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厚生省ホームヘルプ事業要綱(ヘルパー委託の項目)が改正

 ホームヘルプ事業の委託については、以下の表の7箇所に委託が認められると厚生
省要綱で規定されていましたが、98年2月の要綱改正で、Fの上に掲げる者以外に
適当と認められる者で適当なものがある場合厚生省に自治体が協議して認められたも
のが削除されました。

◆10年2月以前
@市町村社会福祉協議会
A身体障害者療護施設等を経営する社会福祉法人
B福祉公社
C在宅介護支援センター運営事業の委託を受けている社会福祉法人及び医療法人等
D「在宅介護サービスガイドライン」の内容を満たす民間事業者
E別に定める要件に該当する介護福祉士
F上に掲げる者以外に適当と認められる者で厚生省に自治体が協議して認められたも
 の

◆10年2月より
@市町村社会福祉協議会
A社会福祉法人
B福祉公社
C医療法人等
D「在宅介護サービスガイドライン」の内容を満たす民間事業者等
E別に定める要件に該当する介護福祉士

 これは97年1月にシルバーサービスの制限が撤廃され、市町村が委託先の決定を
自由にできることになったため、「委託先の決定は厚生省が判断するものではなく、
市町村が判断するものである」ということです。
 このF番の項目で、自立生活センターの関係の当事者団体がヘルパー委託を受けた
実績もあったのですが、今後は、自立生活センターなど当事者団体で福祉法人がない
場合は、D「在宅介護サービスガイドライン」の内容を満たす民間事業者等の項目を
使う必要があります。(法人は不要)
 また、福祉法人や医療法人は入所施設や在宅介護支援センターの運営をしている必
要はなくなりました。委託先の拡大が図られています。

(なお、基準があいまいで市町村が採用するかどうか疑問ですが、要綱には「適切な
事業運営が確保できると認められる市町村社会福祉協議会、社会福祉法人、福祉公社
及び医療法人等」と「等」があるので、たとえば「適切な事業運営が確保できると認
められるNPO法人」でも要綱上は委託の可能性があります。)

 市町村が「この団体に委託したい」という気にならなければいけないのは従来と同
じです。わかりやすく解説するため、ここから8ページ、これまでの経過と、今後の
委託の際の条件について、再掲載を交えて掲載します。

96年5月号記事より
立川市で当事者主体の団体(非法人)に
市がホームヘルプサービス委託


 『自立生活センター・立川』が母体となって設立した『ヘルパー協会・立川(略称
HAT)』(代表と事務局長は、自立生活センター・立川の高橋修代表と野口事務局
長が兼務)が、市から年間約2万時間のホームヘルプサービスの委託を受け始めまし
た。
 市は、55時間×365日に当たる、年間2万0075時間を委託する今年度予算
を組んでいます。委託にあたり、市は6170万円の予算を組み、そのうち、ヘル
パー(介護者)給与には3734万円が、HATには(事務費・人件費などで)15
26万円が使われます。
 立川市では、夜間のヘルパー単価(受け取り額)は1860円/時(96年度)で
す。委託をするのは、夜間と土・日・休日の時間帯のみですので、委託基準で1時間
あたり2660円(10年度は事業費補助方式になるので、3610円)の国のヘル
パー単価までは国50%。都25%の補助がつきます。それを越える分は市の独自負
担となりますが、独自負担分はヘルパー派遣時間が伸びて行けば少くなっていきま
す。

他の市への広がりが期待される
 今回、法人でない当事者団体が、ヘルパー事業を受託するにあたり、市は都を通し
て厚生省と協議し、決定しています。この方法は、国のホームヘルプの要綱に「・・
・上記以外の団体が委託を受けるのが適当な場合は当職に協議のうえ委託をできる」
という項目が入っており、これを当事者団体に使った初のケースです。
 厚生省としては、現在の委託先や市直営などよりも『よいサービスができる委託
先』なら歓迎する立場です。立川市でも、市のヘルパーは平日の9時〜17時しか派
遣されず、HATがそれ以外の時間帯を埋めることになります。
 このケースが軌道に乗り、成功すれば、全国の当事者が運営する、自立生活セン
ターや介護派遣センター(たいてい24時間365日のサービスを行っている)に委
託が進む可能性が見えてきました。委託料も、例えば、夜間に年1万時間派遣したら
(委託基準2660円−介護者給与1740円=事業者取り分920円/時)920円×1万時間=
920万円の運営費が入ることになります。1万時間は365日×27時間です。こ
の計算からも、介護制度の交渉を進めて、登録ヘルパーなどの時間数を進めておけ
ば、1000万円を越える事業費を、近い将来、24時間の介護派遣サービスを行っ
ている自立生活センターにとってくるのは現実的だということが分かります。まず
は、今後に備えて介護制度の交渉を進めてください。
(再掲終わり)

 その後、10年度から、事業費補助方式に一本化されたため、さらに委託料が上が
り、全国的に委託団体が有利になってきています。(事業費補助方式では、委託単価
は決まっていませんが、市が補助金請求する上限は10年度、昼間の介護で2890
円、夜間・早朝・土日祝日は25%アップの3610円となり、この金額に合わせて
委託を受ける団体が多くなっています。さらに11年度は介護保険に向け、昼間介護
単価が840円アップの3730円/時で厚生省が予算要求しています(98年9月
現在))。


事業費補助方式の補助金(1時間あたりの対象額)上限(滞在型・介護)

       昼間    夜間早朝・土日祝日    備考
10年度  2890円   3610円
11年度  3730円   4660円   10年8月段階の予算要求額

事業費補助方式の仕組みについては「資料集1巻」を参照ください


 たとえば、自薦登録ヘルパーの制度を作り、その制度に載せる形で年間2万時間の
介護派遣サービスをしているCILがある場合。この2万時間分を、1時間2500
円で委託を受け、介護者に1500円/時で支払いすると、年2000万円分の事務
所運営費が使えることになります。
 他の民間事業者や福祉法人等は、3730円近くでの委託を市に提示するでしょう
から、これに対し、安めに設定すれば委託はより現実的になります。但し、会計の資
格を持つ職員などをそろえ、市に対する信用がないとだめです。市との話し合いの際
には、これらの職員配置も、委託を受けるときには確実にそろっている(内定を出し
ている)という前提で話し合いを行ってください。(9月の概算要求の時期までに確
実に話をまとめていく)。

 介護保険の始まる2000年4月には、多くのNPO法人(や非法人の住民参加型
サービス団体)が介護保険の指定(または市の基準該当サービス機関)になると見ら
れ、それに合わせて障害者のヘルパーの委託も介護保険と同じ緩やかな基準で委託が
受けられるようになる可能性があります。

◆ヘルパー委託の基準(98年度現在)

◇公費(税金)で行われるホームヘルプサービス
 (障害者と99年度までの高齢者)

市からのホームヘルプサービスの委託
(在宅介護サービスガイドラインの内容を満たす民間事業者等)

委託を受けた市町村内でサービス提供

・人員配置
 サービスの実施を指揮、監督する管理責任者を配置。
 ほかに、
ア 保健婦又は看護婦(非常勤でいい)
イ ソーシャルワーカー・・・注:こういう資格はないので相談の経験があれば
   誰でもソーシャルワーカーを名乗れる
ウ ヘルパー(1〜3級は不要)
・法人でなくてもいい

参考

◇介護保険のホームヘルプサービス事業者の指定基準
(98年9月時点での厚生省案)

種類
指定を行う行政
サービス提供できる地域
事業者の基準

A:基準サービス
県が指定
全国でサービス提供可能
・法人であること(NPO法人でも可)
・ヘルパーが常勤換算で2.5人以上
・事業を行える広さの事務所(独立した部屋)
・ヘルパーは3級以上

B:基準該当サービス
市町村が指定
指定を受けた市町村内でのみサービス提供可能
・法人でなくてもいい
・ヘルパーが3名以上(非常勤でいい)
・事業を行える広さの事務所(独立した部屋でなくてもいい)
・ヘルパーは3級以上

今後は、老福第27号「在宅介護サービスガイドライン」さえ満たしている、と市が
判断すれば、市の権限で委託ができることになります。このガイドラインを以下に掲
載します。(次頁)


REV: 20170131
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