「全国理事会資料2 論評」
日本精神医学ソーシャル・ワーカー協会 19741116
資料2
3 論評
U保健所職員の介入の仕方と警察官導入について
10月1日入院当日、@入院前に本人にあってY氏の行動の背景を知る努力がなかったこと、A両親が精神病院入院について意見が一致していないこと、などの問題があるにもかかわらず、警察官2名、保健所職員3名、計5名で病院収容の目的で、Y氏宅を訪れ、入院の説得をし、それに応じないと警察官が手錠をかけ入院させた。
なお法律上入院について入院拘束する何らかの権限をもたない保健所職員が、警察官2名とともに入院を前提として介入し、拘束したのは問題である。
W大師保健所Iワーカーの対応について
1大師保健所Iワーカーの初回家庭訪問とその記録について
イ父親が断ったにもかかわらず、ワーカーが必要と考えての訪問であった。
ロ大師保健所Iワーカーの記録は、私立精神衛生相談センターのNワーカーの記録とともに、結果的にみて、後日入院についての職員の判断に影響を及ぼしたと思われる。
2退院相談時における大師保健所Iワーカーの対応
イY氏を退院させたいという母親のニードについて十分に応えず、むしろ母親の情緒不安定の問題に焦点を合わせ、市センター受診をすすめた。
ロ入院の時と同様に、この時点においても、本人の訴えを直接確かめる努力なしに、病院主治医の意見だけを前提に対応した。
X多摩川保養院の問題
1市センター記録重視および入院時の診察について
入院時診察があったか否かに関して病院側は当初、「当日は診察せず翌日、翌々日に診察した」と主張した。しかし後日になって「投薬しているので診察はあった」と、準備書面で証言を変えている。しかし一貫して「センターの資料は当然診断の参考」であるとのべ、「専門医の観察記録として重視」したとの錯誤がある。
当日診察があったとしても短時間で十分な診察ができるとは考えられず、当然センター資料に基づいてのことと考えられる。
たとえ本人に対して診察したとしても緊急な入院と判断を下した根拠として、正当防衛を主張していることには疑問がある。
これらのことは、保健所、病院の連絡段階ですでにY氏の入院決定がなされていたことを意味しているのではないか。
2未成年者の同意入院について
病院管理者が未成年者を入院させる場合、両親の同意がいるとされているが、ここでは父親の同意しかとってない。
このことに関して病院側は準備書面の中で、入院後も母が異議申し立てをしていないことから父に委ねたか、又は追認したものと説明している。しかし原告側は異議申し立てをしそれを否認している。病院側はその後両親の同意は必ずしも必要ではなく、片親の同意でたりる旨の県からの指導方針があり、違法の認識はもっていなかったと釈明している。このことは、同意入院についての県の指導方針に問題があったといえるが、病院側の責任もまぬがれないであろう。
「3診断書の変更について」は削除
「4過剰投与について」は「参考資料過剰投与について」とする。
*作成:桐原 尚之