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「第10回総会での今井功の発言」

第10回日本精神医学ソーシャルワーカー協会総会(神戸) 19740518


Y問題に関してここ1年間沈黙してきたが、今回発言の機会が与えられたことを喜びとながる意味で手を汚さざるを得なかった。被害者は最大の加害者だ。委員は同じ仲間なのに私に対して冷たい態度をとり、共に話しあうことができていない。次に川崎市大師保健所管内の仕事は夜間の呼び出しが多く、また家族からの入院要求の訴えが多い。しかし私は1人として本人に会わずに入院させたことはない。また長期入院の人を在宅にしようとしているが、在宅にし普通の生活に戻すためには具体的な援助が必要である。これはワーカーに対する課題でもあるし、国家的課題でもある。また私は退院者クラブも作った。
 私がかかわった数例について見ても、私のかかわり方は決して入院先行ではないのである。むしろ福祉事務所や警察や民生委員等を含む地域社会が入院を迫ったときに、如何にして私がそうした要求を断ってきたかを会員はわかって欲しい。私は出来る限り患者と共に援助を進めてきたのだ。
 次に報告書についての私の考え方に触れる、先づ私と調査委の会合はつい最近行われた1回だけであり、しかも私の言ったことがどこにも反映されていない。論評は委員会として明らかに越権であり、調査報告は私にとってはリンチである。また報告書の中で私の名前がイニシャルになっているが、これは人と接し、援助し、助けあっていくワーカー同志としては考えられない人権の侵害だ。また報告書の資料について私は諒承していない。裁判係争中なのに資料を公開することなど、聞いたことがない。関係者すべての承認がいるのではないか。
 Y問題全般についていえば保健所で仕事をすれば手を汚さざるを得ないのであって、いわば保健所の問題なのか、私個人の問題なのかが混同されている。私個人の問題なら私を裁判にでも訴えたらいいではないか。
 秘密保持の問題について。ワーカーの立場は自由であるから、そこにこそ倫理性が要求されるので、私は敢えて公表したくない。調査報告の承認は投票にして決定して欲しい。また私の意見は文書として機関紙に掲載したい。結果によっては告訴の準備を辞さない。 


*作成:桐原 尚之
UP:20120716
Y事件(Y問題)  ◇精神医学医療批判・改革  ◇精神障害/精神医療   
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