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「ロボトミー徹底糾弾 第6号 ロボトミー糾弾全国共闘会議 1980/08/01」

ロボトミー糾弾全国共闘会議 19800801

last update:20110625

特集
7・13ロ全共第2回定期全国大会

7月13日(日)、東京南部労政会館に於いて。ロボトミー糾弾全国共斗会議第2回定期全国大会が、行なわれた。
会場には、ロボトミー被術者・各地でロボトミー裁判を斗う仲間をはじめとする多くの労働者・市民・学生が結集した。
大会は、開会宣言後、ロ全共伊藤議長からロ全共結成の意義とこの一年間の斗いの報告を受けた。特に「権力と対決してゆく斗いを組織してゆくためには、個別に斗われているロボトミー糾弾斗争の全国結合をかちとり、明確な意志一致による統一的な斗いを展開することができなければならない」(79・9・30議案書)ことが強調された、と同時に、再確認された。
続いて、本大会に寄せられた、獄中の赤堀政夫さん、桜庭章司さん、川口五郎さん。更に、全国「病者」集団大野萌子さんからのメッセージが代読された。山谷の医療と福祉を考える会からは、山谷7・8弾圧に対する、救援連絡センター水戸氏からは、刑法戦線の再構築を訴えるアピールが、それぞれ行なわれた。
次に、監獄法改悪を許さない全国連絡会議事務局長の長谷川氏による「監獄法改悪について」の特別講演がもたれ、監獄法改悪に強く反対し斗う必要性が述べられた。(監獄法改悪は、代用監獄の存続―ロボトミ―を含む強制医療―第三者に対する武器使用―死刑囚に対する処遇改悪等を内容とするものであり、その質を施設管理法から処遇法へと転嫁させ、国家処遇権を著しく拡大し、特別権力関係の名の下に、受刑者の人権を制限していこうとするものである。)
大会は、更に、事務局から昨年一年間の活動報告など、80年度運動方針案(情宣・方針)について説明が行なわれ、これに基づき、規約改正を含めた質疑・討論を経たのち、本議題は、満場一致で採択された。特に、向こう一年間の活動の重点を@名古屋一審判決(今秋)斗争への取り組み、A桜庭さんの救援活動に置くことが、伊藤議長から提案され、承認された。
 最後に、ロボトミー被術者からの力強い決意表明が述べられ、第2回大会は、終了した。

ロ全共第2回大会へのメッセージ
ロボトミー糾弾全国共闘会議
第二回大会を祝して

東京拘置所在監
桜庭章司

 ロ全共の皆さん、第二回大会、お目出とうございます。団結こそ、権力を倒す唯一の武器であります。皆さんの団結を聞いて嬉しくてなりません。バカな私は、「メダカはえてして群れたがる」ということばを信じて、いつもひとりで闘ってきました。私は学校へ行っておりません。政治では、独りということは存在しないということです。そのことを知ったのは五一才の今年に入ってからでした。
 絶対ということばは使うと間違い易いものですが、権力は絶対に正しいことしません。権力は、外見は上品なこすい、小利口な薄情人間を大切にします。権力の本音は、命を捨てて正しいことをする勇気を恐れます。権力は自分に歯向う勇気ある人間を好みません。そういう人間は、失業させて、壊します。権力に迎合し、私達を直接に弾圧・迫害する手先は自分を平凡な、正直の真面目市民であると信じております。
 私の肝臓と脳ミソの場所を間違えて、私の頭をチングレクトミーした医者は立派な市民です。その医学博士は地元でも名士として尊敬されております。彼は非常に上品です。その医者は、下品なツラをした下等人民は医学の進歩と権力即ち搾取資本主義発展維持のため、己を犠牲にする、というより消費するのは正義であると心底信じております。これら権力の手先医師は家庭では、やさしいパパであり、甘いハズバンドです。
 権力の本家本元は搾取資本家ですが、一般市民には一体だれが権力かわからぬよう権力は巧妙に正体を隠しています。権力の同志・マスコミは高い知力を利用して、権力とか人民とか資本主義ということばを使う人間を危険な過激派と思わすことに成功しました。人民は国民とは戦前より桁外れに進歩しました。権力は法律を変えて、監獄でロボトミーをしようとしています。私達人民を直接弾圧する権力の手先は、それは被害妄想だ、ロボトミーするのは、十人に一人ぐらいだと笑います。
 「これからの 刑務所は タバコプカプカ 通勤テクテク ワイワイイチャイチャ タノシイトコロ・・・・」という政府のコマーシャルにはマスコミを通して一般市民をごまかすのに成功しています。しかし二番目以下の歌詞、「文句いう奴、アタマクリクリ ロボトミー 理屈いう奴 アタマパクパク チンチンチンのチングレクトミー あゝ死にたいわのパープーアタマ お上に盾つく コワイコワイ 蹴られてニコニコ ぶたれてニコニコ 笑って暮せよ この囚人ブタども!」はまだ発表されておりません。
 最近はロボトミーの代りにそれを改良したチングレクトミーという大手術をします。頭蓋を大きく切り開いて、脳ミソの奥を切ります。丈夫な人でも一ヶ月以上歩けません。四肢が固まり、一生片輪になった人もおります。
 しかしロボトミーと違って知力は大体そっくり残り、その上、医師にとっては研究用の新鮮な生体脳が入手できるという魔法のような素晴らしい手術だと医師たちは自慢します。その通りです。チングレクトミーされると、知力は殆んど残り、外見もあまり変らないのに、気力も根気も失くなり、独立生活はできなくなります。手術の死亡率も高く、自殺者も絶えません。見たとこは普通のに生活もできなく、自殺して行くのは本当に魔法のようです。人が生きて行けるのは、知力や記憶力のためではないのです。人が失業や破産という大事件でも生きて行けるのは、情動のためです。チングレクトミーは、あんまり日常的なため、ことばでは説明できないけど、確実に存在している生きる歓びという情動を消します。
 私をチングレクトミーした医師三人は、手術中吸いとった私の脳ミソを使ったと論文を書いたことは私には秘密にしています。  精神外科はどんなに発達したものでも、病気でない脳を壊すという意味で殺人と同じです。生きていることだけで恐ろしい人間はおとなしいに決まっています。死んだ人はもっとおとなしいです。神経衰弱やノイローゼからの自殺意志は必ずいつかは消えます。しかし精神外科からの自殺意志は死ぬ迄消えません。
 私は手術のため、無気力になった上、八年間重いテンカン(発作性眩まい症)に苦しみました。自動車運転も自転車利用もできないのです。独りで入浴や水泳もできません。八年間毎月十回以上死に損っております。背中の骨折や動脈切断や海中転落、自動車衝突など数えたらきりがありません。しかし、私の母を説得した医学博士達は、「手術すると収入は半分くらいに減るかも知れないが、絶対に警察沙汰は起こさなくなる」とか、「非常に高価な手術だが、お宅の場合は特別扱い、無料にします。」とか色々説明しましたが、必ず起きるテンカンは一切隠しました。「手術すれば収入は半分云々」といった医師は今は国立大学の教授です。これがこの腐った社会の正体です。
 精神外科されますと、人並みな希望とか信念ということとは縁が切れます。精神外科は脳を壊して、別の人間としてしまいます。チングレクトミーされた私は非常に疲れ易く、昔、書くのが仕事だったくせに本状をを五日がかりで書いているザマです。
 私は三里塚闘争などで権力に歯向って頭を叩き割られたのでないことが口惜しい。反対にルンプロ出身のくせにして権力体制内で成功しようと汲汲し、権力の手先にチングレクトミーされたのが恥かしいです。皆さんは絶対こんな間違いはしないで下さい。
 権力の手先医師達は色々とややこしい名の手術を開発しています。どんなにうまいウソを並べ立てても、みんなロボトミーと変りありません。ロボトミーは精神外科の原点です。あらゆる精神外科をロボトミーと呼びましょう。或は、精神外科・サイコロジカル・サージェリの頭文字をとって、PSと呼ぶかは皆さんが決めることです。
 ロ全共の皆さん、人民は非国民となりました。権力は法律を変えて、監獄では人民を自由勝手にロボトミーしようとしています。ロボトミー反対運動して、監獄にブチ込まれて、ロボトミーされる―こういう社会を許すことはできません。
 生きているという事実は、一瞬の幻に過ぎません。正しい世の中でしたら、この一瞬は永却の歓喜であり、それが人生です。しかし悪が栄える搾取資本主義では、人民はロボトミーで恫喝され、汚職の中に生かされます。人民という言葉を口にしても白い眼で見られます。正義や理想に従って行動すれば、失職したり破産します。こんな社会は叩き潰さねばなりません。権力の手先も多くは塗炭をなめています。ただ彼らの多くは事実を知らないか、又は勇気がないのです。貧乏も恐れます。
 ロ全共の皆さん、
 皆さんの団結したロボトミー粉砕の怒号は、搾取資本権力を粉砕します。
 皆さん、死ぬことは一度しかできないのです。汚職をなめて生きる人生より、権力打倒の戦に散華する人生を選びましょう。美しい、意義ある散華こそ、人生を永遠とします。あなたの歴史に留めます。
 皆さんの団結の戦いを祈ります。
 人生は一瞬の幻に過ぎません。幻は美しくしましょう。
 私の魂は皆さんと共にあります。
 以上

赤堀政夫さん
全国ロボトミーキュウダン共斗会議集会ニサンカシテクレタミナサン方、コノタビハイソガシイトコロサンカヲシテクレマシタ。ミナサン方ゴクロウサマデシタ。タイヘンデシタネ、オツカレサマデス。オレイイイマス、カンシャシテイマス。セイシンビョウ者ノミナサン方ハジメ身体ショウガイ者ミナサン方ノ人タチヲシッカリマモッテヤリマショウ、アタタカク、アイジョウモッテ下サイ。ケンゼン者ノミナサン方ハ、ドウカセキニンモッテヤッテ下サイ。
アカボリマサヲハジメトシテ大ノモエ子サン、ホカニモセイシンビョウノ人間ガ大ゼイオリマス。入院中ノ人タチ通院者ノ人タチガオリマス。ケンジョウノ人タチニハビョウ人ノ人タチノビョウ中デアリマストキノクルシミガアリマス、ヒドイイタミガアリマス。ビョウカドンナニオソロシイノカイロンナナヤミガアリマス。
カナシミガアリマス、キノドクナカワイソウナ人タチデスヨ。
ケンジョウ者ノミナサンハモット シンケンニシンケンニ、マジメニ一生ケンメイ ビョウ者ノ人タチノビョウニツイテ ビョウニカカッテ 病気ニオカサレテイマス イタムノデス ヒドククルシイノデス ナヤミマス カナシミマス ケンゼン者ノ人タチハ チョクセツニビョウ者ノ人タチニアッテヤッテ下サイ。ソシテアッテナカヨクミンナデハナシアッテ下サイ。
ソウダンシナサイ、ソシテビョウ人ノ人タチカラタイケンシタハナシヲハナシテモライナサイ。キカセテモライナサイ、タイケンヲシテキタビョウキ中ノコトニツイテ本人カライロイロハナシテモライナサイ。ミナサンハキカセテモライナサイ、ハナシヲキケバドンナ人デモ ワカッテクレマス ソノウエデビョウ者ノ人タチヲタスケテヤリマショウ 友ダチニアナタハナッテヤリナサイ
コウサイヲカナラズシテ下サイ タスケテヤッテ下サイ ミナサンノシュウカイノ中ニショウガイ者ノ人タチヲサソッテヤリマショウ イッショニアツマッテナカヨクハナシアッテ下サイ。ソウダンヲシテ下サイ カンガエテミマショウ 力ニナッテヤリナサイ 協力シテアゲナサイ
絶対ニ、ロボトミーノ治療ハ絶対ニヤラセヌヨウニシマショウ。
反対スルタメノ斗争ヲミンナデヤリマショウ。障害者ノ差別アツカイハナクシテユキマショウ。
人サマノ悪口ヲ健常者ハ絶対ニ言ワナイヨウニシナサイ気チガイ呼バワリヲシナイヨウニアナタハシナサイ 親切ニシテヤリナサイ タスケテヤッテ下サイ 守ッテヤリマショウ 救援スルタメニミンナハ必ズ大勢参加シテ下サイ 参加ヲオ願イヲシマス 協力シテ下サイ
ロボトミー裁判斗争ノホウデ最後マデ斗ッテ下サイ、ソシテ勝利シテ下サイ ガンバッテ下サイ、カゲナガラワタクシハ神サマニ向ッテ、一生ケンメイニ祈ッテイマス
勝利シテ下サイ、タイヘンショウ 最後マデシッカリミナサンハ必ズガンバッテ下サイ。
サヨウナラ
ロボトミー糾弾全口共斗会議
伊藤彰信様へ
家族ノミナサマヘ
病者ノミナサマヘ
支援団体ノミナサマヘ
弁護団ノミナサマヘ
大野萌子サマヘ
無実ノ死刑囚ノ人間デアリマス
赤堀政夫51才 サヨウナラ

ロ全共第二回大会へのメッセージ
全国「精神病者」集団
大野 萌子
 ロボトミーは、被術者当人の利益をはかるのではなく被術者を反社会的人格と規定し、それから社会を守るといったイデオロギーで支えられ、執刃されている、と考えます。本来医療とはいえず、反医療=制裁の類にあるでしょう。
 私たち「精神障害者」に向け、或いは、体制批判者に向け、それを強行しつづけた精神医療は、反人民的に機能し、人民圧殺を計ってきたことは許しがたいものです。
 一方ロボトミー手術は、被術者に再起の困難な後遺症を残し、様々な生活上の支障をもたらしている。わが国において、ロボトミーを反医療行為として法的廃絶に向けて、強硬に闘わなければならない。
 現在、強制医療を公然とうち出している監獄法の改悪が、法制審の総会で急ピッチですすめられている。その状況をみるならば、「医療」をも無視し、ロボトミーを含めた人民支配を貫徹せんとする監獄法との斗いも同時に闘わなければならない。
 ロボトミー裁判の勝利とロボトミー廃絶に向けて、共に闘いましょう。

7・13ロボトミー糾弾全国共斗会議第2回大会に結集した日雇の仲間・労働者・学生氏諸君!横浜拘置支所から本集会に向けて、若干のアピールを送りたいと思います。
俺達は、すべての斗いを強化してゆく中で、A氏をロボトミーにしたケタオチ杉田、多くの日雇・下層の人々をロボトミーにしたケタオチヤブ医者等々のケタオチどもをけちらし、今あるロボトミーとされた仲間達の斗いを一ツ一ツ勝ち取って行く中で、まだ多くの日雇下層の中にいるロボトミーとされても何も言えない者、等々の人々をさがし出す中で、すべてのロボトミーを廃絶に追いこんで行くべきだし、それには 一人一人が、今、斗っている斗い共々強固な斗いを斗い築き上げて行かなければいけないと思います!
「ロボトミー手術」これは俺にも無償ではないと思うし、俺は一九七一年に釜ヶ崎に流れて行き何も分からなかったけど、暴動から斗いを知った!それまでの俺はあおかんをしたり、等々と言って帰る家もなくフラフラしていた。
そんな中で、沢山の日雇の死を見てきたし自分も何回も何回も、凍死様々な形で死にそうになった。それに対して怨む事もやり返す事もできなかった。もしあの時の状態で今いて、そしてアル中になったらA氏や多くの日雇、下層の仲間の様に、精神病院にブチ込まれロボトミーとされたかも知れない。寄せ場には斗う事を知らない日雇が沢山いる。その多くの者が、アル中等々と言った様々な形で、病院にブチ込まれている。その中にはロボトミー手術をされた者も沢山いるだろうし、何よりも、A氏の体がものがたっている。日雇の中には、ロボトミーとされた者はまだまだ沢山いるかも知れない。俺達が生きつづけるためには、 絶対に絶対に斗いつづけなければいけないのと同時に、ロボトミーを絶対に廃絶して無念の涙を飲んで死んだ!否℃Eされた日雇ロボトミーとされ傷つけられ殺された多くの下層の者の怒り怨みを燃しつづけ斗いつづけなければいけないと思う。なぜ下層であれば、あるほど、虐げられなければいけないのだ。 南チョソンでも、多くの下層の者は沢山殺されている。アメリカでも黒人インディアンが沢山殺されている。日本では、日雇が沢山殺されている。斗う学生、知識人にすら、ルンプロ。きたない者等々の罵声の中で。使い切り捨てられ、殺されても当然な者と言われている。もしロボトミーの斗いがなかったら、どうだろうか? 寄せ場に斗いがなかったらどうだろうか? 殺されても当然と言われ、ロボトミーされても当然とされてしまう。南チョソン ブラックアメリカ。日雇この者達の斗いは、生きるための斗い、ロボトミーの斗い同様に凄く大事な斗いであり、日雇の斗い、ロボトミーの斗いは共有して行く中で、斗わなければいけないと思うしいつまでも、共に斗いつづけなければいけないと思う。
ロ全共に結集した仲間達、ロボトミーを受けてない者も、受けたと己を位置づける中で、怒り怨みをケタオチどもにブチつづけ、己がロボトミーをされたのだ・・・・・と己の肝に命じつづける中で、ロボトミー廃絶、日雇完全解放のために共にいつまでもいつまでも斗いつづけよう!
明日は斗う者のためにあるのであり、俺達日雇のためにあるのだ。
俺達の明日のために 共に斗わん!
怒り怨みを斗いに転化して共に斗わん!
ロボトミー廃絶!
日雇完全解放斗争勝利!
一九八〇年七月九日
横浜拘置支所在監
日雇労働者 ジョー!

ロ全共第二回大会の成功を踏まえ
さらなる前進をたたかいとろう!
ロ全共 議長 伊藤彰信
ロボトミー糾弾全国共斗会議は、去る七月一三日、第二回大会を開催しました。お忙しい中、遠路はるばる参加された方、またメッセージをお寄せ下さった方々に心からお礼申しあげます。おかげさまで大会を成功させることができました。
参加者が多くて盛会であったとはいえませんが、この一年間の活動をまとめ、向こう一年間の方針を確認したことは大きな意味があるだろうと思います。事務局では、大会に向けて総括や運動方針をはじめ、情勢分析、「障害者」解放斗争とのかかわりなどについて議論をしました。十分な議論とはいえませんが、日常活動の問題だけでなく、基本的な問題について議論をして 議案書をつくりあげてきました。このような作業を年一回の大会ごとにおこない、成果と欠陥を明らかにしつつ活動をつみあげていくことは、全国組織としての組織活動をおこなう上で絶対に必要であり、少なくとも第二回大会は、そのような活動の基礎をつくれたと自信をもった次第です。
この一年間は、時効のせまったSさんの提訴に活動の力量をほとんど注ぎこみましたが、これからは、本格的なロ全共活動をつくりあげなければなりません。第二回大会は、その基礎を固めるのにふさわしい大会であったと思います。
さて、今回の大会で提案した内容で、大きな柱は三点ありました。口共全をロボトミー糾弾斗争の連絡調整機関化すること、名古屋M氏裁判斗争、桜庭さんの支援活動の三点です。

●ロ全共の位置づけ●
まず、ロ全共をロボトミー糾弾斗争の連絡調整機関化するということについて述べてみましょう。昨年の結成大会では、ロ全共をロボトミー糾弾斗争の全国的な斗争指導機関として位置づけ、組織的にも単一性の強い、またそれを志向するする組織として位置づけました。
しかし現実では、裁判斗争を支えていくことがやっとであり、厚生省斗争や病院糾弾斗争でさえなかなか斗うことができない実態です。
私は、結成大会で確認した位置づけが誤ったものだとは思いませんし、追求しなければならない課題だと考えています。しかし、実態とかけはなれた位置づけをふりまわしても意味がありませんから、まず裁判斗争をたたかいぬく、そしてそれを支える組織を地域ごとに確立していくことが必要だと考え、ロ全共は、当面、そのような地域ごとのロボトミー糾弾斗争の連絡調整をはかり、全国的なたたかいの前進を任っていくという位置づけの変更を提案したわけです。
この提案を後退におわらせないためには、なによりも地域のロボトミー糾弾斗争の組織化が重要であり、会員のみなさんの肩にかかっている問題だと思います。

○名古屋M氏裁判斗争○
 つぎに名古屋M氏裁判斗争について触れたいと思います。七月一一日に結審し、いよいよ一〇月二四日に判決がおりることになりました。弁護士の予想では、札幌型判決がおりるのではないかということです。
 すなわち、十分に治療をほどこさなかったこと、本人の同意をとらなかったで医師の罪は認めるが、ロボトミーそのものについては合法であるという内容です。
 私たちは、ロボトミーを肯定した札幌判決を批判してきました。名古屋でもこのような札幌と同じような判決があるならば、断固として批判していかなければなりません。ロボトミーを公認してきた国の責任を追及している東京や青森の裁判に重要な影響をおよぼすからです。
 私たちは裁判斗争に本当に勝利していくために一番重要なことはロボトミー被害の甚大性を訴え、それを声に大にして叫ぶ被術者の決起だということを忘れてはならないと思います。法律上の論争や学術上の論争に勝利しても、実際に裁判で勝利することになかなかつながらないと思います。医師や弁護士まかせの裁判でなく、ロボトミー被術者の怒りを代表する斗争としての裁判斗争としての位置づけがないとたたかいにはなりません。
 今年は一九八〇年、民法上の時効が二〇年ですから、一九六〇年(昭和三五年)以前にロボトミーをやられた人は、裁判を起こすことすらできないわけです。わが国に何万人のロボトミー被術者がいるかわかりませんが、そのほとんどは一九六〇年以前にロボトミーをやられた人でしょう。それらの人たちが、ロボトミー糾弾斗争にたちあがるためには、ロボトミー被術者の医療上、生活上の保障を要求してたちあがること以外に道はないと考えます。そのためには厚生省斗争が重要なわけですが、そのようなロボトミー被術者の大衆的決起という背景があって、はじめて裁判も社会的問題としてとりあげられていくことになると思います。それゆえ裁判では、ロボトミーそのものを否定すること、国の責任を追及することが何よりも重要になることを再確認しなければならないと思います。一〇月二四日の名古屋判決を前に、裁判斗争の意義と限界をはっきりふまえ、判決をテコにどのような運動をつくりあげていくのか、議論を深める必要があると思います。
 
●桜庭さんの支援●
 さらに桜庭さんの支援の問題です。先に述べたことからも被術者の団結の重要性は理解してもらえると思いますが、その被術者の団結をつくる上でも、桜庭さんを支援していくことは重要なことだと思います。
 精神外科に対する被術者の怒りこそが、たたかいの出発点であることを確認することです。私たちは殺人という行為を肯定するわけではありませんが、私たちの運動がもっと組織的につくられていたならば、桜庭さんはきっと私たちと共にたたかっていたと思います。私たちは、運動の不十分性をふまえた上で、今からでも獄中、獄外を結ぶたたかいをつくっていかなければなりません。たたかいに決起する被術者を断固として支援するという、たたかいの中での連帯の姿勢を貫くことが、本当にたたかう被術者との団結をつくりあげることだと思います。
 みなさん、桜庭さんに手紙をだしましょう。
 面接にいきましょう。鉄格子を越える連帯をつくりだすことからはじめたらよいと思います。桜庭さんが生き抜いて、ロボトミー糾弾斗争を私たちと共にたたかうように訴え、被術者との団結をつよめていきたいと思います。
 以上 第二回大会で大きな柱として提起した問題について述べてきました。
 第二回大会の成功を踏まえてさらなるロボトミー糾弾斗争の前進を着実につくりあげいこうではありませんか。

10・24 判決闘争に全国から結集せよ
7月11日、名古屋M氏訴訟、結審す。
 一九八〇年七月一一日(金)午前一〇時、名古屋地裁一〇〇四号法定で、Mさん公判が開かれ、M支会・ロ全共・病者集団・笹島労仂者有志の会などの見守る中で、裁判長が若干の意見証について話された后に、一審裁判は終結ー結審しました。
 名古屋Mさんロボトミー事件とは、昭和43年(一九六八年)不眠に悩むMさんが警察署から守山十全病院(当時香流病院・現紘仁病院)に強制入院させられ、弁護士あてに退院依頼の手紙を書いた所、「懲罰」として保護室にぶちこまれ、ロベクトミー手術を強行されたという事件です。Mさんはその後、M支会メンバーの支援をうけて昭和48年(一九七三年)11月に、守山十全病院院長重富克美と執刃医岩田金次郎(愛知医大脳外教授)の両者を相手どって名古屋地裁にロボトミー裁判を提訴した。昭和48年12月には「守山十全病院におけるロボトミーを糾弾し、M氏訴訟を支援する会」が、名古屋の先進的医師・知識人・労仂者・学生・市民など一五〇名で結成され、以後足かけ8年にわたるロボトミー裁判が闘われてきた。
 この裁判では、石川・青木・吉田医師らが証人に立ち、ロボトミー手術(ロベクトミー)の保安処分的性格・反医療性等が争われた。
 この名古屋ロボトミー裁判は、札幌に次ぐ日本で2番目のロボトミー裁判で、後の東京地裁、青森地裁につながる重要な位置をしめ、8年間にも及ぶ裁判闘争を闘い抜いてきたMさんとM支会の苦闘は高く評価しなければならない。
 我々は、10月24日に予定されている判決に向けた諸行動(集会・デモ)を全力をあげて取り組み、名古屋におけるロボトミー糾弾闘争をもりあげ、M支会の再組織をかちとり、全国のロボトミー闘争の前進をかちとることが大切です。

「札幌型判決」を打ち砕け!
 しかし、10月24日に予定されている名古屋判決は、一説によると「札幌型判決」が予想されています。
 札幌判決(78年9月)の問題点は、患者の「勝訴」という一見進歩的な判決であるかのようによそおいながらも、その内容は「同意がない・他の療法も尽していない」とするだけで、肝心のロボトミー手術については「合法」とするものであり、とくに治療指針で精神外科を公認した国の責任を免罪するという許しがたい内容であったことは、記憶に新しいことです。
 ロ全共結成の一つの目的は、札幌判決にみられるような国の責任を免罪しようとする策謀を粉砕し、ロボトミー糾弾の全国的運動を創出し、国・厚生省を追及してゆくことにもあります。
 私たちは、10月24日の判決が、国を相手としている東京・青森の裁判との関係でどのような判断が下されるのか注目しなければならない。
 全国のロボトミー裁判は有機的に結合しており名古屋ロボトミー裁判は孤立して闘われているのでは決してないからである。
 仮りに名古屋判決が、国を免罪し、東京・青森の裁判を不利にみちびくような内容をもったいわゆる「札幌型勝訴」であるとするならば、我々はこれを名古屋M支会の諸君と共に全力で粉砕しなければならない。
 名古屋の諸君に問われているのは、まさしくこうした札幌型判決をロ全共と共に批判し粉砕してゆく視点であり、ロボトミー糾弾闘争の全国展開をかちとってゆくことである。
 医師のモラル向上運動としての精神医療変革運動はすでに全国的に終りを告げている。今后の運動を荷いうるのは、労仂者階級の運動と「精神障害者」の運動である。プロレタリア運動と「精神障害者」と結合し、国家権力の保安処分政策を粉砕する全国運動を形成し、また全国で一万人?四万人といわれる精神外科被術者の全国結合をかちとり、国・厚生省の責任を追及してゆかなければならない。


10・24名古屋判決闘争に結集せよ!
10・24名古屋判決に向けた諸行動を整備し、M支会の再建・ロ全共の発展に向けて共に闘おうではありませんか。
時 一九八〇・一〇・二四(午前9時)
所 名古屋市 ライオンパーク 結集
(デモで裁判所へ 判決は10時。
判決後は裁判所四階で「判決報告会」を開きます。)

7・5監獄法改悪粉砕!
全国統一抗議行動
 ロ全共に結集する全ての皆さん!
 去る7月5日、労働者・「障害」者・市民・学生など百名近くにのぼる大団結によって勝ち取られた、監獄法改悪阻止全国統一抗議行動(「監獄法改悪を許さない全国連絡会議」主催)の報告を行なってゆきたい。
 午後六時過ぎより、続々と労働者部隊が、銀座水谷喬公園に集まる中、まず、集会が持たれた。集会では、斗う労働者・学生・市民から、それぞれ本日の斗いに決起する固い決意と熱き連帯の言葉が寄せられた。この中で、赤堀中斗委を代表して大野さんから「監獄法改悪は、赤堀さんをはじめとする全ての『障害者』にかけられた攻撃である。これを断固粉砕しなければならない」との力強い発言があったことに注目したい。
 集会に引き続き、法務省に向けてデモ行進を貫徹した。各々が、手に手に獄中における看守の弾圧などを風刺したプラッカードを持ち、道行く市民にビラ等で監獄法改悪の反動性を訴えつつ、参加者一致結束したデモを整然と行なっていった。
 最後に、日比谷公園内で本日の斗いの総括と今秋にも見込まれている「改正」法案国会上程を絶対に阻止しようとの監全連からのアッピールを受け、法務省に向けて、怒りと抗議のシュプレヒコールを行ない、決意をあらたに、この斗いを終えていった。
 監獄法改悪における最大の焦点は、国家処遇権の導入である。これを支える思想は、ロボトミー(=精神外科)のものと同じであり、つまり、「反社会的」人間の「性格・人格等の変格を目差した特定のプログラム」を国家が行なおうということ、この人格変造の思想は、ロボトミーを支えてきた思想と共通している。更に、また監獄法改悪によって治療的処遇・獄中「医療」の名の下で、ロボトミーを合法化せんと図っているのだ。
 われわれロ全共としては、今後も監獄法改悪阻止の斗いをわれわれ自身の斗いとして、はっきりとらえ、各地域におけるロボトミー糾弾斗争と監獄法改悪阻止斗争の勝利に向けて、前進してゆこうではないか!

7・18
静岡県当局の闘う「精神障害者」への強制的精神鑑定事件に抗議する!
 去る六月一六日に、静岡県在住の元桜ヶ丘の患者で桜庭さん救援闘争にもかかわってきたIさんが、静岡県の南富士精神病院の実態を告発するビラをまいたこと理由に静岡県衛生部の医師によって強制的に「精神鑑定」される、という事件が起きました。この精神鑑定は、精神衛生法二四条の「警察官通報」にもとづくもので、Iさんには、精神鑑定だとも知らされずに、だましうち的に行なわれ、7月1日の家族への通知では、鑑定結果は「精神病質。在宅治療の要あり。」というものでした。
 「精神障害者」の人権を不当に侵害ふするこの事件に抗議するために、七月一八日(金)午後二時、静岡県庁で、県衛生部予防課(塚田係長)との事実確認交渉が開かれた。この交渉には、日本精神神経学会評議員内藤氏、東大精医連、救援連絡センター、精神科医、ロ全共事務局全国「精神病」者集団、静岡赤堀、ルポライター佐藤友之氏、共同、毎日の記者など10数名が参加しました。
 この日の交渉では、県衛生部予防課係長塚田は、次のように発言した。@「ビラにかかれた事実については調査していないし、調査する必要もない。この南富士病院はちゃんとやっている。(県の監査にパスしている)ビラの事実は調査していないが、ビラを書いたIさんは精神鑑定する必要があると判断した。」A「Iさんには入院歴があり、精神障害者のうたがいがある。」B「ビラの内容は、侮辱・名誉棄損で、精神衛生法の『他害』にあたる。」C「県の精神医療の有力者の参加している公費負担を決定する審査会でIさんのことが話題になり、鑑定したらどうかという話があった。」D「日弁連はIさんの問題を取りあげない決定を行なった『覚書』を出しており、静岡県精神病院協会事務局からその文書をもらった。」(注、この「覚書」は全くの偽造文書である。)E「父親が南富士病院の人と一緒にきて、Iさんに精神鑑定してくれと頼んだ。」
 この事件は、南富士病院の問題について、病者のIさんが南富士病院を社会的に告発しているいわば係争中の事件に対して、県当局が一方の南富士病院の実態については何ら調査せずに、もう一方の告発した「病者」だけは精神鑑定にかけたという事件であり、「精神障害者」の人権の重大な侵害事件です。「精神障害者」が、精神病院を告発すれば、精神鑑定され、「治療の必要あり」とされるのでは、「精神障害者」は何も言えなくなります。
 これは、全国「精神病」者集団や、精神医療の荒廃を変革しようとする者総体にかけられた弾圧です。(これは病者のビラに多少の誇張した表現があったか否か、とは別問題である)
 また。この事件では、行政当局と警察・保健所・精神病院が一体となってゆ着し、旧態依然たる人権無視の精神医療行政(地域管理体制)を行なっている事実も明らかである。
 多くの仲間に、地域精神医療管理体制の粉砕の闘いの一環として、この闘いに協力することを訴えます。

6・29ロボトミー糾弾秋田集会開かれる
―午前にはロ全共幹事会―
 Aさんがロボトミー糾弾に立ち上がって、早七年が過ぎた。秋田におけるロボトミー糾弾斗争は、斗う労働者・学生の支援を受けながら続けられている。Aさんの斗いは、現在東京地裁における裁判斗争にその重点がおかれている。この秋田集会が、弘前の地において今年二月、国・病院を相手取ってロボトミー糾弾裁判に立ち上がったSさん・S支会を初めとする五十余名にのぼる参加によってから取られたことは、今後のロボトミー斗争の広がりを示しているだろう。
 集会は、A支会と秋大医問研の共催により開かれた。東北精神科医師連合の壇原氏の講演では、精神外科の歴史、精神外科が人間性を奪い去るものであり廃止されねばならぬこと、最近では精神外科手術が巧妙になってきていること等、Aさんと共に斗い、さらに斗いの輪を広げていかねばならないと、述べられた。次に、秋大医問研より基調報告がなされ、ロボトミー斗争の現状、ロボトミーの思想性・人体実験的性格をふまえて、ロボトミー糾弾斗争を、差別糾弾・治安管理体制粉砕の斗いと位置づけ、権力そのものと対峠する斗いとして斗いぬかねばならないとの力強い報告であった。その後、AさんSさんからの決意表明、A支会・S支会・秋田青い芝の会、秋大教育問題研究会、秋大医問研・ロ全共など各団体からの連帯アピールがあり、成功に集会がかちとられた。
 同日、午前中には、ロ全共幹事会が開かれた。Aさん・Sさん・A支会・S支会・秋大医問研・秋田の斗う労働者・ロ全共事務局等20数名の参加があった。事務局から、ロ全共第二回大会に向けた活動報告・情勢・運動方針などの草案が提案され、活発な討論がかわされた。S支会からは、Sさんの第一回公判決起集会で、全障連東北Bとの交流がかちとられ、今後も精神障害者解放運動を中心にして、ロボトミー糾弾斗争を斗っていきたいとの発言があった。またA支会からは、裁判斗争が証人尋問に入る段階であり、国批判を文章化していきたいとの報告があった。さらに『精神病者』表現についての問題が出され、治る治らないという観点で考えることは危険であり、「精神病」が社会的に作られたものであることを考えれば、「精神障害者」という表現に訂正・統一すべきであるとなった。
 今年度のロ全共運動は、裁判提訴の限界の時期であることを考えれば、被術者結合をもとに、厚生省斗争・学会斗争へさらに一歩踏み出すことが必要であるとの発言があった。これに対し、議長から、具体的に、Mさんの斗い、桜庭さんの斗いを強化していき、大衆斗争としてロボトミー糾弾斗争を盛りあげていく必要性が述べられた。討論の後、基本的には、事務局原案が認められ、幹事会は終わった。

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発行日 1980年 8月 1日
連絡先 横浜市港南区野庭町619
    野庭団地 21012
伊 藤 彰 信
TEL 045ー843ー3765
振替口座 東京 4ー16786
定価 100円

闘争スケジュール
8月2日(土)全障連第5回仙台交流大会
  3日(日)       於、 東北大川内校舎 AM9:00〜
8月21日  ロ全共学習会・拡大事務局会議
              於、南部労政会館 PM7:00〜
8月18日(月)桜庭さん救援会議
              於、東大 PM6:30〜
10月4日(土)病院精神医学会    於、兵庫
10月24日(金)名古屋M支会判決公判・総決起集会
       於、名古屋ライオンズ     AM9:00〜
10月27日(月)A支会第17回公判
              於、東京地裁  AM10:00〜
10月28日(火)青森S支会第3回公判               於、青森地裁  PM2:50〜

訂正とお詫び
ロ全共機関紙第5号に掲載した「桜庭さんと共に生きて闘おう」の記事にある。桜庭さんの面会時の発言で、「八王子拘置所の劣悪な処遇」という部分は誤りで、「本邦拘置所の劣悪な処遇」と訂正し、お詫びします。
(ロ全共 編集部)


*作成:桐原 尚之
UP:2011528 REV:20110625
精神外科:ロボトミー  ◇ロボトミー殺人事件(1979)  ◇ロボトミー糾弾全国共闘会議(ロ全共)  ◇全文掲載 
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