HOME > 全文掲載 >

『聴覚障害が運転に及ぼす影響に関する調査研究』

国際交通安全学会 昭和61年3月

Tweet
last update: 20151219


国際交通安全学会『聴覚障害が運転に及ぼす影響に関する調査研究』昭和61年3月
の概要

*以下、佐々木さんによる紹介

序文部分と研究組織と目次を記しておきます。
-----------------------------------------------------------------

はじめに

 本報告書は、警察交通局運転免許課の委託を受け、(財)国際交通安全学会
が昭和60年に行った「聴力が運転に及ぼす影響に関する調査研究」をまとめた
ものである。

 近年の自動車の保有台数,免許保有者の増加は,当然のことながら日常生活
における車の役割が生活必需品へと変化していることを意味している。この
ような社会背景の中で,運転免許の欠格者とされている者の中には,耳が聞こ
えない聴こえない又は口がきけない者がおり,特に耳の聞こえない者に対して
は,法制上の改正の要望が寄せられている。
 本調査研究では,聴覚障害と自動車等の運転との関係について,現に免許を
保有する聴覚障害者の運転の現状調査と,車両を含めた車内騒音特性及び実車
を用いた走行実験から,聴覚障害者と健聴者の違いを調べ,聴力が運転に及ぼ
影響についてまとめ,今後の運転免許行政に資することを目的とする。

 調査研究の結果,現在の基準で運転免許を与えられている聴覚障害者の運転
について、特に問題を見出すことはできなかったが,同時により良き交通社会
づくりに向けて,運転者教育をより綿密に対象者別に行う必要性と,運転適性
に関する基礎研究の必要性を明らかにした。

 本調査研究は,研究の主旨に御賛同いただきこころよく参加していただいた
聴覚障害者の方々及び別掲の諸組織の御協力によって行われた。実験調査に参
加され,また貴重な御示唆,御指導をいただいた研究協力者及び関係諸機関に
対し、厚くお礼申しあげる次第である。

                       昭和61年3月
                       (財)国際交通安全学会


研究組織

委員長 長江啓泰(日本大学理工学部教授)
委員  市角 博(東京都聴覚障害者運転免許学科講師)
    大塚博保(科学警察研究所交通安全部付主任研究官)
    岡野道治(日本大学理工学部助教授)
    貞広邦彦(社会福祉法人 聴力障害者情報文化センター
         事務局次長)
    田内 光(国立身体障害者リハビリテーションセンター病院
         第2耳鼻咽喉科医長)
    米本 清(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所
         感覚機能系障害研究部研究員)
協力者 小林好蔵(警察庁交通局運転免許課理事官)
    伴 敏之(警察庁交通局運転免許課課長補佐)
    小川 剛(警察庁交通局運転免許課専門官)
    駒走博志(警察庁交通局運転免許課)
協力  警視庁丸の内警察署
    千葉県警察本部
    国立身体障害者リハビリテーションセンター自動車訓練室
    東京ガス株式会社
    船橋第一自動車教習所
事務局 徳渕 誠((財)国際交通安全学会事務局次長)
    伴野博章((財)国際交通安全学会事務局)


『聴覚障害が運転に及ぼす影響に関する調査研究』昭和61年3月

序章 調査研究の位置付け

第1節 調査研究の理由・目的
第2節 調査研究の概要
    1 聴覚障害者の運転の現状についての調査
    2 自動車の室内騒音の測定
    3 聴覚の視覚による代替補完の関係の走行実験

第1章 聴覚障害者の運転の現状

第1節 聴覚障害者の運転の現状
    1 自動車運転免許保有者の推移
    2 聴覚障害者の免許取得
    3 聴覚障害者に対する教習
    4 免許取得後の教習
第2節 聴覚障害者の運転の実態と意識
    1 アンケート調査の方法
    2 アンケート調査の結果
    3 アンケート結果の健聴者との比較

第2章 自動車の室内騒音の測定

第1節 測定の目的と方法
    1 目的
    2 方法
第2節 測定の結果
第3節 考察
第4節 まとめ

第3章 聴覚の視覚による代替補完の関係

第1節 走行実験の目的と概要
    1 アイ・マーク・レコーダによる走行実験
    2 視点移動観察車による実験
    3 運転適性検査
    4 聴力検査
    5 路上走行
第2節 走行実験結果
    1 アイ・マーク・レコーダによる走行実験
    2 視点移動観察車による実験
    3 運転適性検査
    4 聴力検査
    5 路上走行

第4章 総括
    第1節 結果の概要
    第2節 調査研究から明らかになった点
    第3節 今後の課題

参考文献
1)日本の身体障害者,厚生省社会局厚生課,昭和55年身体障害者実態調査報告
2)新編自動車工学便覧,(社)自動車技術会,昭和59年10月
3)村田隆裕:交通安全施設に対する注視行動,
交通工学,Vol.8 No.6 p.13 1973
4)長江啓泰:四輪ドライバーの注視点,
  月刊自動車管理,Vol.12 No.6 p.22 1985
5)長江啓泰:二輪ライダーの注視点,
  月刊自動車管理,Vol.12 No.2 p.28 1985
6)女性運転者の運転実態と事故,違反に関する調査
  (昭和58年3月,(特)自動車安全運転センター)
7)運転者群別の運転の実態に関する調査研究報告
  (昭和57年3月,(特)自動車安全運転センター)
8)運転免許適性試験の在り方に関する調査研究
  (昭和60年3月,(財)国際交通安全学会
9)Peep Show テストの音圧校正法に関する検討
  (立石恒雄,米本清他,Audiol. Jap. 25.5,523〜524, 1982)
10)日本工業規格(JIS T 1201-1982)

付録−1 聴覚障害者に対する外国の免許取扱状況
付録−2 運転状況に関する実態調査アンケート票
付録−3 聴覚障害と自動車運転に関する外国文献

-----------------------------------------------------------------

付録−3には7冊ほど紹介されています。


REV: 20151219
全文掲載
TOP HOME (http://www.arsvi.com)