HOME > 全文掲載 >

仮称「精神障害者福祉法」試案

全国精神障害者家族会連合会 19800218

last update:20140601

仮称「精神障害者福祉法」試案
全国精神障害者家族会連合会福祉問題研究部会

まえがき
これは、全家連福祉問題研究部会で作成したもので、一つの試案である。精神障害者を持つ家族の気持ちから、その願いをこめて作ったものであるが、専門家から見ると、不備・不完全で、且つ用語も適正を欠いていることもあろう。
 現在、全国で展開中の福祉法制定運動に間に合わせるため急きょ作成したもので、したがって幾多の不備もあろうが、今後大方のご意見を承り、よりよいものにしていきたい次第である。

精神障害者福祉法(案)
(目的)
第1条 この法律は精神障害者に対し、その医療を適切に行うとともに、社会復帰のための必要なる施策を講じ、併せてその家族に援助を行い、もって精神障害者の福祉を図ることを目的とする。

(国と地方公共団体の責務)
第2条 国及び地方公共団体は精神障害者の福祉については国民に理解を深めるとともに、精神障害者に対する更生の援助と必要なる保護の実施につとめなければならない。

(定義)
第3条 この法律において精神障害者とは、精神衛生法第3条に該当するものをいう。但し精神薄弱者は除くものとする。

(援護の機関)
第4条 この法律に定める精神障害者に対する援護は、居住地を有する精神障害者については、その居住地の都道府県知事、又は市町村長が、又居住地を有しないか、明らかでない精神障害者については、その現在地の都道府県知事が行なうものとし、
(1)福祉の措置と援護については、所管の福祉事務所が行い、
(2)医療と保護については書簡の保健所が行うものとする。

第5条 国及び地方公共団体は、重度の精神障害があり、自立することの著しく困難な精神障害者について、終生にわたり必要な保護等を行うよう努めなければならない。

(精神障害者福祉司)
第6条 全第4条の援護を確実にする為、新に各福祉事務所に専任の職員として精神障害者福祉司をおくものとする。

(福祉の措置)
第7条 国並びに、第4条の援護の機関(以下、機関という)は次の施設を設置しなければならない。
(イ)社会復帰の為の各種機関と施設
(ロ)宿泊提供施設
(ハ)授産事業施設 A種 社会復帰
B種 生産授産
(ニ)保護工場、福祉向上

(更生判定相談業務)
第8条 「機関」は精神障害者の更生と障害の内容について判定を必要とする場合、当該精神障害者又はその保護義務者の同意をえて、次の機関を指定し行うものとする。
(イ)国立精神衛生研究所
(ロ)各県精神衛生センター
(ハ)障害者更生相談所
(ニ)精神科医療機関
判定は次の内容をもつものとする。
医学判定、機能判定、心理判定、社会適応判定

(判定に対する国又は「機関」の責任)
第9条 国又は「機関」は第7条による判定意見を尊重し、当該精神障害者又はその保護義務者の同意を得て、判定に適応した措置を講じなければならない。

(協力の措置)
第10条 国と「機関」は本法律の実施に伴い各関係機関、団体と協力し、精神衛生福祉事業に関する情報の交換と啓発に努めなければならない。

(費用の負担)
第11条 国はこの法律に定める機関、施設の設置については地方公共団体と協議の上、費用を分担しなければならない福祉施設の運営については別途、実施要綱に基づくものとする。

(福祉工場への協力)
第12条 保護工場、福祉工場、授産施設事業の円滑なる育成を図るため、国と地方公共団体は上記事務の産品又は役務の提供に関して適切なる協力をしなければならない。

(精神障害者への遺産配慮)
第13条 精神障害者の遺産並びに精神障害者の為にする家族の遺産に対する維持管理については十分なる配慮と適切なる施策を講じなければならない。

(精神障害者とその家族)
第14条 この法律にいう「精神障害者とその家族」の「その家族」とは精神衛生法20条にいう保護義務者をいう、但し保護義務者がその保護能力を喪失した場合、家族保護に代わって市町村長(特別区を含む)が同法21条によってなるが(ママ)、この法律においてはその市町村長が「その家族」となる。

(その家族への保護)
第15条 国及び地方公共団体は前第13条の「その家族」が負う精神衛生法22条、49条にいう精神障害者の保護監督扶養の義務、並びに財産上の利益の保護を遂行していく為に生ずる「その家族」の負担について「その家族」の要請に応じて必要なる保障をしなければならない。


*作成:桐原 尚之
UP:20140601
全国精神障害者家族会連合会(全家連)  ◇精神医学医療批判・改革  ◇精神障害/精神医療 
 
TOP HOME (http://www.arsvi.com)