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平成10年度厚生省予算概算要求の基本的考え方




【平成10年度厚生省予算概算要求の基本的考え方(財政構造改革への取組み)】

I.財政構造改革の基本方針(平成9年6月3日閣議決定)

○ 財政構造改革については、平成9年6月3日に閣議決定された「財政構造改革
の推進について」において、我が国の極めて危機的な財政状況を踏まえ、着実かつ
強力に推進することとされ、今世紀中の3年間については「集中改革期間」と定め、
一切の聖域なく歳出の改革と縮減を進めることとされた。

○ 当面の平成10年度予算においては、一般歳出を9年度予算における一般歳出
の額を下回るものとするため、主要経費ごとの具体的な量的縮減目標等が示され、
概算要求段階から反映させることとされた。厚生省予算に関係の深い主要経費ごと
の具体的な量的縮減目標等は以下のとおりである。


1. 高齢化等に伴う巨額の当然増が見込まれる社会保障関係費については、対前年
度伸び率を全体の2%程度以下に抑制することとされ、平成10年度予算において
は、8000億円超の当然増について5000億円を上回る削減を行うことにより、
増加額を大幅に抑制すること。
2. 公共投資予算(施設整備費等)については、対9年度比7%減の額を上回らな
いこと。
3. 政府開発援助(ODA)予算については、対9年度比10%の額を上回らない
こと。
4. 科学技術振興費については、対9年度比伸び率5%以下とすること。
5. 制度的補助金以外の補助金については、地方公共団体向け補助金、民間団体等
向け補助金のいずれについても、集中改革期間内の毎年度、各省庁ごとにその1割
を削減すること。


II.平成10年度予算概算要求における厚生省の財政構造改革への取組み

 社会保障関係費を中心とする厚生省予算は、高齢化の進展により毎年巨額の当然
増が発生する。中でも、年金、医療等の義務的経費が大半を占めるため、その縮減
を実現することは容易ではないが、厚生省としても、上記に示した基本方針に沿っ
た財政構造改革の推進に取り組むため、あらゆる縮減方策を検討し、今回の概算要
求をとりまとめたものである。主な縮減方策の具体的な内容は以下のとおりである。


1. 厚生省予算の当然増の大部分を占める医療費国庫負担については、医療費及び
薬剤費の適正化のための方策を講ずることとし、前年度予算額に対し、1800億
円の増で仮置きすることとした。

2. 施設整備費については、全体で7%の縮減を行うこととされているため、対象
となる施設整備の重点化や効率化を行いつつ、水道・廃棄物関係の公共事業につい
ては約291億円の縮減(別途、生活関連等公共事業の重点化枠として約157億
円を要望)、社会福祉施設等公共事業以外の施設整備費について約213億円の縮
減を図ることとした。
 なお、いわゆる保健福祉関係の3計画(新・高齢者保健福祉推進十か年戦略緊急
保育対策等5か年計画、障害者プラン)関係の施設整備費については、その緊急性
にかんがみ、6%の縮減にとどめることとしている。

3. 地方公共団体や民間団体向けの補助金については、その必要性について厳しく
精査し、整理・合理化を図り、約317億円の削減を図ることとした。
 なお、地方公共団体向け補助金のうち、地方に同化・定着したと考えられるもの
については、地方分権推進委員会の勧告の趣旨を踏まえ、一般財源化を図ることと
した。

4. この他、国立病院繰入額について約160億円の縮減、社会保険事務費の見直
しにより約626億円の縮減、ODA経費の10%縮減などあらゆる縮減方策を講
じることとした。

○ 厚生省の平成10年度概算要求は、以下のようなぎりぎりの縮減方策を検討し、
合理化・効率化を行った上で、例えばダイオキシン対策や介護保険制度導入に向け
た準備等国民生活の「安心・安全・質の向上」を実現するため特に必要でかつ緊急
度の高い事項を中心に必要最低限の要求を盛り込み、とりまとめたものである。


REV: 20170129
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