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刑法改悪への準備である法務省⇔日弁連の意見交換会を許すな!

11・2闘争実行委員会 19831102


 全国各地で闘いぬいている「障害者」の皆さん! 労働者・学生・市民の皆さん!
 現在、中曽根政権の登場を新たなテコとしながら、刑法改悪・保安処分新設の攻撃は一挙に強まっています。
 この10年間、政府・法務省は、刑法全面改悪を企図しながら、強い反対運動の前に再検討を余儀なくされてきました。しかし法務省は、何としてでも保安処分だけは通したいとばかりに、今回ついに「治療処分執行法」なるものを打出してきたのです。これは一昨年明らかにした「刑事局案骨子」に基づき、実際に保安処分制度を運用するにあたっての具体的な「手続き」や「処遇」についてまとめたものです。
 その内容をみれば明らかなように、「精神障害者」=「犯罪素因者」と決めつけ、「治安の対象」として、「精神障害者」を隔離・収容し、抹殺していこうとする法務省の意図が全面的に突き出されています。それによると、新たな「仮収容制度」が設けられ、裁判中でもずうっと拘束されつづけることが可能であると言い切っています。また「処遇」をめぐっても症状によって「精神障害者」を分断収容し、「個室」と称する独房において強制医療がなされようとするものです。そしてたとえ仮退所になったとしても監視され、さらに「症状の再発や悪化の危険があれば再収容できる」と、「精神障害者」を24時間・一生貫いて、保安施設の中で隔離―収容―抹殺することを宣言しているのです(詳細は2・3頁)。

●「障害者」差別を許すな!
 今こそ私たちは、敵の「障害者」抹殺攻撃に屈し、「障害者」を社会の片隅に追いやり抹殺してきた歴史を痛苦にかみしめ、その歴史に終止符をうたねばなりません。
 「障害者」の差別と抑圧に抗し、生き抜く格闘と何よりも差別に対する怒りを分かちあい、共に生き抜くためにこそ、現下の刑法改悪・保安処分新設攻撃を全力で打ち砕いていこうではありませんか。
 ところで当初、刑法改悪反対と言っていた日本弁護士連合会(日弁連)は、「障害者」の訴えを無視し、法務省との「意見交換会」をすでに十七回にもよたって行い、差別的な「要綱案」や「野田レポート」を出すにいたったのです。その内容は、「精神障害者」=「犯罪素因者」と決めつけ、法務省と同じ考えにたっているのです。また一昨年の12・5名古屋パネル粉砕闘争での闘う「障害者」や仲間を告発する一部弁護士がでてくるなどその差別性をあらわにしてきています。
 また法務省の刑法改悪成案作業に対し、その「対策」として「現代用語化案」なるものを作成し、「意見交換会」の中で、法務省との「合意づくり」の作業を進めているのです。
 私たちは、このような法務省と日弁連の意見交換会を決して許すことはできません。さらに法務省案の公表をもって、次期国会に刑法改悪案を上程することを絶対に阻止しなければなりません。

『治療処分執行法』制定を許すな!
刑法改悪の目玉=保安処分の新設を、いかに名前を変えようとも許してはならない。具体化へ向けた国会上程を阻止しよう!

「治療処分」にされたら永久に隔離されるおそれがある。
 10月17日、読売新聞に公表された、法務省の、「治療処分執行法」(仮称)なるものについては恐るべき内容が示されている。
 これは、刑法への保安処分新設と同時に、新たな立法化として、具体的な執行方法を打ち出したものであり、保安処分をいかに「治療処分」と言いかえようとも、その本質の恐るべきねらいは明らかである。
 問題点を要約すると次のようになるだろう。
一、「精神障害者」を犯罪を犯すおそれのある者危険な者と断定していること。
二、一旦、治療処分を言い渡されたら最後、永久に隔離されるおそれのあること。
三、「精神障害者」は、この社会でさまざまな差別を受け、生きがたい想いをしているのに、このような立法によって、さらに差別と社会からの隔離が強められ、ますます症状を悪化させることになること。
四、このような立法を許したなら、今後すべての闘う人民に対して、保安処分が行われる道をひらくことになること。
 などである。では、「治療処分執行法」と言われるものが、いかに危険なものであるかを、以下、具体的に検討してみよう。

1 手続き
@捜査段階で、精神鑑定を行う
としているが、
逮捕され拘束されて、極度に精神的緊張を強いられているときに、どのような鑑定がなされるのか。
鑑定医を信頼することは困難だろうし、拷問的取調べの延長として行われる精神鑑定に期待はもてない。赤堀政夫さんの例にもみられるように精神鑑定がデッチあげに利用されることもある。
 これまでの精神鑑定の多くは、取調べ調書をもとにして鑑定が行われ、問題になっているケースが多い。鑑定医も捜査に協力する医者が採用され、「精神障害者」の人権を守る医者は採用されないのではなかろうか。
A起訴猶予や不処分の場合は措置入院に
 本来ならすぐに解放しなければならないほどの軽微なもの(たとえば軽犯罪法違反など)でも、「精神障害者」が逮捕されれば、そのまま措置入院にされる。また証拠がなく、起訴して裁判することもできない場合や無実の場合でも、措置入院にされる可能性がある。
 そもそも、治療処分の対象を重罪の六罪種に限ると、これまでいってきた法務省は、精神衛生法の措置入院との併用で、すべて収容することを考えているのだ。
B裁判は会議制で、弁護人もつける
 この間、これだけ冤罪事件が問題になっているように、会議制だからといって裁判が公正に行われるとはいえない。弁護人・補佐人も本人と信頼関係がなければ、ただ形式をととのえるだけの存在でしかない。「適正な手続き」をふんで行われたのだから、といって、その決定を権威づけるための形式だけになる危険性は強い。
C仮収容制度
 罪証隠滅や逃亡のおそれがなければ、本来保釈を認めなければならないのに、再犯防止や治療を理由に身柄を拘束するのは、「精神障害者」に対する差別である。一旦囚われれば、身柄を釈放されないことになる。一ヶ月ごとの更新手続きということで永久隔離につながる。
D刑と治療処分
 心神耗弱者は、刑と治療処分の両方を言い渡される場合があり、二重に処罰されることにつながる。また、心神喪失者は一切の防禦権を奪われ、ただ法廷に立たされるだけになってしまうのではなかろうか。そうだとすれば、もはや裁判とはいえない。

「治療処分執行法」(案)のおそるべき中味
「治療処分」法務省案の概要
 治療処分制度の手続きおよび処遇の概要は次の通り。
 【手続き】一、原則として通常の刑事訴訟法の手続きによる。捜査では、犯罪の状況のほか、責任能力、精神障害の症状、薬物の使用、過去の治療歴を調べ、詳細な鑑定を求める。
 一、裁判に付す場合は、公訴提起と同時に治療処分を請求する。その際、起訴猶予(不処分)のように、治療処分に付す要件は合っても軽微で一般の医療で足りる場合は精神衛生法の措置入院制度にゆだねることもある。
 一、裁判はすべて合議体で、弁護人なしで審理はしない。補佐人、代理人を置くことができる。裁判中の身柄について、罪証隠滅や逃亡のおそれだけでなく、再犯防止や治療のために身柄を拘束する仮収容制度を設ける。その場合、検察官が請求するが、決定は裁判所の判断にゆだね、その際、医師の判断を求める。
仮収容の期間は当初二か月、その後は一か月ごとに限定し、更新手続きが必要とする。
 一、判決は、心神喪失者は処分のみ、心神耗弱者は刑と処分のいずれかまたは両方を言い渡せるが、両方を言い渡された場合は原則として処分を先に執行し、処分の期間は刑の期間に算入する。処分の当否について高裁への不服申し立て、さらに最高裁への上告ができる。
 【処遇】一、精神障害の病因の除去と社会復帰に必要な治療を行う。精神科医、心理学者、作業療法士、看護婦(夫)、生活指導員などのスタッフを整え、薬物、作業、心理、生活の各療法など症状に応じて多角的な治療を施す。症状に応じて、社会復帰の準備のため、外出、外泊、外部通勤を認める。
 一、施設は、病院の認可を受けたものとし、治療処分の言い渡し件数を年間百人未満とみて、これに見合った施設を作る。全国を五ブロックに分けて一か所ずつが望ましいが、最低二か所とする。症状に応じて、閉鎖、開放、社会復帰の各病棟を設ける。精神病者と薬物中毒者の居住区は別にし、原則としてすべて個室とする。
 一、施設に収容中、定期的に症状を判断し、経過が良ければ、療護監察の下で各種の社会復帰のための処置をとり、所要の治療の継続が可能で、再犯防止が可能とみられる場合に、仮退所を許可する。仮退所の決定は、法相が任命する精神科医、司法関係者、学識経験者で構成する行政委員会が行う。
 一、仮退所後は二年間、療護監察の下に置き、心理学、精神医学の知識を持つ療護監察官(新設)が、本人および家族の訪問指導、住居や職業のあっせん、治療措置のチェックを行いながら社会的自立を援助する。療護監察官は法務省職員とする。
 一、通院が守られず、薬を服用しないなど、症状の再発や悪化の危険があれば、裁判所の判断によって再収容できることとする。仮退所中でも、再犯の恐れがなければ、行政委員会の判断で処分の解除ができる。あるいは、本人の申し立てで裁判所の判断によっても処分を解除できる。

2 処遇
@症状に応じた多角的な治療
 ここでの医療は「精神障害者」の希望する治療ではなく、あくまで強制医療である。ロボトミーなどの精神外科手術も治療のためとして行われる危険性はある。
A治療処分施設
 病院の認可を受けていればいいとされているが、現に精神病院で患者に対して行われている人権侵害・強制医療のかずかずをみれば、治療処分施設でどのような「医療」が行われるのかが想像される。全国五ブロックに分けるのが、望ましいが、最低二ヶ所とする、ということは、すでに二ヶ所については施設としてメドがついていると思われる。
B閉鎖・開放・社会復帰の各病棟
 症状によって、病棟を分けるとされているが、「精神障害者」をこうして分断する意図がはっきりしている。個室を原則とするとある。個室といえば聞こえはいいが、独房のことであり、孤立感を深めるものである。
C再犯防止が可能な場合は仮退所
 再犯防止が可能かどうかの判断をどうやってできるのか。その決定をする行政委員会は精神科医・司法関係者・学識経験者で構成されるが、その任命は法務大臣が行う。法務大臣が任命する委員ということからみれば、ほとんど仮退所は認められないだろう。
D仮退所後の療護監察
 療護監察官が監視する。この療護監察官は法務省職員ということだから、患者の人権よりも、治安維持・犯罪防止の観点から本人を観察するわけで、かえって症状悪化につながる。「社会的自立を援助する」とあるが、むしろ社会的自立をさまたげる結果になる。
E再収容
 通院・投薬など指示に従わないこと=症状の再発・悪化ととらえ、さらに症状の悪化=再犯のおそれとして、再収容する。本人の意志に反して、治療を強制する。また再収容のおそれにより、常に緊張をしいられることにもなる。

 全体を通してみると、新聞での報道とはウラハラに、「精神障害者」の主体性は全く無視され、治療処分に抵抗するものは、一生隔離され、抹殺されるおそれがあり、「精神障害者」を従順な奴隷とせんとする意図があらわである。
 また、法務省はこれまで治療処分の対象を、放火・殺人・傷害など六罪種に限ると言ってきたが、この「治療処分執行法」では、限定がない。むしろ軽微な場合は、措置入院にすればいい、として、すべての罪について対象としているのである。
 このような恐るべき内容は、すべて、これまでの意見交換会の場で、法務省から提案されていたのである。このことに対して日弁連は、いかに対決してきたのか疑問を抱かざるをえない。
 「治療処分執行法」制定策動を許すな!

微罪でも「措置入院」(現行精神衛生法の)で、全ての収容をねらう。

戦争への道≠決断した中曽根と対決し、治安体制強化をめざす動きを阻止しよう
 現在、私たちをめぐる状況は、極めて緊迫し激動の80年代に入っています。全世界の闘う人々は、抑圧に抗し、解放を求めてたちあがっています。これに対し米帝レーガンは「対ソ対決」を強力に打ち出し、世界を覆う核戦争にふみこもうとしています。11月9日に予定されているレーガンの来日はその飛躍台に他なりません。
 「戦後史の総決算」をかかげた中曽根は、これと一体となりながら、「防衛力の強化が政府の責任」として、安保と自衛隊の強化を打ち出しました。まさに中曽根は戦争の道を決断しているのです。
 こうした中で、天皇を頂点とした差別主義・排外主義攻撃が一層強化され、三里塚をはじめとした闘う拠点の解体攻撃にみられるように戦争にむけた治安体制の強化が進んでいます。とりわけ「障害者」に対しては、「相対的安定期」とは明確に区別され、戦争にむけた「障害者」政策としてかけられてきているのです。
 赤堀差別裁判をはじめ、優生保護法改悪や安楽死法制化策動、また保安処分の基本台帳づくりともいうべき精神衛生実態調査などが「障害者」の反対の声を圧殺しながら強行されています。また富山差別弾圧にみられるように「障害者」への直接弾圧も強行されています。これらの攻撃の最基軸が、刑法改悪・保安処分新設の攻撃に他ならないのです。
 そうであるからこそ、全国の地域―施設―病院を貫いて、あらゆる困難をうちやぶり、闘いぬいている「障害者」との闘う結合、赤堀闘争・刑法闘争の中で形成されてきた三者共闘をさらに強固なものとし、闘いを前進させていこうではありませんか。
◆刑法改悪・保安処分の国会上程を全力で阻止しよう!
◆精神衛生実態調査を阻止しよう!
◆11・2意見交換会を粉砕しよう!
◆赤堀差別裁判糾弾!
◆監獄法改悪粉砕! 監獄二法成立阻止!

11・2 意見交換会粋砕行動
●午前9時  日比谷小公園集合
  10時  日比谷公園霞門にて弾劾集会
●午後2時半 水谷橋公園(京橋)にて集会
       その後日比谷公園までデモ

各地で連続した闘いが・・・・・・・・
11・18 刑法改悪・保安処分―拘禁二法阻止
      全国総決起集会(5時半 日本教育会館 主催・百人委員会)
11・27 赤堀差別裁判糾弾!静岡現地集会
        (静岡にて 主催・赤堀中闘委)
11・23 監獄法改悪阻止関東総決起集会
      (1時 南部労政 主催・監獄法改悪を許さない全国連)
12・17 刑法改悪・保安処分粉砕! 国会上程阻止! 総決起集会(6時 杉並産業館 主催・集会実行委)

〈呼びかけ団体〉  救援連絡会議
        救援連絡センター
       赤堀中央闘争委員会
監獄法改悪を許さない全国連絡会議
      全国「精神病」者集団
連絡先●救援連絡センター 東京都港区新橋二−八−一六 石田ビル四階
                    ?(〇三)五九一−一三〇一
11・2闘争実行委員会

*採録:桐原 尚之
UP: 20121105 REV:
反保安処分闘争  ◇全国「精神病」者集団全文掲載 
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