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自立生活支援事業の運用に関する要望書


last update: 20151221


自立生活支援事業の運用に関する要望書 1990年10月25日

 厚生大臣 津島雄二殿

 ヒューマンケア協会,町田ヒューマン・ネットワーク,メイン・ストリーム協会
 新宿ライフ・ケア・センター,静岡ホットハート,札幌いちご会

 事務局団体 障害者の生活保障を要求する連絡会議 代表 三沢了

 今般、国は21世紀の福祉社会に備えることを目的として福祉関連8法の改正を行ないました。身体障害者福祉法も障害者の自立と社会経済活動を促進させるという目的のもとに、地域における自立生活を可能とする条件整備に力を入れることを明らかにされました。そしてこのたびの、厚生省の来年度予算要求には、地域でグループ居住する障害者に対する介助サービスに着目した「自立生活支援事業」を新たに上掲されております。
 私たちは厚生省がこうした障害者の地域自立を可能にさせる条件整備に着手されることについては基本的に評価するものであります。しかし、先般厚生省より出された資料によれば、この事業は5人以上のグループ居住をする障害者を対象として行なうものであり、運営主体としては市町村もしくは社会福祉法人が行ない、一定の要件を備えたバックアップ施設が必要であるというものでした。しかし、これでは既存の社会福祉法人が経営する療護施設や授産施設がバックアップ施設とならざるを得ず、真に地域で生活する障害者の自立を支援する事業としてはまだまだ不十分であると考えます。
 私たちは現在、全国のそれぞれの地域に生活する障害者に対して介助サービスを始めとする各種の自立生活支援活動を行っているところでありますが、これらの地域に密接に根付き、障害者の自立生活への願いをもっとも良く理解する立場にある障害者の自助組織が上記の事業を実施できるようになれば、介助を必要とする重い障害を持つ者の自立への道は大きく広がる可能性が生まれてくるものと信じます。従って、私たちは今回実施されようとする事業が弾力的に運営され、私たちのような任意の自立生活支援活動団体でも実施できるような道を開かれることが必要であると考えるものであります。介助の問題は高齢者に限らず、障害者にとっても今後ますます重要な課題となることが予想されます。ホーム・ヘルパー制度の充実を図ることの必要性は言うまでもありませんが、それと同時に多くの介助システムが整備され、それを障害者自身が主体的に選択していくという状況が生まれてはじめて障害者の自立生活は安定したものとなると考えます。
 さらにまた、障害者の自立生活志向の高まりとともに全国の各地に、障害者の自立生活を支えるための自立生活センター的役割を果たしている組織が生まれ始めております。それらの多くは介助派遣センターを始めとして自立生活プログラムやピア・サポート等の活動を進めており、自立生活に踏み出そうとする障害者にとって強い支えとなっているという現実があります。しかしながら、現状ではこうした活動に対してはどこからも運営を支えるための助成の手は伸べられておらず、事業に関わる障害者や関係者の無償の努力によって成り立っているというのが一般的であります。
 重い障害を持つ者が施設や家庭から独立した生活を営もうとするとき、行政による援助が必要であることは言うまでもありませんが、障害者自身が同じ仲間の自立生活を支えようとするこれらの活動は、適確性や柔軟性においてすぐれた効果を発揮しており、その必要性は今後もますます高まるであろうことが予想されます。国としても真に障害者の地域での自立を願うならば、今後ともこうした活動を発展、強化させていく姿勢を明確に打ち出されるべきであろうと考えますし、適正な事業助成の措置を早急にとられることを強く願うものであります。
 以上の観点から私たちは、以下の諸点について厚生省が積極的な取り組みを開始されることを強く要望いたします。

1.来年度から実施されようとする自立生活支援事業に関しては、障害者当事者が運営する任意団体においても事業運営が可能となるよう、弾力的な運用を図ること。
2.各地で障害者当事者を中心にして実施されている自立生活支援活動(自立生活センター)に対する助成制度の創設を図ること。


UP: REV:20141027
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