HOME > 全文掲載 >

「第15回PSW協会大会「Y裁報告」に係るプリント」

多摩川保養院を告発し地域精神医療を考える会 19790121


裁判はY氏の勝利で終結しました。Y氏の多摩川保養所への不当入院に対する裁判は1979年5月8日に終結いたしました。8年にわたったこの裁判の結果は、何とかY氏を病気に仕立て上げて、入院手続がきちんととられていなかったことも正当化しようとする多摩川保養院が、その不条理に自ら力尽きて、ついに、無理押しすることができなくなり、Y氏に謝罪いたしました。このことにより、裁判はY氏の勝利に終わったわけです。しかし、これでY氏の抱えた問題が終わったわけではありません。現在、「多摩川保養院を告発し、地域精神医療を考える会」では、川崎市との交渉を続け、市の責任を追及しています。
 私たちは、PSW協会第15回大会を拒否します。今大会では、裁判報告を、この様にPSW協会側に朗読してもらうことになったのは、私たちが次の様に考えたからです。
 考える会では、内容の深まっていかない、単に協会の存続のみに目を向けている今大会を拒否する。しかし、協会員の中の一部真摯な人々に対する責任もあるので、一応の報告は行う。以上から、この様な報告形式となりました。
 私たちが、本大会参加拒否に至ったのは、次の様な経過及び考え方からです。
 今大会について、協会から何の連絡も受けていません。考える会では、10月に、一理事より、大会の折にY裁報告をしてもらえるか、との問いかけを受けて、これに対して、やりましょう、と答えました。しかし、連絡を受けたのはこれ一度きりで、大会については、何の連絡も受けていません。たまたま、考える会々員の中にはPSW協会員がいたことから、12月末、協会員各自に配布されていた通信と、プログラムによって、大会開催を初めて知ったのです。その後も、協会からは何の連絡も入っていません。ですから、本来なら、この様な形の報告すら私たちにはできないはずなのです。PSW協会は、大会プログラムにY裁和解報告を載せていますが、前述の様に、私たちには、時間の都合の問いかけはおろか、21日にプログラムしたことすら連絡はないのですから、これは、私たちを無視しているとしか受け取れません。つまり、報告の時間はとってあげました、というPSW協会側の一応の体裁を整えたにすぎないやり方です。そして、私たちが、大会開催を知らずにおり、不参加となった時には、おそらく報告時間をプログラムしたのに、それをすっぽかした考える会は無責任だ、とささやかれたことでしょう。この様なことは、こんな形の報告になっていることにすら、それだったら参加?て言えばいいじゃないか、というそしりとなって表れるだろうと思っています。
 それでも、私たちが、あえて参加拒否の形をとらざるをえなかったのは、その様な、PSW協会の自らを問い直そうとしない本質に、すっかりうんざりしてしまったからです。そして、私たち自身が裁判報告をすることで、仮にも、今大会を認めたととらえられることが恐ろしかったからです。
 このことは、ここ数年来、PSW協会に対してきた中で、嫌というほど知らされたことです。姿勢を正そうとしないPSW協会の体質、私たちは、横浜大会以来7年間にわたって、PSW協会に問題を提起し続けてきました。Y氏の不当入院へと積極的に動いてしまうPSWとはいかなる立場性を持っているのか、それはどのように乗り越えるのかを、Y問題を基本にすえながら各々の現場でつかみ、各地の具体的な問題にとりくもうと呼びかけてきたわけです。しかしながら、残念なことに、PSW協会は、これらの責任問題を深めることができず、いたづらに右往左往するのみでした。その結果、Y問題に端を発したPSW協会の機能停止に至る経過すら、総括されぬまま、何のための協会なのかも考えることなく、単に、PSW協会存続のための走り回ることをしています。その引き続きとして、第15回大会が設定されています。もう少し今抱えている問題の根源に目を向けようとするとする姿勢があったら、この様な総花的なプログラムにはならなかったことと思います。本来で言えば、Y問題のみを2日間にわたって討議すべきでしょう。今まで、Y問題は係争中だから、その理由から、自ら考えようとしなかった会員も?かったのですから、裁判そのものに一応の終結をみた今の時期をのがす手はないのです。
 以上のことから、今大会では、何ものをも生み出すことはできない、と考えます。PSW協会は、今後、Y問題を学び直し、ここ数年の協会の動きと共に、早急に総括すべきでしょう。
 以上が、現在の私たちの考え方です。Y問題について考え合おうという仲間がおりましたら、下記へ連絡してください。
横浜市緑区西八朔4−18 阿部信真
多摩川保養院を告発し、地域精神医療を考える会
第15回大会々長殿
以上である。

(精神医学ソーシャル・ワーク第13巻, 1979:116-117)

*作成:桐原 尚之
UP:20120707
Y事件(Y問題)  ◇精神医学医療批判・改革  ◇精神障害/精神医療   
TOP HOME (http://www.arsvi.com)