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保安処分の立法化にむけた「関係局長連絡会議」の設置を白紙に戻すよう要望する

全国「精神病」者集団 19820630

last update:201108015

保安処分の立法化にむけた「関係局長連絡会議」の設置を白紙に戻すよう要望する

一、保安処分の次期国会上程へ向け、今年十月をメドに「精神障害による他害行動の実態、精神医療の犯罪防止効果、治療処分の必要性と内容、保安施設、医療スタッフの確保、仮退所中の治療体制、裁判確定前の収容施設と医療等を巡って、法務省との協議(関係局長連絡会議)に入ったことを怒りを込めて弾劾する。
一、保安処分制度は、「精神障害者」病歴者を、「いつ何をおかすかわからない者」との偏見と差別をもって、予防拘禁的に、隔離・収容し、差別の法制度化をねらうものである。
何をもって異常≠ニするかは、結局、主観的判断によるものであり、幻覚・妄想は、誰もが経験せざるを得ない心理学的現象といわれている。
更に、「精神障害者」の年間犯罪率は、〇・〇四%で「健常者」の〇・三八%の十分の一にすぎず、少なすぎる程である。
その犯罪も、「精神障害者」であるが故に、職をうばわれ、(労基法51条、労働安全規則47条、最低賃金法8条等)地域で、差別と偏見の中、孤立を強いられ、心をうちあけることもできない所まで追いつめられた結果である。
それを、「キチガイ」に保安処分は必要と、国民の中の差別をあおりたてて、地域の「精神障害者」病歴者全体に対し、差別的監視が強まる中で生きていけると思うのか。
一、私達は、精神病院の収容所化をなくしていくという方向性を追求してきた。
日本精神神経学会も開放医療の流れを追求し、世界のすう勢を見ても、精神衛生法を撤廃した(イタリア)もある。
そして、長い抑圧の歴史の中から「精神障害者」の人権に、光があてられてきている。
それを、今回の保安処分は、隔離収容の強化の方向性であり、全く逆行するものである。
一、聞く所によれば、法務省との協議に参加している部分は、医者・医療従事者ときいている。
そもそも、医師は患者を擁護する立場にある。その原則をかなぐりすて、患者を差別的に断罪していく、保安処分の立法化に手をかすとは何事か。
法務省と共に保安処分の立法化にむけ協力する事に対し、私達の怒りはつきることがない。
一、私達は、病いのしんどさをかかえつつも、より厳しいのは、周囲の「わけのわからないもの」「何をするかわからない危険人物」という差別的対応によって、日々、孤立と自殺の淵にたたされていることである。
その、厳しさをどれだけ「精神障害者」の立場に立って考えたことがあるのか。
一、これまで、精神衛生法で合法的に強制入院、隔離してきたことを、治安政策的に、国家政策に便乗し、保安処分という差別に手をかす事は、歴史に残る「犯罪性」である。
私達「精神障害者」にとっては、差別と迫害の中で死ね≠ニいう攻撃であり、決して許すことのできないものである。
私達は、心からの怒りを込めて即刻、法務省との協議を凍結し、保安処分廃案にむけて努力することを要請する。
厚生大臣  森下 元晴
公衆衛生局 三浦    殿
精神衛生課 野崎
医務局
薬事局
       全国「精神病」者集団

 一九八二年六月三十日


*作成:桐原 尚之
UP: 20110815 REV:
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