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日本生物学的精神医学会を糾弾する

全国「精神病」者団体 1978/05/08


 五月八日・九日、札幌において日本生物学的精神医学会第九回総会が開催されようとしている。私達はこの日本生物学的精神医学会を満腔の怒りをもって糾弾する。
 この日本生物学的生物学的会は「精神障害者」をモノとして扱い、「精神障害」の発生予防―「精神障害者」抹殺を目的とし、人体実験を重ねてきた。
 一九八四年一月には、彼らは岐阜大学医学部において、その本質を露呈させる事件を引き起こした。それは、A病院に措置入院されていた「精神病」者Bさんの妊娠を知るや、検査のためと称し、岐阜大学医学部に同意入院(入院形式の二重化)させ、一貫して「子供を生みたい」と表明しているBさんの意志を踏みにじり、人工中絶させたのである。その上、中絶させた胎児の脳をBさんの了解を確認することすら行わずに解剖して、向精神薬の分布、胎児への影響を調べるといった暴挙を行った。
 これらに関与したのは、生物学的精神医学会の中心人物であった。
 こうした事実が暴露されたにもかかわらず、生物学的精神医学会は、何等反省を行わず、一九八六年四月、金沢市において学会を強行しようとした。さらに私服警官を学会内に導入し、私達の糾弾闘争を妨害しようとした。
 私達は、Bさんに加えられた医師の暴力と差別を、優生思想を前提とした強制医療の不当性・人体実験と判断し、「病」者利益を追及する立場でその学会を糾弾した。
 考えてもみよ!医療(医師)とは、患者の利益に奉仕する立場であり、患者は医療に対して、己の利益を追及する立場である。
 しかし、この岐阜問題は、こうした極めて原則的な立場を放棄し、中絶を強要した医師とBさんとの間にインフォームド・コンセント(よく説明された合意)が存在したかどうかで争われてしまったのである。医師が患者の利益を追及する立場を堅持するならば、当事者に医学的情報を提起し、判断材料を述べるにとどめ、あくまで本人の意志を尊重すべきである。
 しかも、医師がBさんに中絶を迫った時、それは優生保護法(第十四条では不良な子孫の出生を防止するため「精神病」者の胎児は本人の不同意でも中絶できると指導している
)を前提としたのである。私達は、患者に「子供を生ませるな!」と主張する優生保護法を許容している医師を、患者の利益の追及者とは認めない。むしろ差別者の姿をここにはっきりと見て取る。
 私達は生物学的精神医学会の存在に怒り、その学会の目指す方向・内容に対し、徹底的に糾弾する。そして私達が忘れてならないのは、この生物学的潮流の歴史が累々たる患者の血の犠牲の上に成立してきた事実である。新潟大学では、ツツガ虫療法の研究のため、その材料として患者に実験を強いてきた。台(ウテナ元東大教授)は、ロボトミーを患者に強要し、しかも当事者の脳の一部を無断で取り、死に至らしめたのである。宇都宮病院の医師は、医療行為をボイコットして患者の脳にのみ興味を示し、患者にナンバーを振りながら、死亡した時、その人の脳の研究のみに腐心したのである。
 これを「医療行為」と称する事を誰が許すか。これこそ、患者の権利を追及せず、医師の業績主義を前面に押し出した反医療行為ではないか!
 私達は、第九回日本生物学的精神医学会を断固として糾弾する。

◇ 日本生物学的精神医学会を公開せよ!
◇ 優生思想と対決し、優生保護法を撤廃せよ!
◇ 患者をモノとして扱うな!医師として患者の利益に奉仕せよ!

一九八七年五月八日

全国「精神病」者集団事務局


*再録:桐原 尚之
UP: 20120527 REV:
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