■97/02/27 96/11/18 第2回「STの資格化に関する懇談会」議事要旨

※NIFTY-Serve:GO MHWBUL(厚生省行政情報)より
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第2回「言語及び聴覚に障害を持つ者に対して訓練等の業務を行う者
   (いわゆるST)の資格化に関する懇談会」議事要旨

  1.日時 平成8年11月18日(月) 15:00〜17:15

  2.場所 通商産業省別館8階834号会議室

3.出席者 (委員) 井形、岡谷、河合、行天、小林、坂本、津山、野村
西村、橋本、長谷川
(厚生省)尾嵜医事課長、石井歯科衛生課長、
             村上試験免許室長他
(文部省)宍戸特殊教育課教科調査官他

4.議題
1.失語症全国実態調査について
2.STの実際の業務について
3.現行医療関係職種における「医師の指示」等に係る規定例
4.論点メモ

  5. 議事の概要

  小林委員より医療現場におけるSTの実際の業務についてビデオを使用し説
 明が行われ、続いて質疑応答が行われた。また、浜松医科大学附属病院脳神経
 外科言語室の小島義次氏より失語症全国実態調査の結果についての報告が行わ
 れ、続いて質疑応答が行われた。その後議論に移り、最後に事務局からその他
 の資料の説明が行われた。議論の概要は次のとおり。

○STは、医師と同じく口蓋裂だけが得意の人とか、失語症だけが得意の人とか、
 ある程度、分化が行われているのか。

○コミニケーションをどうとるかという問題が大事である。失語症患者がコミニ
 ケーションをとるためには、1年以上はかかることがある。

○失語症患者が3ヶ月までの入院が多いのは健康保険制度上の問題である。最低
 でも半年ないし8ヶ月ぐらいは訓練・指導が必要である。8ヶ月以降は言語機
 能は伸びなくてもコミニケーション能力は伸びてくる。

○非常に能力を有したSTを採用しても、低い給与で雇わなければならない。し
 かも、病院は赤字を覚悟しなければならない現状がある。

○実際に本格的にリハビテーションを行うには、OT・PT・STを揃え言語障
 害、認知障害、運動障害等を含めたリハビリテーションを行われなければなら
 ない。

○年齢が高い者は、現職を離れるが故に家庭復帰が多い。社会復帰には患者の言
 語能力レベルと障害側の受け入れ側の考え方、体制が大きく影響する。

○ 痴呆の問題が入ってくると、複雑な検査が必要であり、その人に合わせた治療
 プログラムを組むことになる。

○検査そのものの侵襲性よりも、検査を受ける患者の身体的状況が失語症の場合
 には問題である。脳血管障害の患者は状況的、環境的に危険はあるが、検査そ
 のものは侵襲性は極めて低い。医学的管理の必要な場合は、STは医師が患者
 をチェックしたあとに危険因子の有無、程度を知って行っている。

○嚥下訓練をSTが行う場合、医師・看護婦・栄養士の指示が必要となる。

○医療機関のSTには医師の指示がなければ、訓練を行ってはならないという意
 識はある。

○STには社会的ニーズがどれだけあるのか、STの必要数が幾らかであるかを
 把握しないと、世の中で理解を得にくい。

○STがカバーする領域で、失語症の占める比率はどれくらいあるのか。

○STの業務範囲をどこまでにするか。言語障害だけにするか、コミュニケーシ
 ョン障害まで含めるかが問題である。

○STが医学的に関わる領域には言語発達障害・音声構音障害・失語症等があり
 数字をまとめ、STの必要数を算出する必要があるのではないか。

○STは大都市に多い。中小都市に殆どいない状況であり、今後の問題である。

○耳の方も大きな分野である。人工内耳も急速に増えてきて、効果が認められて
 いる。失語症、嚥下だけでなく、この分野も確立して頂きたい。

○STを資格化するには、業務範囲をどこまでにするか、ニーズがいくらで、何
 人必要であり、いつまでにしなければいけないのかを明記しないことには、世
 間は納得してくれないのではないか。

○諸外国のSTの現状とかSTの養成とか、この懇談会で審議する必要があると
 思う。

○リハビリテーションの現場では、医師が統括して責任を持って行っている。O
 T・PTは医師の指示の下で動いているので、「医師の指示の下」をはずすと、
 責任をもってリハビリテーションを行えないという問題と、拒否されても文句
 が言えないという問題があり、リハビリテーションを遂行する上では、どうし
 ても「医師の指示の下に」という文言を付けていただきたい。

○「医師の指示」は必要であっても定義のところに入れないで、後ろの業務制限
 のところに入れたらどうか。

○患者の側にたつと、最終的な責任は誰に持ってもらうのか、リハビリテーショ
 ンがうまくいっているのかどうか一番心配なのである。

○この懇談会では、教育と福祉は除外するということで、医療の場で働いている
 STの資格化ということを前提にして話し合いを進めてゆくのか。

○医療のみか、医療以外を含むのか、医療+教育というのがもうひとつの考え方
 としてあるが、医療は本質部分であると言っても変わりはないと理解してもい
 いか。

○アメリカでは聴覚障害者に対するスピーチセラピーがまず確立したが、日本の
 場合には失語症患者が増えて医療側からST資格が提案されているという違い
 がある。

  問い合わせ先 厚生省健康政策局医事課
     担 当 佐藤(内2563)、田畑(内2569)
     電 話 (代)03−3503−1711
         (直)03−3595−2196