HOME > 全文掲載 >

「三百名―一二十数団体の結集で市民集会開催―圧倒的連帯と支援の声!!」

六・二四政府、自民党の弾圧介入に抗議し、東大精神科病棟自主管理斗争を支援する市民集会 19780624

last update:20110530

  6月24日の「政府=自民党の弾圧、介入に抗議し、東大精神科病棟自主管理斗争を支援する市民集会」は、医学部3号館講堂を満席にし、立錐の余地もない市民、労仂者、患者、家族、学生の結集の下に開催された。集会への叫びかけは、時間的に切迫した中でなされたにもかかわらず、このような多くの結集はこの間のマスコミ、政府・自民党・大学当局、一体となった赤レンガ=「精神障害者」」への差別弾圧キャンペーンに怒りを感じた人々の鋭い抗議と斗いの意思表示が敏感に表明されたものと理解される。事実・発言者は、全国「精神病者」集団、「関東患者有志」などの患者さん、「精神病院問題を考える市民運動の会」患者家族、陽和病院労仂組合などの精神病院労仂者、救援センターなどの市民運動団体などの多方面から、そして地域的には東北から京都、兵庫にわたる全国広汎な参加者を含め、医師層では、地域医療を担っている医師や東大病院の内科、小児科、また地方病院で解雇撤回斗争を斗っている医師の、また医療被害と斗っている弁護士の発言もあり、自主管理斗争の必然性と正当性について、またこれからの原則的運動の展開の必要性について熱っぽい発言が次々となされた。そして、集会で東大総長への要請文と分部大臣への抗議文が参加者全員で一致して採択された後、赤レンガー東大病院ー東大時計台のデモンストレーションが力強いシュプレヒコールで貫徹された。

  大学への弾圧介入は労仂者・市民への弾圧であり、自主管理斗争への差別・敵対は精神医療改革への差別・敵対である。

  この「市民集会」の意義は、第一に、東大への政府=自民党の弾圧・介入が、単に一個別大学への弾圧、介入としてあるのではなくて、抑圧に対して、差別に対して、また生活や人材を獲得しようとして斗う全ての人々に対する弾圧の先がけであり表裏一体となったものであることが明確になったことである。今や全ての弾圧の口実に「過激派」や「占拠」というレッテルはりがなされている。しかし事実をみればそれは権力者の一方的独断的なものであることがはっきりする。われわれは「大学問題」を「大学」の問題としてではなく、「社会」の問題として捉え、そのような立場で反撃していかねばならない。
また、この集会の第二の意義は、東大精神科自主管理斗争のもつ、精神医療改革運動での位置、その先駆的役割りが誰の目にも知らされたということである。ついにマスコミは、大学医局講座派のイデオローグ(?)秋元波留夫元教授までも登場させて、「官憲の導入」や「教授の選任」や「話し合いの中止」などを言わせている。この秋元の発言こそ、歴代の精神科教授が「患者」の人材や精神医療の改革をすすめるのではなく、医局権力の保身に骨身をけずっていたことを示すものである。はからずも反面教師として、彼のような存在こそが医師、医療労仂者―患者―家族―市民の一体となった反医局講座制の精神医療改革運動が必要であり、また正当であることを立証した。
  こうした二つの意義とともに、この集会が学内の諸運動体と学外の諸運動体―個人を結びつけ、相互の運動を深める端緒になったことも見逃してはならない。自主管理斗争はこの集会を契機に量・貸とともにその飛躍を可能にするだろう。

6月タイムリミット策動を粉砕し、さらなる連帯を
  本年1月から始まったサンケイ新聞の差別記事ー当局の赤レンガ病棟立入り→会計検査員の強行立入り→文部省・会計課長立入り→国会議員団の立入り調査策動→総長・医学部長・病院長の国会での質問と進んできた政府・文部省の直接的弾圧は、今後も余断を許さない情勢にある。しかしまた一方では、全ゆる支援と連帯の下での闘いで、公選任事実現の第一歩として連合委員長の森山氏の助手任命がこの間に獲得された。この緊迫した情勢で、今後一層の支援と連帯が要請されている。共に闘おう。

6・24に最終的に呼びかけとなった団体ー個人は、左記のとおりである。
高橋晄正(日本の医療を告発するすべての人々の集い)
相沢 力(東大第一内科)
別所文雄(東大小児科)
菱 俊雄(東大小児科医師連合)
宮地純彦(東大物内)
矢野英雄(東大整外)
榎本 武(府中病院)
高木 徹(後谷診療所)
高木宏子(後谷診療所)
外山 攻(八王子中野団地診療所)
香坂隆夫(志大総合病院)
綿野光治(志大総合病院)
大井武正(医師)
中里 武(東北医療情報センター)
青木薫久(根岸国立病院医師)
春本幸子(兵庫県スモンの会)
石坂美子(東京スモンの会)
水戸 厳(救援連絡センター)
浅田光輝(立正大教授)
田村一美(関東薬害問題研究会)
大野萠子(全国「精神病者」集団)
浅野弘毅(東北精神科医師連合)
檀原 鴨(山形病院精神科医)
横川弘明(山形病院精神科医)
百沢英勝(精神科医)
山下剛利(徳島大学精神科医)
鈴木知亜樹(京大精神科評議会議長)
星野往光(精神科医全国共斗会議)
川瀬典夫(南埼玉病院労組委員長)
小林民夫(陽和病院労組委員長)
二瀬和江(神奈川の精神医療を考える会)
スモン訴訟東京地裁原告団
(第二グループ判決派・団長松村雄)
石井英雄(東京スモン事務局長)
救援連絡センター
リハビリ救援会
国公労活事務局
精神障害者の人材を守る県民会議(徳島県)
本山ひろみ(川崎幸病院労組)
矢口 厳(川崎幸病院労組)
徳島大精神科医師会議
山谷日雇労仂者組合
関東患者有志
初声荘病院労仂組合
佐久間茂夫(ロボトミーを糾弾しAさんを支援する会)
北野 碧(第四四全国薬学生ゼミナール実行委)
赤松 信(彦根市立病院)
水野美彦(東大分院小児科)
水谷淳子(谷中耳鼻科医院)
保坂茂文(東大一外科)
遠藤 仁(東大薬理)
東大教育研究所
寿日雇労仂者組合
熊谷裕天(弁護士)
植村泰男(弁護士)
渓さゆり(精神病院問題を考える市民運動の会)
婦人民主クラブ
東大斗争被告団
杉本昌純(東大斗争弁護団)
助川 裕(弁護士)
弘中惇一郎(弁護士)
北村行夫(弁護士)
藤沢抱一(〃)
庄司 昊(〃)
山嵜 進(〃)
虎頭昭夫(〃)
西村国彦(〃)
添田修子(〃)
小野幸治(〃)
山口 広(〃)
黒田純吉(〃)
太田宗男(〃)
大谷恭子(〃)
森谷和馬(〃)
人民の大連合根源的統一戦線をめざす斗う青年労仂者学生市民のラジカル懇談会
庄子 宏(弁護士)
神戸大学医学部新聞会
『6/24政府自民党の弾圧第八に抗議し、東大精神科病棟自主管理斗争を支援する市民集会実行委員会』
〈連絡先〉東大病院精神科第一研究室

要請文
東京大学総長 向坊隆殿
  東大精神神経科病棟の問題が新聞紙上をにぎわし、国会でも取り上げられて、政府・自民党から「過激派」の「不法占拠」という一方的なきめつけが行なわれて、「六月末までに正常化」という通告が文部省より東大当局になされていると言われています。
またこのことと並行して「新大管派」の設立も言われています。
このような事態にあって、本日の「政府・自民党の弾圧介入に抗議し、東大精神科病棟自主管理斗争を支援する市民集会」に参加した私達は、東大総長に以下の要請をします。
@ 大学における研究・教育・診療は、一部国会議員や一部OB教授のためにあるのではなく、患者・家族・労働者・市民等のためにあるのであり、大学当局も本来そのような人々の立場にたつべきです。国家権力の一方的かつ強権的な圧力や弾圧に屈しないことを要請します。
A 日本における医療矛盾の根幹は、研究・教育・診療の独善的閉鎖的官僚的体制である医局講座制にあることが、すでに久しく多くの人々により指摘されています。今、東大精神科病棟で告発され、実践されている医局講座制への批判は、人々の立場にたった医療をつくるための正当かつ必要な斗いです。東大総長はこの事実を深刻にうけとめ、その改革のために努力されることを要請します。
B 「精神障害者」の人権と生活権は、日本においては明治以来決して考慮されることはなく、精神医療は拘禁と抑圧、薬漬けと営利のための手段へと堕落したまま今日に至っています。こうした中で東大精神科自主管理病棟の掲げている「精神障害者」の人権確立と解放の斗いは新たな人間社会をめざす多くの人々に連帯と共感を呼ぶものであります。かつて東大医学部では、多くの人体実験や研究至上主義による犠牲者を出してきましたが、その反省にたって「精神科病棟」の理念を今こそ全学的なものとし、働く人々、抑圧された人々・市民に開かれ、それらの人々と連帯する大学となることが必要です。わたし達にとって「精神科病棟」への弾圧は単にー大学ー臨床科の問題にとどまるものではなく、「精神障害者」解放、精神医療改革運動への弾圧であり決して許されるものではありません。
  東大総長は東大百年の権力に奉仕する歴史に終止符をうち、政府の弾圧路線に手をかさないよう要請します。
  わたし達は、病棟自主管理斗争を支持し、以上の三点を集会で確認し、東大総長に要請します。
  六月二十四日
  「六・二四 政府=自民党の弾圧・介入に抗議し東大精神科病棟自主管理斗争を支援する市民集会」参加者一同

抗議文
一、日本における医療矛盾の根幹は、大学における医局講座制にあることは、すでに指摘されている。そこでは、患者や市民、仂く人の為の医療ではなく、大学の医局の名誉や研究欲、支配圏の拡大のため、学会で努力を得るための研究・教育・診療が行われている。
  その結果が、一方ではスモン・サリドマイド、コラルジルの薬禍、未熟児網膜症などの世界に類をみない医療被害を発生させ、他方では、医大ブームの名の下に金儲けだけのための医学教育をつくり出すことになっている。この人民不在の日本の医療の責任は、その長きにわたって矛盾を放置し、育成してきた政府当局にあるのである。
  こうした自らの責任を反省することなく、矛盾の変革にたち上った人々を抑圧・弾圧しようとすることをわれわれは決して許すことはできない。
二、明治における日本の精神医療の創設者と呼ばいる呉秀三ですら、「精神障害者」が日本にあっては二重の抑圧にあることを指摘し、その抑圧と差別の変革を訴えてきた。
しかし、東大精神医療怠慢は、「患者」を守ることよりは、人体実験や業績主義、研究至上主義に毒されて、「患者」の立場から遠く離れ、「患者」を自らの努力の主役としか考えなくなった。政府当局もこのような情勢に安座し、「精神障害者」の人々・生活者には一切目をむけることなく、差別と抑圧の体制におとしこめてきた。のみならず、この間、刑法改「正」ー保安処分新設などによる一層の予断と偏見で「障害者」差別と管理をはかろうとしてきている。こうした政府当局の姿勢こそが、精神医療変革の運動を必然としたのであり、一切の責任は政府当局にある。
三、赤レンガ精神科病棟自主管理斗争は、単に大学の枠にとどまらず、医療・精神医療など広く、「患者」。家族、市民、労仂者と結びついた問題を提起している。われわれは、この斗いを支持し、国家権力による不当な弾圧や介入に抗議する。
文部省による「六月末タイムリミット」などという弾圧策動を許すことはできない。
断固として、ここに抗議する。
  一九七八年六月二十四日
  「六・二四政府、自民党の弾圧介入に抗議し、東大精神科病棟自主管理斗争を支援する市民集会」参加者一同
  文部大臣 砂田重民殿


*作成:桐原 尚之
UP:2010528 REV:20110809
東大病院精神神経科病棟(通称赤レンガ)占拠・自主管理
全国「精神病」者集団  ◇全文掲載 
TOP HOME (http://www.arsvi.com)