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「要求書」

差別とたたかう共同体全国連合・DPI(障害者インターナショナル)日本会議 19970509



要求書
1997年5月9日
小泉 純一郎 厚生大臣
差別とたたかう共同体全国連合
DPI(障害者インターナショナル)日本会議

貴省におかれましては日頃より福祉施策全般の推進と,また財源が厳しい中でも国民の負担を少しでも軽減するようにとのご努力をされておられることと思います。

しかしながら,消費税が5%に引き上げられ,国民にしわ寄せがきていることは確かです。生活費全てが3%から5%に引き上げられるのですから,以前から生活が厳しい人たちにとっては,ますます生活を締めつけられることは言うまでもありません。また医療費,保険料などの引き上げも予定され,このような社会状況の中で,多くの障害者は毎日を生きるだけで精いっぱいといった生活状況に置かれています。更には,施設での生活や親がかりの生活で,地域での生活,自立を夢見ながら苛酷な生活条件を強いられていると言わねばなりません。

この間,水戸,滋賀,和歌山,大和川病院と,さまざまな知的障害者や精神障害者に対する暴力や人権侵害による事件が横行しており,マスコミにより明らかにされているところです。ここで押さえておかなければいけないことは,あくまでもこの事件は氷山の一角でしかないことです。

北は北海道から南は沖縄まで,障害者に対する差別はいろんな形で発生しています。あなたたちがつくりあげた施策や制度で,私たち障害者は人権を侵害され,人間としての営みさえも奪われていることがわからないのが,過去の福祉行政であり現在の福祉行政でもあるのです。

前回の貴省との話し合いの時でさえ,人権を侵害されたことがありますかとの問いに,あなたたちはあいまいなご返事と人権のとらえ方がまちまちで適切ではありませんでした。人権の意味がわからないところでは福祉行政の役割はないと考えます。

滋賀のサングループ事件に関連して,乱暴を受けたという相談が何回か福祉の担当者にあった,あるいは,作業所周辺の人からも聞いていたと福祉関係者からの発言,しかし放置されつづけました。これこそがまさしく人権侵害だと言えます。障害者の言うことに耳を傾けない,私たち障害者は悲痛な思いで差別的な扱いをしいられた毎日の生活から,ようやく声を出し相談にと行動を起こすのにかなりの決意と実効力がともないます。にもかかわらず人権侵害を私たちは,絶対に許すことはできません。

人権問題は私たちの問題だけではありません。今後の超高齢社会にともなって,全ての人の問題として大きな主流になるのは明白です。上記のことを充分踏まえ,貴省の誠意あるご回答をお示し下さい。

 日 時 1997年6月23日(月)午前10時〜12時
 場 所 貴省会議室にて
     要求及び質問項目
(1) 水戸,滋賀,和歌山で知的障害者への虐待,暴行,年金横領事件が起きているのはご承知の通りですが,今後この様な事件が起こらないための再発防止の対策についてのお考えをお示し下さい。
(2) 人権の問題で人権擁護プロジェクトを設置されているとありましたが,その後の経過をお答えください。
(3) 障害者基本法に権利規定,差別禁止規定を明確に明記して下さい。
(4) 権利擁護活動,チェック機関に障害者である当事者を入れ,当事者主体による権利擁護システムをつくるのが不可欠です。お考ええお示しください。
(5) 障害者本人のものであるはずの年金がどうして他者に利用されるのか,現状に対する認識と具体的な対策についてお考えをお聞かせ下さい。


REV: 20170128
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