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「要望書(京都府教育委員長 森田嘉一宛 1994年10月12日)」

障教連 1994

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last update: 20200320


障教連,1994e,「要望書(京都府教育委員長 森田嘉一宛 1994年10月12日)」

1994年10月12日
京都府教育委員長
森田嘉一殿
「障碍」を持つ教師と共に・連絡協議会

要望書

 本会は、障碍(身体瞳碍および慢性疾患等)があっても教師として働き続ける こと、そのために必要な労働条件を「障碍保障」というかたちで制度化して行く ことを目指して、1991年10月に結成されました。
 その後、東京都教育委員会に「障碍保障制度要綱」(添付資料)として要望書 を提出するとともに、現実に障碍を抱えながら勤務している当該教師の具体的な 要望について一も話し合いを重ねて来ました。その結果、視覚随碍教師に対する持 ち時間の軽減、人工透析を受けている教師に対する勤務時間内通院の保障など、 制度が整備される以前においても、緊急に必要とされる対応に関しては都教委の 理解を得て要望が認められて来ました。
 また、文部省に対しても、「障碍保障」の制度化を求める10万を超える署名 (添付資料)を本年9月7日に提出しています。
さて、今回、突然ではありますが貴教委にこのようなかたちで申し入れをさせ て頂いたのは、本会の会員でもある京都市立滋野中学校国語科教諭辻範子さんに ついて、緊急に要望したい事情が生じたことによります。
 辻さんは、1989年10月に心房中隔損傷の手術後、その後遺症によって休 職し、去る8月1日に復職しました。しかし、現在でも心室性期外収縮の後遺症 が残っており、そのため疲労が続くと不整脈の発作が起きるなどの症状が出てい ます。現在、辻さんは週20時間の授業を受け持っていますが、健康な人なら問 題なくこなせる時間数であっても、心臓に障碍のある辻さんにとっては非常に負 担が大きく、現実に不整脈の発作が起き薬で抑えている状態です。
 私たちは辻さんの緊急な要請に応えて京都市教育委員会に要望書を提出し、9 月9日に話し合いの場を持って頂きました。具体的には持ち時間の軽減(15時間程度にする)をお願いしたわけですが、市教委としては「制度がない」との理 由で要望は受け入れられませんでした。また、その際、「府教委に行って話をし てくれ」と、問題のたらい回し的発言もありました。辻さんの現在の状態は.制 度ができるまで待っていられる余裕はなく、このままでは教師を辞めざるを得な い状況に追い込まれることは明らかです。
 辻さんのように中途で障碍を持った教師は。働き続けたいと言う意欲があって も、健康な頃と同様の仕事量を要求されるため無理をして身体をこわし、多くは やむなく退職せざるを得ませんでした。障碍者が働くことのできる環境が、学校 現場では全くと言っていいぼど整備されていません。法律で定められている障害 者雇用率も守られていないのが実態です。
 そのような中でも、東京都においては本会との話し合いにより上記のような具 体的君応がなされ、大阪府や新潟県などでも常勤講師の配置等の措置が行われて います。障碍があっても教師を続けられるかどうかは教育委員会の姿勢いかんに 関わってくるのです。
 辻さんが心臓に障碍を抱えながらも教師を続けて行くために、本会として下記の2点を貴教委に要望致します。辻さんが置かれている状況に、ぜひ、ご理解とご配慮をお願い申し上げます。

(1)持ち時間を15時間程度に軽減して頂きたい。
(2)来年は強制異動の対象となるが、通勤の負担を避けるため、現任校に残すか、異動する場合でも通勤時間が30分以内の学校にして頂きたい。

なお、以上の2点については文書による回答をお願い致します。
〈連絡先>
〒183東京都府中市朝日町1-15-26大葉方
「障碍」を持つ教師と共に・連絡協議会
専用電話・FAX:0423-36-7012




*作成:安田 智博
UP: 20200320 REV:
障害学 全文掲載
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