ヘルパー研修の問題の解決法
ヘルパーの研修の問題は、自薦登録ヘルパーの交渉を行っている全国のいくつか
の市で障害になっています。委託先の社協や公社で「登録ヘルパー」が行われてい
て、主婦などが登録している場合、障害者自身が確保した介護人を登録しようとし
ても、市や委託先が「研修を先に受けないと登録させません」と言う市が増えてき
ています。
古くから登録ヘルパーをはじめている市では、すでにかなりの数の主婦ヘルパー
などが活動しており、全員に研修を受けてもらうと派遣先に代わりの人を用意せね
ばならず、研修は自由参加という例が多くなっています。こういう市では、現に研
修を受けていない人もヘルパーとして活動できているため、新たに登録する人にだ
け研修を義務付けるわけには行かず、研修は登録の要件にはなりません。
逆に、最近福祉公社を作って主婦などの登録ヘルパーをはじめた市では、厚生省
(の老人の局)がヘルパー研修重視の方針になった後で、登録ヘルパーの募集をは
じめたため、全員、「3級研修を受け終わってから、登録してください」という形
になっています。この場合、全身性障害者の場合は「以下のように特別な事情があ
るので、他の登録ヘルパーとは違う取り扱いをするように」と交渉する必要があり
ます。
解決方法は、全国各地でいろいろあります。(以下の実例は、いずれも老人介護
向けの主婦などが登録する際には3級研修が必要なケースでの解決方法です)。
@1.現状のヘルパーでは対応できない重度障害者の場合に限り、まず推薦する介護
人をヘルパー登録し、ヘルパーとして働き始め、9ヶ月以内に3級研修(の講
義だけ25時間)を受ける条件で登録可能という方法(熊本市など)
A2.全身性障害者介護人派遣事業の対象者・介護人の組み合わせに限り、3級研修
を免除するという方法(広島市)
3.特別障害者手当て受給の全身性障害者などに限り登録できるという方法(東京
都田無市の市登録ヘルパーなど)
*注:委託先では全障害者が研修なしで登録可
4.重度障害者の場合に限り、推薦する介護人がその障害者の介護に事前に40時
間等以上従事している場合に研修を免除する方法(東京都世田谷区、小平市の
市登録ヘルパー等)*注:委託先では全障害者が研修なしで登録可
これらの解決方法は、いずれも、
「市が現状で、私の介護をできる人材(ヘルパー)を確保できていないでしょ」
と主張し、確保できていない責任を市と確認し、
「それでは確保の責任を果たすには、現実問題、私の介護人を登録できる方法
でないと解決できないでしょう」。
等と話し合いを進めていって、このようないろいろな方法で解決したものです。
(詳しい交渉方法は、資料集1巻をお読みになり、当会制度係にお電話下さい)
厚生省に指導してもらえる範囲は
厚生省は、老人の局を中心に全体方針として研修を進めている段階です。今の段
階で「研修をすべて免除していい」と言うわけにはちょっといきません。
ただし全ページの1.番、熊本の例のように、「先に登録し、一定期間内に研修を受
ける」という形ならば、いいですよと言っています。
つまり、厚生省のヘルパー研修の方針は、
1.これからヘルパーになる人も研修の対象者
2.現在ヘルパー活動中の人も研修の対象者(ヘルパーになって一定期間のうち
に研修を受けるのであれば可)
ということです。
厚生省の老人福祉計画課の係長は
「ヘルパーの研修の要綱にも、研修対象者は『ホームヘルプサービス事業に既に
従事している者』も含まれていますし、採用してから一定期間のうちに研修を行
うのであれば、必ずしも事前に研修をしなければならないわけではない」
と言っています。
(障害福祉課の身障係も同じことを言っています)
上記の担当者の言っている根拠の部分の要綱や指示文書は以下のとおりです。
◆ホームヘルパー養成研修事業実施要綱
3 対象者
原則として、ホームヘルプサービス事業に従事することを希望する者、従事す
ることが確定している者又は既に従事している者とする。
課程 3級課程
概要 ホームヘルプサービス事業入門研修
受講対象者 勤務時間の少ない非常勤ヘルパー、福祉公社の協力会員、【登録ヘル
パー等としてホームヘルプサービス事業に従事する者】又はその予定
者
時間 50
解説:「【既に従事している者】」が対象者になっています。
◆ホームヘルプ事業運営の手引き
○ 少なくとも、初めてホームヘルパーとして採用する場合には、事前に、【そ
れができない場合はできる限り早急に】40時間研修(3級課程)を受講させな
ければならない。
解説:現に市が介護のできる人材(ヘルパー)を確保できていない場合で、障害
者の介護をしている介護者をヘルパーとして市が確保する場合、上記の「それが
できない場合」にあたるので、事後研修となります。
◆10年度障害主管課長会議資料
また、訪問介護員(ホームヘルパー)養成研修事業の実施に当たっては、【現
に訪問介護員(ホームヘルパー)として活動している者や内定している者】のう
ち、まだ養成研修を受講していない者については速やかに【受講できるよう】配
慮願いたい。
解説:同じく「既に従事している者」が対象者になっています。
【「採用してから一定期間のうちに研修を行うのであれば、必ずしも事前に研修
をしなければならないわけではない」】という点に誤解のある市に対して、厚生
省担当者から電話をしてもらえるかということですが、「ご連絡をいただければ
説明はいたします」とのことです。(障害も従来から同じ回答)。
(電話してもらいたい市の方は、当会制度係までお電話下さい。厚生省担当者に
依頼します)
なお、厚生省からの電話で全てが解決するわけではありません。
「うちの市ではやりたいと思っているが、国がだめだと言っている」というとこ
ろまで交渉を行って、その後電話をしてもらえれば、解決します。ところが、「う
ちの市としてもやりたくないし、厚生省もだめだと言っている」という段階では、
電話がきても解決しません。
まずは、しつこく「市が現状で、私の介護をできる人材(ヘルパー)を確保でき
ていないでしょ」と主張し、確保できていない責任を市と確認してください。
その上で、以下の要綱なども使って、まず「現状のヘルパーで対応できない重度
障害者」のみで特例で研修を後回し等の解決方法を交渉して下さい。
その際、以下の要綱部分も参考にしてください。
◆ホームヘルパー養成研修事業実施要綱
1 目的
高齢者の増大かつ多様化する【ニーズに対応した適切なホームヘルプサービス
を提供】するため、【必要な知識、技能を有するホームヘルパーの養成】を図る
こととする。
解説: 厚生省の研修の目的は【『介護ニーズに対応した適切なホームヘルプサ
ービスを提供できること』】ということです。つまり、研修の目的は、きちんと
介護できる人材(ヘルパー)を確保するということです。
「現状で、【ニーズに対応した】人を確保できていないのだから本末転倒で
しょう」
と市と(研修事業の目的について)確認してください。
また、研修は、【『必要な知識、技能を有するホームヘルパーの養成』】をす
るためのものであり、自薦であれば、
「【必要な知識、技能】はすでにあるわけだから、推薦した障害者の介護に
派遣される場合に限り、3級研修受講は必要条件ではないでしょう」
と市と(研修事業の目的について)確認してください。
■研修科目を免除
以下の要綱部分を使って、研修の科目を減らしてもらってください。
◆ホームヘルパー養成研修事業実施要綱
5 保健婦等の資格を有する者等の取扱い
看護婦、准看護婦、保健婦の資格を有する者、【特別養護老人ホームの寮母等】
として【介護業務に従事した者】については、それぞれの職種により既に研修し
たと同 等の知識等を有すると認められる【研修科目を免除する】こととして差
し支えない。
解説:「【特別養護老人ホームの寮母等】」の「【等】」には、在宅介護の介護
者も含まれます。有料で介護に入っている場合「【介護業務に従事した者】」に
該当します。この要綱は、県が実施主体である研修事業そのものの免除規定(つ
まり、研修機関の判断で免除でき、終了証ももらえる)ですが、考え方として準
用できます。
熊本市や千葉県市川市の例では、3級研修のうち、実技と実習を免除としてい
ます。
これらの交渉の進行に平行して、
介護者の中に、3級研修を受けられる人がいる場合、先に受けてもらってくださ
い。また、介護福祉士の専門学校などが近くにあれば(介護福祉士は1級ヘルパー
扱いになるので)、介護者のアルバイト募集などをしてみて、いい介護者がいれば、
福祉公社等の登録ヘルパーに登録して、先に自薦ヘルパーとして利用をはじめてく
ださい。
当面介護者1人でも、登録できれば、時間数を伸ばす交渉も早く取り組めます。
それと同時進行で研修問題の交渉を行い、誰でも登録できるようにしていってくだ
さい。
なお、すでにヘルパーとして働いているもの、内定しているものが研修を受ける
場合、時給970円の国の補助金の対象となりますので、自治体によっては研修中
は、時間970円程度がもらえます。(資料集1巻に掲載のヘルパー研修要綱を参
照下さい)。
REV: 20170131