■96/01/23 96/01/23 全国厚生関係部局長会議資料 その2 ※NIFTY-Serve:GO MHWBUL(厚生省行政情報)「4. 全国厚生関係部局長会議資料」  より。MHWBULには厚生省関連の情報がたくさん掲載されています。  アクセスしてみてください。 2「新たな高齢者介護システムの確立について」(老人保健福祉審議会中間報告)概要             1.現状と問題点              ・高齢者介護問題は国民の老後生活の大きな不安要因  ・高齢者介護サービスの基盤整備は不十分  ・介護を担う家族が非常に重い負担  ・福祉、医療と別々な制度により提供されており、利用者本位の体制が未整備  ・福祉の措置制度は、サービス選択についての制度的制約や利用に当たっての心理的   抵抗感が存在  ・医療においても、長期入院の問題や生活環境等における対応の限界が存在                           2.新たな高齢者介護システムの基本的な考え方                            ・高齢者自身の希望を尊重し、その人らしい、自立した質の高い生活が送れるよう、   社会的に支援していくことを基本理念とすべき  ・基本的な考え方はつぎの3つ   1 高齢者介護に対する社会的支援の整備   2 利用者本位のサービス体系の確立   3 社会連帯による介護費用の確保  ・今後の方向としては、同一の財政方式の下で、総合的・一体的な介護サービスが提   供される新たな高齢者介護システムの創設が必要。その際の費用保障方式としては   、公的責任を踏まえ、適切な公費負担を組み入れた社会保険方式について具体的な   検討を進めていくことが適当                    3.今後の検討における主な論点                     ・サービスの在り方、費用保障の在り方、サービス基盤整備等についての新たなシス   テムの具体像については、今後、国民各層の意見を踏まえ総合的に検討していくこ   とが必要  ・この中間報告により、高齢者介護問題に対する国民各層の理解が深まり、広範な議   論が更に進められることを期待                                       3 現行の老人福祉制度・老人保健制度と新高齢者介護システム                                           ※ 図 省 略                           III 介護給付について     1 老人保健福祉審議会介護給付分科会における議論の概要(要旨)  I.基本理念  ○ 新たな高齢者介護制度における基本理念については、  1高齢者介護に対する社会的支援  2高齢者自身による選択  3総合的、一体的なサービスの提供  があげられる。  II.介護給付の内容・範囲  1.在宅サービスについて ○ 高齢者介護においては、保健、医療、福祉にわたる各サービスが、総合的、一  体的に提供されることが求められる。 ○ 在宅サービスは、(ア)ホームヘルプサービス、(イ)デイケア・デイサービ  ス、 (ウ)ショートステイ、(エ)訪問看護サービス、 (オ)福祉用具サービス  とし、巡回サービスやグループホームについても積極的に取り組むべきである。 ○ サービスの水準については、新制度にふさわしい水準として、介護の必要度に  応じて類型別に、具体的なサービスモデルを示した。   2.施設サービスについて ○ 施設サービスは、十分な介護体制が整っている特別養護老人ホーム、老人保健  施設、療養型病床群などとし、これらは漸進的に一元化を目指すことが適当であ  る。 ○ 介護施設については、機能強化に見合ったマンパワーの配置基準の改善とその  確保のための計画的な対応が必要である。   3.介護サービスの事業主体について ○ 利用者にとっては、多様で良質なサービスが豊富に提供されることが望ましい  が、そのためには多様な主体の参加を求めることが適当である。                  III.介護サービスの利用方法                 ○ 高齢者自身によるサービス選択を基本に、それを専門家が連携して身近な地域  で支援するケアマネジメントの仕組みを確立する必要がある。 ○ 介護保険制度においては要介護認定と個別のケアプラン作成は区別して考える  ことが適当であるが、できる限り両者の連携を図る必要がある。               IV.家族介護について               ○ 家族介護については、その現金支給の是非を巡って、積極的な意見と消極的な  意見の両論があった。  (積極的な意見の例)  ・ 高齢者や家族の選択の重視、外部サービス利用ケースとの公平性等の観点か   ら、一定の現金支給を検討すべきである。  ・ 国民に新たな負担を求める以上、現物サービスを受けられないケースについ   て、保険料負担に対する見返りとして現金支給を行うべきである。  (消極的な意見の例)  ・ 現金支給は、必ずしも家族による適切な介護に結びつくものではなく、場合   によっては、家族介護が固定化されるおそれがある。  ・ 現金支給の制度化によって、現物サービスの拡大が十分に図られなくなるお   それがある。              V.他制度との関連             ○ 介護保険と他制度との関連については、様々な観点から議論があったが、一般  病院の長期入院患者の取扱い等については、今後の検討課題として整理した。                                         2 介護サービスの利用プロセス  (1) 新介護システムにおける介護サービス利用の基本的流れ    ※ 図 省 略  (2) 新高齢者介護システムにおける要介護認定とケアプラン    ※ 図 省 略 IV 介護サービス基盤の整備について     老人保健福祉審議会基盤整備分科会における議論の概要(要旨) 1.介護サービス基盤の整備について                    ○ 高齢者のための介護サービス基盤は重要な社会インフラストラクチュア。 ○ サービスモデルで示されたサービス水準が達成の実現に向けて、新介護システ  ム導入までは新ゴールドプランの着実な推進に加えて既存施設の転換促進等を中  心に対応し、導入後は新ゴールドプランをベースとしつつ新介護システムに対応  したサービスニーズの変化・内容の見直しも踏まえ本格実施に向けての基盤整備  を一層推進し、本格実施以降は新たな介護基盤整備の計画的実施に引き続き努め  る。 ○ 地域の特性を踏まえ、全国的にみて均衡ある基盤の整備を図る。 ○ 一般病院の療養型病床群への転換、養護老人ホームの特別養護老人ホームへの  転換など、既存施設を適切な介護サービスを提供する施設へ転換するための方策  を一層充実・強化。 ○ 国、都道府県、市町村がそれぞれの役割に応じ、基盤整備責任を担うととも に、少なくとも老人福祉施設については現行の公費を中心とした補助を維持。                                                                     2.介護サービスを担う人材の養成・確保、質の向上について                                ○ サービスモデルで示されたサービス水準の実現に向けて、処遇改善、研修の充  実、実習施設の整備、潜在的人材の活用など、幅広い観点から計画的に人材を養  成・確保。                                ○ ホームヘルパー等の研修の在り方、業務評価方法やケアマネージャーの研修の  充実、要件等について検討。                                                                                   3.予防、リハビリの充実について                    ○ 医療的リハビリと維持期リハビリとの機能区分を明確化した上で、維持期リハ  ビリの充実強化を図るため、訪問リハビリの充実、医療的リハビリとの連携強化  等を推進。                                ○ 「地域リハビリテーションセンター(仮称)」を位置づけるなど、高齢者のニ  ーズに応じたリハビリを提供する新たな地域リハビリ体系の確立を目指す。                                                                               ○ 虚弱高齢者等、日常生活上何らかの援護を必要とするような高齢者について  も、寝たきり予防等の観点からリハビリ等のサービスを実施。                4.その他         ○ 介護サービス提供主体の多様化、弾力化  ○ 福祉用具の利用促進 等  (参考1)                    介護サービス基盤整備のイメージ(素案)          新高齢者介護システムの確立               介護サービス基盤の整備                                                  ★ 総合的・計画的な介護基盤整備      〇 サービスモデルの想定するサービス水準への対応            〇 各段階に対応した計画的な整備の推進                 〇 地域特性を踏まえつつ、全国的にみて均衡ある介護サー           ビス基盤の確保                            〇 介護提供施設への転換方策の充実                    〇 公的主体(国、都道府県、市町村)が、それぞれの役割           に応じ基盤整備を推進          ★ マンパワーの養成・確保、質の充実     ★ 予防、リハビリの充実       (参考2)                新介護システムの導入に伴う介護サービス基盤整備の計画的推進(素案)   ※ 図 省 略            V 費用負担・制度について   老人保健福祉審議会制度分科会における議論の概要(要旨)              T.基本理念               ○ 新たな高齢者介護システムの検討にあたっては、1社会連帯による支え合い、  2安定的かつ効率的な事業運営、3地域性の配慮を基本理念に置くものとする。                                                      II.制度の考え方                 ○ 保険者の在り方については、1市町村を保険者とする考え方、2国を保険者と  する考え方、3老人保健制度を活用した仕組みとする考え方の3つの意見があっ  た。              ○ 受給者については65歳以上の高齢者を基本とし、高齢者を保険料を負担する  被保険者として位置づけることとし、負担者については現役世代についても世代  間連帯や老親に対する扶養責任等を踏まえ、適切な負担を求めるべきである。 ○ 保険料については、当面の保険料水準等を考慮し、定額制を基本とすることと  された。   また、地域ごとのサービス受益水準を反映させた金額の設定を基本とすべきと  する意見があったのに対し、全国的に同一の給付水準を確保し保険料を全国一律  にすることも考えられるのではないかという意見があった。   適切な徴収の確保という観点から、年金からの特別徴収や医療保険者による徴  収代行などの方策について具体的な検討を進めるべきである。    ○ 事業主負担については、1被用者の介護負担の解消に伴う事業主のメリットや  企業の社会的責任等を踏まえ法定すべきという考え方と、2事業主は労使の話し  合いで負担するような取扱いとすべきであるとする2つの考え方があった。     公費負担については、現行制度における公費負担の状況や介護サービス保障に  対する公的責任を考慮し公費負担を組み入れることとし、その割合は、給付費の  1 50%とすべきという意見と、2 50%超とすべきという意見の2つの考え方  があった。        ○ 利用者負担については、受益に応じた公平な負担という観点から定率負担と   し、施設における食費等日常生活費は利用者本人の負担とすることを基本とすべ  きである。                                                                III.他の公的制度との関係                           ○ 高齢者介護と密接な関係を有する老人保健制度の拠出金の問題も、高齢者介護  の問題と同時に検討すべきである。                      IV.民間介護保険との関係                        ○ 公的保険が提供すべき水準は、国民が必要にして十分なものとすることを基本  とすべきであるという意見があった。                V.その他                  ○ 今後の検討は、介護サービスの全体像を明らかにし、それに要する費用の見通  しを置いた上で、制度や費用負担の在り方を議論すべきである。  問い合わせ先 厚生省 高齢者介護対策本部        担 当 香取(内2286)        電 話 (代)3503-1711