■97/02/27 96/12/18 第4回「STの資格化に関する懇談会」議事要旨

※NIFTY-Serve:GO MHWBUL(厚生省行政情報)より
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第4回「言語及び聴覚に障害を持つ者に対して訓練等の業務を行う者
   (いわゆるST)の資格化に関する懇談会」
   議事要旨(案)

1.日 時  平成8年12月18日(水) 14:00〜16:10

2.場 所  通商産業省別館834号室(8階)

3.出席者  (委 員)井形、岡谷、行天、小林、坂本、津山、野村、西村、
            橋本、長谷川
       (厚生省)谷健康政策局長、尾嵜医事課長、石井歯科衛生課長他
       (文部省)宍戸特殊教育課教科調査官他

4.議題
  1.日本聴能言語士協会からのヒアリング
  2.諸外国のSTとその養成の現状

5.議事の概要
  日本聴能言語士協会の飯高京子会長、玉井直子副会長よりSTの資格化に関
 する考え方が説明され、続いて質疑応答が行われた。また小林委員より諸外国
 のSTとその養成の現状について説明が行われ、続いて質疑応答が行われた。
  議論の概要は次の通りである。

  ●:日本聴能言語士協会
  ○:委員

●日本聴能言語士協会は早期に資格化を望むという点については異議を唱えるも
のではなく、障害を持つ方々のためにも、十分な数のSTが速やかに配置される
必要があると考えている。
●STの役割は「言語・聴覚・音声の障害によってもたらされるコミュニケーシ
ョンの障害に対して援助すること」である。

●障害者には指導や訓練の内容が長期にわたって一貫していることが重要である。
医療とそれ以外の領域で別々に資格化され分断されないことが重要である。

●業務の中には、一部身体に危害を加える恐れのある行為があることは否定でき
ない。発音の指導のための嚥下機能の検査・訓練、聴力検査の一部、人工内耳装
着者に対しての評価と指導の一部がこれにあたると考えられる。これらはST業
務の中でもごく一部であり、ST業務全体を特徴づけるものではない。

●日本聴能言語士協会は以下のことを要望する。
 (1)STの国家資格を医療に限定した形にしないで欲しい。
 (2)STの養成は4年制の大学を中心に、そして、そのカリキュラムは医療
   に偏らないバランスのとれたものにしていただきたい。

●要望の結論としては、職種の定義に「医師・歯科医師の指示の下に業を行うも
の」という一文をいれずに、必要ならば業務の項で限定的に規定していただきた
いということである。

●日本聴能言語士協会は医療・福祉・教育にまたがる資格に固執しているのでは
ない。STを医療職の中に決めていただいて構わないが、その場合に医師・歯科
医師の指示を定義の中に入れずに、診療の補助業務にあたる部分に、限定して規
定していただきたい。

●我が国の医療系養成のカリキュラムを見ると、著しくバランスを欠いている。
これはSTを医療職として教育するという前提で作られたカリキュラムであると
いう理由によるものと考えられる。日本聴能言語士協会としては、学問的研究の
保証される4年制大学での養成を中心に、ST養成制度が確立されることを希望
する。

○日本聴能言語士協会に入会する審査はあるのか。

●日本聴能言語士協会は、過去にとられた学科目のカリキュラム、臨床研修の内
容、臨床報告書により認定を行っている。医学系の科目が足りない方は医学系の
科目を講習会等でとってもらい、言語学系の科目が足りない方は言語学系の科目
を講習会等でとっていただくようにしている。

○日本聴能言語士協会としては、医療上の責任を問われた時の対応について、議
論されているのか。

●言語治療とか言語訓練はというのは、病気を治すことではない。医師が患者を
言語訓練に値し、それだけの健康状態に至ったと判断された時に回していただく
というのは医師の責任である。そこで我々はその患者に合った必要な訓練、援助
をする立場である。

○日本聴能言語士協会は、言語療法という業務は、保健婦助産婦看護婦法でいわ
れている診療の補助業務ではないと考えているのか。

●私どもの業務のほとんどは診療の補助業務ではないと考えている。大部分が診
療の補助行為でないならば、診療の補助業務でない部分には医師の指示をかけな
いで、診療の補助行為である部分には、医師の指示をかける法律にしていただき
たい。

○聴能言語士として働いている方は、ほとんど医療にかかわる仕事に携わってい
ると、理解して宜しいか。

●医療的な背景を要してかかわるというふうに考えていただきたい。

○医療とはあまりかかわりがないということではなく、非常に関わりが深いとい
うふうに理解すべきか。

●サービスをする相手が生身の人間である以上、いろいろな知識とか背景が必要
である。医療だけにそういう背景を限定してはいけないと考えている。

○日本聴能言語士協会は医療・福祉・教育にまたがる資格でなければ認められな
いのか。

●医療・福祉・教育を一気にかぶせるような法律は望んでいない。厚生省管轄の
医療関係職種で良いが、診療の補助職の部分というのは、大変に少ないと考えて
いる。その部分に限定して医師の指示をかけていただきたい。

○養成のカリキュラムはどうか。

●日本の各養成校のプログラムが膨大になっており、医療系の学科と言語学系の
学科と心理学系の学科をバランスよく膨大にならないように組み込むのが世界の
潮流である。

 日本聴能言語士協会飯高京子会長、玉井直子副会長退室後、引き続いて小林委
員より諸外国のSTと養成の現状について説明が行われた。

○日本の養成の現状を見ると、実地の臨床実習が不十分であると考えられる。臨
床実習を通して、医学的知識を獲得する必要がある。

○養成校連絡協議会では、卒後研修のための専門委員会を設置して、養成校卒業
後に、不足分を補充する補助的カリキュラムを整えようと考えている。

○日本聴能言語士協会の「医師の指示が必要と思われる行為」というのに3つ
(構音指導のための嚥下機能検査・訓練、聴力検査の一部、人工内耳装着者に対
する評価と指導の一部)ほどあるが、もう少し多いと考えられる。これは、認識
の違いによるものと考えられる。

○医学的な背景を身につけておかないと、患者に対して十分な指導であるかどう
かわからない。医学という立場を重視すれば、医師・歯科医師の指示の問題は、
抜くわけにはいかない。

○「医療の傘の中にいれば、医師の指示がかかる」ということについての日本聴
能言語士協会は理解は随分違っていると考えられる。

  問い合わせ先 厚生省健康政策局医事課
     担 当 佐藤(内2563)、田畑(内2569)
     電 話 (代)03−3503−1711
         (直)03−3595−2196