体制整備推進事業実施要綱」

1 目的
本事業は、様々なニーズ(需要)を有する身体障害者、知的障害児(者)及び精神障害者の生活を支援するため、福祉・保健・医療サービス等の障害者介護等支援サービス(以下「ケアマネジメント」という。)の実施体制のあり方、ケアマネジメント実施機関と関係諸機関との連携のあり方、各種社会資源の整備のあり方等について検討を行うとともに、障害者介護等支援専門員(以下「ケアマネジャー」という。)の養成を行い、ケアマネジメントを施行的に実施することにより、今後のケアマネジメント体制の整備に資することを目的とする。

2 実施主体
 事業の実施主体は、都道府県及び指定都市(以下「都道府県等」という。)とする。

3 実施内容
(1)都道府県等障害者介護等支援サービス(ケアマネジメント)体制整備検討委員会
 1) 都道府県等は、福祉・保健・医療関係者及び精神障害者団体の代表等で構成される都道府県等障害者介護等支援サービス(ケアマネジメント)体制整備検討委員会(以下「検討委員会」という。)を設置する。
 2) 検討委員会は、ケアマネジメント体制の整備に関する次の事項について、検討を行う。
  ア 障害者介護等支援サービス(ケアマネジメント)試行的事業の実施に関すること
   (実施市町村等の選定、ケアマネジメント実施機関の選定、ケアマネジャーの選定、対象者の選定等)
  イ ケアマネジメントの実施体制に関すること
   ・ケアマネジメント実施機関の設置・運営のあり方
   (ケアマネジメント実施機関を具体的にどこに設置するのか検討、都道府県内の適正配置の考え方等)
   ・ケアマネジメントにおける関係機関との連携のあり方
    (ケアマネジメント実施機関と、福祉・教育・雇用等の行政機関、サービス事業者、保健・医療機関、障害者団体等、関係諸機関との連携体制等)
   ・ケアマネジメント実施体制における都道府県、障害保健福祉圏域、市町村の役割
   (都道府県・障害保健福祉圏域・市町村の役割の明確化と連携のあり方等)
   ・ケアマネジメントにおける相談・支援体制のあり方
   (総合相談窓口の設置場所、ケアマネジャーの配置等)
  ウ ケアマネジメントの実施に必要とされる資源及び人材に関すること
   ・ケアマネジメントの実施に必要とされる社会資源の種類と量の現状把握及び整備のあり方
   (ケアマネジメント試行的事業を通じて必要と判断された社会資源の種類と量の把握、都道府県内における現状、不足する場合の今後の整備のあり方等)
   ・ケアマネジメントの実施に必要とされる人材の確保に関すること
   (ケアマネジャーの養成研修、確保の方法及びその他のケアマネジメントに携わる者の確保等)
  エ 介護保険制度における介護支援サービス実施体制との関連性
   (ケアマネジメント体制が実施される際の連携・協力のあり方等)
  オ その他検討委員会で検討が必要と判断された事項
 3) また、検討委員会は、試行的事業の実施市町村等への助言・指導及び実施結果の評価を行う。
 4) 検討委員会で検討された内容及び試行的事業の報告・評価等については、平成12年3月31日までに別途通知する様式により、事業報告書を提出すること。
(2)障害者介護等支援専門員(ケアマネジャー)養成研修
 1) 研修は、国が実施する障害者介護等支援専門員(ケアマネジャー)養成指導者研修を受講した者が中心となって実施する。なお、本研修を実施するにあたっては、障害者介護等支援サービス(ケアマネジメント)試行的事業を実施する者に限定せず、要件を満たす対象者をできるだけ多く選定し、幅広い養成を検討されたい。
 2) 研修期間及び研修内容は、障害者介護等支援専門員(ケアマネジャー)養成指導者研修に準じたものであること。
 3) 研修対象者は、次によること。
  ア 身体障害者についてのケアマネジャー養成
    研修対象者は、介護保険制度における介護支援専門員実務研修受講試験受験資格者のうち、身体障害者に関する業務に従事しており、5年以上の実務経験を有する者とする。この要件を満たす障害当事者についても、参加できるよう配慮すること。
  イ 知的障害者についてのケアマネジャー養成
   研修対象者は、原則として介護保険制度における介護支援専門員実務研修受講試験受験資格者のうち、知的障害者に関する業務に従事している者とする。
  ウ 精神障害者についてのケアマネジャー養成
研修対象者は、精神障害者の保健福祉に関する一定の知識と相当程度の実務経験を有する保健婦、精神保健福祉士等、精神保健福祉相談員等とする。
 4) 研修を修了した者には、修了証書を授与することとする。
(3)障害者介護等支援サービス(ケアマネジメント)試行的事業
 1) 障害者介護等支援サービス(ケアマネジメント)試行的事業(以下「試行的事業」という。)は、次によること。
  ア 身体障害者についての試行的事業は、都道府県が選定した市町村に委託して実施する。(指定都市は、管内の全域もしくは特定の地域において実施する。)
試行的事業は、委託を受けた市町村が直接行うほか、身体障害者更生施設、身体障害者療護施設、身体障害者福祉センター、身体障害者日帰り介護(デイサービス)センター、障害者生活支援事業の実施機関等、ケアマネジメントを適切に実施できる法人等に市町村が再委託して実施することができる。
  イ 知的障害者についての試行的事業は、都道府県が選定した市町村に委託して実施するか、又は都道府県等の福祉事務所等において実施すること。(管内の事情を勘案し特定の地域を対象として実施することができる。)
    試行的事業は、委託を受けた市町村、福祉事務所等が直接行うほか、ケアマネジメントを適切に実施できると認められる知的障害者援護施設、在宅知的障害者日帰り介護(デイサービス)センター等を運営する社会福祉法人等に委託又は再委託して実施することができる。
  ウ 精神障害者についての試行的事業は、都道府県が地域の実情に応じて実施することとし、障害保健福祉圏域及び市町村等、特定の地域において実施することも差し支えないこととする。また、保健所、精神保健福祉センター等ケアマネジメントを適切に実施できる機関を活用して直接行うほか、市町村、精神障害者社会復帰施設及び精神障害者地域生活支援センター等を運営する法人等に委託して実施することができる。
    また、精神障害者には、特有の問題として、ともすれば病状の変化をきたしやすいことがあるので、ケアマネジメントを行うに当たっては必要な医療が維持されなければならないことに留意すること。
 2) 試行的事業の対象者は、社会的ニーズを有する障害者から適宜選定すること。なお、単一の障害を持つ者に限らず、重複の障害を持つ者が含まれるようにすること。
 3) 事業は、身体障害者については「身体障害者介護等支援サービス指針」、知的障害者については「知的障害者介護等サービス調整指針(試案)」、精神障害者については「精神障害者ケアガイドラン」に基づき、複合的ニーズを有する障害者に対し、総合的かつ継続的なサービスの提供を確保するため、ケアマネジャーを中心として、ニーズを満たす複数のサービスを適切に結びつけ、調整を図り、障害者本人の意思を尊重しつつ、介護等サービス計画書を作成し、サービスを提供する。
 なお、精神障害者については、別途通知する精神障害者訪問介護(ホームヘルプサービス)試行的事業を活用することも可能である。
 4) 都道府県から委託を受けた市町村等は、試行的事業の実施終了後、介護等サービス計画書の作成状況等の他、ケアマネジメントを実施していく上での必要な事項や問題点等を都道府県に報告する。

4 事業報告書の提出
(1)試行的事業は、介護等サービス計画書の作成を行い、介護等サービス計画書に基づくサービス提供を実施することを原則とする。計画書に基づくサービス提供が困難な場合には、提供できるサービスとできないサービスを明確にしてすること。
(2)試行的事業の利用者に対しては、試行的事業の趣旨を十分に説明し、円滑に協力が得られるようにする。
(3)検討委員全委員、都道府県・市町村職員、その他試行的事業の実施に参画した関係者等は、本事業において知り得た個人に関する秘密を他に漏らしてはならない。

5 経費の負担
  この実施要綱により行う事業に要する経費については、別に定めるところにより国庫補助を行うこととする。ただし、3の(3)の3)においてサービスを提供する経費を除く。



*作成:松本 彩見
UP:20191129 REV:20200719
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