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「第38会期差別防止及び少数者保護小委員会における小林精神保健課長の発言内容」

厚生省精神保健課長 小林 秀資,厚生省精神保健課 訳 19850821

last update:20150505
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第38会期差別防止及び少数者保護小委員会における小林精神保健課長の発言内容(厚生省精神保健課訳)[1985.8.21.ジュネーブ]

 まず最初に、本小委員会の委員の方々に自己紹介させていただきます。
 私は小林と申しまして医師であります。
 日本政府厚生省の精神保健課長をいたしております。
 この機会に、日本の精神病患者の人権侵害申し立てに対し2,3のコメントをさせていただきます。
 日本政府は、宇都宮病院のようないくつかの精神病院において発生した不祥事に対し、誠に遺憾であると考えております。
 前回の本小委員会で、日本政府代表が説明申し上げたように、日本政府は、このような事件を再び起こさぬよう、1984年6月22日付通知で、都道府県知事に対し精神病院の監督指導の強化を指示したところであります。
 このことに関し、ここに出席されている2つのNGOが最近日本に専門家調査団を派遣された事実について言及させていただきますが、私はこれらNGOの人権擁護のための努力を大いに評価するものであります。
 これらは、日本の精神保健制度の現状調査の目的でDPI及びICJにより派遣された専門家による調査団であります。
 私共はこれらの調査団を受け入れ、協力に万全を期して参りました。
 私共は、それらの最終報告書が日本の精神保健の現状を正しく反映したものとなり、いくつかの精神病院において発生した不名誉な事件に関して流布された情報にもとづいて片寄った結論をだされることがないよう、希望いたしております。
 日本には約1,500の精神病院がありますが、調査団におかれては、これら少数の事例から我が国の全ての病院が同様であるという結論を表現されることのないよう、望むものであります。
 実際のところ1,500ある病院の大部分は健全であり、最善のケアでもって患者の治療にあたっております。
 日本政府は、もし必要であれば、これらNGOにより将来公表される最終報告に関し、詳細にわたりコメントをいたす予定であります。
 本日午前中2つのNGOよりこの問題についての発言があり、日本の精神衛生法が市民的及び政治的権利に関する国際規約を含む国連の諸規定の趣旨に適合していないことが強調されました。
 昨年の本小委員会において、日本政府代表団が表明しましたように、日本政府は現行の精神衛生法が人権に関する国際諸規約に違反していないものと考えます。
 入院手続きの適法性は精神衛生法ばかりでなく行政事件訴訟法、人身保護法及び民事訴訟法によって構成される再審査制度により保障されております。
 しかしながら、私共は、精神病入院患者の人権擁護に関する規約が滝の法律にわたっていることから、現行法制度が複雑化するきらいがあることは認めます。
 厚生省は精神病患者の人権擁護をさらに推進するという観点から、精神衛生法の改正に着手することを最近決定しました。
 私共は、これらのNGOと同様、日本の精神医学専門家や法律家からの意見や助言について詳細に検討しているところです。法の見直しにあたり、厚生省としては精神衛生法のさまざまの箇所について、専門家の意見をさらに詳細に検討することとしており、患者の人権を強化する方向で法改正を行ないたいと考えております。


*作成:桐原 尚之
UP:20150430 REV: 20150505
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