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市町村障害者生活支援事業・ホームヘルプ事業・ガイドヘルプ事業を受託:福岡県大牟田市




市町村障害者生活支援事業と同時にホームヘルプ事業・ガイドヘルプ事業を受託
(福岡県大牟田市)
自薦ヘルパー・知的障害者ガイドヘルパーもスタート

 大牟田市は福岡県の南端、熊本県境にある人口15万人弱の市です。おおむた障害
者応援センター(CIL部門や作業所部門「もやい」もある)などと、授産所などを
運営している社会福祉法人「キリスト者奉仕会」(理事長が全盲の障害者)が協力し
て、市町村障害者生活支援事業の委託のための事務所「障害者生活支援センター 
ハーツ」(福祉法人の支部の形態)の運営を始めました。生活支援事業の委託は98
年10月からで、同時にホームヘルプ事業・ガイドヘルプ事業の市からの委託もス
タートしました。ホームヘルプ・ガイドヘルプともに障害者の自薦が可能です。

これまでの経過
 大牟田市議で障害者の大場氏と「障害者生活支援センター ハーツ」の事務局責任
者の古賀さんにお忙しい中、電話で取材させていただきました。
 大場さんは、93年から市議。福岡県南部には3市に3人の障害者市議がいます
が、そのうちの1人。県南地域には、障害者の連合体の「障尊塾」(JIL加盟団体
:今は障尊塾という連合体加盟ではなく各団体での加盟に切り替え)があり、情報交
換が行われています。大場さんも一員であるおおむた障害者応援センターも「障尊
塾」加盟団体です。(アメリカの自立生活センター視察やピアカウンセリングなども
行っています)。「全国障害者介護制度情報」はセンターの何人かが購読しており、
自薦のヘルパー制度や各地のガイドヘルパーの情報は学習会で利用されてきました。
 介護制度などの改善については、1年半前の長期障害者計画にガイドヘルプの拡大
を入れるところからから取り組み、ホームヘルプ・ガイドヘルプの委託は昨年秋、市
側からの依頼で話が始まりました。生活支援事業は昨年(97年)に障害福祉主管課
から県と厚生省への話が進んでおり、97年秋には予算要求のはずでした。しかし、
財政の部局が生活支援事業の予算とホームヘルプ・ガイドヘルプの拡大の予算をつけ
てくれませんでした。そこで、障害福祉課へ協力する意味で12月から2月にかけて
「もやい」を中心にガイドヘルプ拡大などの署名活動を行い、2万2000人の署名
を集め、「市民の承認を得た」という形を作りました。これで、2〜3月の補正予算
でガイドヘルプ・ホームヘルプ拡大を含め予算がつき、10月1日に3事業の委託と
いうことでスタートしました。

制度詳細
 「障害者生活支援センター ハーツ」は、3人の職員体制で、古賀さん(健常者)
のほかに、健常者がもう1人、施設から自立したばかりの全身性障害者が1人いま
す。

ガイドヘルプ
 大牟田市では、ガイドヘルパーは従来、社協委託の視覚障害のみでしたが、「ハー
ツ」への委託で、全身性障害者・下肢障害者・知的障害者を対象にしてスタートしま
した。この結果、視覚障害は自薦のできない社協委託で残ってしまい、全身性障害者
・下肢障害者・知的障害者は「ハーツ」委託で自薦ができるようになりました。
 国の要綱ではガイドヘルパーの範囲は全身性障害と視覚障害のみのため、知的障害
などは国のホームヘルプ事業の要綱を使い事業化されます。(このため、費用負担が
生計中心者の収入によって算定される)。
 ガイドヘルパーはまだ、外出の範囲が公共機関と医療機関および市の後援のある障
害者団体の行事などのみで、今後の交渉で拡大を目指しているそうです。派遣時間数
は特に制限はありません。
 知的障害者は自立の動きがいままでなく、他人介護を入れている人もいないため、
98年11月現在、知的障害でガイドヘルプの利用者はいないそうですが、これから
知的障害者の親にも行事などにガイドヘルパーを入れての参加を呼びかけたいとのこ
とでした。
 ガイドヘルパーは当初から知的障害者・精神障害者まで広範に実施するように運動
してきましたが、当面、精神は実現しませんでした。

ホームヘルプ
 ホームヘルプは市から話があった段階から「自薦も選択できるように」ということ
で話し合いを進めてきており、身障も知的も「ハーツ」委託で自薦ができるようにな
りました。今までの委託先の社協には今までの利用者が残り、新しい利用者が「ハー
ツ」委託となります。自薦を希望する障害者は一部、社協から「ハーツ」に切り替え
た人もいます。(障害者のヘルパーは市直営、社協、ハーツの3箇所になった)。
 現在利用している障害者のうち派遣時間の最も多い人は週6時間で、それほど多く
はありません。第1段階の自薦までは解決しているので、あと解決しなくてはならな
いのは市にとっては予算のみのため、今後が期待されます。(時間数の決定は委託先
ではなく、市の事務なので、今後も障害者は時間数アップについては市との交渉をし
なくてはなりません)。
 11月現在の派遣世帯は11〜12世帯、うち、自薦は2〜3人が利用中とのこと
です。ヘルパー時給は2級ヘルパーが1400円、3級が1300円、その他は11
00円、夜間早朝土日祝日は、国要綱通り25%アップです。

他の地域で同じようにできる可能性は?
 モデルにしていただきたいのは以下の条件を満たす地域の方です。
@すでに、障害者の団体に協力関係の福祉法人があること
Aある程度大きな障害者団体があること
B市町村の障害者長期計画などに策定委員や影響力を持っていること
注:福祉法人がない場合は、今から介護制度のために1から作るのは非常に効率が悪
いので、間違わないようにしてください。福祉法人を作るには4〜5年の期日と大変
な資金と労力がかかりますが、その労力の何十分の1を市との交渉に使えば、ヘル
パー制度を自薦にするのは1週間から半年で実現できます(しかも自立障害者1人・
介助者1人で可能)。ガイドヘルパーも市登録で1年半で可能です。

 すでに福祉法人を持っている場合、関係団体に法人がある場合は、法人の支部とい
う形で支援事業・ホームヘルプ・ガイドヘルプの委託を同時に受ける事務所を作ると
いう方法もあります。その場合でも、市側からホームヘルプなどの「委託をお願いし
ます」という形になるように、事前に周りを埋めていく動きが必要です。(なお、生
活支援事業・ホームヘルプ事業・ガイドヘルプ事業は法人でなくても委託可能です。
今後はNPO法人や介護保険のヘルパー派遣の指定該当サービス認定団体もヘルパー
委託が福祉法人並に受けやすくなるかもしれません。)

完全な介護保障にはまだ半分
 1日は24時間ですから、自薦だけでなく上限24時間の介護保障がないと長時間
要介護の障害者も安心して生活できません。また、自分で介護者を確保できない障害
者には自立生活センターなどの介護者派遣や自立生活プログラム(指示の出し方やト
ラブル対処の方法や健康管理・金銭管理のプログラム)も必要になります。これらの
取組みの進展を時系列で書くと以下のようになります。
@ヘルパーの自薦ができるようになる
Aヘルパー派遣時間数をのばし、毎日24時間まで保障
B自立生活センターなどの仕組みで全障害者が制度を使えるようになる
 今回の大牟田市の取組みは@番が解決し、Bが少し解決したところです。Aが解決
すれば、Bは比較的簡単に実現できますから、今後が期待されます。


REV: 20170131
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