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※島田誠 19960229 「人を用いる──アメリカのNPOはどうしているか」 (千葉大学文学部社会学研究室『NPOが変える!?』,第3章)より 多くのNPOでは,理事会の決定のもと,理事会から得た意見やアドバイスを参 考に,常勤及び非常勤のスタッフで構成される事務局が組織の実質的な運営に携わ っている。例えば,JPRN(年間予算30万ドル)の事務局に は常勤の有給のスタッフが4名いる。他に,インターン,ボランティア,ワーク・ スタディ(後述)というかたちで関わっている人を含め,年間で常時15〜20人の人 が活動に参加している(今田氏)。 スタッフは「普通給料もらってそこで働いている人」「フルタイムあるいはパー トタイムでNPOに雇われ,これがメインの仕事になってる人」をさす。「一回や ったらやめられないって言われてて」,他の企業等に勤めた後スタッフとして勤め る人もいるが,「はえぬきというか,大学を出て,NPOに2,3年勤めて,その 分野でプラクティカル(実践的)な学問を研究する大学院に行き直して,修士くら いをとって,ディレクターとかマネジメントをやるスタッフとしてはいるという人 が多い。」(今田氏)★02 エグゼクティブ・ディレクター(事務局長)が活動の企画,運営面の実務責任者 である。スタッフの採用や解雇の実務上の権限をもつ。他方理事会はエグゼクティ ブ・ディレクターの選任や解任の権限をもっている(今田氏)。「むこうでノンプ ロフィット(NPO)のエグゼクティブ・ディレクターみたいに自己紹介すると, ああっていうふうに認めてくれる部分っていうのはあるんですね。ただ,それを日 本でやろうとしたらできないわけで…」(今田氏,法人化と社会的認知に関する議 論の中で) スタッフの賃金は組織の規模が大きくなれば高くなるという相関はあるが,米国 のNPOの3/4を占める組織全体の年間支出が50万ドルまでの組織の場合,エグ ゼクティブ・ディレイクターの賃金は時給15〜20ドル,年収にすると3万から4万 ドル程度,5万ドルはいい方,3万ドル程度が一番多い。他のスタッフで年収2万 から2万5千ドル程度。物価水準を考えると,1ドル=150円くらいだから,3万 ドルもらっているとしたら日本では400〜500万円位の感覚だという(今田氏)★03。 それでも「民間企業に比べたら給料が低いですから,それで一家を養っていくの は難しい。それで女性が多いというのがあると思うんですけども。女性の場合,特 に子供を産んだりして一回第一線から離れるといった場合がありますよね。何年か して戻りたい時に,NPOもマネジメントができる人がほしいと。アメリカの場合, NPOに限らず欲しいのはどこでも即戦力ですから,そういう人達をもう一回引き 入れたり,そういう形でやる場合が多いです。」(今田氏) 他に,人件費を押さえるための工夫として「年金生活者を職員に採用するという のも,しばしば用いられる方法である。これは,一定額以上の収入をえると年金の 受給額を減らされる,または受給を止められるということを利用したものだ。高齢 者や障害者がしばしばその対象になる。例えば,障害者年金を毎月 500ドル受給し, 年金受給額の限度額の1200ドルを超えないために, 700ドルでフルタイムにつくと いうようなケースだ。」(柏木[1992:34])★04 全てのNPOでというわけではないにせよ,ひとまず暮らすことができるだけの 収入を得て,活動に専念することのできるスタッフがいること,またそのための (NPOでの一定の活動を経た後の)教育のルートがあること,そしてNPOのス タッフとして働くことに対する社会的な価値付与があること,これらが専門分野の 知識と管理能力をもったスタッフを支え,NPOを支えている。 ◇NPO・ボランティア |