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「障害者介護等サービス体制整備支援試行的事業(精神障害者)実施要綱」

厚生省 19980812 障第487号

萩原 浩史 20191210  『詳論 相談支援――その基本構造と形成過程・精神障害を中心に』,生活書院,資料

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last update:20200719


「平成10年度障害者介護等サービス体制整備支援試行的事業(精神障害者)の実施について」

障第487号
平成10年8月12日
厚生省大臣官房障害保健福祉部長

 精神障害者が地域において自立した生活を営み、社会参加していくためには、公的サービス等の社会資源の充実とともに、これらを有効に活用できるように支援する体制が整備されなければならない。
 特に、複合的なニーズ(需要)を有する精神障害者に対しては、必要とする複数の社会資源を適切に活用できるように調整を図り、生活を支援するための機能が必要とされる。
 このため、精神障害者施策の実施にあたり、介護等支援サービス(ケアマネジメント)体制を全国的に整備することを目標とした試行的事業を今年度より実施し、国においては、先般、介護等支援専門員養成指導者研修を実施したところである。
 各都道府県・政令指定都市においては、障害者介護等サービス体制整備支援試行的事業の実施をお願いいたしたく、別紙のとおり「障害者介護等サービス体制整備支援試行的事業(精神障害者)実施要綱」を定め、本年10月1日より実施することとしたので、通知する。

(別紙)
「障害者介護等サービス体制整備支援試行的事業(精神障害者)実施要綱」

1 目的
 本事業は、複合的なニーズ(需要)を有する在宅の精神障害者の生活を支援するため、保健・医療・福祉サービス等の介護等支援サービス(ケアマネジメント)の実施体制のあり方、介護等支援サービス実施機関と関係諸機関との連携のあり方、各種サービスの整備のあり方等について検討を行うとともに、介護等支援専門員の養成を行い、今後の介護等サービス体制の整備に資することを目的とする。

2 実施主体
 事業の実施主体は都道府県及び指定都市(以下「都道府県等」という。)とする。

3 実施内容
(1)都道府県等障害者介護等サービス体制整備検討委員会(精神障害者)
 ア 都道府県等は、保健・医療・福祉関係者及び精神障害者団体の代表等で構成される都道府県等障害者介護等サービス体制整備検討委員会(精神障害者)(以下「検討委員会」という。)を設置する。
 イ 検討委員会は、介護等支援サービス体制の整備に関する次の事項について検討を行う。
 (ア)介護等支援サービス試行的事業の実施に関すること
  (実施市町村等の選定、介護等支援サービス実施機関の選定、介護等支援専門員の選定、対象者の選定等)
 (イ)介護等支援サービス実施体制における都道府県、障害保健福祉圏域、市町村の役割(三圏域の役割の明確化と連携のあり方等)
 (ウ)介護等支援サービスにおける相談・支援体制のあり方
 (エ)介護等支援サービス実施機関の設置・運営のあり方
 (介護等支援サービス実施機関を具体的にどこに設置するのか検討、都道府県内の適正配置の考え方等)
 (オ)介護等支援サービスにおける関係機関との連携のあり方
  (介護等支援サービス実施機関と、福祉・教育・雇用等の行政機関、サービス事業者、医療機関、障害者団体等、関係諸機関との連携体制等)
 (カ)介護等支援サービスに必要とされる人材のあり方
  (介護等支援専門員の養成研修、確保の方法及びその他介護等支援サービスに携わる者の確保等)
 (キ)介護等支援サービスに必要とされる社会資源の種類と量の現状及び整備のあり方
  (介護等支援サービス試行的事業を通じて必要と判断された社会資源の種類と量の把握、都道府県内における現状、不足する場合の整備のあり方等)
 (ク)介護保険制度における介護支援サービス(ケアマネジメント)実施体制との関連性
(障害者の介護等支援サービス体制が実施される際の連携・協力のあり方等)
 (ケ)その他検討委員会で検討が必要と判断された事項
 ウ また、検討委員会は、試行的事業の委託市町村への助言・指導及び実施結果の評価を行う。
 エ 検討委員会で検討された内容及び嗜好的事業の報告・評価等については、平成11年3月31日までに別途通知する様式により、事業報告書を提出すること。
(2)介護等支援専門員養成研修
ア 研修は、国が実施する精神障害者介護等支援専門員養成指導者研修を受講した物が中心となって実施する。なお、今後、介護等支援サービスが本格的に実施されることとなった場合、多くの介護等支援専門員が必要とされることから、本研修を実施するにあたっては、介護等支援サービス試行的事業を実施する者に限定せず、要件を満たす対象者をできるだけ多く選定し、幅広い養成を検討されたい。
イ 研修内容等は、精神障害者介護等支援専門員養成指導者研修に準じたものであること。
ウ 研修対象者は、精神障害者の保健福祉に関する一定の知識と相当程度の実務経験を有する保健婦、精神保健福祉士等、精神保健福祉相談員等とする。
エ 研修を修了した者には、修了証書を授与することとする。
(3)介護等支援サービス試行的事業
ア 介護等支援サービス試行的事業(以下「試行的事業」という。)は、都道府県等が地域の実情に応じて実施することとするが、障害福祉圏域及び市町村等、特定の地域に置いて実施することとも差支えないこととする。なお、精神障害者には、特有の問題として、ともすれば病上の変化をきたしやすいことがあるので、介護等支援サービスを勧めるに当たっては必要な医療が維持されなければならないことに留意すること。
イ 試行的事業は、都道府県等が直接行うこととし、保健所、精神保健福祉センター等介護等支援サービスを適切に実施できる機関を活用して行うこととする。
  なお、市町村、精神障害者社会復帰施設等に委託して実施することができることとする。
ウ 試行的事業は、複合的なニーズを有する精神障害者から適宜選定して対象とすることとし、別途送付する「精神障害者ケアガイドライン」に基づき、総合的かつ継続的なサービスの提供を確保するため、介護等支援専門員を中心として、ニーズを満たす複数のサービスを適切に結び付け、調整を図り、当事者本人の意思を尊重しつつ、介護等サービス計画書を作成する。
  なお、既存サービスを活用して、実際にサービスを提供することができる場合には、提供することが望ましいこと。

4 事業実施の留意事項
(1)試行的事業の利用者に対しては、試行的事業の趣旨を十分に説明し、円滑に協力が得られるようにしなければならない。
(2)検討委員会、都道府県・市町村職員、その他試行的事業の実施に参画した関係者等は、本事業において知り得た個人に関する秘密を他に漏らしてはならない。

5 経費の負担
 この実施要綱により行う事業に要する経費については、別に定めるところにより国庫補助を行うこととする。ただし、3の(3)のウにおいて、実際にサービスを提供する場合の経費を除く。


*作成:坂本 唯
UP:20191129 REV:20200719
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