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「公開質問状」

全国「精神病」者集団 19840625

last update:20150505
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1984年6月25日 全国「精神病」者集団「公開質問状」

私達は「精神障害者」に加えられる差別を糾し、「精神障害者」解放を組織目的とし、1974年5月以降、諸活動を行なってきました。私達は、現在政府法務省が国会上程を画策する保安処分を「精神障害者」差別の強化と捉え、その闘いに組織の総力をあげ、取り組んできました。同時に、精神衛生法の統制下にある現行精神医療(政策)は、社会防衛を優位に捉え「精神障害者」の社会排外と強制医療を目的とした反医療的イデオロギーに支えられているものと認識し、その解体を追及してきました。それは精神医療(施設)の収容所的機構と拘禁性をどす黒い体験をした(している)私達の叫びでもあり、全「精神障害者」の利益追求をめざす私達の組織の基本方針でもあります。
それ由に、リンチ・虐殺等、戦慄すべき暴力機構として告発・暴露された宇都宮病院の実態は、私達を心底より激怒させ、到底許すことのできぬ問題と捉えています。私達は宇都宮病院の在院者のすべてを早急に解放し、解体すべきと考えます。
東大の多くの医師は、この宇都宮病院と深いかかわりを持ちながら、同病院の暴力支配と医師不在を何ら返り見ず意図的に放置し、また患者の脳を「研究」という美名の下に私物化し、石川文之進院長から多額の「謝礼」を受け取り続けた事実が報道されています。これは「精神障害者」差別であり、人権侵害という実に悲しむべき事態であり、医師の犯罪行為として断じて許されるものではありません。無念の思いを残し殺された仲間の霊になり変り、私達は心からの怒りで弾劾します。
5月26日の朝日新聞は、この事態に対し東大当局が関連医師に「厳重注意」を加えたと報道しております。全「精神障害者」並びに人民を驚愕させた社会問題に対するこの処分を私達は不十分であり問題の本質を隠蔽するものであり、納得し得るものではありません。東大医学部の指導的立場にいる貴方に問われているのは、自らの指導責任と関与医師の個別・明確な自己批判と社会的コメントを表明することにあります。その上に立ち、今なお決定的な医療スタッフ不足の中であえぐ宇都宮病院の患者の一刻も早い救出にあるはずです。私達は今回の教授会の決定に、あらためて疑義を表明すると共に、東大当局の責任を明らかにする為、以下公開質問を行ないます。
一、東大当局は宇都宮病院とそれを支えてきた東大医師に関して、どう事実を把握し、認識しておられるか、明らかにされたい。
二、東大当局は、その指導的立場において、自己批判と責任を明らかにされたい。
三、宇都宮問題に見られる差別と人権侵害の防止策として、今後の指導性を明らかにされたい。
四、東大医師連合を中心とした公開討論会に応ずる用意はあるのか、明らかにされたい。
 上記質問事項に対して、具体的回答を下記におよせください。

1984年6月25日

三島一済医学部長殿
原沢道美病院長殿
 名古屋市南区呼続町7-76 健幸荘A301 全国「精神病」者集団事務局


*作成:桐原 尚之
UP:20150430 REV: 20150505
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