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NPOとお金
◆20030326
NIRA報告会「新たな公共の担い手・NPOのための資金基盤」
■資金の調達方法についての文献
資金の調達の仕方について横浜市女性協会編[1993]がすぐれたガイドブックに
なっている。
◆横浜市女性協会 編/女のネットワーキング・プロジェクト 製作 1993
『女のグループ 活動資金づくりの本──助成機関全国リスト付』,
学陽書房,181p.,1800円 [4]
◆1995年版助成情報のページ
◆1994年版助成情報のページ
■■寄付
■寄付の実態:アメリカと日本
※黒永英樹 19960229 「どのようにお金の流れをつくるか」
(千葉大学文学部社会学研究室
『NPOが変える!?──非営利組織の社会学』,第4章)より
『社会貢献白書 1992年版』(経済団体連合会編[1992])に掲載されている数
値を用い,日米の寄付の状況を比較したデータをみる(表3)。
ただしこの数値にはいくつか注釈が必要である。まず日本の個人寄付の数値は,
国税庁の「税務統計からみた申告所得税の実態」で推計されている値であり,所得
税の寄付金控除の対象となった金額であって,寄付金控除の対象とならない寄付や,
対象となりえても申告していない寄付等は含まれていない。だから実態とは大きな
乖離がある(経済団体連合会編[1992:302-303])。
表3 個人・企業による寄付の日米比較(1990年)
個人 財団 遺贈 計 比 企業 企業財団 計 比 総計 比
日 342 54 396 1 5491 196 5687 1 6083 1
米 132340 9490 10140 151970 209 7670 1820 9490 0.91 161460 14.5
(経済団体連合会編[1992:287-288,313-316]の数値を利用)
単位:億円(個人1,018,000億ドル,企業59億ドルを1ドル=130円で換算)
比は左の項目をGNP(日本3兆ドル,アメリカ5.5兆ドル)で割った数値を
出した時の比率(日本の値を1とする)。出典については本文を参照 ★04
別の推計がある。「全国消費実態調査」(総理府統計局)では,1989年の1世帯
当り年間寄付金支出は4692円であり(調査対象の9月〜11月の1ケ月平均支出額を
単純に12倍したもの)に世帯数(89年で4056世帯)をかけて全国全世帯の寄付金支
出を求めると,1900億円強と推計される(山内[1993:62])。1人 1500円強とい
ったところか。実感としても,だいたいそんなものではないかと思う。この値でア
メリカと比較してみると,GNP比で,日本1に対してアメリカ38となる。アメリ
カの 211分の1(個人財団の分を除く)といったはなはだしい違いではなくなる。
次に個人財団について。これは,助成財団の助成事業額から企業財団の助成額を
差し引いてみた数字(249億−196億=54億)だが,両者は各々異なった調査から得
られた数字であり,およそ正確な額とは言えない。前者は,(財)助成財団資料セ
ンターが1991年7月に行った調査に回答をよせた 394の助成財団(個人財団が112・
企業財団229)についての1990年度の事業費の総額であり,これが249億5000万円
(290財団)となっている(経済団体連合会編[1992:313])。後者は(財)公益
法人協会が行った調査(後述)によるもので,393の企業財団についての数字であ
る。
次に企業による寄付。先の表を見る限り,企業の寄付について,アメリカと日本
の間に大きな違いはない。直接寄付だけについてGNP比でみると,むしろ日本の
企業の寄付の方が上回っている。
ただし,これにも留保がつく。先の日本企業の寄付金の数値は,国税庁の「税務
統計から見た法人企業の実態」による(1990年について国税庁企画課編[1992],
今田[1993a:136ー137]に紹介)ものだが,これは政党への献金などを含む寄付の全
てであり,公益活動への寄付に限られていない。個別の企業についても,その寄付
金の金額や対象分野はほとんど公表されていない(今田[1993a:136])。
ただ以上を考慮に入れた上でも,個人による寄付(遺贈も含む)の差は大きい。
また,財団★05による助成・寄付が日本では少ない。特に日本企業の場合,直接寄
付の方がはるかに多い。日本の社団法人と財団法人,いわゆる民法法人の数は,19
90年度末で社団法人が11602,財団法人が12439(経済団体連合会編[1992:312]),
この中で個人財団,企業財団(及び募金財団)の数の内訳を示す統計はないが,
(財)公益法人協会の調査は,1991年7月現在の日本の企業財団数を約460と推計
しており,403財団(助成事業のみを行っている財団は241)の事業について報告し
ているが,このうち393財団の助成事業費が 196億円(自事業費334億円)(経済団
体連合会編[1992:313],今田[1993a:138])となっている。特徴的なのは,助
成型財団の多くは研究助成を主目的としたもので,しかも理科系(理・工・医学)
を対象とした科学技術や自然科学を振興する財団が非常に多いことである。福祉,
芸術,文化,国際交流を目的とした財団も現われだし,多様な分野への寄付が行わ
れてはきているが,産業振興に直接関連した部分への寄付が中心となっていること
は否めない。★06
■共同募金
※黒永英樹 19960229 「どのようにお金の流れをつくるか」
(千葉大学文学部社会学研究室『NPOが変える!?』,第4章)より
共同募金運動に対する北海道民の意識調査によると,配分が生活保護費,行政の
福祉予算,難民救済に使われていると答えた率が,社会福祉協議会を上回っていて,
理解度に難点がある。実施団体を地方自治体と答えたのが43.2%で,民間団体の23.8
%,わからないの28.8%を上回っていることからも,理解されていない実態がうか
がわれる。また共同募金へ協力したか否かの問いに,協力しなかったと答えた人
(12.9%)にその理由を聞いたところ「使途が不明・使途が疑問」という理由が上
位に位置する(その他に「強制的」,「国の責任」,「街頭でしつこい」,「マン
ネリ」など)。協力するにせよしないにせよ,どの機関・団体が取り扱い,どの分
野どの団体に配分されるかはほとんどといってよいほど知られていない。共同募金
配分金は地域福祉やその活動を支える主要な民間財源であるが,今後の共同募金活
動については56.3%が盛んにすべきと考え,そのためには使途の明示や募金方法の
工夫,広報活動などが挙げられている。(木村[1994:22-27])。
募金とは,恵まれない人達へのお金の流れであり,そこには悪意や背徳など入る
余地はないと考えているのではないだろうか。だから,何も言わなくても誠実に実
行されるはずだ,これで困っている人が少しは楽になるだろう,と思うことになる
のだろう。そのことが使途の不明確性,目的意識の稀薄化(募金の年中行事化)を
引き起こすことになる。1992年の共同募金の実績額は約 170億円(一般募金のみ,
歳末たすけあいを加えると 250億円超)である。たしかに大きな額であるが,かけ
られている手間を考えるとどうだろうか。国民の広い層に関心を喚起するという意
味があるにもせよ,効率的であるとは言えないように思う。これを増やしていくに
は,有効に,有意義に使われていることを示し,共同募金にお金を入れることに魅
力を感じるようにアピールしていく姿勢が必要だろう。ただ,募金箱にお金を入れ
るという時,普通どれほどの額を考えるか。また,一戸一戸寄付金袋が回り,大抵
の場合,横並びに寄付の「相場」がなんとなく決まり,皆がそれに合わせるといっ
たことが一般的だ。そして,寄付者が寄付先を指定できないことや,薄く広く配分
されるという配分のあり方を考えると,現状のシステムを基本的に踏襲していった
場合,どこまで伸びが期待できるか,また民間団体の資金源としてどこまで頼れる
ものになるか。
■国際ボランティア貯金
※黒永英樹 19960229 「どのようにお金の流れをつくるか」
(千葉大学文学部社会学研究室『NPOが変える!?』,第4章)より
国際ボランティア貯金は,NGO援助のために郵政省が1991年1月から始めた。
申し込み者を募り,それに応じた人の通常預金の利子の20%が,毎年3月,自動的
に「ボランティア口座」に贈られるというものである。加入者は1777万人(1995年
6月末)→約1828万人(1995年8月末)(『国際ボランティア貯金通信』19:4)。
表5 国際ボランティア貯金の配分実績
年度 配分額 受益NGO 額/NGO
1991 11億 905万円 104団体 1066万円
1992 27億1580万円 189団体 1437万円
1993 24億1849万円 190団体 1273万円
1994 25億1905万円 197団体 1278万円
1995 28億1075万円 235団体 1196万円
(『朝日新聞』1994-8-3:4,『国際ボランティア貯金通信』)
例えば「アジア医師連絡協議会」(AMDA)は年間約2200万円,「日本国際ボ
ランティアセンター」(JVC)は年間約9800万円の配分を受けている(1995年度)。
新聞記事(『朝日新聞』1994-8-3:4「元気いっぱい日本のNGO」中の「活動支
える「国際ボランティア貯金」」)は,JVCの総務担当のスタッフ柴田直史さん
の話を次のようにまとめている。
「ソマリアなどの救援プロジェクトが決まると,スタッフはとりあえず自費で飛び
出した。その後,日本に残ったスタッフが寄付金集めに奔走する。プロジェクトが
失敗すれば寄付は集まらず,スタッフが自腹を切ることもあった。
寄付金集めに人手を取られることも痛かった。現地活動に回すエネルギーを削ら
れることになるからだ。
「ボランティア貯金ができてから,募金の人手を活動に使えるようになったのは
大助かりでした。」
さらに,専従スタッフに給料が払えるようになった。郵政省は人件費を認めてい
ないが,事業に回せる資金ができたため,… 給料支払いができるようになったの
だ。
「私の場合,大卒34歳,3人家族で,手取り22万円。多くはないが,生活の心配
はなくなった。生活と生きがいの両立が可能になったのです。」と柴田さんは話す。」
NGOの側としては,募金活動を代行してもらうことによって,資金集めの手間
が省ける。また,1団体に渡る額が比較的多く,実質的な活動に使うことができる。
また募金を集める側としては,比較的手間のかからない方法である。そして,募金
する側としては,目的が比較的明確なので,募金しようという気になりやすいとい
うことも言えそうだ。
■ユナイテッド・ウェイ
※黒永英樹 19960229 「どのようにお金の流れをつくるか」
(千葉大学文学部社会学研究室
『NPOが変える!?──非営利組織の社会学』,第4章)より
さらに大規模に寄付を集め配分する組織がアメリカにはある。資金供給の仲介機
関として「連合資金供給機関(Federated Founder)」と呼ばれるものがあり,サ
ービス提供機関のために民間から献金を集めているのである。中でも大きなのは
「ユナイテッド・ウェイ」である。これは,約2300の地方「共同募金会」によって
作られたネットワークで,地域の社会サービス機関にかかわって,個人を対象にし
た募金活動を行う。ここで採用されているのが「職場勧誘」と名づけられた方法で
ある。職場で働く人々に直接寄付を訴え,寄付を約束した金額は,雇用者が給料日
ごとに自動的に給料小切手から控除するシステムである。1990年に,アメリカ全土
にある地方ユナイテッド・ウェイは総額31億ドルの寄付を集めた。
従来配分先はユナイテッド・ウェイ公認の「会員機関」に限られていたが,それ
に対する非難が高まり,その結果,地方ユナイテッド・ウェイの多くが,寄付者が
寄付先を指定できるという「寄付者による選択」方式をとるようになった。
(Salamon[1992=1994:50-51])
また,アメリカではNPOに代わり募金活動に専門的に関わる個人や会社がある。
大きなNPOは常勤のスタッフとして募金活動専門家を雇っている。これらの募金
活動専門家は職業組合を作り,ネットワークを組んで研究集会や訓練を行っている。
また,営利募金活動会社は,非営利団体から募金キャンペーン運営の委託を受け広
報活動を行っている。(Salamon[1992=1994:52-53])
■財団による助成
『社会福祉事業関係 助成団体要覧'96』
全国社会福祉協議会出版部,84p.,800円
■公的助成
事業を依託するというかたちで資金が流れるのが普通である。
■借りる/貸す
市民活動に資金を貸し出す「市民バンク」について,片岡[1989][1990:50-52]。
片岡 勝 1989 「市民バンクの試み」,『現代の理論』26-9(1989-9):50-61
───── 1990 「新しい価値観で生きる──ワーカーズ・コレクティブ」,
『ボランティア活動研究』6:45-53
◇NPO・ボランティア
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