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千葉県市川市で自薦登録ヘルパーと全身性障害者介護人派遣事業が開始




千葉県市川市で自薦登録ヘルパーと全身性障害者介護人派遣事業が開始

■全身性障害者介護人派遣事業

 昨年、県内の障害者団体の交渉で県が市町村あてに自薦登録推進の通知を出した
千葉県では、今年度(10年度)4月から市川市で全身性障害者介護人派遣事業が
開始されます。昨年はじめから市川市の障害者団体が市と交渉していました。昨年
9月に福祉部として予算要求したものの、この緊縮財政のおかげで財務部に当初カ
ットされ、市長裁定でなんとか復活しました。
 市川市では、昨年夏に団体の要望を受け、市内の全身性障害者のうち、・単身障
害者の世帯・障害者のみの世帯・障害者と65歳以上の世帯、にアンケートを行い、
ニーズ把握をした後、制度の予算要求を行いました。

■市川市の制度単価(全身性障害者介護人派遣事業)

          月時間数   時給     月合計
寝返りが不要な人  120時間 1450円 17万4000円
寝返りが必要な人  150時間 1450円 21万7500円

 市川市では、自薦のできる福祉公社のヘルパー派遣時間帯が夕方8時までのため、
全身性障害者介護人派遣事業を新設するにあたり、夜8時以降を派遣事業の対象に
することで、両方の制度が必要であるという説明を財務部などにすることができま
した。

■自薦登録ヘルパーも、昨年9月に開始

 市川市では、昨年から自薦登録ヘルパーも開始されています(3ページ先に市の
資料を掲載)。これも、県の通知を受けて、市への障害者団体の交渉によるもので
す。残念ながら、3級研修(のうち講義25時間のみ)を受けなくては登録できな
いため、今のところ利用者はいません。今後、研修を登録後でも可にするなどの交
渉を進めていく予定です。

■市川市全身性障害者介護人派遣事業概要

1.目的
  重度の全身性障害のため、日常生活を営むのに著しい支障がある者に対して介
 護人を派遣し、身体介護等を行うことにより、全身性障害者の生活の安定を図る
 とともに、自立と社会参加を促進することを目的とする。

2.全身性障害者の定義
  18歳以上の全身性障害者で肢体不自由1級手帳所持者のうち次のいずれかに
 該当する者
 ・特別障害者手当受給者又はこれと同等の障害を有する者
 ・障害の原因が脳性麻痺による者

3.派遣対象世帯
 ・障害者のみの世帯
 ・障害者と18歳未満の世帯
 ・障害者と65歳以上の世帯
 ・その他これに準ずる世帯と市長が認めた世帯

4.介護人
  介護人として推薦され、登録された者。但し、三親等以内の親族は除く。
  介護人の確保やスケジュール管理等については障害者本人あるいは家族がおこ
 なう。

5.派遣時間
  午後8時から翌朝8時までの介護を要する時間で原則午後8時から10時、午
 前6時から8時の間とする。1日、4時間で1ヶ月30日で120時間を限度と
 する。
  但し、夜中の体位変換等ある時は、これに1日1時間を追加できる。

6.介護料
  ホームヘルプ事業の身体介護、家事介護の時給(基本的には身体介護)
  福祉公社と同じ金額とする。

  平成10年度 身体介護(時間外)1,450円
         家事援助(時間外)1,310円

  公社の時給
  時間   9-17 17-20 年末・年始
  家事  1,050  1,160  1,310
  身体  1,150  1,270  1,450


7.利用者負担金
  ホームヘルプ事業と同様の負担金 所得税の階層区分により0円から920円

   生活保護世帯、非課税世帯   0円
   課税年額 10,000円以下の世帯 250円
   課税年額 30,000円以下の世帯 400円
   課税年額 80,000円以下の世帯 650円
   課税年額140,000円以下の世帯 850円
   課税年額140,001円以上の世帯 920円

8.ホームヘルプ事業との関連
 併用利用可 午前8時〜午後8時  福祉公社のヘルパー派遣利用
       午後8時〜翌朝8時  介護人派遣制度利用


   このように、昼は自薦ヘルパー、夜は介護人派遣事業、と色分けすることで、
  市川市では同時に2つの制度の確立ををスムーズに行えました。(このように、
  昼間はヘルパー制度で対応し、ヘルパーの派遣対象時間外の夜間は派遣事業で
  対応するという理屈で派遣事業を制度化する自治体が最近増えています)
   当初、市も交渉団体も県の通知を一方の制度のみに対する通知かと勘違いし
  ていましたが、交渉で理解してもらえました。
   他の市で交渉される方も、2つの制度を混同しないようによく把握してくだ
  さい。


■自薦登録ヘルパーについての市の資料(市川市)
 市川市のヘルパーは福祉公社に委託されており、従来から主婦などが公社にヘルパーとして登録していた。自薦についての県の通知と障害者団体からの交渉を受け、市は以下のような「自薦方式について」という文書を作った。

 ■市川市の資料
  公的ホームヘルプサービスに係わるヘルパーの自薦方式について
平成9年9月9日


1.利用対象者
  18歳以上の全身性障害者で肢体不自由1級手帳所持者のうち、障害者のみの
 世帯、障害者と18歳未満の世帯、障害者と65歳以上の世帯で次のいずれかに
 該当する人。
  ・特別障害者手当受給者またはこれと同等の障害を有する人。
  ・障害の原因が脳性小児麻痺による人。

2.自薦方式
  利用者がサービスを提供する適任者を探し、本人合意の基に推薦するもの。
 推薦された者は福祉公社の協力会員(編注:登録ヘルパーのことを市川市の福祉
 公社では協力会員と呼んでいる)として福祉公社に入会していただき、協力会員
 として、福祉公社会員規則に基づき活動をしていただく。
 利用者が自薦できる人の範囲は、配偶者及び3親等内の親族と同居人は除く。

3.協力会員として入会していただく際の条件
 (1) 原則として、20歳以上の人
 (2) 市川市内に居住している人
 (3) 心身共に健全な人
 (4) 福祉公社の事業の趣旨に賛同し、福祉に関し理解と熱意のある人
 (5) 3日/週以上活動日を登録していただける人
 (6) 自薦方式の利用者以外にもサービス提供ができる人
  (活動登録をしている日時で空いている時間帯)
 (7) 活動のための研修を受講できる人
  平成9年度については、3級ホームヘルパー養成研修受講。
  なお、介護の経験を重ねている人は、実技と在宅福祉サービス提供現場の見学
 は省くことが出来るが、経験のない人は全課程を受講。
  但し、全課程受講者に限り、3級ホームヘルパー養成研修修了証を発行する。
 受講のためのテキスト代6,500円、その他実習先への交通費等は自己負担。

4.その他(自薦方式でホームヘルプ活動を行うにあたってのお願い)
   ○ ホームヘルプサービスの内容、日時は、福祉公社から依頼されたサービ
     スの範囲で行って下さい。
   ○ スケジュール表で依頼された活動日時を変更する場合は、必ず福祉公社
     に連絡をして下さい。
   ○ 医療に関することは、主治医などにまかせて下さい。
   ○ 活動中に事故やトラブルがあった時は、速やかに福祉公社に連絡して下
     さい。
   ○ 利用者宅に着いてから退出するまでの時間が活動時間です。


 (平成9年9月4日 市川障害者市民ネットワーク・(財)市川市福祉公社・市
  川市)


 残念ながら、今のところ研修を受けないと福祉公社にヘルパー登録できないため、
使いづらい制度になっている。「他のほとんどの自薦OK市では、研修は不要)。
 厚生省は「研修は必ずしも事前に行わなければならないわけではなく、ヘルパー
になって一定期間ののちに研修を受けていただけるのなら、研修は後からでもかま
わない」(老人福祉計画課係長&障害福祉課身障係長)と言っており、誤解のある
自治体には(障害者団体から依頼があれば)電話しますと言ってくれている。(一
定期間とはケースにもよるが、おおむね1年以内ということらしい)。
 今後の交渉が必要になります。


REV: 20170131
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