民間事業者による在宅介護サービス及び在宅入浴サービスのガイドラインについて


          昭和63年9月16日 老福第27号、社更第187号
          各都道府県知事あて
          厚生省大臣官房老人保健福祉部長、厚生省社会局長通知

{沿革}平成4年10月15日老計第143号改正

 民間事業者により提供されるシルバーサービスについては、高齢者等の福祉の向
上とその健全な育成を図るため、国、地方を通じる適切な行政指導と民間事業者に
よる自主的な取り組みにより良質なサービスが提供されるよう努めてきたところで
ある。 
 このたび、市場機構を通じて民間事業者により提供されはじめた在宅介護サービ
ス及び在宅入浴サービスについて行政指導を行う際のガイドラインを別紙のとおり
定めたので、次の事項に留意のうえ、貴管下の在宅介護サービス事業者、在宅入浴
サービス事業者及びシルバーサービス関係団体に対し適切な指導を行うとともに、
貴管下市町村等への周知方取り計らわれたい。

1 ガイドラインの対象
(1) ガイドラインは、在宅介護サービス又は在宅入浴サービスを事業として提供す
 る企業を対象とするものであること。また、農業協同組合法(昭和22年法律第
 132号)に規定する農業協同組合及び農業協同組合連合会が市場機構を通じて在
 宅介護サービス又は在宅入浴サービスを提供する場合においては、ガイドライン
 の対象とすること。
(2) 在宅介護サービスとは、ねたきり等心身に障害があることにより日常生活を営
 むのに支障のある高齢者等に対し、その者の居宅において介護を行うものである
 こと。
(3) 在宅入浴サービスとは、ねたきり等心身に障害があることにより自ら入浴する
 のに支障のある高齢者等に対し、搬入した浴槽を用い、その者の居宅において入
 浴介護を行うものであること。

2 ガイドラインの性格等
(1) ガイドラインは、最低限満たすべき基準にとどまらず、高齢者等の福祉という
 観点から少なくともこの程度の要件を満たしてほしいという推奨の基準を示した
 ものであること。
  なお、地方公共団体がこれらのサービスについて企業に委託を行う場合にあっ
 ては、ガイドラインに適合するサービスを提供する企業に委託することが望まし
 いものであること。
(2) ガイドラインは、在宅介護サービス及び在宅入浴サービスを一律に規格化しよ
 うとするものではなく、民間事業者の積極的な創意工夫を期待するものであること。

別 紙
   在宅介護サービスガイドライン

1 基本的事項
(1) 在宅介護サービスは、高齢者等の自立援助という観点に立って、高齢者等の心
 身の状態を的確に把握しつつ、適切なサービスを提供するものであること。なお、
 家族により介護が行われている場合には、その介護との連携に配慮し行うもので
 あること。
(2) 事業者及びサービス従事者は、高齢者等及びその家族のプライバシーの尊重に
 万全を期するものとし、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密
 を漏らしてはならないこと。

2 職員に関する事項
(1) 職員の配置
  職員については、次の職員を配置するなど適切な配置を行うとともに、サービ
 スの実施を指揮、監督する管理責任者を配置すること。
  ア 保健婦又は看護婦
  イ ソーシャルワーカー
  ウ ヘルパー
(2) 職員の研修
  職員に対しては、採用時及び採用後において定期的に、高齢者等の心身の特性、
 実施するサービスのあり方及び内容、介護に関する知識及び技術、作業手順等に
 ついて研修を行うこと。
(3) 職員の衛生管理
@ 事業者は、職員の心身の健康に留意し、職員の疾病の早期発見及び健康状態の
 把握のために、採用時及び採用後において定期的に健康診断を行うこと。
A 事業者は職員の清潔の保持及び健康状態について常時チェックする体制を整え
 ること。
B サービスの従事者には、清潔で活動しやすい衣服を着用させること。
3 用品の安全衛生管理
 利用者の皮膚に直接接するタオル等の用品類は、安全、清潔なものを使用すること。
4 サービス実施に関する事項
(1) サービス実施方法
@サービス実施方法をマニュアルとして定め、サービス従事者に徹底すること。
A マニュアルには次の事項を盛り込むこと。
 ア サービス利用者及び家族に対するサービス内容の説明
 イ 保健婦又は看護婦、ソーシャルワーカー及びヘルパーの業務分担並びにこれら
  の者の医療法制(禁止事項)導守に関すること。
 ウ 保健婦又は看護婦による利用者の健康状態の定期的な観察
 エ ソーシャルワーカーによる利用者の家族環境等の把握
 オ 保健婦又は看護婦及びソーシャルワーカーによるサービス内容の検討及び決定
 カ ヘルパーへのサービス内容についての指示
 キ 個々のサービスについての具体的作業手順、留意事項等
 ク 利用者に異常があった場合の対応
 ケ サービス実施前後の従事者の手指の洗浄消毒
 コ 実施したサービス内容等についての報告及び報告内容についての記録の保管
 サ サービス内容の見直し
(2) 医療との連携
  嘱託医又は協力医療機関を確保すること。また、利用者の主治医を確認し、主
 治医との連携を確保すること。
(3) 相談・援助機能の充実
  利用者及び家族の相談に幅広く対応し、公的サービスの紹介も含め、情報提供
 に努めること。
5 契約等に関する事項
(1) 契約の内容等
@ サービスの開始前に、次の事項をもりこんだ契約書をとりかわすこと。また、
 その際、内容及び手順について事前に説明を行うこと。
 ア サービス実施主体名及び代表者名
 イ 利用者氏名等
 ウ サービス内容及び料金
 エ サービス実施主体の免責事由
 オ 契約事項の変更
A 利用者募集の際、誇大広告等により利用者に不当に期待をいだかせたり、それ
 によって損害を与えることのないようにすること。
(2) 料金
  料金はサービス提供に要する費用に応じた適切な額とすること。
  サービス内容に対応した料金体系を用意し、明示すること。
(3) 苦情処理、損害賠償
@ 事業者は、自らサービスを提供するとの立場にあることから、利用者の苦情に
 対し迅速かつ円滑な解決を図るため、窓口を置く等利用者等の利便に配慮してそ
 の苦情処理に努めるものとすること。
A 事業者は、利用者に対するサービスの提供により賠償すべき事故が発生した場
 合は、利用者に対しての損害賠償を速やかに行うものとすること。

在宅入浴サービスガイドライン
(後略)