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『報告集 障害者職よこせ要求者組合 結成大会』

障害者職よこせ要求者組合 19830611 60p. ※h.

[文献情報]

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last update: 20150915


※作業者注:この組織はすでに解散しています。人名や肩書や連絡先などはすべて発行時点のものです。
※19830611は結成大会の日。発行日は記されていない。「1983.9.19現在」という記載が末尾にあることから、発行年を1983年としてある。

p表紙

  障害者の団結によって労働権を
  みんなで力を合わそう!

職よこせ要求者組合結成集会 会場の様子


  報告集
  障害者職よこせ要求者組合結成大会
  1983年6月11日

p目次

  目次

 司会のあいさつ 山本泰清・全障連関西ブロック事務局 1
 連帯・共闘アピール 2
 ・総評・大阪地評事務局長 岡本氏
 ・国際障害者年を機に障害者の自立と完全参加を求める 大阪連絡会議代表 柳原氏
 ・部落解放同盟大阪府連合会 富田氏
 ・大阪市職員労働組合 執行委員 宇野氏
 ・神戸市従業員組合 執行委員 福本氏
 ・アムコ労働組合 副委員長 八竹氏
 ・日本社会党 牧内正哉氏 メッセージ
 特別講演五十嵐光雄 *神奈川における闘いと障害者施策の現状* 13
 質議応答 32
 ・職場の受け入れ・共同作業所・ケアー付住宅
 加盟団体の決意表明 38
 ・NHKの障害者雇用をすすめる会 堀田節子
 ・大阪青い芝の会 尾形氏
 ・83年度役員紹介
 障害者職よこせ要求者組合 趣意書 40
 障害者職よこせ要求者組合の活動計画 42
 障害者職よこせ要求者組合規約 45
 インタビュー(先見労務管理から)・大島秀夫(職よこせ要求者組合書記長) 47
 83年6月参議院選挙・立候補者宛の公開質問状 49
 大阪総評・障害者職よこせ要求者組合に対しての各単産への支援要請文 57
 職よこせニュース 59
 障害者雇用を求めての労働組合まわり 60

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司会のあいさつ山本泰清・全障連関西ブロック事務局

 障害者職よこせ要求者組合というのは、1981年に全障連が東京で障害連・視労協との共闘で「障害者職よこせ集会を労働組合とともに集会をしたことをきっかけに、自分たちの手で障害者の労働権を切り拓く運動をしていこう、行政にいつまでもまかせていくわけにいかないと、自分たちで立ち上がろうということで、昨年より全障連関西ブロックが中心になりまして「職よこせ要求者組合の準備会を結成しました。
 そして、大阪市内の各労働組合を約30箇所ぐらいを回っているわけですけれども、このように労働組合を回って、障害者雇用を組合としても取り組んでもらうように、また全障連と一緒に障害者雇用推進に向けて取り組んでいってもらうように、いろいろな働きかけをしてきました。
 その一方で、現在働きたいという願いを持ちながら、なかなか実現することのできない。どこの企業でもまず生産が第一だということで、一人雇うことによってプラス1はおろか逆にさえなるという障害者は雇用されない。そういった中で就労の機会がない障害者に、私たちの運動の話を持っていき、一緒にやろうではないかと、私たちと一緒に自分たちの労働権を勝ち取っていこうという呼びかけもしてきました。
 また現在、企業に雇用されて入るけれども、非常に低い賃金、または長時間労働で悩み苦しんでいる仲間たちにも、労働条件の改善などの取り組みを一緒にやっていこうと呼びかけてきました。
 そして本日、ようやくにしてこの結成集会を持つに至りました。本日は書く労働組合の方々も多数参加されていますので、それぞれの組合からの支援・連帯の挨拶を続いて受けていきたいと思います。

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連帯・共闘アピール


 ・総評・大阪地評事務局長 岡本氏
 ・国際障害者年を機に障害者の自立と完全参加を求める 大阪連絡会議代表 柳原氏
 ・部落解放同盟大阪府連合会 富田氏
 ・大阪市職員労働組合 執行委員 宇野氏
 ・神戸市従業員組合 執行委員 福本氏
 ・アムコ労働組合 副委員長 八竹氏
 ・日本社会党 牧内正哉氏 メッセージ

  障害者の解放を共に!

  総評・大阪地評
  事務局長・岡本氏

 大変ご苦労様です。
 障害者の皆さんが自ら立ち上がって「職よこせ要求者組合をここ関西で結成をする。非常に私たちはこういう機会に接しまして、反省も含めて、これからの労働基本権をすべての人たちに確立する闘いにどのように連帯をするかという、その決意も新たにして私は来たわけでございます。
 実は、あの第二次世界大戦が終わりまして、そして世界人権宣言が発せられました。そのことを私は今でも時々振り返って感傷しておるわけでありますけれども、「無知と差別と偏見が戦争を生むんだこういう言葉に始まる世界人権宣言が発せられまして、そして35周年を迎えている年にあるわけです。
 35年を経た今日、戦争の危機は一向に遠ざかろうとしていないわけであります。偏見

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や差別が堂々と横行しているこの実態を見ますときに、非常に怒りを感じているところであります。
 そういう意味で、私たちはこの運動というものが、労働組合がもう少し前に出てがんばっていけるようにしなくてはならん。そして労働組合に主要な要求としていかなければならんと常々考えておったわけであります。過日、楠さんがお見えになりまして、いよいよ障害者職よこせ要求者組合を結成する。これに対してひとつ連帯と援助ないしは労働組合自らの運動を高めるためにがんばってもらいたいと要請を受けました。そして本日の結成総会に参加させていただいて、連帯を強化したいということでやってきたところでございます。
 正確に免除は私ちょっと今判りませんが、実は大阪ガスや関西電力が未曾有の利益を上げまして、いわゆる円高差益の還元運動に私取り組んだわけですが、そのときに大阪ガスに交渉に行きました。いろいろ人民サービスの問題を質しておりましたら、人民サービスの問題で各障害者の家族の方がガスを使うについて十分な配慮をして取り組んでいると、大阪ガスの幹部から私に報告されたわけです。そのときに、私たまたま大阪府の障害者雇用の問題について討議しておる最中でありまして、大阪ガスも関西電力を含めて、いわゆる1,000以上の大企業こそが現在の身体障害者雇用率1.5%を大きく下回っている。そしてあの雇用促進法でいうと罰則規定になるかどうかわかりませんが3万円の紊付金を紊めることによって免罪されておる実態を追及しました。相手は声もなかったわけですが、こういう問題を通じて、住之江ボートに働く労働者の息子の障害者を一人大阪ガスに雇用させたことを今想い起こしているわけです。
 しかし、このような個別対応だけではだめであります。やはり私たちが労働組合としてたちあがり、そして障害者の皆さんが自立して運動を展開していくこと。こういう輪を広げていくことによって今日の行政、さらには体制的な自民党に対する福祉切捨てに歯止めをかけると同時に、戦争への危険な道と

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いうものを阻止していくことが非常に大事な時だと思っております。
 今日ここにやってまいりまして、職よこせ要求者組合の基調案ないしは活動計画、この種資料を見せていただきましたが全く同感でございます。私どもも大阪総評に結成する単産の連帯を求めつつ、皆さんとどう連帯してこの運動を前進させていくために最大限努力をしたいということを今日お約束しにやって来たわけでございます。私どもの国民運動局を上げて、皆さんと一緒に運動をさせていただきたい。私も一緒に運動をさせていただきたい。こういう決意をこめて、ご挨拶を申し上げ、今後の運動がますます発展していくようにお互いがんばりたいと思います。どうもありがとうございました。

  国際障害者年を機に 障害者の自立と完全参加を求める大阪連絡会議 代表
  自治労大阪府本部 柳原氏

 本来ならば国少年連絡会議の代表なり事務局長が出てきて挨拶しなければならないのですが所用があって出てこれませんので、代わりまして事務局を担当しております私、自治労の柳原がやらせていただきます。
 障害者職よこせ要求者組合結成に心からお祝い申し上げたいと思います。
 既にみなさんご存知地のように私ども大阪で、自治労や教組あるいは親の会を中心にして障害者の皆さんと一緒に障害者の完全開放に向けて現在運動を進めているわけですけれども、これまで主要に、基本的な障害者開放に向かってどう運動を進めていくかということを中心にいろんな議論なり、宣伝なりを行ってきました。特に大阪においては、教育、保育の問題を中心に、地域の校区で障害児がともに育ちあう関係をどう

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作り出していくかということである意味では全国に先駆けた運動が出来上がってきたわけでありますけれども、やはり基本的人権である労働権の保障をどうやっていくのか、もっとも能力主義競争主義がはびこっている現在の資本主義の世の中で、どうやって障害者の労働権補償を行っていくのかということは、ある意味では障害者解放運動にとって、あるいは我々労働組合運動にとってきわめて基本的な問題だろうと思います。
 そういう意味で、障害者自身が自らの要求を掲げて、きわめてユニークな「障害者職よこせ要求者組合を、これは他の社会的運動の中である意味では珍しい形態だと思います。こういう自らの要求を掲げて、地域社会の中に要求を突きつけていく。そしてそのことによって障害者開放、あるいは現在の能力主義社会の変革を求めていく。これは我々にとってもきわめて重要な関心事でありますし、我々自身の頭の切り替えをやっていかなくてはならん、そうとう重大な問題だというふうに思います。
 大阪で最初に、全国に先駆けてこういう「障害者職よこせ要求者組合ができたといことを肝に銘じながら、今後も行政闘争なり、あるいは企業に対する闘いをともに、皆さんとともに運動を展開していく決意を明らかにして、本日の結成総会に対するお祝いの言葉、あるいは連帯の言葉に代えていきたいと思います。みなさんともに頑張りましょう。

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  部落解放同盟大阪府連合会
  富田氏

 解放同盟大阪府連の富田です。
 私は、部落における仕事保障要求組合のことを長年闘っているわけですけれども、そのなかで2-3教訓といいますか、話をさせていただいて、連帯の挨拶としたいと思います。
 私たちの組織はそれぞれ支部ごとに、部落解放○○地区仕事保障要求者組合を作りまして、公務員採用の問題とか、あるいは民間の採用の問題とかいうことで、みなさんの出されている基調、今後の方針を部落問題に書き直した形で活動を展開してきました。
 闘いの中で、例えばこんな闘いがあるということで紹介したいと思いますが、ひとつはホームヘルパーという制度があるわけですが、御存知のようにホームヘルパー制度というのはきわめて現実にそぐわない、わずかばかりの人員による制度なわけです。そのなかから、私たちが最初にあげましたのは、部落の中でほとんど賃金が出ない中でヘルパーをそのまま障害者とかお年寄りとか現実に必要としているものを放ったらかすことはできないということで、運動の中から実際に仕事をやっていく生活をします。その中からこの身分保障をどうするんだということで闘いを長い間続けてきました。ほとんど公務員ではありませんけれども、市がその仕事に賃金保障していくという形でかちとってきています。
 それから、それを一つのヒントにして、部落の中の在日朝鮮人が70歳の寝たきり老人を持つ家庭があったわけですが、それに対して、この在朝のおばあさんは年をだんだんとると日本語をほとんど忘れてしまう。そして祖国の朝鮮語しか思い出さなくなってしまう、話せなくなってくる現状が生まれてきます。それに対して、部落の中にあった在日朝鮮人の青年たちの組織お母さんたちの組織が、じゃあこの在日朝鮮人をどうするんだということで、ヘルパーという形で自分たちかってに名のりを上げて交代制で行ったり、その

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人に対する援助なり世話役活動をやっていった。そしてそれを市に対して採用しなさい、あるいはこれに対する賃金保障を考えなさいという闘いを組みました。そのなかから在日朝鮮人は社会のひずみの中で、差別の中で日本社会の中に今日いるのであって、しかもその人が齢よりになって祖国の朝鮮語しかしゃべれないというようになって、朝鮮語のできる、その人の気持ちが分かるヘルパーでない限り、それは形式的で何の意味もなさないヘルパー制度ではないか。だからそれについては一般的にヘルパーをつけるということではなくて、在日朝鮮人でしかもその人の家庭環境を良く判った人を採用するべきだという形でこの正式採用を勝ち取りました。これを各支部段階に広げていこうとしています。
 それからもう一つありましたのは、部落の青年たちが職業訓練校に通うわけですが、事実上職業訓練校に通ってもほとんど保証がないために途中で退めてしまうと事が起こりました。それに対して、職業訓練生は労働者であり最低の働く権利として最低の生活ができる保障がされるべきだ。職業訓練生は学生ではないんだということでそれに対する生活保障の闘いを組んでいます。そのなかから、職業訓練生の、安心してというのはおかしいですけれども、仕事につけると保障をかちとってきました。
 それから、人材雇用開発センターという形で、第3セクター方式で今進めていますけれどもようやくここから第1期の卒業生が今年4月に生まれまして、いわゆる就職者が52人でき、就職しました。
 みなさんの闘いが進められていくわけですけれども、私たちの教訓として、仕事に就けるのは昔議員さんや村の有力者の手によって仕事に就ける。そうではなくて、運動の力で勝ち取ろうといことで仕事保障要求者組合を作りました。しかし問題は今度は、仕事についたらどうするんだということで、公務員だったら公務員部会を作って全員それに結集して労働運動と解放運動を闘うことを義務付ける。それから、民間に働いた今度の52人については、つい先だって

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「熱と光友の会という組織を作りまして、その人たちが定期的に会合をし、お互いに助け合って労働運動や解放運動を闘っていこうと組織を作りました。
 このように私たちもいろいろと試行錯誤しながら、部落の中の仕事保障、そして仕事保障を勝ち取ったら労働者を労働者解放教育していくそして部落解放運動や労働運動に敢献していく労働者にすると活動を進めてまいりました。
 お互いに、上況の時期でありますからなかなか雇用問題は厳しい情勢でありますけれども、大阪においては部落解放同盟とそして障害者職よこせ要求者組合、ともに力を合わせて、私たちの差別に苦しむ仲間が少しでも、私たちを職場から放り出してきた現実を変えるために闘っていきたいということで、大変微力ではありますけれどもみなさんの闘いに私たちもできる限りの支援をさせていただく。また皆さんの闘いに学びながら私たちの運動をさらに発展させていきたいと思います。簡単ですが連帯のあいさつとします。

  大阪市職員労働組合
  執行委員 宇野氏

 大阪市職の宇野です。アピール文を持ってきましたので、読み上げて連帯の挨拶とします。
 障害者職よこせ要求者組合のご結成おめでとうございます。
 まずぼう頭に、結成にいたるまで、今日までの関係者の大変な御苦労、御努力に関し意を表したいと思います。
 今日、障害者の完全なる社会参加と平等を実現する上で、障害者の労働権補償はもっとも基本的な課題といえます。しかし、今日まで生産性や能力主義を第一義として進められてきた労働政策とともに、障害者を隔離・排除し、差別してきた社会のもとで障害者を「役に立たないものとみなし、職場から排除するか、もしくはきわめて劣悪な労働条件を強いる結果となっています。
 また、身体障害者雇用促進法が制定されているとしても、法

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定雇用率すら達成していない多くの事業所の現状、最低賃金法の適用除外など、法自体にも問題があると考えられます。
 こうした、障害者の労働、就労について大変困難な状況の下、自ら今日要求者組合を結成し、運動を展開することの意義は大変深いものがあると考えます。本日を機に、要求者組合の運動の全身と、障害者の労働権補償の前進を心から祈念します。
 大阪市職は、1981年より自治労方針に基づき、自治体における障害者雇用の取り組みをしてきました。取り組みの基本理念と全体化、さらには具体化の取り組みについて、全障連のみなさん方の御協力をいただいてきました。取り組みはまだ途についたばかりで、年間5名という採用枠ですが、今後とも職域、職種の拡大、さらには採用人員の拡大に向けとりくむ決意であります。
 今後とも、障害者が社会に一員として、ともに生活し、ともに学び、ともに労働する共同社会の実現のためにともにがんばりましょう。以上です。

  神戸市従業員組合
  執行委員 福本氏

 ただいま紹介していただきました、自治労の神戸市従の福本です。単組では一応執行委員とことで、とりたてて障害者問題の担当ということではないんですけれども、私たちの神戸市役所においてはウチの組合の関係で40数名おるわけですけれども、その大半の人が青年層、いわゆる青年部ということから、私が青年部を担当しているので障害者の集まりを作ったという事で。一年前の3月に障害者談話会を作って障害者の運動をやっていこうということではじめてきたわけです。
 この前に出て連帯のアピールを言える程運動は進んでないわけですけれども、兵庫県下においても障害者解放運動というのが非常に未熟といいますか、まだまだ進展していないという情況の中で、やはり神戸市役所の中でも障害者解放運動をやっていこうということが重要になって

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いくと思いますし、自治労の中でも障害者雇用の取り組みがやられているいうことで取り組んだわけです。
 現在は、障害者を中心にしながらだいたい2ヶ月に1ペンのペースで運動を進めているわけですけれども、本日この集会に参加させていただきまして、大阪の運動が非常に進んでいる中で、我々の運動がまだまだ未熟なわけですけれども、大阪の運動に学びながら兵庫県とりわけ神戸地域において障害者解放運動を微力ながら闘っていきたいと思います。
 今日はウチの単組から後二人来ているんですけれども、その方もやはり青年層なんですけれども、青年部を一つの中心にしながら、後半分位が婦人層なんでとりわけ婦人部とも連携をとりながら、障害者解放運動を一緒にやっていきたいということで、これから全国のいろいろな取り組みとか闘争に参加させてもらいたいというふうに考えていますし、労働組合として障害者解放運動をどうとりくんでいくかということあやはり今必要になっているんではないかと思います。
 労働組合が右傾化しているという状況もありますし、再度やはり労働ということについて、労働組合の内部から問題提起するなり、あるいは運動を高めていくことの必要性もあるんではないか。そういう意味からも頑張っていきたいと思います。
 連帯のアピールといいますか決意みたいになりますけれどもこれから障害者解放運動の闘いにともに頑張っていきたいということで終わらせていただきたいと思います。

ロゴ:障害者職よこせ要求者組合(準)


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  アムコ労働組合
  副委員長 八竹氏

 アムコ労組の八竹です。
 本日は障害者職よこせ要求者組合の結成、心からお喜び申し上げます。
 まず、連帯のアピールですが私たちアムコ労組の障害者雇用に向けての闘争の経過、現状、問題点などを報告させていただきたいと思います。
 私たちアムコ労組は10年程前に結成された組合なんですが、その契機にあったのが、いろんな労働条件の改善もありましたけれども、一番大きくは賃金の差別ということで、特に生産性に基づいた差別なり、学歴差別、性差別というようなことで、非常に賃金の差別が大きかったことでできた組合なんです。
 その中で、組合の方針としてあらゆる差別に対して闘っていこうということで、年々学歴差別も廃止していきました。それから女性差別賃金も廃してたんですけれども、おのずと組合員の中から障害者の差別ということもやっていかなければならないとことで、4年前なんですが春闘の中から障害者を雇用していけと経営者に言ってきた。
 そのときは私たちも勉強不足ということもありまして、どうしても経営のほうの論理に押し切られまして反省も合ったわけなんですが、その中からやはり障害者にかかわっていかなければ障害者の雇用もやっていけないと組合員の中の家族の障害者の介護ということをやってきました。
 そして、この東区の労働者でつくっている介護を主体にし多少障害者のことを考えていこうという組織にも若干名参加していって、その中から全障連の方のいろんな助言も頂きながら、一応我が組合側が推す障害者を2年前に雇用させていくことができました。
 そして、その後、東京の本社においても、一人障害者を雇用させたんですが、残念ながら東京の障害者は会社側の方の選んだというんですか、残念ながら組合にもまだ入っておらない。そういうことは、まだアムコ労組

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が全面的な闘いになれていないという反省があります。
 ですから今日結成された障害者職よこせ要求者組合と共闘させていただいて、障害者自身の闘争に学ばせていただいて私たちの発展にさせていただきたいと思っています。よろしくお願いします。

  日本社会党
  牧内正哉氏 メッセージ

 皆さんの日頃たゆまない御活躍に敬意を表し、要求者組合の正式な発足を心からお祝い申し上げます。
 国際障害者年以降3年間、社会党は大阪府・市を始め、国に対しても、障害者の働く権利を保障させるべく繰り返し政策提言を行い、企画(企業?:作業者注)などへの強い指導を求めて頑張ってきました。
 自民党政府の軍拡と改憲の反動路線をストップさせ、上況と差別・賃金凍結を許さず、職場の確保と最低賃金のい大巾引き上げ、障害者差別規定の撤廃などひき続き闘いを強めましょう。
 参議院選挙は昨日闘いの幕が切って落とされました。必勝を期して全力を尽くします。みなさんの組合の拡大と発展、障害者解放運動の勝利のため、ともに頑張りましょう。

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特別講演 五十嵐光雄
  ◎神奈川における闘いと障害者施策の現状


五十嵐氏の写真


  行政の施策はあてにならない 我々の手で!

 司会からの紹介:五十嵐さんは、横浜市労連障害者雇用推進対策委員の任にあたっておられまして、彼自身4歳の時に緑内障により視力を奪われ、以来障害者解放運動をされています。
 ただいまご紹介いただきました五十嵐です。
 私自身から申し上げて恐縮なんですけれども、大阪でのいろいろな解放運動に学ばされることが非常に多くて、数年前も確か全障連が中心になっておられ

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た統合教育問題で何か話せということでうかがいました。だから何人かの方はその時お会いしていると思いますけれども。
 今ご紹介いただいた市労連の障害者雇用推進対策委員会、これは横浜市労連というのが6つの単組からできていまして、こちらとちょっと中身が違うんですけれども、横浜市従というのが横浜市の職員組合。それから横浜交通労働組合、横浜水道労働組合。それから私が所属しています横浜市立高等学校教職員組合(私は横浜市立盲学校に勤務するかたわら週に半分くらいは高等学校教職員組合の本部執行委員としてそちらにいたり、と同時に市労連の執行委員もやっているわけですが)、それから私大の職員組合、医療関係の従事者の組合、ということで6単組から成り立っております。
 国際障害者年にちなんで市労連の中にも障害者雇用推進対策委員会ができまして、そちらも兼務しているわけです。と同時に、6年前に(どうしてもこれから私話することが障害者全般になるべく広げたいと思いますが、自分の関わってきたものは、視力障害が多いものですから御了承いただきたいと思いますが)神奈川県視力障害者雇用を進める会というものを結成しまして、その方の会長をずっと6年間やってまいりましたが、今年の5月で私もいろいろな仕事もありますし、またマンネリ化してはいけないので若い有望な人に会長の座を譲りました。この6年間の経験がいろいろと勉強になったわけでございます。
 今日、時間の関係もありますから、一応私が用意してきました話としましては、大枠、障害者の職業の現状。それから障害者雇用を阻む要因、そして、障害者雇用を進める方策、それから神奈川県の取り組み。そして私自身の取り組み、ということで6つに分けたのですが、特に前段のところでは、今までの連帯のご挨拶、あるいはこの語のこの基調報告などで重複する面が多いと思いますので、一般的な問題については省略したいと思います。
 ただ特徴的なこととして、いろいろ問題もありますけれども各地域で阻止されたとかいろいろいきさつもありましたが、国障年を前にして厚生省が行った

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実態調査の中を見てもわかる、あるいは推計結果もありますし、この結果を行政は全然施策に移しませんから、そういう意味で問題があるんですが、あれを見ても就業率は著しく低く、かつ特に視力障害の場合は中でも一番低いですね。それと裏腹の関係で生活保護の世帯が圧倒的に多い。これもやはり視力障害が非常に多いわけです。
 こんなことが調査結果からも見ることができるわけで、それが言い換えれば私どもがとりくまざるを得ないという客観的状態だというふうに思います。

  障害者雇用を阻む条件

 障害者雇用を阻む条件ということでいえば、何と言っても明治以降の日本の国策ということがいわれるところの「富国強兵」。国を富ませて軍を強めるというただこの一点に限られてきたわけですから、これになじまない、少なくともなじまないと考えられていた障害者にとっては、特に第2次世界大戦で最も象徴的ですけれども「非国民」とか「穀つぶし」とか惨々罵倒されたわけです。
 そうした国民意識というのは100年からの伝統の中で培われたわけですからなかなか意識の中から拭い去ることはできないものがあるわけです。
 とくに明治5年に行われた、いわゆる義務教育。当時は小学校4年間で義務教育で、後に6年生までということになったのですけれども、これについても「富国強兵になじまない障害者を排除するということであったし、今度は戦後に昭和23年1948年に視覚障害・聴覚障害については義務化がひかれたわけです。しかもそれは"場"の決定はなかったのですが、ちょうど昭和35年、60年安保の前後からいわゆる高度経済成長政策と同時に、「盲教育・ろう教育は盲学校・ろう学校でという"場"の決定がなされていき、いうところの差別、選別の教育がはっきりと浮き彫りになって、54(年:作業者追記)養護学校義務化で貫徹していくわけです。
 こうした隔離教育の中で、障害児・者を知らない健常児・者

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が育っていく。そういう人たちがやがて社会の一定の立場になる。しかし障害児・者を知りませんから自分たちの働く場での受け入れというものが当然うまくいかない。そうした無理解と作られた偏見の中で阻まれているのが大きな要因ではないかと考えています。
 されに資本の論理といいますが、一定の生産性の上がらないものについて、当然それは就労の対象とならないし、その仕組みの中で行われている労働行政ですから労働行政のいろいろな社会保障制度、各種のものがだんだんと整備されてきましたけれどもそれも対象にはしない。いわゆる人間性を無視した、働く者の論理ではなくて資本の論理がうちかった労働行政が全面に出ているということもあると思います。
 そしてその中で作られたいろいろな法律・制度にはいろんな問題点をはらんでおるわけであります。これは後の方策のところと関連して重複を避けたいと思います。

  障害者雇用の法制 法制度改革

 そこで、そうした環境の中で障害者の雇用を進めていかなくてはならないということですけれども、その方策として、まず先ほどもごあいさつにあったように国障年というのは確かに一つのバネではあると思うんです。ただ国連が決議したから、あるいは国でもお祭り騒ぎやったからだからこのことが解決するかといえば絶対にないわけで、そのことはもう1982年昨年の1月になればあの1年間騒がれたトランザムの歌もすっかり消えて行政にある人たちもみんな国障年の精神をどっかにやってしまったという面がある。
 もちろん政治といっても、政党間に格差はありますけれども、そうした面はおしなべて見えるわけであります。
 ですから、これは一つのきっかけであって、それをどう充実させていくかはむしろ障害者及び周辺の人たちの主体的とり

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くみがなければ決っして結実はありえないと思うわけであります。
 さてそこで先程後に譲った法制度の改善という問題ですけれども、位置について考えてみますと、まず国家公務員法及び地方公務員法ですが、この中には分限既定というのがあって、これこれこういうものについては解雇することができるということがあるわけです。その中の一つに障害を受けてその後遺症のために業務につけなくなった者については解雇してもよいということがあるわけです。この辺のところで今迄は、国家公務員・地方公務員の相当数の人たちが職場を去って行った経過があるわけですが、いくつかのとりくみを見る中からこれをまき返すことも出てきたわけです。
 したがってそういう運動を培いながら、この法改正で分限既定から障害者事項を取り除いていかなければならないというふうに思います。
 また障害者雇用促進法についても、いろいろな規定だけはあるんですが大事なところについてはザル法になっているわけです。これも先ほど述べられましたのでくどくど申しませんが、やはり障害別・程度別の規定というものがなければ、仮に民間の1.5%、官公庁の1.9%、現業部門の1.8%という規定も結局のところは達成されない。あるいは達成されたとしても比較的軽い障害者で、ちょうど大巾改正されたときに鳴り物いりで「これからは障害者の雇用が促進されると言っていたけれど、結局ここに取り残されていくのは、視覚障害とそれから全身重度障害、例えばリューマチとか脳性マヒ等の方々がとり残されていくという問題がある。
 したがって、どうしても障害別、程度別の規定をもうけさせていかなくてはならない。これは国会請願まで入っているのですが、労働省は頑としてこれを受け入れようとはしていない訳で、その辺が一番闘いの問題だろうと思います。
 同時に、いわゆるペナルティーと言われております納付金制度ですが、これも頭初月々3万円、これは4万円に訂正されましたが、いわゆる免罪符として金をおさめればいいと。しかもそ

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の額がまた4万そこそこですから、この額が大巾に引き上げられる例えば10万円、未達成の場合一人につき10万円を払えということになればこれは企業としてもそれは払うんだったら雇った方がいいという風になるんですけれども、その段の額の引き上げが当然問題になっていくと思います。
 また、障害者としての認定が必ずしも手帳交付者ではない。医師の診断で障害者という風に把握されればその中に入れられるというところに問題があるわけで、我々はこれに対して疑似障害者と言っているのですがうかうかしていますと眼鏡をかけているとそれでカウントにはいっちゃうということになってしまうわけです。ですから、そうではなくてあくまでも正規の障害者手帳交付者を考えていくことが必要でしょう。
 それから一方からいえば重度障害者対策として作られたかもしれないダブルカウントです。重度障害者一人雇えば2人雇ったとみなすことですが、逆にこれが数を増やさない原因にもなるわけで、また重度障害者を2人と数える、頭が2つあるわけではありませんので、これは重度障害者をどのくらい、中度障害者をどのくらい、軽度障害をどのくらい。そして視覚障害・聴覚障害・肢体障害それと内部障害とそれぞれに障害別・程度別をはっきりさせれば、このようなダブルカウントというのはナンセンスの一つですからなくしていった方がいいと考えられます。
 それから特に、特定職種で重度視覚障害者に限ってあんま・指圧・はり・灸を指定職種にしている。70%を規定しているわけですが、一番かんじんな、あんま・指圧氏の70%が有効に利用される医療機関から排除されていたわけです。ようやく労働大臣告示が撤廃されまして医療機関もその対象となったんですが、それには裏がありまして、もうすでに医療機関の大半では理学療法士に変わっていますからマッサージ師の分野がなくなっているわけです。なくなっているから7割の規定をなくしてもかまわないという判断の下に昨年末でこれが解除されたわけです。
 そういうようなトリックが絶

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えずなされているということです。これを我々は見抜いていかなければならないし、指定職種については、もし考えていくとすればもっともっと拡大して、障害者がやれることはすべて指定職種にしていければいいと思うわけです。
 それから労働行政で先程申し上げたように、一定の生産性の上がるものは労働行政下での雇用というものを考える。雇用という場合には厳密な条件がありまして、労働基準監督署に事業届を出している事業所において、職業安定所を仲介として求職者(障害者側)と求人者(企業側)の両者の合意があって契約を結び、かつ雇用保険と労災保険、ひっくるめて労働保険と言っていますが、これを適応している場合に雇用という条件があるわけです。そういう条件の中で一定の生産性が要求されていますから、それになじまない者についてはこれからはずされるということになってしまう。だからこのへんのしくみを大きく変えてしまう必要がありますし、従来あった授産所などは、そうした労働行政から落ちこぼされた障害者を救済する手立てとして今度は厚生行政の方でやっているわけです。
 したがってこれをひっくるめて労厚一元化と私たちいっておるのでありますが、労働行政と厚生行政を一元化して、仮に生産性が低くてもそれはすべて労働行政下におく。働くものであるわけですから、それは労働行政下において先ほど申した雇用保険・労災保険をはじめとした、各種の社会保険・社会保障、いわゆる厚生年金・退職金制度等々、あるいは健康保険も含めて全部を適応させるという仕組みに持っていく必要性があるのではないか。
 同時に、最低賃金法に除外規定がありますけれども、これをなくして全面適用させる。そういうことになりますと特に民間企業は「そんなこと言っても生産性の低い者には最低賃金を適用する。社会保障を適用させたら企業が倒れてしまう。破産してしまうという言い分があると思うんですえん。公務員の方では「公募して、国民、県民、市民の期待に応える最も適切な人材を確保することであってというふうな言い分を言ってくる

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と思います。
 そこで、スウェーデンなどが行っている例えば極端にいえば、1割の生産性があれば9割は公的に保証していく。このしくみを何らかの形で導入せざるをえないのではないか。それがいま中央段階でも検討されています。今後どうなるか判りませんけれどもいわゆる所得保障制度ですね。
 これについてはいろんな学説があります。いわゆる基本手当これは今の生活保護法の生活費に相当します。それに後障害者手当とかあるいはケースに応じての手当。こういう所得保障制度を一日も早く確立させて、それで後は基本手当の部分を生産性をある程度考慮して給付させその他の部分は全部適用させて少なくとも最低賃金プラス障害保障程度のものを、経済生活を支えるものとして保障されていることが必要だと思います。

  神奈川県でのとりくみ
  神奈川県職員の障害者雇用

 次が、こうした全般的な問題はこれまでにして、では神奈川県では今までどういう取り組みをしてきたかということです。
 ちょうど10年前、1973年に高等学校の教育課程が全面改訂されたんですが、そのときに障害児学校関係も全部変わりました。そして職業教育は高等学校の普通教育が終わった後に行うということがそのときに決まったわけです。そういうことになりましたので、それ以降は盲学校は、私は盲学校に勤めながら盲学校のことを言うのはおかしいんですができるだけ盲学校はなくなって地域の学校での教育が保障されるのが望ましいんですが、とりあえずは親の選択制というものを保障していく必要性があると、既存の者も入った者も高等学校時点での選択がありますし、事実上この1973年以降は、高等部普通科を終えた者が巾広い進路を得たことは紛れもない事実であります。

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 いろんな進路ととって、ごく一部が理療科、いわゆるはり灸マッサージを教える専攻科というコースに入ってくるわけであります。むしろこの専攻科にはいってくるのは中途障害者で、今までいろんなところで働いていた人で高等学校以上の学歴を持った方々が受験している数が圧倒的に多いわけです。
 そういう中で、いわゆる生徒会というのが大きく分かれていくのです。つまり、中途障害者ですから大人ですね。大人で入ってきたものが従来の盲学校のいわゆる文化祭とか運動化とか高等学校の生徒会のものではあきたらないということから、私どもの学校の高等部生徒会が二つに分かれまして、普通科と理療科の学生会になった。そして学生課の方は主として社会福祉社会保障問題及び職業問題に取り組むようになっていくわけです。
 ところがしょせん時間的制約とか、いろんな労力的問題などから、とりくんだはいいけど全然解決しないということで、79年の3月に当時私ども教職員で作っておりました社会福祉研究会というものがあったのですが、そこに申し入れがありました。私がその会長をしていたので学生の言い分を聞いて、一年間こういうとりくみをしたけれどもなかなかラチがあかないので全面的にやってほしいということでした。それじゃあ職業を中心とした会を、学校の進路ということでは限界があるから学校の枠を超えてつくろうじゃあないかと。しかもこれは単に障害者だけが集まったんじゃあだめだ。労働団体をまきこまなくては本当の解決にならないということで、私と懇意にしていた総評神奈川県地評(県評)の事務局次長の方に話をして準備委員会の中に県評をまきこんで、県評と教職員の社会福祉研究会と盲学校理療科学生会と少し巾を広げてということで若干数ではありましたが全視協系の神奈川視力障害者の生活と権利を守る会、その4団体で準備委員会を作りました。
 そして1ヵ月半ぐらい準備に入って毎週健闘を重ねて、77年5月7日に横浜の開港記念会館、横浜は港で開けた市ですからその記念会館で結成総会

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を開いたわけです。そこで会長をやれということで私が会長になったわけです。
 それ以降、ベーチェクト病友の会とか、他の障害をあわせもつ視覚障害児親の会とかいう団体が入ってまいります。
 そして結成して、まず最初にミニ白書を作ります。視覚障害者を中心にした障害者の生活状況、それから職業訓練の現状、就業状況といったものをミニ白書を作りまして、県知事及び県議会にこれを出します。それと同時に障害者雇用対策に関する請願を出します。で、同年の秋には既に伝統的に展開しておりました。県評を事務局といたします県民のいのちとくらしを守る共闘行動委員会(通称・いのくら)にも加盟しました。ですから、県評は雇用をすすめる会の構成メンバーであると同時に、この雇用を進める会は県評を事務局とするいのくらに加盟するという往復の組織体になっているわけです。そして、いのくらの運動もだんだん高まってだいたい毎年9月〜11月までに県の各部交渉を3回ずつ重ねていくのが盛んになる。
 私どもの要求に関連してくる部は、労働部・衛生部・民生部・教育委員会、この部局4つに対して毎年3回ずつ4×3=12回。そして最後に副知事交渉でつめをするわけです。発足した当時学校の中でも十分理解いただけませんで、社会福祉研究会も教師のごく一部ですから、大半の先生たちは余分なことをやっているといったような冷ややかな目で着ているわけです。進路担当も余分なことをしてくれると思っていることもある。だから全部年休で消化しますから1年間の年休がほとんどこの運動でなくなってしまうという苦労もあるわけです。
 それで、申し訳ないんですが後で紹介があると思うんですが今日私の書いた本を持ってきましたので、そのなかにそのいきさつなども書いてありますのでそれもみていただければと思います。
 で、最初の年は、いのくら交渉では障害者雇用というのはそれまで全然話題になっていなかったのですが、労働部交渉の中で部長に対して障害者雇用を追ったんですが、全然聞き入れようという姿勢がなかったんですね。

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それで最後に腹を立てまして、とにかくこの問題を解決しないなら部長は腹を切れとだいぶ大きな声で怒鳴ったりもした。そんなこともあって、部長も話の判る人でして、急に個別対応ということで年度末の大づめで部下職員を呼んで「そんなことでは障害者雇用は解決しないとこっちが言ったことを部長が言ってしった激励して、最終的に2人労時福祉センター職員として雇用することになった。
 これを皮切りとして、3年間程は毎年個別のリストを引っさげて、秋の交渉に臨んで、いのくら交渉でもやりますし、単独交渉でもやると。それと同時に公務員採用試験の点字受験、あるいは拡大文字、時間延長などなどいわゆる一般公務員の採用試験についても障害者の全面参加ということを迫っていったわけです。これについても一昨年は中級の試験に全盲の人が合格して採用されるということになった。
 そしてこの3年間の運動の中で、もう毎年個別対応ではやりきれない、労働部としてもとても対応できないとことで、部長会議でいろいろ検討した結果、全国に先がけていったといわれる10年で全県職員の3%まで障害者を雇用しようということになった。今、法定雇用率1.9%から10年間で3%にするということで知事がふみきったわけです。
 ですから、やっぱり運動を構築しない限りは絶対そうした道は開けないということをつくづくと感じさせられています。したがって私が雇用運動を展開してきた6年間では、前半が個別対応、後半が一つの制度化した10年間3%雇用制度の中での運動となる。それで10年で3%を達成させるためには、毎年20人ずつ障害者を別枠採用させていくことになる。この20人をさて放っておくと軽い肢体上自由者で全部埋めようと行政のほうは考えますから、国が身体障害者雇用促進法に障害別・程度別規定を設けないなら、県は少なくとも県の別枠雇用のひとつの基準としてそれに相当するものをやってほしいと。それと同時に県下市町村及び民間企業への行政指導も指針を作ってほしいと毎年繰り返していっています。しかし

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なかなか着手はしません。
 しかし、何とか20名の中の少なくとも1/3は視覚障害、1/3は聴覚障害、1/3は肢体障害ぐらいにならないかと迫ったわけです。視覚障害については特に6名を目標に、電話交換、県庁の職員を対象としたヘルスキーパーとしてあんま、はり、灸、マッサージとか、七沢リハビリテーション病院(昭和30年代の日本の福祉施策というのはコロニーに象徴されるように山奥に隔離していくのが主流であったが、その頃の保守系の知事は当然にその流れに沿って、しかも東洋一のものを作るといって猪の出る七沢というところに当時のお金で120億のデラックスなリハビリテーションセンターを作った。その中に東洋医学課というのがあり、その時までは医師を1名か2名おいて後は晴眼者のはり灸師を8名程配置していた。これは上当ではないかということで頑張ってここにも視覚障害者を1名入れた)など三療を生かした県の職員、あるいは県の外郭団体の職員採用。さらに、中央児童相談所の指導員、そして昨年はカナタイピスト。今年は相談業務ということで福祉相談(婦人センターの婦人福祉相談業務)に入れることができた。
 こうして、数は少ないわけですけれども種類としては徐々に広げていく。同時に、それまでは他の障害の者でも雇用問題を引っさげての運動というのはなかったんですが、肢体上自由とくに青い芝やもうひとつの系統の脳性まひ者団体も職業問題をようやく前面に打ち出すようになったので、その方々と一緒に巾を広げた形での障害者雇用特に視覚および重度全身障害の方々の雇用問題を取り組んできているわけであります。

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  神奈川県のとりくみ
  横浜市・藤沢市・川崎市の障害者雇用

 この県の実績が引き続き横浜市にも反映した。横浜市と神奈川県問いのは犬猿の間柄ですから、県が何か施策化しますとその上を行こうということで横浜市は県の10年3%に対して、20年4%の雇用にした。
 10年3%と20年4%とどっちが上なのか判りませんけれども数字は4%というと聞こえがいいわけです。それで毎年27名ずつ採用しているわけです。
 この時、県の場合県職という労働組合関係では苦労はないわけです。むしろ我々の障害者団体とは県評を中心としたいのくらの中で解決するわけです。しかし、市のほうは市労連の中に先ほど紹介いただきました障害者雇用推進対策委員会を作って、市の人事課と話し合いを進めながら中身を掘り下げといこというふうになっている。ここから先は何重も表裏・本音とたてまえの話があります。正直申しまして、市労連サイドの障害者雇用推進対策委員会の中では、交通関係でだいたい毎年1人、水道関係で1人、教育関係で1人(これも教師の問題はまだ手がつきません。受験はさせているんですが実現しておらず、用務員などです)。ですから27名といっても圧倒的に市従、いわゆる市の職員組合で受け入れるということで、市従代表の活動員は各職場で約2万何千人という組合員がいますからいろんな職場があり、各職場で「定員を増やすならいいよ。定員を増やさないで障害者を雇ったらどうなるんだ。労働加重になるという本音が出てくるわけですね。このあたりの交通整理がなかなかにたいへんなわけであります。
 私どもの言い分としては、いわゆる障害者に合った、障害者にできる仕事は今までの業務分担から外して、そこに集中して、それ以外の分野を健常者がやればいいではないか。だから役割を従来の形でここのポストにいれ、そのポストはこれこれの仕事でそれが全部できなければだめだという、そのしくみを手直ししなくてはだめだといっています。しかしそれは長い

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間培われた伝統ですからなかなかいきなりおいそれとはいきません。
 まだ横浜市は2回やっただけです。それが毎年やっていくとたぶん現場で相当混乱が起こってくるのではないかと思っているわけです。まあ、こちらは深めている。私は高等学校教職員組合を代表して入っているんで、障害者代表としての顔で労働者仲間をいじめている形になっている。しかし話し合っているうちには、だんだんと理解されています。
 だから、障害者がそういった委員会、審議会に行って、本音と建前といった議論を積み重ねる中で、やがてたてまえと本音の合流点というのが出てくるんではなかろうかと思うんです。
 その他、県下の市町村では私の住んでいる藤沢市では3年前から10年3%雇用計画を市長が打ち出しています。ただ藤沢市規模では人数が少ないですから毎年雇用される障害者の絶対数よりも少ない。だがこれも軽い者に片寄らずにバランスをとっているということでは絶えずチェックをしていると。
 それから川崎も今年からようやく出来ました。従って、神奈川県及び横浜市、藤沢市、川崎市が行っているのでこれを他の市町村に波及させていきたい。
 3年ほど前、雇用を進める会で県下各市町村にアンケートを配ったんですが、抽象論では雇用を進めますと。では具体的にどういうところでというアンケートの結果は空しいものになってしまいます。従ってこれを各地で行政交渉をやっていかなければならない。だいぶしんどい話になるんですけれども、しかしそれを続けない限りはやはり前進はありえないと考えているわけです。

  神奈川県でのとりくみ
  民間企業について

 また民間企業に関してですが、県を通して、障害者を受け入れた職場での管理指導員研修会というのがありまして、そういうところでしゃべる機会は県の方で作ってくれました。

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 それから障害者雇用推進会議というのがありまして、そういう所に出てもしゃべる機会が与えられているんです。
 しかし、個別企業でゆっくり時間をかけてということではなかなか進まないわけです。これを進めていかなければならない。ただ2,3例えば私鉄関係で中途障害になったものを、3年間の休職を5年間にさせて、その間に三療資格を取らせてその私鉄の診療所に職場復帰させたとか、そういう職場復帰の事例から、なるほどやれるという実感を周りの労働者ならびに経営者に理解させ、それをテコに今度は新しい中途障害者の社会復帰でない、外から障害者を送り込んでいきたいと考えています。
 従って、民間企業での雇用はまだこれからの課題という段階です。

  神奈川県でのとりくみ
  相模ライトサロン・神奈川ワークショップ・湘南文化社

 さて、次は私個人の問題ですが、あちらこちら暴れまわってきたわけですけれども、行政に体当たりするだけでなくて、じゃあ自分でも何かやろうということで、ちょうど雇用を進める会を結成した年ですけれども、それまで私の家を「統合塾といて統合教育、いわゆる教育ママに満足させる教育ではなくて人間解放の教育をめざして作ったのですが、やはり教育ママの圧力が強くてこちらの意図するものがなかなかできずそれならやめてしまえということで統合塾を閉鎖しまして、憲法記念日である5月3日に期して、地域住民と障害者とボランティアの交流の場として解放したんです。
 ちょうどその年の2年前に誕生した革新知事といわれる長洲さんのともしび運動の具体版として地域作業指導事業というものが10月から実施されると、当時は290万助成する。金は出すけど口は出さないということな

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ので10名規模の作業所を作り、その1号の指定を受けて、相模ライトサロンとい名前でスタートさせました。
 最初は電子部品の組み立てから始め、さらに点字の製版印刷とか録音テープのプリントとかあるいはカナタイプの訓練とかやってきたんですが、個人の家ですから限界がきた。
 一方、国の考えが変わってきまして、国の授産施設はこれまで収容が前提だったんですが、こうした各地の実績を見ながら通所という、いわゆるコミュニティーケアーという福祉理念の変化の中で通所と鋳物を考えるようになって、規模も縮小して20名以上の通所授産施設というものが3年前から制度化している。それもひとつ1号の指定を受けてやろうと準備したんですが、国の基準施設といのは、土地は自分でもっていなければならない、一定規模以上の土地を持っていることが前提になっている。それでなかなか土地の手配が間に合わなくて、初年度はあきらめて、二年度にむけての準備を廃止しました。
 最低規模で、20名でも土地が300坪ですが、私どものほうも市街地域は坪が60万ですから、これで300坪というと1億ですから、とてもそんな金はない。それでやむをえず、今まではとかく障害者施設といいますと人里離れた僻地だと批判してきたんですが、背に腹は変えられませんので、調整区域で坪10万あたりのところを探しました。それでも3000万ですから、たまたま協力者を得て、その土地を入手してそれを前提に国との接渉に入って、"神奈川ワークショップ"という、国の基準施設を一昨年からスタートさせました。
 ここは身体障害者全般ですから、視覚障害者だけでなくて、従来やっていた地域作業所の中のカナタイプとか点字製版・印刷とかプリントの業務はこの新しいほうに移しながら、車イスとか肢体障害者のための電動タイプ(手に力がなくても打てる和文タイプ。1台80万ぐらい)を2台入れ、オフセット印刷機も入れた。先程聞くと全障連にもアド企画をやっていらっしゃるそうですけれども、ワークショップでもそういうふうにやっている。それ以外にも、重度のダブルハ

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ンディの人のために鉛筆のケース作りの作業部門を作ったりして、現在20名定員ですが24名働いています。2年間でもう狭くなって、また新しく増築して4000万ほどかかるので、どこからか金を集めてこなくちゃならん。その資金繰りに頭を痛めています。
 さらに、今度はこの訓練が終わった後の雇用の受け皿を作らなければいけないといことで、湘南文化社というのを昨年からスタートしました。雇用となると当然、最低賃金それから社会保障*現行制度でいうと先ほど申し上げた、労働行政下の社会保障の全面適用ですから、初任給で大体10万円。それに福利厚生関係とボーナスを入れますと10数万円ということになります。こうした10万円の初任給で一人雇用して、さらに今年の7月2人目を雇用する予定です。こうして受け皿づくりもやってきた。
 したがって、社会福祉法人・光友会といものを作り出してこれが従来やっていた地域作業指導事業の"相模ライトサロン"と、一昨年作った"神奈川ワークショップ"と、昨年作った"湘南文化社"と3つを経営している形です。
 2つの福祉サイドでの、作業指導事業と授産施設での賃金は大体3万から上のクラスで9万の工賃を保障するため、いろんな工夫をこらしている。大体私の考えでは、上のほうのクラスの比較的効率の良い作業では、比較的効率の悪い作業のものに少しは還元しろということです。基本手当てというものを傾斜させまして、1万円上乗せする。2万円以下のものについては1万円を上乗せする。後は順々に工賃が上がる者に下げていく。従って3万円〜9万円くらいの巾で工賃の保証というものをやっています。
 そうしますと、いわゆる重度の方の福祉手当、年金と工賃をセットすると、最賃法を上回るくらいになりますから、生活保障を受けないか、受けてもごく少ない額ですみますし、いわゆる自立をめざす一つの方向ということでやっています。
 と同時に、収容を嫌って通所でやってきましたが、それならば全面的に将来、家族ケアーの

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中で通所かというと、これも上自然な形なので、次に考えたのが介護付き住宅ということです。藤沢市に接渉しまして、とりあえず、今工事がだいたい完了して今年の7月から開始しますけれども、介護付住宅で10世帯。私の設計図では6畳(和室)と4.5畳(板間)で個別に台所と考えたんですが、どうもこの仕組みが、民間に建てさせて市が年間420万でこれを借り上げて、後はその利用者の所得に応じて一部負担させる仕組みでとりあえずやる。その場合にその民間の建築物が、私の設計図では贅沢すぎると。それではとても420万でやりきれないということで、市との間で私の知らない間にだんだん規模が縮小して、ちょっと建設過程を見に行ったら6畳が4.5畳に、4.5畳が3畳にされて、共同の炊事場ということになって、だいぶ私のイメージからかけ離れちゃった。
 ですが、それじゃあこれが零になって「やらないよとなると困っちゃうので、まあ1号としてはやむをえないということで、全国でも恐らくこういうケースはないと思いますけれども、ひとつの試みとして、住宅保障を、いわゆる管理体制ではなくて、必要な介護はするけれども自主運営でやる仕組みで介護つき住宅10世帯分をこれは街中に作った。そしてコミュニティーとの交流の中で生活していくことを実現したいと考えています。

風刺イラスト 会社というものは


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  一つひとつ壁をうち破っていこう

 こうした、国を中心とした制度改革をめざす大きなとりくみの問題と、神奈川県段階でのとりくみと、私個人と中までやっているとりくみと、これらをひっくるめて、いろいろな創意工夫で一つ一つつきあたったカベを打ち破っていくことの中から、遅々とした歩みでありますけれども何か光が見えてきたということであります。
 先ほど申し上げた本に詳しくは載せてあります。今日もってきたのはスミ字ですが、この本にもおもしろいいきさつがあります。
 神奈川新聞社で作らせたんですけれども、神奈川新聞社に別枠で補助を取らせまして、実は点字はスミ字の3?かかるので、少なくとも100部に限り同時同額でやるからとことで補助をとって、100部までは同時同額にした。
 これは、本当は国の制度で、点字出版をしているところに援助させるか、あるいは購入する個人個人にひとつの文化保障として一冊についていくらかの援助をさせるか、そのどっちかで普通の活字と点字との差額保障をさせていかなければ、いつまでたっても格差といのは大きいわけでこうした面も雇用問題ではありませんが、障害者の生活をさせる格差保障の必要性を痛感しています。とりあえずこの本についてはこういうことです。
 こうした、ドロドロした運動を展開している現状であります。質問などがありましたらまたお話したいと思います。大変失礼しました。(拍手)

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質疑応答

・職場の受け入れ
・試験制度
・共同作業所
・ケアー付住宅

質問
 高槻市役所で働いている労働者です。高槻でも国際障害者年を契機に2人障害者が雇用されたんですが、そのうち視力障害者の方が一人おられて、その人と若干交流があるんです。先ほど五十嵐さんの話の中で、確かに就労運動のしんどさというのがすごく判ったんで感動して聞いとったんです。ただ障害者の方は、県なりあるいは民間企業なりに就職されて、その後どういう職場の実態の中で仕事をされているのか。職よこせ要求者組合の基調の中でも、人間関係のしんどさとか差別うんぬんがあったと思うんですが、やはりその辺、就職ができてもやはり厳しい状態があるのではなかろうか。逆に言えば僕ら健常者は、障害者隔離政策の中で障害者に接することがなくて、障害者への接し方がわからない。その中でも障害者に対する差別が出てくると思うんです。
 その辺で、特に県とか、横浜あるいは藤沢市などの例を挙げて話されたと思うんですが、例えば行政が障害者を雇うというということは看板として都合のいいことだと思う。行政はそういう看板を掲げたがる。ただ、高槻の場合はそうなんですが、看板だけ上げて、いわゆる雇いっぱなしで、後は知らんという。
 その辺の所、行政が障害者を雇うに際して、市の職員に対してどういった啓蒙活動や教育活動をやったのか。あるいは運動レベルとして、雇用された障害者の追跡調査なりあるいはフォロー。人間関係のしんどさとか差別問題のことをやってきたのかについて。もう少し具体的な話があれば紹介してもらいたいと思う。

五十嵐氏
 一つには、先程申し上げました、個別対応で運動したときと、今度は制度化した後と、雇用された障害者に「雇用を進める会の関わり方が違う。

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 個別対応で採用された方はやっぱり運動の過程を知っておりますから、その後も運動には一緒に参加していく。ところが制度化された後に採用されたものについては、こちらとしては一応こういう会の成果としてこうなっているんだから引き続き運動に加わってほしいというわけですけれども100%入ってこない。
 運動体としては、毎年2〜3回学習会をやっとりまして、そのなかで1回は必ず新規に採用された人の職場における諸問題というものをとりあげて、先輩たちあるいは角度を変えた立場、労働組合の立場、それぞれから意見交換をしてフォローアップをしていこうとやっている。
 組織に入ってこない人の場合に、それでも学習会の呼びかけはします。悩み事が多くなってから始めてくる人もいます。それは温かく迎えて、その後組織化へもつなげていく。後は労働組合を通して、ズケズケと職場に入っていくことはできませんので、聞き取りをやる。場合によっては組合の役員などに意見などを申し上げるというようなことをしています。
 えてして、むしろ課長クラスの方が気を配っている。気を配りすぎて困る場合があるんですが。場合によると、職場の人間関係ということでは、必ずしも100%うまくいくとは限らないわけで、これは無理解のためのものです。これは障害者の側にも何というか「世間知らずによって起こってくる問題もあると思いますね。
 ですから極力、組合サイドから、運動サイドから、建てに横にフォローアップしていく必要があるんではないかと思います。

質問
 障害者が雇用される場合民間ではなくて、行政が雇用する場合、健常者である市の職員に対して研修会をする中で一定の障害者の理解をしながら障害者雇用を進めているのか。その辺も少し。

五十嵐氏
 それはもちろん全く説明もしないでやることはないと思う。もちろん障害者を雇う側も十分理解していないわけですから、その障害者を最もよ

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く知っている人をそこに派遣して理解を得るようにアプローチした後に、というまではなっていないですね。ですから、その管理職にある人が自分なりに解釈をし、その現場でこういう人が来るからひとつこういうことで、ということです。
 総合教育でもそうですけれども、かえって判らずに過保護にしちゃうような、手取り足取りしなくてもいいようなことまでしちゃうようなこともあります。ですから適切な対応というものが、専門家をそこに派遣してやっていませんから、必ずしもできていません。でもそれはやがて解決する問題ですね。

質問
 全障連のKです。障害者雇用に際してもう一つのネックに試験の問題があるんですね。本来的に言うと、試験というのはいわば能力判定。時には選別ということになりますので望ましくはないと思うんですけれども、かといって現状で全く無試験ということにはなりにくいと思うんですね。ただ個々の障害者の実態に応じた試験にしないと、特に重度の障害者が試験で切り捨てられていく結果になると思います。
 その辺で、試験制度が具体的にどのように運用されているか聞きたいんですが。

五十嵐氏
 試験の仕組みですけれども、公務員の一般公募、一般採用の試験と別枠採用の試験と2通りありますので、まず一般採用の試験です。これは7月が上級、8月が中級、9月が初級で、これについては全部受けさせる。点字受験も含めて。時間延長を言ったのですが、最初だいぶ難色を示しいましたけれども、最後に、例えば上級試験は6時間なんですが、1.5?。大体の試験が1.5?ですから1.5?でごういした。9時間だと試験に立ち会う職員も勤務超過になっちゃうけれども、試験を受ける方も大変じゃあないかという議論もありましたけれどもとりあえずやってみるということです。ただこれまで上級を受けたものがないので。
 中級・初級はあります。中級はさっき申し上げたように一昨年合格しています。
 1.5?という原則と、それと

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拡大文字が5号活字までです。肢体障害の方でも時間延長をというのがあって、それはまだ合意していない。
 別枠雇用は、採用職種によって個別の試験ですから、時間延長はない。ただ若干問題なのは、横浜市、川崎市が一般事務ですけれども点字受験を認めないことがありまして、今後このあたりを課題にしていきたいし、逆に言うと、換点字いわゆる点字ワードプロセッサーの開発で本当に普通文字の処理が全盲でもできるようになれば、これは大手を振ってやりたいと思っている。しかし、事務職というのがどこまでやれるか、こちらにもちょっと弱みがあって、一般事務職を点字で受けさせろと言い切れない面があります。だが原則は原則ですから、交渉は引き続きやって生きたいと思います。
 年齢制限は、一般職については上級26、中級24、初級22で、交渉はしているんですがなかなか穴はあかない。別枠雇用については、技術職は39歳まで、一般職は30才までということでということです。これは、26才、28才、30才と引き上げてきた。そういう経緯があります。

質問
 Yと申します。神奈川県の通所授産所とか、共同作業所ですが、僕自身も大阪で共同作業所関係の人を何人か知っているんですが、友人の話を聞きましたら、一つはやはり「福祉切捨てという状況の中で行政援助が次第に減らされていく現状がある。もう一つは、障害者が共同作業所で主に働き製品を作って販売しとるんですが、そのなかで健常者もともにはたらいとるんですが、障害者と健常者のいわゆる共同作業所内における人間関係がうまくいかない。それが中心だと聞いています。もう一つが、その作業所に対するいわゆる社会的評価が低い。作業所の運営も厳しい状況ですけれども、まだまだ社会的評価がない。
 それで、神奈川の現状をより詳しく、特に共同作業所に関して聞きたいと思います。お願いします。

五十嵐氏
 通所授産施設は、国としてもできたばかりで全国

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的にもまだ数は少ないですね。これは国の基準施設ですし、社会福祉事業にいう第1種事業ですから措置体系に入っていますのでこれは別格にしたいと思います。
 御指摘の共同作業所、神奈川県では地域作業所といっていますが、これは先ほど申し上げたた通り長洲知事が誕生して「ともしび運動を展開し始めて、これが精神運動ではないかという批判が出て具体的に施策化したものの第1号です。当初290万の援助で、県と市が折半です。それが次の年300万、それから500万。今では年間500万の援助です。
 これが、最初の都市は10施設だったのですが今は53施設あります。大体規模としては10名程度で指導員が2人。それで指導員と利用者との格差はこれはわりきらざるを得ないです。指導員はよそへ働きに出ればそれなりの賃金が保障される訳ですから、利用者の収入が少ないのに合わせていたら全くボランティアみたいになっちゃうのでここはもうわりきると。そして相当の賃金保障をして、それで利用者について私どものところでは幸いいろんなしくみを導入してそれから電子部品の組み立てである程度会社側の滋枚的保障がありますので、大体5万円くらいです。だから通所授産施設の平均的なところ、5〜6万位の工賃保障です。職員の方はだいたい10万くらいで。その格差はわりきるということでやっています。

質問
 藤沢市のケアー付き住宅のことですが、一部負担というのは所得がどの位でどの位の割で負担しているかを聞きたい。兵庫の方でも「えんぴつの家というたまり場的なものを作ろうとしていますが、着々と準備しているんです。それでどういう経過から、またどういう介護の状態で行われているか聞きたいと思います。

五十嵐氏
 介護付住宅の問題ですが、これは市と建築主との間の接渉で私の構想より規模が小さくなったのですが、個人個人の部屋は4.5畳と3畳ですね。負担は、年収100万以下の方は無料とすると。100万〜150

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万円の人は5000円、150万〜200万の人は1万円。200万〜300万の人は2万円。300万以上の人は3万円ということで、だいぶ問題はあったのですけれども、市の方針としてはこうしている。したがって市が年間420万円で借り上げますけれども、これを全部障害者からいただこうとは思いませんと。入る人が低所得であることを市の方は考え、420万とほとんど市の持ち出しになると考えている。
 食事については、実費負担とそれと食事の世話をしてくれる人への若干の謝礼ということです。

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加盟団体の決意表明

・NHKの障害者雇用をすすめる会
・大阪青い芝の会
・83年度役員紹介

  NHKの障害者雇用をすすめる会
  堀田節子

 81年にNHKで電話交換で障害者を雇いたいということで、楠さんの方から私に紹介があり受けていったんですけれども、私が重度であるということで上採用になりました。
 そして、全障連の人とか地域の人、それから桃谷高校行っていたのでその人たちと一緒に闘って、去年の10月30日に正職員をかちとっていきました。
 そのとき、電話交換だったら中卒ですが、そこは他の人が採用されたんで、一般事務になったんですが事務の場合は高卒資格が必要だったんですが勝ち取りました。
 そして、NHK完全就労をめざす会は発展的に解消しまして、現在NHKの障害者雇用をすすめる会を発足しました。そこで1ヶ月に1回、協議会を持って当局とずっと交渉をしています。
 労働条件とか職種とか職域、いろんな問題で障害者に合っていないということで話し合いをもっていて、現在少しずつ煮つめていこうとしている。
 NHKに少しでも多くの障害者を雇用させようと頑張っています。今日、ビラを配っていますので、見て下さい。みなさんといっしょに闘っていきたいと思いますのでよろしく。

  大阪青い芝の会
 尾形

 今年の4月から四条畷市役所に勤めています。
 青い芝の会では10年間の間に障害者の労働についていろんな形で取り組んできました。重度障害者にとって労働していくことは今なお難しい状態です。
 今現在、青い芝ではA-Z作業所を軸に重度障害者の生活と労働を密着させた形で労働権を勝ち取っていくということをやっています。
 私自身も職場なんかで仕事をしていていろんな問題について取り組んでいきたいと思います。今後も障害者の自立と解放をめざして頑張っていきたいと思います。これで決意表明にかえます。

  障害者食よこせ要求者組合
 83年度 役員

委員長 松葉作治(ポポロ労組)
副委員長 三上洋(豊中障害者の雇用をかちとる会)
長沢加代子(大阪青い芝の会)
執行委員 馬詰保富(電通)
福森慶之助(治水社)
浅川安彦(アムコ労組)
山本泰清(労金労組)
事務局長 大島秀雄(全逓)

*なお、馬詰は全障連関西ブロック事務局次長、大島は同事務局長です。

  加盟団体
・全国障害者解放運動連絡会議関西ブロック
・大阪青い芝の会
・NHKの障害者雇用をすすめる会
・豊中市障害者雇用をかちとる会
(1983.6.11現在)

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障害者職よこせ要求者組合 趣意書

  障害者職よこせ要求者組合結成準備会

 私たち障害者は、長い人類の歴史の中でしいたげられ、差別されつづけてきました。時には殺され、またある時にはあざけり笑われ、軽蔑の目で見られてきました。人間としての生きる権利を否定されてきたといっても決っして言い過ぎることはないのです。
 福祉社会になったといわれている今も、多くの障害者の仲間は差別されつづけているのです。例えば、会社で働いていて会社の人にひどい仕打ちを受けたり、障害者をもった家族の無理心中が後をたちません。国際障害者年で障害者の*完全参加と平等*を唱われても、多くの障害者の仲間は施設に放り込まれ、在宅のままひっそりと生活しているのです。
 なぜ障害者は、このように差別を受けなければならないのでしょうか。それは、社会や国にとって障害者は「役に立たないものとされているからです。「何をするのも手間がかかる「じゃまになるとされているから

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なのです。
 全国で約400万人以上の障害者がいるといわれています。その内約半数が大人の障害者としますと、200万人中約20万人の障害者しか仕事についていません。労働省が毎年10月に発表する身体障害者雇用促進法の法定雇用率の達成率は、平均で1.18%です。
 雇用促進法は67人雇用以上の事業主に法定雇用率を1.5%に定めています。世界各国の障害者雇用法の法定雇用率から見ても低い法定雇用率すら守らない企業がほとんどなのです。そして雇用したとしても、ごく軽度の障害者しか雇用していないのです。重度・中度障害者「精神障害者たちは、仕事に全くつけないでいるか、たとえ仕事についていてもしんどい仕事で安い給料で働かされています。
 私たち障害者は、一人の人間であり、人間として等しく基本的人権をもっているのです。
 障害者が仕事につく権利も基本的人権の一つなのです。ところが今まで述べてきたようにこの仕事につく権利がほとんど保障されていません。私たちは、仕事につく権利を保障させて行く運動を中心に障害者の自立と解放をかちとっていきたいと思います。
 働きたいという要求をもちながら、仕事につけない仲間たち/安い給料、しんどい仕事つらい人間関係で悩んでいる仲間たち!共に

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p42

手をとり合い、団結して私たちの限りない未来に向って歩んでいきましょう!
 私たち「障害者職よこせ要求者組合は、障害者の就労保障をかちとるために次のとりくみを行うこととします。

障害者職よこせ要求者組合の活動計画

  1.就労保障

 @職業安定所に対して。
 障害者が安心して働ける職場を、職業安定所に責任を持って斡旋させていきます。
 A国、地方自治体等、行政機関に対して
 身体障害者雇用促進法や、採用制度の上充分点を改めさせ、より多くの障害者、とくに中度・重度の障害者を率先して雇用するよう、行政責任を追求します。
 B労働組合に対して。
 労働組合に、職場の障害者雇用の自主点検等を提起し、積極的に障害者雇用を取むよう働きかけて行きます。そのために特に、地域労働運動とのつながりを強めます。

  2.労働条件等について

 @障害者が職場で働いていて、職場の労働

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者から差別を受けた時には、その職場の差別実態を改善させていく闘いをし、実際に差別を行なった労働者に対しても、障害者と共に生きていくことが、労働者の生き方であることを話し込んでいきます。
 A労働条件等に関しては、労働基準監督局並びに、各地方自治体労働部に対して、行政責任で障害者の労働条件等を健全者の権利と同様になるよう、企業に行政指導を行わせます。
 又、国に対しては「全国障害者職よこせ行動実行委員会とともに、「最低賃金法弟八条の障害者適用除外という差別条項撤廃に向けて闘います。
 そして企業側に対しても上記の「全国障害者職よこせ行動新委員会とともに企業の社会的責任としての障害者雇用の推進や、能力別給与体系を改めさせるよう闘います。
 B仕事につけていない障害者の多くが、中度・重度障害者、「精神障害者であることをかんがみ、これらの人々の就労保障、労働条件等に関する闘いを重点的に取みます。
 C「職よこせ要求者組合の取り組みによって就職した障害者の労働条件や差別的処偶に関しては、「職よこせ要求者組合で責任を持って改善させていきます。

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  3.学習会、交流会の実施について

 @国・地方自治体の障害者雇用に関する施策や制度・政策についての学習活動。
 A各個別の障害者の就労闘争に学びます。
 B障害者の一人一人が、社会や会社の中でバラバうにされ、職場での悩みや、人間関係のしんどさから、ややもするとつぶされてしまいがちです。障害者一人一人人を支え、守っていくために、交流会を実施し、団結を高め、相互援助していきます。
 C労働につく権利をうばい返していく闘いを通し、すべての障害者の仲間と共に、自らの自立と解放を勝ち取る闘いを確立します。

以上

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障害者職よこせ要求者組合規約(案)

  第一章 総則

 第1条(名称および所在地)
 この組合は、障害者職よこせ要求者組合といい、事務所を大阪市東成区中本1丁目3-6全障連関西ブロック内に置く。

 第2条(目的)
 この組合は、組合の趣意書に賛同する障害者や・支援する個人・団体によって、働く場がない障害者や劣悪な労働条件で苦しむ障害者の働く権利を奪い返し、障害者の自立と解放を勝ち取っていくことを目的とする。

 第3条(事業)
 @行政闘争 A就労闘争 B労働組合に対する働きかけ C学習会・交流会の実施 Dその他・目的達成に必要な事項

  第二章 組合員

 第4条
 この組合は、趣意書に賛同する障害者個人・団体が加入する。

 第5条(加入)
 この組合に加入するものは、所定の加入申し込み用紙に必要事項を記入し、届け出る。加入は執行委員会で承認する。

  第三章 機関

 第6条(種類)
 この組合には次の委員会をおく。
 @大会 A執行委員会

 第7条(大会)
 大会はこの組合の最高決議機関である。毎年一回、委員長が召集する。

 第8条(大会の決議事項)
 大会で次のことを決める。

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 @基本方針・活動報告・会計報告 A規約の改廃 B役員の選出 Cその他、必要な事項

 第9条(執行委員会)
 執行委員会は、この組合の執行機関であり、執行委員で構成するが、組合員の積極的な参加を妨げない。原則として、月一回執行委員会を行なうこととし、必要に応じて開催する。

 第10条(役員の種類)
 この組合に次のような役員をおく。
 @委員長 1名
 A副委員長 2名
 B書記長 1名
 C執行委員 若干名
 D会計 1名

 第11条(役員の任期)
 役員の任期は大会から大会までとする。再任は妨げない。

  第四章 財政

 第12条(収入)
 この組合は、組合費・カンパ・事業などの収入によって運営する。

 第13条(組合費)
 この組合の組合費は、一人一ヵ月200円とする。

 第14条(会計年度)
 この組合の会計年度は、大会から大会までとする。

  第五章 効力

 第15条(効力)
 この規約は、1983年6月5日より実施する。

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p47

  (雑誌記事複写)先見労務管理 S58.9.17 第三種郵便物認可

■インタビュー 大島秀夫 障害者職よこせ要求者組合書記長に聞く
  今の職安にいっても就職は無理や


 さる6月4目、大阪で「障害者職よこせ要求者組合(松葉作治委員長)が結成された。なかなか進まない障害者の就労を、障害者自らの手でめざすユニークな組合だ。そこで、大島秀夫書記長に今後の方針などについて尋ねた。

写真 大島氏近影:障害者は働く権利を奪われとる


  *結成までの経過を話していただけますか。
 僕ら障害者は、基本的人権の一つである仕事につく権利を奪われとる。
 また、職についても、給料は安いし、最賃以下で働かされている障害者も多い。それに健全者のペースに合わせて働かされて、体を悪くしてやめていく障害者も多い。

  働く意志のある障害者を掘り起こす
 こうした障害者の働く問題についての取り組みとして、81年から毎年、東京で「全国障害者職よこせ集会を開いて、行動を起こしておるわけやけど、その第1回目の集会のあとで、具体的な行動がやっぱり必要やいうことで動き始めた。
 それで、大阪にある4つの障害者団体が集まって、82年の5月に準備金を結成して、今年の6月にやっと結成にこぎつけた。

  *組合としての獲得目標は…。
 まず、働く意志を持つ障害者の掘起こし。
 新聞などが「職よこせ組合結成のニュースを取り上げてくれて、大阪はもちろん新潟や徳島からも問い合わせの電話がかかってきた。働く意志をもっていても職につけない障害者がたくさんおる。
 それから行政への働きかけ。とにかく職安の態度がメチャクチャ悪い。
 職安にいっても例えば地図を出される。そしで駅までの距離をはかるんや。直接にはやめろとはいいにくいから、通勤が大変やいうことを示して、暗にやめろといってるわけや。
 僕の障害は脳性マヒで、今郵便局で働いとるけど、職安にいっても、脳性マヒは細かい作業がだめだからといわれて、職につくことができんかった。
 職安にいっても就職はまず無理や。それを変えさせていく。
 職安にいって、この相談にきている障害者をどないするんや、と行政に対して働きかける。

  *具体的な雇用先である企業に対してどのような行動を考えていますか。
 「職よこせ組合の取り組みによって就職した障害者の労働条件や差別的扱いについては、責任をもって改善させていく。
 雇用については、その企業にある労働組合と一緒に働きかけるようにする。

  大阪労働金庫に就労をかち取る
 たよりになるのはやっぱり労働組合や。今年の5月に総評大阪地

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評が「職よこせ要求組合に対する単産の支援と協力を要請する通達を出してくれた。
 通達は一枚の紙切れやけど、この通達のおかげで組合回りが非常にやりやすい。
 また、結成までの準備段階で、大阪労働金庫が1.5%の雇用率達成に4人足りないということがあった。それで、金庫側と組合に申し入れたところ、組合が熱心に交渉してくれて、雇用率達成まで毎年障害者を1人雇用することが決まって、今年1人既に就労している。その他にもNHKの臨時職員だった障害者を正職員にすることもできた。
 こうした成果は個別就労闘争の結果で、今後もこうした闘いをしていくし、また国全国で闘われている個別就労題争から学んでいきたいと思う。

  ―労働省では、重度障害者雇用対策として、第3セクター方式を推進していますが、この点についてはどのようにお考えですか。
 第3セクターには自治体が参加するというので、障害者の体のペースに合わせて和気あいあいと仕事をやっていると思っていた。
 だけど岡山県にある第3セクターの吉備松下に見学にいってみると、とにかく障害者の顔が暗い。90人の労働者のうち30人が障害者やったけど、健全者の間に障害者が入って、健全者のペースで仕事をやっている感じがした。
 説明では、賃金は初任給が8万5,000円で2年目から能力賃金というとった。8万5,000円いうたらかろうじて最賃を上回ってるけど、あの労働を考えるとまるで奴隷や。

  第3セクターはひどいとこや
 午前中の仕事が終わってちょうど昼休みになったけど食事中は雑談もなかった。
 しかも、その食事は最賃の適用がない授産所でつくられて運ばれてくるということやった。
 岡山市内からは車で1時間半ぐらいかかるし、買い物にいくにも店があるところまでは4キロもある。障害者が山の中に集められて、隔離されて働かされているという感じや。
 とにかく、あんなにひどいとは思わんかった。

  *どうもありがとうございました。

結成大会の様子:6月4日の結成集会。障害者と労働組合関係者など100人が集まる


(文責編集部)

おおしまひでお
1976年立命館大学文学部卒。
全国障害者解放運動連絡会議(全障連)
関西労働小委員会代表(80年〜)、全障連関西ブロック事務局長(82年〜)、83年6月職よこせ組合書記長に。77年より大阪南郵便局に勤務。29歳。

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p49

83年6月 参議院選挙で、各党の立候補者(京都・奈良・大阪・兵庫)宛に出した公開質問状の内容


1 障害者差別の存在を、認識されていますか。
2 最低賃金法の障害者除外を、撤廃する考えはありますか
3 障害者雇用の拡大の為に、どのような施策が必要と思われますか
4 障害者雇用の拡大の為に、どのような国会活動をされますか
5 障害者の完全参加と平等を、どのように推進されますか
6 中曽根内閣と、どのように対決しますか

以上

次ページが各党からの回答です。

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  公開質問状対する回答

 全障連殿
 市原みちえ

 1. 「障害者差別が現存することについては認識しているつもりであります。24時間に及ぶ生活総領域を問題にしなければならないと考えます。奈良県においては、現在、梅谷尚司君を中心に、奈良市大柳生町に牧場を建設しようという取り組みに対して、地元住民の反対があり、未だ着工できない例もあります。
 2. 民間企業の中には、「障害者を雇用するより反則金を支払う方が安上がりであるという風潮や、行政機関においても義務的に軽度の「障害者を雇用し、雇用率を満たしているだけという安易な現状があると思います。是正するためには、雇用促進法の実施状況を点検して未達成企業を公表するとともに、中度・重度の雇用率や障害者類別の雇用率を定めることをめざします。

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 3. 「障害者社会参加の基本は労働参加であるとの見地に立って、働く意思のあるすべての「障害者に対し、就労の機会を保障するため、「障害者を除外している現行最低賃金法の条項を廃止することを目指します。
 4. 上記法定雇用率の問題や制定賃金法の問題とともに、「障害者雇用創出のため、民主団体や労働組合などとも協議するなどして、実践することを通して、世論喚起を行いたい。
 5. ハンデキャップの福祉としては、第一に最低の生活基盤をさせる行政責任の確立、第2にどんな重い障害のある人でもともに生きていく共同生活の条件作り、第3にハンディキャップを持つ者自身を政策主体とするシステムの確立などを基本目標に、参加と自立をめざす「障害者福祉として、具体的には(1)上記就労の機会保障、(2)「障害者が自立した生活を営めるよう所得保障制度の改革、(3)「障害者が自由に

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移動できるよう計画的な町づくりの推進、(4)「障害児と「普通児がともに生活する教育・保育の促進、(5)生活環境などを改善し、地域社会の「障害者への適応を図るなどです。
 6. 中曽根内閣の退陣と政権交代を基本にしながら、平和憲法の改悪ストップ、福祉や苦しき労働者を切り捨てる行政改革ストップ、薬づけ医療をやめ、いつでも、どこでも、だれでも安心してかかわる救急医療の確立を。軍備ノー。生活関連部門への投資で景気回復を図り、雇用の確保と安定を。地場産業中小工業振興。農林業再建を目指します。女性差別撤廃条約の早期完全批准と男女雇用平等法の親切など国内関係法の整備を。合成洗剤や食品添加物、農薬など危険なもの、疑わしきものは製造もストップを。上公平税制を改め、所得税減税を実施します。人勧凍結など労働者の基本権剥奪にストップを。40人学級を実現し、教科書は自由発行、自由採択制を目指します。 以上

p53

 1. 障害者のための諸制度・諸施策の現状は必ずしも十分ではないところがあるとしても、国際障害者年において約束したことを、財政その他あらゆる条件を十分に考慮しつつ、上断の努力の積み重ねによってひとつひとつ克?していくべきものと思う。
 2. 身体障害者雇用促進法で定められた障害者の雇用率の達成をペナルティーを受けて免れようとする一部上心得な企業があるやに聞いているが。十分に遵守されるべきと思う。また、官公庁においても法の趣旨に照らして完全な雇用率の達成がされなければならないことはいうまでもない。
 3. 障害者を含むすべての労働者は、最低賃金を保障されなければならない。
 4. 障害者に対する医療、治療とともにリハビリによる社会参加を推進する国立職業リハビリセンターを整備拡充し、雇用環境の整備を推進します。身体障害者雇用促進法など労働関係法を改正し、職域の開発、労働用具の開発を進めながら、就職制限の撤廃と雇用共生を図ります。
 また、職業訓練施設の利用、心身障害者福祉工場、職親制度の充実を促進します。またこれら各施設の設備改善を図り、訓練期間中の生活を維持するために特別手当を支給します。
 5. 「完全参加と平等を掲げた国際障害者年では、わが国の心身障害者福祉諸制度の後進性が鮮明になり、障害者のニーズに的確に対応することが迫られるとともに、身体障害者福祉法

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の改正など関係諸施策との調整を図るべきということが明らかにされた。わが国における障害者に関するこれらの問題を解決していくことがテーマの実現になると考えている。
 6. 中曽根内閣の危険な軍事拡大の路線ならびに福祉切り捨てには断じて反対を貫いていく。

昭和58年5月28日
参議院議員
田代富士男

全国障害者解放運動連絡会議関西ブロック御中

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民社党 横山ノック

  公開質問状に回答させていただきます

 1. 私自身にも全くないといえばウソになるでしょう。健常者には、大なり小なり差別する意識が存在すると思います。
 2. 各市町村が、行政区内の障害者の就職希望を的確に把握し、各事業所の雇用率をチェックして、強力な行政指導を行う。そのための法・体制が確立されなければなりません。
 3. 障害者であるから・・・という差別は、絶対に許されません。しかし、すべてに最低賃金法の適用を、ということでは雇用の拡大がむづかしくなると思います。別途障害者のための最低賃金法を確立するべきではないでしょうか。
 4. 障害者を受け入れる職場と、その雇用率を法で指定し、積極的な行政指導を展開させなければなりません。

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 5. 市民代表が参加するあらゆる会議・集会に障害者の代表が参加できるようにしたいと思います。
 6. 行政改革の推進、政策の重点化(障害者対策の優先化)を図るべきです。しかし、画一的、うすまき、ばらまきの福祉は、洗いなおして、恵まれない人たちへ重点化を図るべきです。

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p57

地評発32の第176号
1983.5.17

各単産委員長殿

日本労働組合総評議会大阪地方評議会
議長 中江光次郎
国民運動局長 南野昌明

  「障害者職よこせ要求者組合に対する支援及び障害者差別を許さず障害者の自立と解放をめざす闘いへの協力要請について
 ご健闘のことと存じます。
 さて、81年国際障害者年の取り組みをはじめ、障害者差別を許さず障害者の自立と解放をめざす闘いを、労働組合としても取り組んできていますが、まだまだ運動は緒についたばかりで、現状を変えるにはいたっていません。
 こうしたなかで、障害者が自らの基本的人権である就労する権利の保障を求めて闘うため、「障害者職よこせ要求者組合(呼びかけ団体・大阪青い芝の会、関西労働省委員会、NHKの障害者雇用を進める会、豊中障害者就労を勝ち取る会)を来る6月4日午後5時より府立労働センターで結成集会を開きます。
 また、障害者の自立と解放をめざすさまざまな運動に常日頃から障

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害者団体は困難な条件の中で取り組んでいます。
 こうした取り組みに対し、理解と協力、支援を求めるための全国障害者解放運動連絡会議関西ブロック(東成区中本1丁目3-6ベルビュー森の宮215)では、労働組合に対する要請行動に取り組んでいます。
 つきましては、こうした行動に対し、各単産の積極的なご協力を要請します。
 以上

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職よこせニュース

発行日 1983.3.27 No.1
発行所 大阪市東成区中本1丁目3-6ベルビュー森の宮215号 全障連関西ブロック
TEL 06-974-0791

  障害者の皆さんへ!
  障害者の力と団結で、自立と解放をかちとろう!!

 働くところがなくて困っていませんか?
 労働条件、賃金のことでなやんでいませんか?
 労働組合づくりの相談も・・・
 その他、障害者に関する生活保護・年金等、あらゆるご相談をお受けいたします。

 大阪市民のみなさん。そして障害をもった仲間のみなさん。
 今、行政改革の名の下に福祉切り捨て、失業者の増大など、私たちの日々の生活は苦しくなる一方です。
 私たち「障害者職よこせ要求者組合は、こういった社会の中で、働きたいという意欲をもちながら就職の機会がない、職場での厳しい労働条件、低賃金などで悩んでいる障害者の労働権を獲得しようと結成されました。
 「要求者組合では、働きたい障害者を募集すると同時に、行政・職安や各企業に対して、障害者雇用を拡大させるよう活動しています。
 「要求者組合にあなたも加人し、障害者として職場に入る道を拓いていきませんか。

お問い合わせ・連絡先
06(974)0791
全障連/障害者職よこせ要求者組合(準)

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障害者雇用を求める労働組合オルグ回りの状況報告

     
組合名 業種 反応 備考
2/19 電済労近畿 サービス 執行委に話 (民間)
全港湾太平サービス ビル管理・清掃 一名臨時採用決定 理解あった(民間)
KDD 国際電話 書記に話 (民間)
トップラン 紳士?販売 執行委に話。自主管理でシンドイ 組合管理・繊維上況
全港湾桜井分会 設計 学習会は考える方向 自主再建中(民間)
2/21 三菱金属大阪精錬所     (民間)
OS組合 娯楽 何人か障害者を雇用している (民間)
市街地開発   執行委に話 (大阪市の外郭)
阪急電鉄 鉄道 執行委に話 (民間)
サントリー 酒造業 執行委に話 (民間)
全造幣   執行委に話 (公労協)
阪大病院 医療 執行委に話 (国公労連)
2/23 団地サービス     (民間)
全日通片町支部 運送 執行委に話 (民間)
中嶋製作所 鉄工 執行委に話 (民間)
タカラスタンダード ホーロー流し台 執行委に話 (民間)
富士伸鋼 鉄工 執行委に話 (民間)
大阪国保 医療業務 執行委に話 (民間)
3/11 淀川製鋼 鉄工 執行委に話 (民間IMF/JC)
合同製鉄 鉄工 執行委に話 青年部が近くの養護学校へボランティア活動(民間)
中山鋼業 鉄工 上況でシンドイ (民間)
5/11大都工業 鉄工 上況でシンドイ (民間)
全逓都島 郵便 執行委に話。カンパを期待した画ダメだった。 (公労協)
双葉機械 鉄工 執行委に話 (民間)
三津江金型 鉄工 執行委に話 (民間)
大阪市職宮古島支部 行政 執行委に話 (公務員)
全電通都島 電話 執行委に話。 (公労協)
都島高周波 電気 上況でシンドイ (民間)
サンリット ?製造 カンパあり (民間)
市職東成支部 行政 執行委に話。結成集会参加 (公務員)
全逓東成支部 郵便 執行委に話 (公労協)
全電通今里支部 電話 執行委に話 (公労協)
全金東栄 鉄工 執行委に話 (民間)
5/  大交東成支部 運輸 設計集会に参加 (公労協)
大交高速今里支部 運輸 結成集会に参加 (公労協)
大阪市従環事工場分会 行政 結成集会に参加。理解あった (公労協)
大阪市公園東分会 行政 執行委に話 (公労協)
大阪労金 金融 4月に1名採用。結成集会参加 (民間)
全金大阪地本 鉄工 カンパあり。理解し紹介状のみこみ (全金)
全林野 林業 執行委に話 (公労協)
アムコ 医療機器販売 2年前に1名採用。カンパ。集会参加 (民間)
ダン レイアウト 理解あり 自主運営(民間)
毎日新聞 報道 執行委に話 (民間)
朝日新聞 報道 カンパあり (民間)
ラジオ大阪 報道 執行委に話 (民間)
関西テレビ 報道 執行委に話。 (民間)
大阪市職北支部 行政 理解あった。カンパあり (公務員)
大阪市職本部 行政 カンパ。集会参加。 (公務員)
大阪市従本部 行政 理解あった (公務員)
大阪市従下水道支部 行政 集会に参加 (公務員)
自治労大阪府本部 行政 紹介状いただく。カンパ (公務員)
大阪市職下水道支部 行政 執行委に話 (公務員)
大阪市職東支部 行政 カンパあり (公務員)
全逓大阪 郵便 理解あった (公労協)
9/14 全済労近畿 サービス 執行委に話。学習会の方向 (民間)2回目
KDD 国際電話 当局に要求は出せるがむつかしい (民間)2回目
ダン サービス 自主運営でしんどい (民間)2回目
桜井分会(前港湾) 設計 学習会を検討 (民間)2回目
トップラン 紳士?販売 繊維労連レベルで検討 (民間)2回目
国保連合 医療業務 学習会を考える (民間)2回目
郵政互助会 サービス 合理化で苦しい (民間)
タイムス 出版 当局に要求する (民間)
御堂部会 設計 自主運営でしんどい。学習会検討 (民間)
農林会館 サービス 合理化でしんどい (民間)
9/19 サンリット 征? むつかしい (民間)2回目
三津江金型 鉄工 学習会を考える (民間)2回目
東栄鉄工(全金) 鉄工 自主運営でしんどい (民間)2回目
双葉機械 鉄工 自主運営でしんどい (民間)2回目
全58組合(本部・支部・分会・単組ふくむ)のべ68組合
民間37 公務員14 公労協7 1983.9.19現在

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お問い合わせ
障害者職よこせ要求者組合
大阪市東成区中本1丁目3-6ベルビュー森ノ宮215号
全障連関西ブロック内TEL06(974)0791

*作成:臼井 久実子青木 千帆子
UP:20100408 REV:20150119, 20150915
障害者と労働  ◇全文掲載 
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