■95/12/11「看護大学校及び看護学校の在り方に関する検討会」報告について ※NIFTY-Serve:GO MHWBUL(厚生省行政情報)より  ここには厚生省関連の行政がたくさん掲載されています。  アクセスしてみてください。 「看護大学校及び看護学校の在り方に関する検討会」 報告について 厚生省国立病院部 1. 国立病院・療養所においては、昭和22年から14万人を超える看護   職員の養成を行ってきたが、看護をめぐる状況の変化に伴い、医療 の高度化・専門化や急速な人口の高齢化等に対応し得る質の高い看 護職員の育成が必要となっている。 また、今日では看護基礎教育の高等教育化が進んでいる。 2.このため、国立病院・療養所における看護職員の養成はいかにある   べきかという観点から保健医療局長の下に有識者からなる標記検討会   (座長 竹中 浩治 厚生年金事業振興団常務理事)を設け、御議論を   行つていただいていたところ、12月11日に報告が提出されたところで   ある。  3.報告書の概要は、別紙のとおりである。     看護大学校及び看護学校の在り方に関する検討会報告概要      −21世紀における国立病院・療養所の看護職員養成− 1 国立病院・療養所附属看護婦養成所の今後の在り方 (1)基本的考え方   ア 医学・医療の高度・専門化や高齢社会の到来に伴い、人間理解と的    確な判断力や実践力、他職種との調整能力、在宅ケア能力等の看護の    質の向上が求められている。     国立病院においても、政策医療を進めるためには、臨床看護実践能    力、管理調整能力、臨床看護研究能力、国際医療協力に貢献できる能    力などを備えた質の高い看護職員が必要である。   イ このためには附属養成所の質の向上及び大学レベルの養成が望まれ    る。 (2)附属養成所の教育の質を向上させるため、附属養成所の再編成計画を   策定、実施し、継続すべき養成所を強化し、量から質への転換を図るこ   とが必要。   再編成の基本的考え方   ア 平成12年に看護職員の需給が見合うことが予測されていることか    ら、国立病院・療養所に必要な看護職員を適切に把握することとし、    これに基づいて必要となる養成数とする。   イ 附属養成所の再編成計画を策定し、これを実施する。   ウ 近隣の養成所を統合することが効率的である場合は、積極的にこれ    を進める。     エ 学生確保、臨床実習施設の確保、講師の確保等を考慮して、再編成    を進める。     オ 養成を継続する学校は教育体制及び教育環境の充実を図る。 2 国立病院・療養所の看護大学校について (1)国立病院・療養所で学位授与機構の認定を受け得る4年制の看護大学   校を持つ必要性は次のとおりである。   ア 政策医療を推進するために、看護実践能力が備わった優秀な人材が    必要である。   イ 政策医療に関する臨床看護確立のため、臨床看護研究能力を備えた    人材が必要である。   ウ 国際医療協力に貢献できる語学力を有する人材の育成が必要である。   エ 看護教育カリキュラムの開発等が必要である。 (2)看護大学校の担うべき役割   ア 高度な臨床看護実践能力を備えた看護職員を育成する。   イ 国立病院・療養所の将来の幹部看護職員を育成する。   ウ 国際医療協力に貢献できる人材を育成する。   エ 附属養成所の看護教育の質の向上を図る。   オ 国立病院・療養所の臨床看護研究を推進する。 (3)看護大学校に期待されるもの   ア 情報システムを活用したネットワーク化を図る。   イ 諸外国の看護情報収集・活用の能力及び語学力を高め、国際医療協    力に活かす。   ウ 実習施設として高度専門医療センター等を活用し効果的なものとす    る。   エ 将来は研究課程を持つ    −21世紀における国立病院・療養所の看護職員養成− 1 はじめに  国立病院・療養所においては、昭和22年から看護職員の養成が開始され、現在まで の約50年間に14万人を超える看護職員を社会に送り出し、卒業生は、国立病院・療 養所を始めとする全国の医療施設、看護婦養成所等において広く活躍している。  しかしながら、看護をめぐる状況の変化に伴い、医療の高度化・専門化や急速な人口 の高齢化等に対応し得る質の高い看護職員の育成が必要となってきており、今日では看 護基礎教育の高等教育化が進んでいる。  一方、国立病院・療養所の新たな再編成が必要との認識に立って「国立病院・療養所 の政策医療、再編成に関する懇談会」が行われたところである。  当検討会においても、このような状況を踏まえ、これまで6回の会合を開催し、わが 国の看護教育の動向、国立病院・療養所の現状、国立病院・療養所附属看護婦等養成所 (以下「附属養成所」という。)の現状を確認するとともに、看護大学及び附属養成所 8施設の現地視察を行い、今後の在り方について議論を行ったので、その結果をここに 報告するものである。 2 国立病院・療養所附属看護婦養成所の今後の在り方 (1)基本的考え方  ア 看護の質の向上  最近の医学・医療の高度化・専門化に伴い、深い人間理解と複雑化した看護問題に対 する的確な判断力や実践力、他職種との調整や連携能力が備わった看護職員が必要とな っている。また、高齢社会の到来により在宅ケア及び慢性疾患の予防などに対する国民 の期待が高まっている。このような状況から、看護職員の資質の向上及び専門性が求め られてきているところである。  国立病院・療養所においても、政策医療を進めるためには、看護という観点からは臨 床看護実践能力、管理調整能力、臨床看護研究能力、国際医療協力に貢献できる能力な どを兼ね備えた質の高い看護職員の確保が必要となっている。このため、教育の場と臨 床看護の場が密接な連携をとり、看護情報の提供及び研究指導を継続的に実施すること が重要である。  以上のことから、附属養成所の質的向上を図るとともに、国立病院・療養所の看護婦 養成の形態の一つとして大学レベルの養成が望まれるところである。  イ 附属養成所の質の向上  アで述べたように国立病院・療養所では看護の質の向上が要請されているところであ り、附属養成所の卒業生が在職看護職員の半数以上を占めることに鑑みれば、これに応 えるためには附属養成所の教育の質の向上を図ることが必要である。  国立病院・療養所には122の附属養成所が附置されているが、それらの1学年定員 が日本全体の養成に占める割合は7.2%、うち看護婦3年課程では14.1%であり、看 護婦養成機関としては我が国最大の規模で、全国45都道府県に点在している。  国立病院・療養所における看護職員の養成は、国立病院・療養所の看護職員確保とと もに、全国の医療施設等の要請にも応えるものである。卒業生の進路の状況を過去3年 間の平均で見ると、国立病院・療養所へ2,000人、それ以外の医療施設へ2,70 0人が就職し、約600人が保健婦・助産婦学校へ進学している。  附属養成所については、教育の質の向上を図るため、准看護婦課程から看護婦課程へ 課程変更が可能な施設は逐次変更が行われるとともに、近年は近隣施設の養成所を統合 し大型化による施設設備の充実や組織の強化が進められている。准看護婦養成の在り方 については、現在別途検討会が行われているところであり、その結果を踏まえ、厚生省 において検討されるものと理解している。我が国の看護職員確保については、平成3年 に策定された看護職員需給見通しによれば、平成12年には需給が均衡することが予測 されていることから、今後、附属養成所において必要と見込まれる養成数について適切 に把握し、専任教員や教育環境の充実を図ることが重要と考えられる。  ウ 専任教員の充実  附属養成所における看護教育の質の向上を図るためには、まず専任教員の数と質を充 実させることが必要である。専任教員が教育本来の業務を遂行するためには、基礎看護 、成人看護、老人看護、母性看護、小児看護等専門領域別に担当できる人材を確保し、 実習調整者は専任化することが望ましい。  また、質の高い専任教員を確保するためには、海外留学などにより職員が退職せずに 済むような制度の創設が期待されるとともに、国立病院・療養所在職者からの任用に加 え、看護系大学卒業者等の適任者を外部から採用することも必要と考えられる。  エ 教育内容の充実  附属養成所における講義は、時間数でみると、専任教員が24%、非常勤講師が76 %を担当しているが、特に基礎科目及び専門基礎科目については、各養成所の教育目標 に見合う適切な講師が得られるよう一層の措置が必要と考えられる。  実習については、国立病院附属の養成所では90%を国立病院・療養所内において実 習しているが、国立療養所附属の養成所では75%となっている。  臨床実習指導は、現在、国立病院・療養所の臨床実習指導者に任せているところであ るが、今後は臨床実習指導の質の向上とともに専任教員が直接指導できるような体制づ くりが望まれる。 (2)今後の方策としての再編成の考え方  附属養成所における看護職員養成は社会的にも大いに期待されているところであり、 国立病院・療養所の看護婦確保という面からも、養成を継続することが必要である。  附属養成所の教育の質を向上させるためには、国立病院・療養所の再編成を踏まえて 附属養成所の再編成計画を策定し、これを実施し、継続すべき養成所を強化し、量から 質への転換を図ることが必要と考えられる。  附属養成所の再編成についての基本的考え方は以下のとおりである。  ア 平成12年に看護職員の需給が見合うことが予測されていることから、看護職員   全体の中における国立病院・療養所に必要な看護職員を適切に把握することとし、   これに基づいて必要となる養成数とする。  イ 国立病院・療養所附属養成所の再編成計画を実施する。  ウ 近隣の養成所を統合することが効率的である場合は、積極的にこれを進める。  エ 学生確保、臨床実習施設の確保、講師の確保等を考慮して、再編成を進める。  オ 養成を継続する学校は教育体制及び教育環境の充実を図る。 3 国立病院・療養所の看護大学校について (1)看護大学校の必要性  わが国における看護教育は、従来は専修学校等において職業教育を主な目的としてな されてきたが、これからの看護界のリーダーは高等教育機関を修了した看護職員が担う ことは確実である。  国立病院・療養所が学位授与機構の認定を受け得る4年制の看護大学校を持つ必要性 としては以下の点が挙げられる。  ア 政策医療を更に推進するために、看護実践能力が備わった優秀な人材が必要。  イ 政策医療に関する臨床看護を確立するために、臨床看護研究能力の備わった人材   が必要。  ウ 国際医療協力に貢献できる語学力を有する人材の育成が必要。  エ 看護教育カリキュラムの開発等が必要。 (2)看護大学校の担うべき役割  ア 高度な臨床看護実践能力を備えた看護職員の育成  科学的な知識・技術と深い人間理解を基盤とした、高度な看護実践能力を備えた人材 の育成が期待される。国立高度専門医療センター(ナショナルセンター)を始め、国立 病院・療養所を臨床実習施設として活用できることは、非常に恵まれた条件であり、こ こで学ぶ臨床実習体験は、医療施設及び在宅等における高度な看護実践能力につながる ものである。  イ 国立病院・療養所の将来の幹部看護職員の育成  臨床看護の質を向上させるためには、優れた指導力や、他の関連職種との調整能力を もった人材が必要であり、これからの国立病院・療養所の看護を担う幹部看護職員の看 護基礎教育を行うことが期待される。  更に、将来的には、附属養成所の卒業生及び在職者の編入学を導入して、国立病院・ 療養所の特徴を理解した幹部看護職員を育成することが望まれる。  ウ 国際医療協力に貢献できる人材の育成  国が推進すべき政策医療である国際協力については、看護の分野に対しても国内外の 期待が大きい。国立国際医療センターの機能を活用しつつ、諸外国の看護に関する情報 収集や活用能力を高めたり、開発途上国の医療協力に関心を持つ人材を育成することが 期待される。  更に、将来は、外国からの要望の多い留学生の受入れ及び派遣について国際貢献でき ることが望まれる。  エ 附属養成所の看護教育の質の向上  附属養成所の中核として、看護教育に関する情報を各附属養成所に提供し、看護教育 及び看護研究についての指導的役割を果たすとともに、看護教育カリキュラムの開発や 、看護教育研究の推進などにより、附属養成所の質の向上に寄与することが期待される 。  オ 国立病院・療養所の臨床看護研究の推進  国立病院・療養所が担うべき政策医療、臨床研究、教育研修等を進めるためには、臨 床看護研究の推進が必要であり、看護情報を提供し、研究の指導的役割を果たすことが 期待される。  また、人事交流により臨床の場で看護研究能力を備えた指導者が確保できることは、 看護職員の研究指導、研究活動の活発化などの点で有効である。将来は国立病院・療養 所の果たすべき政策医療に関する臨床看護研究の推進が期待される。 (3)看護大学校に期待されるもの  ア 国立病院・療養所の看護教育の中核施設として、国立病院・療養所及び附属養成   所と情報システムを活用したネットワーク化を図り、看護研究等を支援する。  イ 諸外国の看護に関する情報収集・活用の能力及び語学力を高め、国際医療協力に   生かす。  ウ 実習施設としては国立高度専門医療センター及び国立病院、国立療養所等を十分   に活用し、実習施設との連携により計画的かつ効果的なものとする。  エ 将来研究課程を持ち、看護管理者、臨床看護研究者等の看護職員養成のモデルと   なり、保健医療の向上に寄与する。 4 おわりに  当検討会では国立病院・療養所における看護職員の養成はいかにあるべきかという観 点から議論を重ねてきた。  国立病院・療養所において政策医療を更に推進するためには、「国立病院・療養所の 政策医療、再編成等に関する懇談会」において示されたように再編成の推進が必要とさ れている。これを踏まえて附属養成所の再編成を進め、継続すべき養成所の質の向上を 図るとともに、今後の国立病院・療養所の看護教育のために4年制の看護大学校が必要 であると考える。  来るべき21世紀を見据えつつ、本報告では数多くの提言を行ったが、これらが生か されることを期待する。      看護大学校及び看護学校の在り方に関する検討会 委員名簿     飯田 裕子 国家公務員共済組合連合会虎の門病院分院総看護婦長     石平 正子 全国国立病院療養所附属看護学校副学校長・教育主事協議会長     稲岡 文昭 日本赤十字看護大学看護学部長看護学研究科長     大室 律子 文部省高等教育局医学教育課看護教育専門官     行天 良雄 医事評論家     坂本  理 茨城県衛生部医務課課長補佐(総括)     櫻美 武彦 全国国立病院療養所附属看護学校長協議会会長     佐藤 恒子 国立国際医療センター看護部長 《座長》竹中 浩治 財団法人厚生年金事業振興団常務理事     中山 洋子 聖路加看護大学教授     矢野 正子 東京大学医学部健康科学看護学科教授                          (50音順)  問い合わせ先 厚生省 保健医療局国立病院部政策医療課看護婦等養成指導室        担 当 廣田(内2646)            鈴木(内2647)        電 話 (代)3503-1711 (直)3501-4872