市民活動法人法案(堂本試案) 00013/00025 INE00010 INET GATE さきがけ案骨子 ( 3) 95/10/04 16:29 Path: inetnews.niftyserve.or.jp!news.iij.ad.jp!vcom!ppp02!matubara From: matubara@c-s.suehiro.nakano.tokyo.jp (Matsubara Akira) Newsgroups: tnn.interv.ngolegal Subject: さきがけ案骨子 Date: 4 Oct 1995 06:26:48 GMT Organization: シーズ Lines: 433 Message-ID: NNTP-Posting-Host: ppp02.suehiro.nakano.tokyo.jp Mime-Version: 1.0 Content-Type: text/plain; charset=iso-2022-jp X-Newsreader: NewsWatcher-J 2.0b19J12 シーズの松原です。 さきがけ案骨子が9月26日に公表されました。 以下掲載いたします。  政策調査会NGO支援検討部会にて、市民活動団体やNGOに対して法人格を付与 する法案の検討を行って参りましたが、本日下記の通りさきがけ案(堂本暁子部会長 試案)を本日の与党NPOプロジェクトに提出しました。今後各団体や関係者の意見 を十分うかがいながら、与党案をとりまとめていく予定です。  さらに、さきがけ政策ブックレット第2弾「さきがけの市民活動法人法案」を10 月中旬に発行予定です。 ---------------------------------------------------------------------                                  95/9/26 市民活動法人法案(堂本試案) [法律案の特徴] 1 市民活動法人として、広く法人化を認める。  この法案では、市民活動法人の設立として、入口を広くして認めることとするので 、自発的な社会活動を行うことを目的として組織された民間非営利団体は一定の要件  (第6条)のもとに法人となりうることとなる。したがって、同窓会や同好会など 、「公益」を目的としない非営利団体(中間団体)も、市民活動団体であれば法人と なりうるものに含まれることになる。 ただし活動の行き過ぎについては、行政機関 ではあるが、他から指揮命令されない独立した委員会である市民活動推進委員会を都 道府県ごとに設置して監督を行うこととする。ただしこの委員会の委員はその都道府 県の市民活動法人の代表理事や有識者から選ぶこととして、委員会においても市民活 動法人の自主性を保てるようにする。 2 市民活動法人は民法の公益法人の規定と抵触しない。  民法34条は、「・・・公益に関する社団又は財団にして営利を目的とせざるもの は・・・法人となすことを得」としているが、ここにいう「公益」とは、「広く社会 全般の利益あるいは不特定多数の者の利益」とされている。 しかしこの法案におけ る市民活動法人が目的とするものは、この「公益」とは全く概念が異なる。この法案 は、現代の民主主義社会における市民活動団体の意義を評価し、それに法人格を与え て活動を活発にしようとするものである。例えば「フランスの核実験に反対する会」 のような社会における一つの意見や考え方を基本にして活動する団体は、民法の公益 法人となるのは難しいであろう。しかし市民活動法人であれば、その団体がこの法案 の要件を満たすものであれば法人となりうる。そして、このような市民活動団体に法 人格を与えることこそがこの法案の意義である。「公益法人」を設立しやすくするの ではないのである。以上の理由から、この法案では、「公益」とかそれに類する表現 は一切入れていない。 3 設立は準則主義による。  この法案では、市民活動団体は、10人の会員と100万円の設立準備金があれば 登記することによって法人となることができる。基本財産については、設立に責任を もつ意味で加えたもので、責任ある活動の基礎として最低限この程度は必要と考えら れるものである。 4 主務官庁は作らない。  この法案における市民活動法人は、自主性、自立性をもった責任ある活動を行うこ とが求められている。民法の公益法人は、設立時にも、活動時にも主務官庁の監督が なされ、そのことが活動の妨げになっている。市民活動法人は、その活動の性質上、 自主性が必要であり、行政の関与はなされるべきでない。 5 裁判所による解散命令制度  市民活動法人が、法人として違法な活動を行った場合には、法人格自体を消滅させ るため裁判所による解散命令の制度を設ける。  3年間活動しない休眠法人、あるいは市民活動推進委員会から情報開示を命令され てもそれに応じない法人も、解散命令の対象となる。 6 宗教活動、政治活動などの除外  市民活動団体は、宗教活動、政治活動のために活動してはならないとの規定を置き 、これに反する場合は、裁判所の解散命令の対象となる。 7 法人格の濫用の防止  この法案では、たいへん簡単に法人格をとれることになるので、市民活動法人の名 のもとに、実態のない法人がつぎつぎにできるのではないかとの疑問が出るかもしれ ない。しかしこの法律の趣旨は、市民活動を活発にするためには、法人格は広く付与 してもよいという、これまでとは全く違った発想に立っているから、法人がたくさん できることは初めから想定していることである。実態がないものについては、解散制 度で規制することとしており、これで十分であると考えられる。 ただ個人の財産隠 しにこの法人制度が使われるのではないかという点があるが、これについては、法人 格否認(裁判において、訴えられた個人が、法人の財産であるとの主張を認めない理 論)を広く認めることによって防げるのではないか。 8 存立期間  市民活動法人の存立期間を10年とした。継続は可能である。 [この法案における法人と他の法人との関係] [Image] [条項案]  第一章 総則  (目的) 第1条 この法律は、国民による民間非営利活動団体(以下「市民活動団体」という 。)の活動の重要性をかんがみ、市民活動団体に法律上の能力を与え、その自発的な 組織の発達を図り、もって社会の利益の増進に寄与することを目的とする。  (解釈規定) 第2条 この法律のいかなる規定も、市民活動団体の活動の自由を制限するものと解 釈してはならない。  (定義) 第3条 この法律において市民活動団体とは、自発的な社会活動を行うことを目的と して組織された民間非営利団体をいう。  (国及び地方公共団体の援助) 第4条 国及び地方公共団体は、国民が広く市民活動団体に参加し、自発的な社会活 動を活発に行うことができるよう財政の援助、広報活動、情報の周知、施設の整備そ の他の援助措置を講ずるものとする。 2 国及び地方公共団体は、前項の援助措置を実施するにあたっては、市民活動団体 の自主性を尊重しなければならない。  (法人格の取得等) 第5条 市民活動団体は、その主たる事務所の所在地において登記することにより、 法人となる。 2 この法律の規定により登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これをも って第三者に対抗することができない。 第二章 市民活動法人  第一節 通則  (基準及び原則) 第6条 市民活動法人は、この法律に別段の定めがある場合のほか、次の要件を備え なければならない。  一 営利を目的としないこと。  二 会員が任意に加入し、又は脱会することができること。  三 会員の議決権及び選挙権は、平等であること。 2 市民活動法人は、特定の会員の利益のみを目的としてその事業を行ってはならな い。 3 市民活動法人は、特定の政党又は宗教のために利用してはならない。  (存立期間) 第7条 市民活動団体の存立時期は、その設立から10年とする。  (住所) 第8条 市民活動法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。  (名称) 第9条 市民活動法人は、その名称中に、市民法人の文字を用いなければならない。 2 市民活動法人でない者は、その名称中に市民法人という文字を用いてはならない 。  (規約の作成) 第10条 市民活動法人を設立するには規約を作成しなければならない。 2 規約には左の事項を記載しなければならない。  一 目的  二 名称  三 事務所の所在地  四 役員の氏名及び住所  五 会員の資格に関する規定  六 役員の定数及びその選挙に関する規定  七 議決権及び選挙権に関する規定  八 会計の処理に関する規定  九 事業年度  十 公告の方法 3 規約は公証人の認証を受けなければその効力を有しない。  (法人格の取得等) 第11条 第3条に規定する団体で会員数が10名以上であり、設立準備金として10 0万円以上を有するものは、会員の4分の3以上の多数による総会の決議で法人とな る旨を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによって法人 となる。 2 前項の規定による法人は、市民活動法人と称する。 (設立登記) 第12条 前条第1項の登記には、次に掲げる事項を登記しなければならない。  一 名称  二 目的  三 主たる事務所  四 役員の氏名及び住所  五 設立準備金の額及びその保管取扱機関  六 解散の事由を定めたときは、その事由 2 この法律に規定するもののほか、市民活動法人の登記に関して必要な事項は、政 令で定める。 (設立の報告) 第13条 市民活動法人は、設立後2週間以内に、登記簿及び規約を主たる事務所の所 在する都道府県の市民活動情報センターに送付しなければならない。  第三章 市民活動法人の機関 (会員総会) 第14条 会員総会は、この法律又は規約に定める事項に限り決議をすることができる 。 2 会員総会の招集は、理事会が決議する。 3 会員総会を招集するときは、会議の目的を記載した上で、開催日より2週間前に 各会員に対して通知をしなければならない。 4 定例総会は、少なくとも毎年一回一定の時期に召集しなければならない。 5 臨時総会は、必要ある場合に召集する。 (総会の決議方法) 第15条 会員総会の決議は、この法律又は規約に別段の定めがある場合を除き、会員 の過半数が出席し、その過半数をもって行う。 (総会の議事録) 第16条 会員総会の議事については、議事録を作らなければならない。 2 議事録には、議事の要領及びその結果を記載し、議長及び出席した理事が署名し なければならない。 (理事) 第17条 理事は会員総会において選任する。 2 理事は法令及び規約並びに会員総会の決議を遵守し、法人のため忠実にその職務 を行う義務を負う。 3 理事の定数は、3人以上とする。 4 理事の任期は2年を超えることができない。ただし再任をさまたげない。 5 理事はいつでも会員総会の決議をもって解任することができる。 (理事会) 第18条 理事会は各理事が召集できる。 2 理事会を召集するときは、会議の目的を記載した上で、開催日より1週間前に各 理事及び監事に対して通知をしなければならない。 3 市民活動法人の業務執行は理事会が決議する。 4 理事会の決議は、理事の過半数が出席し、その過半数をもって行う。 5 理事会の議事については、議事録を作らなければならない。 6 議事録には、議事の要領及びその結果を記載し、出席した理事及び監事が署名し なければならない。 (代表理事) 第19条 代表理事は市民活動法人を代表する。 2 理事会はその決議をもって代表理事を定めなければならない。 (法人に対する責任) 第20条 理事が法令又は規約に違反する行為をなしたときは法人に対し連帯してその 損害を賠償すべき責任を負う。 (第三者に対する責任) 第21条 理事又は監事がその職務を行うにつき悪意又は重大な過失があるときは、そ の理事又は監事は第三者に対しても連帯して責任を負う。  (監事) 第22条 監事は理事の職務の執行を監査する。 2 理事は会員総会において選任する。 3 監事の定数は2人以上とする。 4 幹事の任期は2年を超えることができない。ただし再任をさまたげない。 5 監事はいつでも理事に対し、活動の報告を求め、又は法人の業務及び財産の状況 を調査することができる。 (法人に対する責任) 第23条 監事がその任務を怠ったときは法人に対し連帯してその損害を賠償すべき責 任を負う。  第四章 市民活動法人の計算 (計算書類) 第24条 理事は、毎年定時に計算書類として、貸借対照表、損益計算書、及び活動報 告書を作らなければならない。 2 前項の書類は、監事の監査を受けなければならない。 3 理事は、第1項の書類を定例会員総会に提出してその承認を得なければならない 。 (会員の閲覧請求権) 第25条 会員はいつでも会計の帳簿及び書類を閲覧又は謄写を求めることができる。 2 法人の業務の執行につき不正の行為又は法令若しくは規約に違反する重大な事実 があると疑うべき事由のあるときは、会員は法人の業務及び財産の状況を調査させる ため、裁判所に検査人の選任を請求することができる。  第五章 規約の変更 (規約の変更) 第26条 市民活動法人が規約の変更を行うためには、会員総会の決議を要する。  第六章 解散、合併、及び清算 (解散) 第27条 市民活動法人は、任意に解散することができる。 2 市民活動団体は、前項の場合のほか、次の各号のいずれかに該当するときは、解 散する。  一 規約等で定める解散事由が発生したとき  二 目的の変更その他により市民活動団体でなくなったとき  三 裁判所の解散命令がなされたとき (解散命令) 第28条 裁判所は、市民活動法人について次の各号のいずれかに該当する事由がある と認めたときは、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、解散を命ずる ことができる。 一 公益を害すべき行為をしたこと。 二 市民活動団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと。 三 引き続き3年以上その目的のための行為をしないこと。 四 市民活動推進委員会による情報提出命令にしたがわないこと。 (合併)(清算) 条文略 第七章 情報の開示 (情報の開示) 第29条 市民活動法人は、定例会員総会において貸借対照表、損益計算書、及び活動 報告書の承認を受けたときは、承認の日から1週間以内に当該書類を市民活動情報セ ンターに送付しなければならない。 2 市民活動情報センターは、市民活動法人から送付を受けた第7条に規定する設立 に関する書類及び前項の書類その他の当該市民活動法人に関する情報を一般に開示し なければならない。 3 市民活動情報センターは、情報の開示に当たっては、コンピューターその他の情 報機器によるネットワークを最大限活用し、市民がいつでも情報を得られるよう努め なければならない。 第八章 市民活動推進委員会 (市民活動推進委員会) 第30条 市民活動団体及び市民活動法人の活動の援助、情報の収集、活動の監督その 他の市民活動の活動の適切な運営を確保するため、各都道府県ごとにその機関として 市民活動推進委員会を置く。 2 市民活動推進委員長及び委員は、独立してその職務を行う。 3 市民活動推進委員会は委員長及び委員4人をもって組織する。 4 委員は、当該都道府県における市民活動法人の代表理事や有識者で構成する。 5 委員長は、委員が互選する。 6 委員は、自己の帰属する市民活動法人に関する職務についてはこれを回避しな け ればならない。 (市民活動情報センター) 第31条 市民活動団体及び市民活動法人に関する情報の収集及び情報の提供を行うた め、市民活動推進員会に市民活動情報センターを置く。 2 市民活動情報センターの職員は、当該都道府県の職員をもってこれに充てる。 (調査) 第32条 市民活動推進委員会は、市民活動法人の業務の執行につき不正の行為又は法 令若しくは規約に違反する重大な事実があると疑うべき事由のあるときは、当該法人 の業務及び財産の状況を調査することができる。 2 市民活動推進委員会は、前項の調査において必要があると認めるときは、その職 員をして法人の事務所に立ち入り、関係者に質問させ、又はその調査に関係のある帳 簿若しくは書類を検査させることができる。 (勧告) 第33条 市民活動推進委員会は、市民活動法人の業務の執行につき不正の行為又は法 令若しくは規約に違反する重大な事実があると認めたときは、当該法人に対し、行為 の是正その他の必要な措置を勧告することができる。 2 市民活動推進委員会は、前項の不正又は違反が著しいと認めたときは、当該法人 に対し解散を勧告することができる。 (情報提出命令) 第34条 市民活動推進委員会は、市民活動法人が、第13条又は第29条第1項の規定に よる書類を市民活動情報センターに送付しない時は、情報の提出を命令することがで きる。 第九章 罰則  (略)