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刑法改悪阻止・保安処分新設粉砕!国会上程阻止!12・17総決起集会

12・17闘争実行委員会 19831217


はじめに
 右翼・天皇主義者=中曽根康弘が首相の座について警察内閣を発足させて、一年がすぎようとしています。この日帝・中曽根政権の下で、保安処分新設・刑法全面改悪案の国会上程策動が、急ピッチで進められてきました。
 中曽根首相は、「戦後政治の総決算」をかかげて、戦争と改悪への道をひた走っています。11月には、中東レバノンや中米グレナダで、アジア・アフリカなど全世界で残虐な戦争をくり返す「戦争屋=レーガン」を東京にまねいて、日米首脳会議をひらいています。
この中で、中曽根は「西側の結束」「力による平和」「防衛力整備のいっそうの強化」をうちだし、自衛隊の軍事力を極東全域に拡大する方向で、日本が世界の軍事バランスに登場しようとしています。
 また、レーガン警備と称して、九万もの警察官を首都に動員し、反対の声を圧殺してきました。こうした警察政治を前面におしたてて、深刻な財政危機やロッキード危機をのりきり、臨調、行革や教育の大反動を敢行して、力の政治で人民を戦争においやることを狙っています。これは、一切の「民主的権利」をはぎとる、日本の戦後支配の根底的転換といわねばなりません。
こうした中で、今春、法務省は「刑法改正案の次期通常国会上程」方針をうちだしてきたのです。
 他方、「たくましい文化」の下に「日本型福祉のあり方」をうちだして、「西欧型の高福祉―高負担」を否定して、次々と「福祉カット」が行われ始めました。
これは、「障害者」に対して「無理心中」という形の虐殺や自殺などがひん発する結果を生みだしています。
また、「精神障害者は危険だ」「危険な精神障害者から社会を守れ」というキャンペーンがくり返されています。体制的危機が生みだす様々な矛盾を「障害者」を抹殺する方向へ転化して、戦争への国民総動員をなしとげようとしているのです。その今日的基軸が、保安処分新設・刑法全面改悪の攻撃にほかなりません。

一.刑法改悪案の次期通常国会上程許すな!
(1)、全面改悪と対決しよう!
 刑法は支配の基本法です。この刑法に「危険な精神障害者」「危険な犯罪者」類型をもちこんで、保安処分や不定期刑を導入したり、罪刑法定主義すら否定して、「犯罪者」の存在そのものを罰するものへと、全面的につくり変えてしまおうというのです。
 「精神障害者」は、現在でも精神衛生法体制の下で、本人の意志と無関係に「措置入院」や「同意入院」によって「精神病院」に隔離され、恐るべき「強制医療」が行われています。また労働権もはく奪され「福祉」からも除外され、社会から差別的に排除され続けてきました。この「精神障害者」が国家や社会を糾弾するのは当然のことです。しかし保安処分は、この「精神障害者」を「犯罪者」と見たてて、「危険な精神障害者から社会を守れ」といって、存在そのものを取締まろうとしているのです。これをテコにして、戦争にむかってつき進む国家に反抗する者全てを圧殺しようとしています。だから法務省は、現在進めている上程案作成作業の中で、保安処分新設を基軸において、「精神障害者」の強制収容、隔離・抹殺を狙っているのです。
 他方、現在検討中とされている25項目の弾圧条項もめいっぱい盛込んでくるでしょう。人民の決起を、その準備段階における組織、個人の一網打尽で鎮圧することを狙う「騒動予備罪」。組織・運動の指導者、参加者、協力者を根こそぎ事後弾圧する「間接正犯」「共謀共同正犯」「不作為の作為」。労働運動や住民運動の団交や抗議などへの弾圧を狙う「準恐喝罪」。天皇・天皇制にたいする危害罪・不敬罪の復活を狙う「外国元首に対する暴行・脅迫・侮辱罪」。
 さらに注意しなければならないのは、「外国人の国外犯規定」という植民地刑法の復活を狙っていることです。すでにフィリピンや朝鮮で日本企業の差別と収奪をほしいままにした横暴な侵略にたいして、人民のたたかいが叩きつけられている現実を見れば、中曽根政権が、日本の法律をもってこれらを圧殺することをたくらんでいるのは明らかです。
 この刑法を改悪することによって、刑法を実体法とする支配法体系全体が改悪されようとしています。留置施設法、刑事施設法はすでに国会に上程されており現在すでに監獄法や刑事訴訟法の拡大解釈や恣意的適用が先行しています。
 法務省は、人民の「障害者」差別にたいするたたかいの立ちおくれをついて、保安処分思想を煽りたてて全面改悪の攻撃をかけてきています。とりわけ、法務省・日弁連の「刑法問題意見交換会」は、日弁連の屈服と協力、加担をとりつけて「国民的合意を得た」として、国会上程へのステップとする重要な攻撃です。
法制審答申をめぐる刑法改悪反対運動の代表者を自称していた日弁連が、保安処分思想と対決しえないがゆえに、上程の協力者に転落する中で、いよいよ法務省は成案=全面改悪案の作成に着手し、国会上程の準備に突入しました。私たち実行委は、全国からの「病者」「障害者」の決起を先頭にして、この「意見交換会」粉砕闘争をたたかってきました。これが刑法全面改悪を核心において粉砕する力となっています。全ての皆さんが実行委の旗の下に結集し、保安処分と対決する質をもって全面改悪と対決し、上程阻止陣型を大きく構築してゆきましょう。

(2)、上程をめぐる情勢
 十月十六日、法務省は刑法全面改悪の最大の焦点である「治療処分」(=保安処分)制度の概要をまとめました。刑法闘争は上程をめぐる攻防戦に突入しました。
 八一年末、法務省は保安処分についての「刑事局骨子」を発表して「@名称を『治療処分』とする、A処分の対象を放火、殺人、傷害など六罪種に限る、B収容期間は一年とし、更新できるが原則として通算七年以内とする、C症状によって仮退所でき、再犯のおそれがなくなれば処分を解除する」などと、うち出しました。
 昨年までの「意見交換会」では、この「骨子」と日弁連の「精神医療の改善方策について」(意見書)をつけ合わせ、「精神障害者」を「犯罪素因者」とする許しがたい思想で、双方が「保安処分か現行精神医療の強化か」などというテーマで、「精神障害者」の隔離・抹殺の「有効性」を争ってきました。
 しかし今年に入ってこの「是非」の議論さえうちきって、「意見交換会」では、保安処分の実施、運用にあたっての実務が論議されてきたのです。
 二月十六日、第十三回では、法務省は「@保安処分の対象者を『心神喪失者』および『心身耗弱者』とする、A施設を法務省直轄の精神病院(保安施設)とする」と発表してきました。
 四月二〇日、第十五回をめぐって、法務省は「次期通常国会に最重要法案として提出」方針をうちだして、「成案をえた場合、日弁連の意見を意見交換会で聴く」と、上程へのプログラムを明らかにしました。
 そしてこの間は「ヨーロッパ保安施設の調査結果の討論」などと称して、実は、運用にあたっての手続きや執行方法についての論議をくり返し、それにもとづいて、ついに今回「概要」をまとめ、「治療処分執行法」なるものをうち出したのです。
 保安処分はそれ自体が現行の憲法にすら接触するものであり、従ってその運用は刑事法体系全体が矛盾に陥いるものであって、今回の「概要」はその矛盾を、刑事訴訟法を改悪したり、新たに「治療処分執行法」を新設してとりつくろい、保安処分の制度的完成をなしとげようとするものです。しかもこれがなしとげられれば、すでに上程されている拘禁二法とあわせて、支配の基本法体系全体=支配のあり方が反動的に転換されるのです。私たちはこの「概要」を怒りをこめて弾劾し、断固粉砕しなければなりません。

(3)、「治療処分制度の概要」弾劾!
「治療処分執行法」制定策動粉砕!
 この概要は「精神障害者」を「危険な犯罪素因者」と決めつけて、片っ端から永久隔離・収容してしまおうという、恐るべき「精神障害者」差別・抹殺の、その方法を明らかにしています。
(一)、手続き(刑事訴訟法の改悪)について
1、捜査の一環としての「精神鑑定」
 「精神鑑定」とは、証拠や客観的事実とは全く関係のないものであって(「捜査」とは無関係)、そればかりか、逮捕・拘禁の極度な精神的緊張を強いられ、人間的信頼が成り立たないところで、常に、この「鑑定」が「精神障害者」を分類し差別するものとして使われてきました。赤堀政夫さんは、こうして「殺人犯」にデッチ上げられたのです。この「鑑定」を、「捜査」の一環として日常的に使おうというのです。捜査官の恣意によって、警察の拷問によってデッチ上げられた「自白」調査にもとずいて行れるのです。
2、分類収容による永久隔離
 まず、起訴猶予や不処分のように、本来ならばすぐに釈放しなければならないものでも、微罪(軽犯など)でも、精神衛生法の措置入院にゆだね、精神病院にぶちこむのです。(これは措置入院の要件である「自傷他害のおそれ」すら拡大適用するということです。)
 裁判中の身柄は「罪証隠滅や逃亡のおそれだけでなく、再犯防止や治療のために身柄を拘束する仮収容制度を設ける」として、保釈を不可能にしています。
 判決では、「心神喪失者は処分のみ。心神耗弱者は刑と処分のいずれかまたは両方を言い渡せる」としています。
 こうして「精神障害者」と、それと見なされた者は、どんな微罪でもデッチ上げでも、一度逮捕されると、この様な分類のいずれかにあてはめられ、収容されて半永久的に社会から隔離されてしまうのです。
3、本人の意志を無視した欠席裁判
 裁判では、当事者に「責任能力なし」として弁護人・補佐人をたてますが、「精神病者の言う事はきくに価しない」という、本人の意志を無視した体のいい欠席裁判です。「心神喪失者」には、自分を自分で守る権利すらないというのです。
(二)、処遇(「治療処分執行法」新設を狙う)について
1、施設内では「原則としてすべて個室」=独房にぶちこまれ(これは症状を悪化させる)、「症状に応じた多角的な治療」の名の下に、横浜刑務所の電気ショックのような拷問的「強制医療」が行われるのです。鈴木国男君はこの「強制医療」によって大阪拘置所で虐殺されたのです。ここでは、スタッフに対して毎日ビクビクとして奴隷のごとく生きる屈辱が強制され、抵抗すれば「症状の悪化」として扱われ、収容期間も、一年ごとに延長されるのです。
2、仮退所
 「再犯防止が可能とみられる場合に、仮退所を許可する」として、「病状の再発=再犯」という基準で、仮退所の判断を下します。しかも、その決定は「法相任命する精神科医、司法関係者、学識経験者で構成する行政委員会が行う」のですから、仮退所はほとんど認められないでしょう。
3、仮退所後の療後観察
 仮退所後は、法務省職員の療後観察官が行ない、「社会的自立を援助する」といいますが、人権を無視され、治安維持の観点から、一挙手一投足が監視されるのです。しかも指示に従わなければ、「病状の再発・悪化の危険」と見なされ、再収容されるのです。
 この「治療処分制度」を軸とした成案が、近々、「意見交換会」に出され、次期通常国会」に上程されようとしているのです。

(4)、上程の推進者=日弁連弾劾!
 日弁連は、「刑法『改正』を阻止する」と称して、法務省が「国民的合意づくり」として設定した「意見交換会」に出席し、「精神障害者=犯罪素因者」という立場から、「要綱案」「野田報告書」「意見書」という差別文書を出し続けてきました。そこでは、現在保安処分制度として存在している精神衛生法を、強化しろといっているのです。
 さらに今年に入って、四月に法務省が発表した「次期通常国会上程」方針に対して、「日弁連の意見を意見交換会の場で聴く」から、といって評価しているのです。日弁連の裏切りが上程方針を出させているのにもかかわらず。
 今秋には、刑法の「現代用語化案」をまとめて発表して、弁護士でありながら刑法全面改悪案を作成してみせるということまでやっています。
 「治療処分制度の概要」については、恐るべき人権侵害であるのを見せられても、「既に意見交換会で出された内容」と、社会正義と人権擁護をかなぐりすてて、法務省に協力してきたことを明言してはばからないのです。
 この、日弁連の屈服と協力、加担をとりつけた法務省は、いよいよ成案=74年草案型全面改悪案の発表、上程の時期をうかがっているのです。
 十二月二十四日、第十九回「意見交換会」は、成案発表の可能性もある、上程への決定的突破口を狙ってくる重要な攻撃です。
 全ての方々が実行委とともに、十二月二十四日、日比谷公園に結集して、「意見交換会」を粉砕されんことを訴えます。

強まる「障害者」攻撃を打ち砕こう!
 「障害者」をめぐる状況は、一段とその厳しさを増しています。日帝の「障害者」政策は、中曽根政権の登場を新たなテコとしながら、いわゆる「相対的安定期」とは、明確に区別され、まさに戦争へ向けた「障害者」政策としてかけられてきています。赤堀差別裁判―赤堀さんの獄死―虐殺攻撃をはじめ、優生保護法改悪や安楽死法制化策動、又保安処分の基本台帳づくりともいうべき、「83年精神衛生実態調査」、更には、ホームヘルパー制度の改悪や、「身体障害者福祉法」改悪など「障害者」の反対の声を圧殺しながら、強行されようとしています。それは、富山の権力行政一体となった。差別弾圧にみられるように、「障害者」に直接手をかける弾圧として強行されているのです。これらのふきあれる「障害者」抹殺の攻撃の最基軸であり、根幹をなすものこそ、刑法改悪―保安処分新設の攻撃に他なりません。
 赤堀差別裁判糾弾斗争の前進は、去る5月23日、東京高裁による静岡地裁への差し戻し決定をかちとりました。私達は、この決定を再審の道をひらき、赤堀さんを奪い返していく突破口にしてゆかねばなりません。獄中30年にわたって、無実を叫び、国家権力の差別―抹殺攻撃と真正面から斗い続けた不屈の赤堀さんの斗いと、これと結びついた「病者」「障害者」を軸とする三者共斗の前進によって、かちとられたものです。同時に、赤堀斗争が差別糾弾斗争として前進し、狭山―三里塚斗争と並ぶ、日本階級斗争の一大基軸へと、成長していくことへの恐怖のあらわれでもあります。従って、5・23決定の意義と共に、その攻撃性格についても、正しくつかみとっておかねばなりません。その第一は、赤堀さんへの拷問―「自白」の強要という事実をおしかくし、居直り、「赤堀は精薄だから、勝手に自白した」と赤堀さんに、その責任をなすりつけています。「赤堀は精薄だから、何をするかわからない。何をいうかわからない」という 77年3・11第4次再審却下の権力の差別的「障害者」観が、貫かれているということです。第2に、5・23決定直後、日共(赤旗紙上)の「差別裁判として問題にしてきた部分がいるが、事実審理にしぼって、やってきた我々が、正しかった」ということに、端的なように、再度、「司法の中立幻想」を煽り、公正裁判要求のエネルギーを増幅させ「病者」「障害者」を先頭に、差別糾弾斗争として、前進してきた赤堀斗争の分断―解体を狙っているということです。同時に、刑法斗争から見れば、歴史的に、その斗いの基軸を、赤堀斗争勢力が担い抜いてきたのであり赤堀斗争の分断―解体攻撃を通した。刑法斗争の弱体化を狙ったものともいえます。これに対し、赤堀中斗委は、斗いをゆるめることなく、攻撃に転じ、11・27静岡現地集会を四百数十名もの結集をもって、成功させ、再審開始―赤堀さん奪還へ向けて、静岡地裁―地検への糾弾を斗い抜いています。この斗いを引き継ぎ、赤堀さんを生きて奪い返すまで斗い抜こう。
 更に、優生保護法改悪の攻撃は、天皇主義ファシスト「成長の家」を、突撃隊としながら、一段と強まっています。一九三〇年代、戦争へ向う過程で、制定された国民優生法を下に作られた。この優生保護法は、徹底した優生思想に貫かれ、新たに胎児条項をつけ加え、「不良な子」の「防止」をかかげ、「民族の花園を荒らす雑草を断て」とばかりに、「障害者」の抹殺を目的としているのです。
私達は、「生む生まないは、女の権利」として、収約せんとする、一部の流れを越え、優生思想に貫かれた差別性を見抜き、斗い抜かなければなりません。これと一体となりながら。安楽死法制化が目論まれています。これは「生命倫理懇談会」とタイアップしながら、「生きる価値」基準を、敵の側から突き出し「生きる価値のない存在」、又「民族の繁栄に対し、肉体的精神的侵害を加える存在」として、「障害者」の抹殺を行なおうといる法律に他なりません。この攻撃の尖兵たる「安楽死協会」の太田典礼は、「末期療法」なるものを突き出し、法制化への新たな踏み出しを開始しています。そして、何よりも、保安処分の基本台帳づくりともいうべき「83年精神衛生実態調査」が、当事者である「病者」の多くの反対を圧殺しながら、強行されようとしています。厚生省は、全国―各地の斗いにおいつめられるや、「修正案」なるものを明らかにし、今回の実調を何としてもゴリカイしようとしています。去る11月24日、行なわれた、対厚生省交渉の場において、「人権は100%守られる」「当事者(親)との同意をつくる」「80%〜90%は回収できる」などと、ウソ、ギマンで塗り固め、「病者」「障害者」の糾弾の叫びを圧殺しています。しかし、神奈川で、埼玉で、東大阪で(滋賀で)続々と実調中止≠ェ、かちとられています。
この地平を拡大し、全国の「病者」「障害者」と共に、実調の全国的中止をかちとっていきましょう。
 更に、81年「国際障害者年」攻撃以降、戦斗的「障害者」解放運動の圧殺―体制内化の攻撃が、吹き荒れる中、富山における差別糾弾への踏み込みが、権力―行政一体となって開始され、一方、「障害者」の生活と斗いを根だやしにせんとする攻撃も強まっています。
ホームヘルパー制度改悪や84年に予定されている「身体障害者福祉法」改悪、更には、生活保護法の改悪(123号通知)が、その攻撃に他なりません。「障害者」が、差別への怒りと、生き様をかけて、かちとってきた、一切の地平を解体し、行政改革をテコとし、斗う日立生活基盤を、まるごと破壊せんとしています。これら「障害者」をとりまく状況は、差別―抹殺の攻撃として、その厳しさを一段と強めています。その歴史を画する転換が、刑法改悪―保安処分新設に他なりません。すぐに、日帝・法務省は、次期通常国会上程の道を決断し、去る10月17日、「治療処分執行法」なる具体案を明らかにしてきました。先に、述べたように、「精神障害者」を24時間一生を貫いて、保安施設の中で、隔離―収容―抹殺していくことを、宣言してきています。
 この攻撃こそ、戦争に向けた日帝中曽根の「障害者」抹殺政策の基軸であり、戦争突撃の歴史的一里塚に他なりません。この攻撃に克服し、一九三〇年代をこえる「障害者」抹殺を許すのか、あるいは、「病者」「障害者」と共に、三者共斗の前進を切り拓き、「障害者」抹殺の長き歴史に終止符を打ち、「障害者」解放―全人民解放へ突き進むのかとして歴史的正念場に、私達は立っています。
今こそ、「病者」「障害者」の差別と抑圧に抗し、生き抜く格斗や、差別に対する怒りを、心から分ちあい、共に生き、共に斗うためにこそ、現下の赤堀斗争―刑法斗争を軸とした輝く、80年代「障害者」解放運動の先頭に立って、斗いましょう。

[V]弾圧の実態
@監獄二法の再上程を阻止しよう!
 昨年四月の国会上程以来、一年半にわたって継続審議になっていた監獄二法は、11月28日の衆議院解散をもって、廃棄となりました。しかし、新聞報道でも、「次期通常国会に再上程」と言われており、法務省自身、日弁連に対して、「なるだけ早期に再上程したい」と言明しています。又、警察庁も留置施設法案の再上程強行方針を確定しており、監獄二法の再上程は、必至です。
 日弁連は、廃棄となった今も、12月24日に、監獄法意見交換会を予定するという屈服ぶりです。廃案後の意見交換会開催とは、まさに、再上程攻撃への直接の加担といわなければなりません。
 監獄法改悪の中味とは、死刑囚処遇の既決なみへの改悪、強制医療、獄中者に対する実力強制(暴行)、第三者への武器使用、隔離拘禁、個別的処遇という名の獄中者の全人格的支配の攻撃、未決囚の外部交通権の制限強化、代用監獄の永久代、無賃金、無保障の強制労働というものです。これは、監獄を近代的な装いの下にしかし、戦前と同様の拷問と虐殺の監獄支配を打ち立てようとするものです。留置施設法案での、警察留置場での懲罰の新設、戒具使用の強化、弁護士接見の妨害条項、起訴後の代用監獄拘禁の拡大は、まさに、デッチ上げと拷問、虐殺に直結するものといわねばなりません。
 更に、このような監獄法改悪が、保安処分新設と軸とする刑法改悪の執行を担うものとして打ち出されていることを弾劾しなければなりません。刑法―監獄法を貫く強制医療の攻撃は、このことを端的に示しています。
 法務省は、日弁連が作成中の対案を取り込みながら、一挙に再上程―強行成立に突き進む動きを見せています。我々は、日弁連対案―意見交換会に対する対決、批判を強めるとともに、意見交換会粉砕斗争の地平を打ち固め、政府、法務省との本格的攻防を切り拓いていかなければなりません。
 差別主義集団日本共産党に代表される日弁連執行部の路線は、弁護士の職能的利害に依拠して、問題を弁護士接見交通権を中心とする、代用監獄、未決処遇問題に限定し、その中において、強制医療や、監獄秩序、既決処遇を差別主義的に突き出すというものであり、断じて許すことはできません。これとの対決なくして、監獄二法粉砕は、ありえません。
 又、東京拘置所をはじめ全国の監獄で、監獄二法上程をテコとした攻撃が、次々とかけられています。4月の東拘による高尾さん虐殺、7月以来の団体名さし入れ禁止攻撃は、その頂点です。これらの攻撃との対決こそ、監獄法改悪阻止の力です。
 又、鈴木君虐殺を糾弾し抜き、第2の鈴木君虐殺を許さない斗い、赤堀さんを始めとする、獄中の「病者」「障害者」を防衛し奪還していく斗いを共通課題に、「病者」「障害者」の監獄法改悪阻止斗争への決起、獄中―獄外を貫く三者共斗の地平の拡大こそ、勝利の確信です。
 12・24監獄法意見交換会粉砕斗争、獄中越冬斗争、2・16鈴木君虐殺8ヶ年、高尾さん虐殺一ヶ年をみすえ、三月再上程阻止の決戦陣型を作り出していこう。
A刑法改悪の先取り弾圧の実態
 刑法改悪攻撃は、法案として提出される前から、すでに実態として、現行法の枠をも越えた弾圧として、表われています。
 とりわけ、11月のレーガン来日を契機として弾圧は、一挙にエスカレートしました。まさに戒厳令ともいうべき、特別警備体制と予防拘禁的な逮捕、勾留が、相次いだのです。全国で延べ20万人の警察官が、動員されています。
 10月26日の昭和記念公園(天皇替美の)開園式に、天皇が出席する際にも、法的根拠もなく、警察権力の戒厳令状態が、しかれました。
≪10・26「昭和公園」天皇弾圧≫
(読み取れず)
の公園を警察が借りきるなど、事前から周到な弾圧が準備され、立川街の斗いの現代柱のビル周辺には、天皇が通るコースに、あたるということで、六百名もの私服を動員して、警備の予行演目が行われました。
 26日の前日には、全国から八千人の警察官が動員され、立川市内のパトロールは強化され、尾行などが、撤廃して行なわれました。
 26日当日は、早朝から機動隊の集団行進などが、沿道で行われ、ものものしい状態におかれ「手をポケットに入れている者には、職務質問せよ。不審なそぶりをみせたり、逃げようとする者がいたら、逮捕しろ」などの指示が、行なわれていました。
 現代社のビルや立川テント村には、ガサが行なわれ、厳重警備の下で、一切の動きを制圧しようとしました。
 アパートのベランダから、抗議の風船をとばした人たちに対しては、部屋におしこめて、むりやり、風船をつぶしたのです。又、団地集会室でかかれた「天皇の犯罪を許さない戦争のパネル展」に対しては、会場を封鎖して、中にいた人たちを閉じこめたのです。
 これらの弾圧はすべて、法的根拠がない、明文の規定が、どこにもないのです。権力は、そのことを百も承知で「公共の安全と秩序の維持のための緊急措置」「犯罪の予防鎮圧のため」として、弾圧を強行したのです。
「天皇」を守るためには、いかなる弾圧も許容されるというのが、この間の弾圧です。

≪レーガン警備、予防拘禁≫
 10月末から11月半ばにかけて、一挙に逮捕者が増えました。斗争の激化というよりは、何もしなくても、予防拘束的に、口実をつくっては逮捕し、勾留したというべきです。
 情報集めと事前対策としてのガサも、ひんぱんに行われました。
 とりわけ、羽田周辺地域では、車両規制が行なわれ運送業者への自粛申し入れや、空港の駐車場使用禁止などが、行なわれました。
 レーガンがいなくなっても、一旦、エスカレートした弾圧は、それがもとに戻るということはなく、維持されつづけたのです。
 中野駅頭で、ビラをまいていただけで、鉄道営業法35条違反として、五名もが逮捕されました。

≪山谷斗争への弾圧≫
 山谷では、右翼と警察とがグルになって、斗う労働者への弾圧を、加えてきています。
 右翼が、ナチス棒をもって、斗う労働者の部隊に襲いかかり、それに防戦する労働者の側が一方的に、逮捕されるという事態が相次ぎ、これまでに、四四名が逮捕されています。
 右翼の挑発、あるいは、暴力的な敵対を容認し、斗う側を弾圧していくというやり方は、日大などでも、反医学連と権力の一体となった弾圧として現われており、今後、あらゆる場で、右翼との攻防と、それをもっての権力の弾圧という構造が、強まってくるだろうということが予想されます。

≪救護活動、弁護活動への妨害、獄中=獄外の分断≫
 逮捕され、勾留されている仲間に対しては、接見禁止処分がつけられ、弁護士のわずか一日二十分間の接見すらも、「指定者」持参要求など、さまざまな口実を設けて、妨害されています。しかも、起訴後にまで、接見禁止がつくことはありましたが、それがデモの逮捕者まで、すべての事件に適用されるようになったのです。
 これまでも、爆発物取締罰則違反など、重罰の事件について、例外的に起訴後の接見禁止がつくことはありましが、それが、デモの逮捕者まで、すべての事件に適用されるようになったのです。
 このように弾圧は、刑法改悪を待たずして、実質的な刑法、刑訴法の改悪として、先取りして行なわれています。
 これらの弾圧は、戦争への道をひた走りに走ろうとする権力者、中曽根政権が、戦争やあらゆる弾圧に反対する者を、次々に弾圧し、隔離し、抹殺しようとする意図に、貫かれています。
 とりわけ、組織ぐるみの弾圧をねらい、破防法や、共謀共同正犯適用をはじめ、組織そのものの解体を狙った弾圧が、めだっています。戦前の治安維持法型の弾圧が
(読み取れず)
ません。現在の弾圧は、かつて戦前、治安維持法と天皇制により人民の斗いが圧殺され、戦争へつき進んでいったあの時代を思いおこさずにはいられません。
 今こそ、すべての弾圧を許さず、刑法改悪、保安処分に反対する斗いを、更に強化、発展させていかねばならないと思います。

=方針=
(1)、戦争に向けた全人民を戦争に動員していく支配体制作り。
 支配の基本法たる刑法が全面改悪されようとしています。
 刑法の改悪とは、「精神障害者」「障害者」差別―抹殺をはかり、その下に人民のたたかいを圧殺し、屈服させて、戦争の担い手へと動員してゆく支配体制づくりです。
 自衛隊・憲法・天皇をかかげて三たび世界戦争に手をそめようとする中曽根政権が、人民の抵抗を一切封殺しようとやっきになって警察政治を前面に出してきています。この中曽根が刑法改悪を狙ってきているのです。
 私たちは、戦争を阻止する重要なたたかいとして、この全面改悪と対決していかなければなりません。
 しかし、この刑法の全面改悪のポイント保安処分攻撃=戦時型「障害者」抹殺政策に敢然と起ち上がっている「精神障害者」「障害者」がいます。もう殺され続けてたまるか!死すべきは、日帝国家権力だ!反動中曽根政権だ!と決起した、「精神障害者」「障害者」を先頭に全人民の決起をかち取って、その力で刑法全面改悪・保安処分新設の次期国会上程を阻止していこう。
(2)、実行委の旗の下に結集しよう。
 法務省は、人民の内部に根深く貫かれている差別意識を突いて、日弁連を協議路線に引き込み、保安処分問題で屈服させてきました。
 実行委は、上程の突破口となる法務省と日弁連の協議、「意見交換会」を、粉砕斗争として「精神障害者」「障害者」を先頭に斗い抜いてきました。
 刑法改悪国会上程阻止を斗うすべての人達が、未だ実行委の旗の下に結集しているとは考えていません。しかし、「治療処分執行法」にもある通り、「精神障害者」「障害者」を先頭に保安処分と対決する質がなければ、刑法改悪国会上程阻止は不可能です。(かつて日弁連は刑法改悪阻止の旗下であったではないか!)実行委に結集し、共に斗おう!
(3)、次期国会上程を断固阻止しよう。
 法務省の次期通常国会上程方針は何ら変っていません。十二月二十四日第十九回「意見交換会」に成案が出される可能性は極めて大きいのです。しかも74年草案型全面改悪なのです。
 法務省は、反対運動の動向を見て成案を出すか否かを検討しています。皆さん!十二月二十四日の「意見交換会」には大結集をもってこれを粉砕し、上程プログラムをズタズタにしましょう。日帝国家権力、法務省と対決する「精神障害者」「障害者」と斗う仲間の団結の力で上程阻止陣型を構築しよう。
(4)、戦争を阻止する斗いと連帯しよう。
 反戦・反該、狭山、三里塚・赤堀斗争と固く結合し、斗い抜こう。
 特に三里塚斗争は、6月の中曽根の早期着工宣言、十一月二十一日長谷川運輸相と千葉県知事沼田の会談での早期着工宣言の下に、二期着工が切迫しています。これと不屈・非妥協に実力斗争で斗う三里塚斗争との結合は、刑法斗争の勝敗を決するでしょう。反対同盟とのきずなを固くして斗いましょう。
  

*採録:桐原 尚之
UP: 20121105 REV:
反保安処分闘争  ◇全国「精神病」者集団全文掲載 
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