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■寄付金の税控除についての理論

※石塚美由紀 19960229 「アメリカのNPO活動と日本の市民活動」
(千葉大学文学部社会学研究室『NPOが変える!?』,第1章)より

 寄付金の税控除は,政府による暗黙の補助金(an implicit tax subsidy)であ
るとも言われる(James & Rose-Ackerman[1986=1993],等)。寄付金の税控除
を正当化する理論として「補助理論」(Subsidy theory)と「公平理論」(Equity
theory)がある。
 「補助理論」とは,慈善団体の行う公益の供給は,一般の市場になじむものでは
ないので政府からの補助を行う必要がある。これを政府から直接補助金を支出する
のではなく,寄付控除という税制上の補助金とする方が経済的に見て効率的である
という考え方である。
 「公平理論」とは,慈善目的の寄付はもともと自分の利益を求めるために行われ
るのではなく,所得課税は納税者の現実に享受する収支に対するものになすべきだ
とすれば,利他的目的で寄付をした場合と,自己の利益のために資材を費消した場
合とを同等に課税するのは妥当とはいえない。したがって課税の公平という考え方
に立ち,慈善目的の寄付金には課税せず控除をして公平を図るべきだ,という考え
方である。(公益法人・公益信託税制研究会編[1990],雨宮[1993:296-298]に
紹介)
 また寄付する側からすると,自分では直接使われ方を特定することができない政
府への税金を納める代わりに,地元地域社会で公益的な活動をしているNPOに別
の「税金」を直接収める選択権をもてる。

雨宮 孝子 1993 「フィランソロピー税制の現状と課題──特に寄付金税制を中
         心として」,林・山岡編[1993:277-302] [1]
公益法人・公益信託税制研究会編 1990 『フィランソロピー税制の基本的課題』,
         (財)公益法人協会 [1]
James, Estelle ; Rose-Ackerman, Susan 1986 The Nonprofit Enterprise in Market
         Economies, Harwood Academic Publishers=1993 田中敬文訳,
         『非営利団体の経済分析──学校,病院,美術館,フィランソ
         ロピー』,多賀出版,141p.,ISBN:4811533518,2369円 [1]
林 雄二郎・山岡 義典 編 1993 『フィランソロピーと社会──その日本的課
         題』,ダイヤモンド社,356p. ISBN:4478300453,2900円 [5]


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