■96/09/20 96/05/21 5回PSW及びCPの業務及び資格化に関する研究議事録NO2 ※NIFTY-Serve:GO MHWBUL(厚生省行政情報)より  ここには厚生省関連の行政がたくさん掲載されています。  アクセスしてみてください。 もちろん、ここには2つの前提がございまして、1つは、やはり専門外のことは、例 えば特定の技術、技量を持っていて、非常に特異な人がおると思います。でも、それを 行うことについては抑制的でなければならない。これは、やはり前提だろうと私は思っ ております。それが1つ。 それから2つ目、チーム医療、チームワークの前提のもう1つは、やはり互いに自己 の専門性、このことは私達の専門だと考える、そういう重なり合いがあると思いますが 、その場合は、もう従来、ここで論議されておりますように、各々の専門の視点の違い と言いますか、これが前提、視点の違いを認め合うということです。同じような業務で あっても、考え方は違う。あるいは、やっていることが違うということが、現実にある んだということを認めていただきたい。 この事例、あるいはアンケートの事例などを見ましても、ああ、これはソーシャルワ ーカーだったら、こうは答えないなと思うことが、いくつもございます。そういうとこ ろが貴重な違いでありまして、それをはっきりさせていきたいというふうに思っており ます。 そして、その次でありますが、PSWというのは、あくまでもソーシャルワーカーで ございまして、精神科ソーシャルワーカーであっても、医療ソーシャルワーカーであっ てもいいんですけれども、当面は精神科のソーシャルワーカーでいくということでござ います。 だから、その中に医療ソーシャルワーカーが含まれてくるということもあり得るでし ょうし、あり得て私は一向に差し支えないと。一般医療のMSWも、精神科ソーシャル ワーカーの国家資格化が果たされた場合には、その中で一般医療のMSWも、国家資格 を取得し得るという位置づけと言いますか、そういう位置関係にあるというふうに私は 思っております。 それから最後になりますけれども、保健医療機関、これは地域でありませんで、保健 医療機関、つまり病院とか診療所でありますけれども、そういうところに業務を行って いるソーシャルワーカーというのは、これはやはり医療関係職種であるというふうに私 達は、これは第1回のときに確認した事項でございます。ここでは、その後の論議を経 まして、どこまで指示の範囲が及ぶかということについて、いま座長がちょっと言及な さいましたけれども、一義的には、やはり包括的な指示を受けるという立場であるから こそ、やはり医療職種であり、医療職種だから、当然ドクターの包括的な指示のもとに あるという、これを前提にした会議であると私は理解しております。 地域のほうでは、これはPSWの裁量で業務を行うということでございますので、こ れは主治医と連携する必要が、まま多いわけだし、非常にそのへんは、連携義務という ことでひっくるめるほうがいいのではないかというふうに思っております。 それに関わらせまして、やはり、これは先程申し上げたことにも関わってくるんです が、あくまでもソーシャルワーカーでありますので、医療職という法律上の位置づけは あっても、ソーシャルワーカーです。ですから、仮称精神保健福祉士というのが、いま まで試案に出ておりますけれども、これを仮に精神保健援助士ということであると、私 個人としては、これは間違いであろうというふうに考えております。 そういう、業務が重なるということから、すでにやっているのだから、新たな職種と して、あるいは医療職として新たな専門を入れる必要はないというふうに言っていらっ しゃいますけれども、私は、この報告書を読んで、チーム医療というものは、いちおう お認めてになっていらっしゃる。いまの27ページ、28ページの事例などを見ますと 、これはやっぱりチーム医療を肯定していらっしゃいますし、後は何が問題なのかなと いうと、やはり医療職では困るということ。それから医師の指示の問題も、まだもう少 し 残っておりますけれども、包括的な医師の指示ということで括れないかというあたりを 、これから各論で荒田のほうから説明することにしたいと思います。 荒田 それでは、いまお配りしました「精神科ソーシャルワーカーについてのいくつか の論点について」という資料に基づいて、少しお話をさせてください。 このたび、日本看護協会から出されました研究報告書を読ませていただきました。私 達の資格について、いろいろ議論いただいて、研究してくださっていることについては 、ありがたく思います。 しかし、いくつか先程から議論に出ております業務の内容の問題、それと医師の指示 の問題、それから特にカリキュラムの問題等について、いくつか私達のほうからも意見 を出させていただきたいと思います。非常に失礼な言い方をするかもしれませんけれど も、是非、稲岡先生にお聞きしたいなと思うことが、私どものほうからもいくつかあっ たんですが、今日、前回、前々回といらっしゃらないのを、非常に残念に思っておりま す。 ただ、日本看護協会のほうで責任を持った文章だということを生田先生のほうから言 っていただいたんですけれども、前回、岡谷先生がお話なさった、新しい職種、他職種 はウエルカムであるけれども、医師の指示の関係業務内容の整理が必要だというご議論 だとか、チーム医療は必要だというご議論からすると、この内容の説明は、ちょっと、 今日は前回と違うのかなという受け止め方をしたんですけれども、基本的には、私達の ほうでどういうふうに考えているかのお話をしたうえで、またご意見をいただければと 思います。 最初に2ページ目ですが、看護業務との相違についてということで、私どものほうで 、PSWの業務の精神科ソーシャルワーカーの国家資格に関する研究報告を一昨年お出 ししました。これは研究班として出して、10項目、PSWの業務を示したわけですけ れども、そのうち、ここに書いてある1〜5については、看護職も行っているから、同 じような職種を作ることは医療の現場に混乱を招く、というふうにお書きになられてい ます。この業務の内容を逐一説明するのは、今日は時間がございませんので、もう一度 、いちばん最初のときに厚生省から配られました、「精神科ソーシャルワーカーの国家 資格化に関する研究」報告書を、是非またお読みいただければと思うんですけれども、 まず、私達は、この業務をもう少し細かく、本当はお読みあげしたほうがよろしいと思 うんですけれども、1〜5に関する業務が、すべて医師の指示が必要であると、すべて 医行為がかかるというふうに私達は論じたことはありませんので、よく読んでいただけ ればと思うんですけれども、一部、とくに入院援助であれば、インテーク面接をわれわ れがしたときに、医師の診断の材料として医師に提供する業務なわけですけれども、そ れを医師が診断をすることに一部を使うといったときに、それが一部分、医行為に該当 すると。 それから入院についても、入院の決定を、われわれのPSWの行った情報収拾のなか から、医師が入院の決定をするといったときに、その一部分、医行為に該当する場合が あると。 退院の場合においても同じです。 療養生活上の指導援助が、とくにいちばん引っ掛かってくるというふうに、いままで ご議論で出されてきたと思うんですけれども、これは、療養上の処遇や薬物の投与など について、医師の判断の前提となる情報を提供するとか、病状の変化、悪化とかに伴う ときに、患者さんへの処遇や服薬についての指導を行う業務というのは、やはり医師に 相談をして、医師の指示を仰ぐ必要があるという意味で、一部分、医行為に該当すると いうふうに私達のほうは申し上げておりますので。 それで、チームの考え方については、いま柏木のほうからお話しましたとおりでござ いまして、ここに書いてありますように、私達の行う受診援助、入院援助、退院援助、 療養生活上の指導援助、グループワーク業務は、看護職の行っているそれらとは同じで はないんだと。これは、すべて看護も行っているからというご批判に答える形でお書き したんですけれども、私達はソーシャルワークの知識・技術・方法論を基礎に、社会関 係や経済関係、家族関係などを含む個人と環境などの観点から、この業務を行っている んだと。これは、個人と全体との関係性、周囲との関係性を整理していくのが、われわ れの業務の視点としても重要なわけでやっているわけです。 一方、看護の方々は、看護学の知識・技術で行っておられますし、医学的観点から行 うものであり、外形的には類似しておりますけれども、目的が同じであっても、関わり の視点、関わりの方法が実質的には異なっているので、だから、視点の違い、それぞれ の専門職としての視点の違いがあるんだということ。 もう1つは、お互いに、お互いの専門性については抑制的に考えていきたいというふ うに柏木が話をしたとおりでございます。 PSWの行う業務というのは、受診援助から、いまのグールプワークまでの全てでは なくて、社会、経済、家族などの観点から、その一部分に該当するのであって、看護職 と、PSW、その他の専門職が協力して業務を行うことが有効なのである。 すでに病院などでは、PSWと看護職、その他の医療従事者が共同で働いておりまし て、これらの業務を実際に行ってきた歴史的実態があり、混乱が生じるというふうに、 混乱を招くというふうに限定的にお書きになられておりますけれども、すでにPSW協 会が出来まして、もう30年を越えておりますし、私達が医療現場に具体的に入ってき て、後にも触れておりますけれども、すでに2,000人を超えるPSWが精神科医療、 保健医療機関のなかで働いているというのも実態でございますので、これはちょっと混 乱が生じているという限定的な言い方は賛成しかねるというふうに思います。 それから受診援助、入院援助、退院援助、療養生活上の指導援助、グループワークな どの業務を、それぞれの立場から行い、より有効な医療サービスが提供されるんだと。 だから、チームのなかでお互いに専門性の違いがあって、同じように一見、見えるけれ ども、視点の違いを持ちながら業務をしていくからこそ、チーム医療の必要性とか有効 性が、より高まっていくんだろうとわれわれは考えております。 ここにも、ちょっと触れましたけれども、クリニカル・ナース・スペシャリストにつ いても、看護職の方が、より専門化した部分であろうと思いますし、学問基盤は看護学 でありましょうし、その立場からより高度な専門性が発揮されるのであって、いま言わ れました医師その他の専門職業務の遂行を満足する条件を備えているわけで、具体的に いままでの考え方が変わるものではないだろうというふうに思うわけであります。 それから医療の最終目的は、あらゆる専門職にとって同じです。専門職集団は、共通 の対象者に対して同じ臨床場面において関わり、同じ業務名で呼ばれたり、似たような 関わり方をすることは、むしろ自然です。重なり合う業務を持っているがゆえに、チー ム医療が成立し、対象者にとって有効な方法が可能になるのだろうというふうに、私達 は考えています。 三村座長 問題が非常に大きい問題なので、1つずつ、質疑を交わしたほうがいいので はないかと思います。PSW業務と看護業務との相違点について、いまお話いただいた わけで、5項目、受診援助、入院援助、退院援助、療養生活上の指導援助、グループワ ーク業務、この点については、かなり看護業務とオーバーラップしている部分があると いうことは、私どもも認識しております。ただ、これにどういうふうに関わっていくか 、関わりの視点と、その関わりの方法、そういうふうな取り組み方が、かなりPSWと ナースとでは違ってくるのではないかというふうに考えておりますけれども、いまの荒 田さんの説明に対して、日看協から、どうぞ。 岡谷 基本的にお断りしておきたいことがありますけれども、PSWのこと、それから CPも含めて、国家資格化を反対しているわけでは、全然ないんです。それは、むしろ 無資格の人が働くよりは、もちろん有資格で働くことは非常に望ましいことですし、だ から、国家資格、身分をきちんとすることについて反対だと言っているわけでは、全然 ないんです。そのことは確認しておいていただきたい。 それからチーム医療に関しましては、精神保健法が精神保健福祉法となったのと同じ ように、もう医療と福祉というのが、かなり混在してきていますよね。それは、地域だ けではなくて、病院のなかでも、そういう福祉という視点が非常に大事になってきてい るわけで、そういう意味で、いままで医療のなかでは、医者と看護婦が主にマジョリテ ィーだったわけですけれども、そういうことではなしに、PSWもCPも含めた、ある いは言語療法士の人、あるいはいろいろなOT、PTの人達、いろいろな職種の人達が チームを組んで1つの目的に向かって医療を、患者さんのケアを進めていくということ について、私達は、それを反対しているわけでもないですし、むしろそういう方向に進 んでいくことが望ましいというふうに考えているわけで、そのことに猛反対していると いうふうに誤解なさらないでほしいんです。 ただ、私は、実際の業務が重なり合うところがあるというのは、確かにそうだと思い ますけれども、でも、そのことと、法的にそういう1つの医療職のなかで同じような業 務をする職種を、また新たに作っていくということ、そのへんについては懸念があるん ですね。 ここに「ソーシャルワークの知識・技術・方法論を基礎に、社会関係や経済関係、家 族関係などを含む個人と環境の関係などの観点から、これらの業務を行うものであり」 と書いてありますね。確かにこういうふうに書かれれば、そうかなと思うし、ソーシャ ルワークという意味で言えば、そうだろうなというふうに思いますが、先程のように、 療養生活上の指導援助の例で、例えば病状の変化に伴って薬の変更だとか、そういうこ とに医者が考える判断の材料になるようなことを提供していくんだというふうにおっし ゃいますよね。それが、少し医行為と関係するんじゃないかというふうに考えると、さ っきおっしゃいましたね、1つの例として。 荒田 それは、医師の指示は必要だということで、お話しました。 岡谷 だけど、私達は、看護婦も、やっぱり患者さんの病状は、つぶさに観察をしてい て、その病状の変化だとか、あるいは薬の副作用だと思われるような病状だとか、ある いは患者さんの状態がどんなふうによくなっているのか、悪くなっているのか、何に刺 激されているのかということは、じゅうぶんに観察をして、そのことは医師に対しての 1つの判断材料となる情報となるわけですけれども、でもそれは、医師の指示を受けて 観察したり、病状の変化を見ているわけではないんです。それは、こちらが看護として 必要だと思うからやっているわけで、そういう部分の業務というのは、かなり皆さんが おっしゃっていることと、看護婦が、いままですでにやっている業務というのは、まさ に重なっていくわけですよね。なにかそういう非常に重なりの多い、だから、平たく言 えば、じゃあ、ソーシャルワーカーもPSWも看護婦も、資格の名前は違っていても、 同じことをするというようになってしまう。そういうふうに考えれらる部分というのが 、この5つの業務の中身としてあるわけです。 そういうふうに重なり合う部分が非常に多いものが、法律として、いわゆるいままで 看護の専門性として業務独占をしていた診療の補助と、それから療養上の世話という部 分を、業務独占を解除してまで新たな職種を作るということに、私達は疑義を唱えてい るわけです。 それと同時に、もうすでに皆さんの、まさに専門性の基盤が、社会福祉学とおっしゃ るんであれば、もう社会福祉士という国家資格化がすでに出来た職種があるわけです。 にもかかわらず、精神病院という医療のなかに働くということで、新たにPSWという 、同じソーシャルワークをする人達の職種を資格化するということについて、同じ学問 基盤で、同じ専門性なのにおかしいのではないかと疑義を唱えているわけです。 だから、資格化をするのは、私は一向にかまわないと思いますが、それが、なぜ福祉 職の資格化ではいけないのかということについては疑問を持っているわけです。 谷野 具体的な話になったから、例えばこういうことがあるんです。精神障害者の社会 復帰施設というのは、いちいち説明するまでもなく、いろいろあるわけで、その社会復 帰施設のなかに、医者が常勤しているわけでもないし、看護婦さんが常勤しているわけ でもないわけです。常勤しているのは、ソーシャルワーカー、PSW、あるいは指導員 という人達、それと施設長、そういう人達が常勤しているわけで、そこにおいて、精神 障害者、これも言うまでもなく、病状が固定してしまって、ずっとそこの施設で病状が 変わらないというわけは全然ないので、そこで仮に病状が変化した場合に、たぶん判断 するのは、まずやはりソーシャルワークだと思うんですね。PSWがそこで判断して、 この人は病状が悪いと。再発しそうだと。あるいは、医師に連絡とらなきゃならないと いう判断をするのは、これは医師との連携のもとにおける包括的な医行為だろうという ふうに。僕らの厚生省の研究班では、福祉施設との間は、医師の指示、連携義務を負う というふうに考えたわけです。連携しなければ、これは出来ないことで、何を言いたい かというと、その判断をするのは、やはりPSWなんですね。 だから、それは病棟のなかで看護婦さんが判断されるのと同じぐらいに重要な意味を 負うわけだけども、看護婦さんがするのと、福祉職であるPSWがするのと、根っこは 違うけれども、見ているのは同じ病者である。だから、そこにおいて、医療の範囲のな かに、それは入らないのですか、というふうなことをお尋ねをしたいわけです。そうい う点は、どうお考えなんですか。 岡谷 だから、医療職だというふうに言われると──── 谷野 それだけじゃないですよ。1つの例をあげただけです。 岡谷 でも、対象がそういう病気を持った患者さんというか、障害者と呼ぶにしてもい いんですけれども、そういう精神病を持っている人達を対象にして、その人達の経済的 な問題とか、社会的な問題とか、家族の問題とか、そういう生活環境の問題とかという ことを、福祉の視点から扱っていらっしゃるわけですよね。 だから、当然、それは、その患者さんが、すでにそもそもそういう病気というものを 持って生活していらっしゃるわけですから、その病気が再燃したり、悪化したりしたと きに、そういう変化というのが、患者さんの体にもあらわれるでしょうし、生活上のさ まざまな問題としてあらわれてくると思うんです。 だから、そういうものを統合して、いま患者さんの何が問題なのか、医療が必要なの か、あるいはこのまま自分達が見ていって大丈夫なものなのかどうかということの判断 は、当然、専門職としてはなさっていくんだと思うんですね。 でも、だからといって、それが、じゃあ医療職でなくちゃいけないかというと、福祉 職の人が、そういう判断をしても一向に構わないわけで、医療職でなければならないと いう、そのことが、私はあまり納得がいかないんです。 柏木 これは、後で医療職、あるいは福祉職の論議については触れますので、座長にお 願いしたいんですが、そこに回していただきたい。いま、業務について、例えばどうい うふうに違うか、視点の違い。例えばこの報告書を使ってお答えするとすれば、14ペ ージに質問2がございます。このなかに、T.清潔、というのがございます。このなか に選択肢が11ばかりございますけれども、ソーシャルワーカーがやるとしたら、1か ら10まで、おそらくやらないんじゃないかと思うんです。これは、もうまったく看護 の業務だと思います。 じゃあ、ソーシャルワーカーは、いったい何をするのか。おそらくこういうことには 関わらないかもしれないし、関わるとしても、例えばここに精神分裂病の患者さんがい るから、強いて言えば、分裂病だけれども、ソーシャルワーカーは、入浴して清潔に身 を持することを前提といたしません。極端に言うとね。本当にそのへんが違うんですよ 。だからこそ、これはチーム医療が必要になってきて、いや、だけど、あの人は、これ これこういうわけで本当に清潔にしていかないと大変だと、身体上の影響が少なからず あると。本当にそうだと思います。そういうときがあると思いますけれども、やはり本 人の特定の考え方というものを尊重するなかで関わりが出来ていって、そして、やがて 同意して入浴するかもしれないという、そういう道筋をたどるわけで、全くそのへんは 異なると思いますね。 それからもう1つ、食事についてもそうですね。14ページの食事、事例Uです。こ れも、選択肢が12まで、こういう観察の仕方、あるいはこういう関わりの持ち方とい うのは、おそらく持たないんじゃないかと思うんです、ソーシャルワーカーは。 そうじゃなくて、食事に直接関わることじゃなくて、あるいは食事に関わることもし れませんけれども、やっぱり本人が、いま何を考えているのか、何を思っているのか。 それが食事に、たまたま関わっていることかもしれませんし、まったくそうじゃないか もしれない。そのへんで、ここで、いまその患者さんが何を考えているのか、そういう なかで話し合っていくなかで、食事を食べない、あるいはソワソワと落ち着きがない状 態になったと。何かやっぱりあるんじゃないかというふうに思って、話し合いを、まず するだろうと思うんですね、どうしたんでしょうかと。そのへんが、入口が違うんだろ うと思います。 もう1つ、事例で言えるとすれば、このWの事例、活動。これは、催し物に参加する ことそのものをソーシャルワーカーは前提といたしません。やっぱり各自各様の考え方 があるわけでございますから、そのへんから入っていくという、入口がずいぶん違うな というふうに私は思います。 だから、同じ業務だからと言っても、視点が本当に違うんだなというふうに、これを 改めて見て、よくわかりました。一例ですけれども、そんなふうに思います。だから、 チームワークがあって、チーム医療というものがあって、そして異なる考え方の持ち主 のもとに、みんなで集団決定するなかで、最終的な責任を医師が負うということだと思 います。 それから、こういう療養上の援助にいたしましても、まず医者に聞いて、それで患者 さんに、あるいはサービスの利用者にわれわれが関わりを持つんじゃなくて、そういう 現場で拾ったことを医者に報告するという、それがチームのカンファレンスだと思うん ですね。そういうところで業務というものの重なりを考えていかれないものでしょうか 。岡谷先生の前段の2点、本当に私達と同じ考えなんだなということは、よくわかりま したけれども、そのへんのことを敷衍しておっしゃると、そこだけが、やっぱり違うん だということが、私には思えてなりませんけれども。 岡谷 いまおっしゃったようなことは、ソーシャルワークの専門性かどうかというのは 、私もよくわからないんですけれども、例えば入口が違うとおっしゃいますけれども、 看護婦だって、いきなりこういうことをやるわけじゃなくて、なぜ食べられないんだろ うかとか、何か気にかかっていることがあるんだろうかとか、食べられないことには何 か理由があるんだろうかということは、もちろん患者さんを観察したり、患者さんと話 をしたりするなかで確かめながらやっていくわけで、そういうアプローチそのものは同 じではないでしょうか。 柏木 だから、そういう選択肢がないということ ──── 岡谷 アプローチは違わないと思うんですね。ただ、それは、そういう情報収集をして アセスメントした上で、その患者さんに、そこからは、多分違うと思うんですけれども 、要するに食べられないという状態が、ずっと長く続くということは、身体的にも非常 に問題になってくるわけで、脱水だとかいろいろなことを考えないといけないわけです から、そういう意味では、どうやったら食べられるか、どうやったら栄養補給が出来る かという視点で考えていくのは、看護婦だと思うんですね。 だから、そういう意味では、別に看護婦は患者さんの話を聞かないとか、患者さんに 、まずいろいろなことを聞いていかないとかいうことではないと思うんですね。そのこ とはちょっと置いて、もし本当に看護とPSWの方達の業務そのものが違うというので あれば、それは、何も看護の療養上の世話という業務独占の部分を解除する必要という のは、まったくないではないかなというふうに思うんです。 柏木 業務が違うんじゃなくて、視点が違うだけなんです。 NO3に続く   問い合わせ先 厚生省大臣官房障害保健福祉部精神保健福祉課      担 当 三宅(内3055) 電 話 (代)3503-1711 (直)3501-4864 E-mail kmiyake@info.ncc.go.jp