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『判断が出来ない京都の良識(京都南病院医師 古石隆光宛 1997年12月1日)』

大葉 利夫 1997

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last update: 20200320


大葉利夫,1997g,『判断が出来ない京都の良識(京都南病院医師 古石隆光宛 1997年12月1日)』.

1997年12月1日

京都南病院 古石隆光 先生
              「差無生」運動推進協議会会長
              「障碍」を持つ教師と共に・連絡協議会代表
                 大葉利夫(都立小金井北高等学校教諭)

     判断が出来ない京都の良識

 暫く御無沙汰しております。古石先生の所には会の方からの資料が、数多く届いており、お読み頂いていると思いますので、細かい点は省かせて頂きます。
 本当に京都の良識がどの辺に存在しているのか、私は改めて判断しかねている状況にあります。当該の辻教諭の場合、あの気質、すなわち、人間というものを純粋にしか考えられず、なおかつ良識を欠いた者に攻撃されるともろく、正義感は強いものの、不正義に立ち向かう力や持久性が弱いため、なかなか今回のような状況の中では、生きては行けない人間の一人であります。特にダメージが心臓に対して、心因的な圧力となって生じてしまう事が、医師でない私にもよくわかります。私のような視覚に障碍を持つ立場なら、強引に職業的身分を守るため、7月2日以降も何を言われようとも、何をされようとも、職場に行っていれば、損得から見れば、事態は当該に有利な方向に向かっていく事がわかっていても、それが出来ません。市教委側は地位と権力を持っており、当該が職場を放棄しているとして、服務問題と決めつけ、障碍を持つ者(障持者)に対する1981年から17年も遅れている制度的な対応や意識の不備を認めず、当該にすべての歪みを押し付けたままであります。文部省の奨励する事例さえ、私達が教えても、それを無視し、当該の服務問題として押し切ろうとしています。当該の気質を考えれば、無理に職場に向かわせ、「まさに命取り」の行為を職業的身分を守るために行なわす事は、私には出来ません。更に、心配な事は、前にも書いた事でありますが、安心して関西で当該が動けないため、先生の所への通院が出来ないままになっている事であります。この点については、当該も私達も気がかりではありますが、先生への情報提供をもって先生にご理解頂いていると考える事しか出来ません。幸いに、市教委の懲戒免職を控えた激しい攻撃の中ではありますが、職場での直接的な攻撃を受けずにいるため、当該本人の体調は比較的良好であります。しかし、その分、8月からの給料停止、懲戒免職への危機等の当該へのマイナスは、防ぎようもなく大きくなってしまいました。
 出来るだけ近い内に、当該の診察のために、私達が同行出来る機会の実現を考えてはいます。とにかく、今の京都の教育委員会の姿勢では、その内部の地位、権力意識の方が強く、ほとんどの障持者の労働権利はあり得ず、ノーマライゼーションそのものが実現出来ない都市となってしまっている事は確かです。障碍や病気を持つ者が安心して働き、また生活出来る都市になるように、先生のご協力は欠かせないものであります。とにかく今の危急の事態の解決を考える毎日であります。




*作成:安田 智博
UP: 20200320 REV:
障害学 全文掲載
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