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先生、わたし、がんですか?
生と死の場面における「説明と同意」

植竹日奈(医療ソ−シャルワ−ク)



先生、わたし、がんですか?
生と死の場面における「説明と同意」

  信州大学医療技術短期大学部平成8年度公開講座
  生と死の医療──教養としての医療part2

                     植竹日奈(医療ソ−シャルワ−ク)

 現代社会において、人が生まれ、人が死ぬ場面を思い描けば、多くの人が病院の
情景を思い浮かべることと思います。現代に生きる人にとっては、生と死と医療は
切り離せないものになっていることは言うまでもありません。たくさんの人が医療
の場で生まれ、死んでゆきます。医療は、人にとってもっとも大切な2つの場面の
舞台となっているといえます。大切な大切な赤ちゃんの誕生。大切な大切な人の死
出の旅立ち。私たちはそんな場面を医療の中で迎えるのです。

 この公開講座では、さまざまな視点から、生と死の場面としての医療を語ってい
ます。医療ソ−シャルワ−カ−であるわたくしからは、そのような場面での「コミ
ュニケ−ション」についてお話ししてみたいと思います。医療の場にいる人(医療
従事者)と患者さんやその家族がどのように意志の疎通をしてゆけばいいのか、と
いうことを考えてみましょう。

 医療の場における意志の疎通を考える時、ひとつの切り口となるのが「説明と同
意」と翻訳される「informed consent」の概念です。多くのマスコミでみかける言
葉ですし、ほとんどの方が聞いたことはあると思います。とはいうものの、多くの
困難な問題を抱えた医療の場においてこの概念はとても難しいものです。この概念
を生み、育ててきたヨ−ロッパや米国の状況と日本の医療の文化や風土はかなり違
いますし、木に竹をつぐような輸入文化として根付くとはとても思えない部分があ
ります。それではわたくしたち、つまり、医療を「受ける」側はどのような認識を
もって医療の中での意志の疎通に取り組んでいったらよいのでしょうか。

 informed consentの歴史的な成立ちを少し知ってみましょう。informed consent
という概念が目指しているものが少し見えてくるかも知れません。それから、たと
えば日本医師会の生命倫理懇談会による「説明と同意」についてのコメントをのぞ
いてみましょう。日本の医師たちはこの概念をどのように考えているのでしょうか
。そして、皆さんの経験談などもたくさんうかがいたいと思っています。医療の中
で感じたさまざまな思いをどうぞお聞かせ下さい。

 普段は医療の中から医療従事者のひとりとして医療を見ているわたくしですが、
皆さんと御一緒に、市民の立場からみた医療の姿を考えてみたいと思っています。


REV: 20170127
信州大学医療技術短期大学部
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