■97/01/20 96/09/04 第7回准看護婦問題調査検討会議事要旨 ※NIFTY-Serve:GO MHWBUL(厚生省行政情報)より  ここには厚生省関連の行政がたくさん掲載されています。  アクセスしてみてください。           第7回准看護婦問題調査検討会議事要旨 ・日時:平成8年9月4日(水)10:30−12:30 ・場所:通商産業省 別館901会議室 ・委員の出欠   出席委員…香西委員、金上委員、神尾委員、河崎委員、清川委員、工藤委員、        佐川委員、佐藤委員、下村委員、高木委員、高梨委員、竹中委員、        中島委員、似田貝委員、羽田委員、秀嶋委員、水巻委員、南委員、        望月委員、諸橋委員 1 事務局より追加資料の説明 2 似田貝委員よりオープンアンサーのまとめについて報告  ○オープンアンサーの解釈   統計的な調査のデータを解釈するのとは異なり、むしろ質的なデータの意味を持っ  ている。つまり、アンケート調査で準備したもの以外の声を直接聞くことができ、あ  くまでも傾向をみるということである。また、アンケート回収の4割がオープンアン  サーに書き込みをしていることから、准看護婦問題に関してそれぞれの当事者が並々  ならぬ関心を示していることが分かる。  ○オープンアンサーのまとめ  1)養成所の問題が人材不足問題として表れているが、単なる量的な問題ではなく質   的な問題を含んでいる。つまり看護婦養成所が不足しているとか、看護婦が不足し   ているというレベルと准看護婦が不足しているレベルとは明らかに異なる。また、   領域別、地域的にそれらの人材不足の問題がどのような質的・量的な問題として表   れているかを特定しておく必要がある。  2)准看護婦という職種は医師との業務役割のギャップが極めて大きい。同じ仕事を   させられていても待遇における差別によりプライドが傷つけらるという状況が医療   現場で繰り返されている。このことが准看護婦問題の社会問題性を生み出している   。人材不足の根元の問題は、人として扱われないこと、つまり職場での意欲やプラ   イドを内面から崩壊させるような職場環境が存在していることが難しい問題となっ   ている。  3)准看護婦養成所が教育機関として十分であるかという問題がある。教育内容、就   労原則、奨学金返済問題等の教育環境の劣悪さがあり、これが看護職につく者にと   って極めて強い廃止論の根拠にもなっている。専門職として教育されない教育機関   や看護に関する職能意識の形成を挫折させるような生徒の扱い方、プライドをもて   ないような資格を付与することが根本的に問われていた。 3 意見交換  ○准看護婦が看護婦よりも待遇が悪いということについて、国家公務員の給与表でも   格差が体系づけられているので、能力はあっても、一般的にそのような差があるの   だと思う。また、個人個人によって違うところはあるが、看護婦3年課程の卒業者   のほうが一般教養、患者に対する接し方、また看護に対する意欲、向上心がある。   大雑把に言えば、准看護婦養成は診療所の問題である。   准看護婦養成所の生徒は昼間週40時間働いているので、授業時間を増やすことに   なると、大変な負担になり、いろいろ問題が出てくると思う。また、准看護婦養成   所に入学する前には、准看護婦と看護婦の資格の違いについて、あまり教育されて   いないのではないか。   無資格者が看護業務を行うことは健康保険法上の違反になるのではないか。  ○事務局 看護婦と准看護婦の違いについて、知らない人がいるのではないかという   点については、調査結果からも考えられるため、文部省当局とも十分相談をしなが   ら、解決の方向に向かっていきたいと考えいる。   また、看護婦あるいは准看護婦の業務独占の分野を無資格の生徒が行うことについ   ては、健康保険法等の問題以前に保健婦助産婦看護婦法違反になると考えている。  ○看護婦のほうが、准看護婦の生徒より医療ミスが少ない。准看護婦養成所の生徒の   違法行為については、国民にとって安心して医療にかかれなくなる重大な問題だと   思う。通知を出しただけでは間違いを起こしやすい体制を放っておいたという厚生   省の責任が問われることはないのだろうか。  ○今回の調査で何がわかったのか、もう少し整理ができないか。   養成所の長は、養成所を改善して引き続きやっていきたいが、補助金がなければ無   理と言っている。このことは、養成のコストを誰がどの様にもつのかという仕組み   や経営主体の問題につながってくるので、きちんと分けて考える必要がある。   また、薬の取り違え等は教育の問題だろうか。業務の実態がおかしいのか、いまの   医療法の運用や解釈がおかしいのかが本来問題になるべきなのではないか。  ○事務局 通知を出すだけでよいのかという御指摘と今の議論をふまえて、現行の法   制上の処置で適切でないものについては、きちん対応していきたい。  ○この准看護婦問題は、常に看護婦との対比の中でしか捉えられていない。もっと少   子高齢社会、女子就労の条件、サービス業拡大の流れの中で准看護婦制度というも   のが果たして必要なのかどうかを捉えていかないと、その制度としての在り方を議   論できないのではないか。  ○病院と診療所は、雇用のマーケットという意味では別ではないか。看護婦のみにな   ったとき、その看護婦が診療所に就職するのかよくわからない。診療所も看護婦を   採用するのかよくわからない。そこがまだ問題なので、それらをもう一歩掘り下げ   た「論点整理メモ」が必要と思う。   看護婦は一本のものという前提で、「論点メモ」は整理してあるのではないか。し   かし、就職先の質が違ったものと考えると、別のものでもいいとなるのかもしれな   い。固定観念、前提条件ぬきで弾力的な議論をする必要がある。  ○「論点整理メモ」について、委員の方々がどの様にこの問題を考えているかを伺う   機会があればありがたい。  ○「論点整理メモ」は、この順序で議論を進めるのがいいという前提で作られている   のか、あるいは議論を集約するためにどこから手をつけるかということを、改めて   「論点整理メモ」を基にして、議論をしてから論議に入るのか伺いたい。  ○事務局 「論点整理メモ」の構成は、1番、2番については実態調査結果から抽出   される問題点を整理し、それを踏まえて3番で看護職の養成をどうするのかという   結論部分の項目立てをしている。議論の進め方は、調査結果の分析評価から始めて   いただいたらどうか、という趣旨で「論点整理メモ」を作った。  ○この調査検討会の役割は、少子・高齢社会看護問題検討会の報告書を踏まえての議   論である。少子・高齢社会を迎えたときに、看護の分野で働く職種がどのような課   題を持っているか、どういう教育上の問題があるのか、またマンパワー上の問題が   あるのかということを一昨年議論をした。その中で、特に准看護婦の問題が浮上し   てきたという経過がある。私たちは准看護婦の養成をどう考えるか、決着をつける   という役割がある。そのためには「論点整理メモ」の事項についてデーターの解釈   を委員会でやっておかないと、次の段階の議論にならない。データの解釈を避けて   、大きな論点までいってしまうと、何のための調査をしたのかという問題がある。  ○事務局 病院と診療所のマーケットは別ではないかという点も明確にする必要があ   る。オープンアンサーの分析を整理していただき、マーケット的に見て、診療所で   何人の准看護婦を必要としているのかもわかれば出していただきたい。  ○病院と診療所のマーケットが違うということは言えるが、診療所のすべてが准看護   婦を要望しているわけではないので、どこで、どのような領域で、どのような質の   人材が必要とされているかということを、いくつかのクロス表から、次回くらいま   でに準備したい。  ○准看護婦生徒の違反の件については、本会としても都道府県医師会の理事、養成所   長に対して注意を促した。奨学金問題についても再度注意を喚起したが、会内プロ   ジェクト委員会を作り検討する。オープンアンサーの問題について、否定的な意見   を説明される時間が非常に長かったという印象があるので誤解のないようにしてほ   しい。これは一般社会と同じで、新卒の人たちには高学歴、大企業志向がある。従   って、病院関係に就職したいという現実は否めない。また、看護婦が病院に勤務し   、診療所には准看護婦が多いという現実もある。しかし、大都市圏では、診療所の   就職希望者が非常に少なく、地方では、診療所は特に准看護婦に依存している面が   非常に強い。全国的に見たときに、診療所の准看護婦依存度は極めて高く、数字だ   けでは解釈できない問題がある。   資格により給料に差があるという問題については、どこの社会でも学歴で給料の差   はある。属している職種の社会の中で、能力があれば登用していくシステムや考え   方があるかどうかのほうが問題である。これは、経営者の姿勢の問題なので批判で   きない。   カリキュラムについては、1,500時間を2,000時間にしたときに、働いて   いる時間がなくなるのではということは現実の問題だが、准看護婦養成を存続か廃   止するかが決まった時点で改革すべき点の1つとして考えればよい。   奨学金については、他の社会にもあり、奨学金制度自体は悪いことではないと思う   。例えば防衛大学校では、4年間学校へ行き、9年間国家の機関に勤務するという   義務年限があり退職するならば全額返金となる。また、厚生省の看護婦の奨学金の   貸与規定も、200床以下の病院、有床・無床診療所に勤めた場合は3年、200   床以上の病院に勤めた場合は5年の勤務の義務がある。現代社会にマッチした権利   意識や契約の意識をもたなければならない。   なお、心の問題も教育できるようなカリキュラムを作っていただきたい。  ○実態調査結果は多くの矛盾点を出したと思うので、その分析及び意見交換をして、   意見が一致する点は一致するようにすべきである。分析の過程において、最終的に   は現行制度内で改善できる点と、現行制度を根本的に変えなければならない点が出   てくると思うので、議論の中でそれらを早急に分けていくという作業も必要だと思   う。   もう1つは、少子・高齢化社会の中で、看護と介護の違いを明確にしなければなら   ないと思う。介護福祉士と看護職との仕事の在り方を明確にすると同時に少子・高   齢化社会の中でどのように位置づけるか、という2点を提言したい。  ○無資格の准看護婦生徒を労働力として必要としているという現実がある。生徒を労   働力として本当に必要なのか、それは別の力で置き換えられるのかということは、   大事なポイントなので、論点整理に入れてほしい。  ○将来看護婦になるということであれば、将来のために先輩や現場の看護の状態を見   ることが必要なので、単なる労働力ではないと考える。  ○「論点整理メモ」について、2点意見がある。准看護婦志願状況で、中学卒業者が   3.7%であることについてどう考えるかということだが、高等学校、専攻科を含   めた生徒約2万8,000人余りは、100%中学校卒業者であるということも考   慮して議論をすべきである。   また、奨学金はあくまでも貸与なので、社会通念上何らかの義務を負うということ   は当然である。他の奨学金制度と比較すれば、問題点が明確になると思う。   問い合わせ先 厚生省健康政策局看護課      担 当 田村(内2594) 電 話 (代)03-3503-1711