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保安処分の立法化にむけた厚生省との「関係局長連絡会議」の設置―運営を強く弾劾する

全国「精神病」者集団 19820630

保安処分の立法化にむけた厚生省との「関係局長連絡会議」の設置―運営を強く弾劾する

一、法務省が、保安処分を次期国会に上程しようと、「精神障害による他害行動の実態、保安施設、医療スタッフの確保」等を巡り、厚生省との協議(関係局長連絡会議)に入いった事を、怒りを込めて弾劾する。
一、そもそも、保安処分制度自身、「精神障害者」、病歴者を「いつ何をおかすかわからない者」という差別(隔離・収容)を、法制度として固定化するものであり、絶対に許すわけにはいかない。
一、更に保安処分の法制度化により、「精神障害者」に対して根深く残っている国民の差別性をあおりたてるものであり、私達を今以上に窒息するように追い込むものである。
一、私達は、病いのしんどさをかかえつつも、もっと厳しいのは、周囲の「わけのわからない者」「何をするかわからない危険人物」という露骨な差別的対応(地域・職場・学園・監獄・病院における)によって、日々、孤立と自殺の淵に立たされていることである。
日々社会外社会へ放逐され、人権さえも奪われてきたことを一度として考えた事があるのか。
一、法務省が、これまで「精神障害者」に対し何を行なってきたのか。
住む家もないとか、安定した職場もみつからないとか、周囲の者からも病状への配慮が行なわれない中で、長期入院を強いられ、社会生活から隔離させられて、「障害者雇用促進法」からも「精神障害者」をはずし、あるのは、ただ強制医療と監視の強化を合法化させる「精神衛生法」のみではないか。
更に「精神障害者」であることを理由に最低賃金法の適用除外・様々な欠格条項(差別条項)をみすごしてきたのは法務省である。
このように、病歴者が退院しても、地域社会で暮らせなくさせてきた事実をどう責任をとるのか。「精神障害者」の自殺率は、「健常者」の20〜50倍である。差別と偏見によって追い込まれた結果なのだ。
それを、これまで以上に、治安政策的に「精神障害者」にマトを紋り、国家政策として「保安処分」という差別をうみ出そうとする事は、国家による差別の煽動に他ならない。
私達、「精神障害者」にとっては、差別と迫害の中で死ね≠ニいう攻撃であり、決して許すことのできないものである。
私達は、心からの怒りを込めて、即刻、「関係局長連絡会議」をとりやめ、保安処分を廃案とするよう強く抗議する。

法務大臣 坂田 道太 殿

全国「精神病」者集団

一九八二年六月三十日


*作成:桐原 尚之
UP: 20110815 REV:
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