第71回日本精神神経学会総会「「通信及び面会の自由」に関する決議」1974(昭和49)年7月24日
「現在の精神医療の実態は、第70回日本精神神経学会委員会報告にもみられる如く、さまざまな矛盾をはらんでいる。とりわけ、全国各地で問題となっている精神病院における不祥事件は、医療以前の、基本的人権の問題としてあり、かつその要因は単に個別精神病院だけのものではなく、現在の精神衛生法体制下での精神医療そのものの中にあることを銘記する必要がある。
この種の事件は、まさに氷山の一角にすぎず、全国各地に潜在するものと考えられる。このような状況を放置することは、私たち自ら精神医療の低下を容認することとなり、いつかは、その破局をもたらすことになるであろう。
私たちは、早急に精神医療の矛盾、特に精神衛生法の問題と取り組まなければならないが、その前提として、自らの病院を"ガラス張り"とし、精神障害者の人権を保障すると同時に、医療水準を高めるべく努力をしておかなければならない。少なくとも「通信及び面会の自由」を保障することは、精神障害者の人権を保障するための必須条件である。
私たちは、精神障害者に対する差別偏見をなくし、精神障害者の人権を守り、精神医療の向上のため以下の決議する。
『精神病院および施設において、精神障害者は検閲なく通信を行い、かつ通信を受ける権利及び立会人なしに面会をする権利を有する』ことを確認し、この権利を保障するため、当学会は具体的活動を開始する。」
(注、昭和50年5月13日、第72回日本精神神経学会総会にて決議)
*作成:仲 アサヨ