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今受けているヘルパー制度を自薦の登録方式に変えていく具体的な方法(改訂版)




今受けているヘルパー制度を自薦の登録方式に変えていく具体的な方法(改訂版)

 市や委託先に主婦などが登録する普通の登録ヘルパーがない市の場合を改定しま
した。その他の部分も、いろいろわかりやすく改定しました。ぜひ、この改訂版を
見ながら自薦登録にする取組みを進めてください。

 「自薦登録ヘルパー」方式は、「新たな制度を作る」ことではなく、現在のホー
ムヘルパー制度の中で、(自分の介護者をヘルパーに登録して)ヘルパー制度を使
っていくことです。

 在宅で生活していて介護を必要とする障害者は全国どこでもヘルパー制度を使う
ことができますが、残念ながらその制度のレベルは、1回2時間の週2回、ヘルパ
ーは年令的には30代〜50代の女性ヘルパーのみというのが平均的な実態となっ
ています。
 そこで、このヘルパー制度を、
1.家事援助でなく介護制度とし使えるものにしていくこと。
2.(自薦にできた後に)時間数、回数を大幅に増やすこと、
 この2つを実現するために、この特集では、「自選登録ヘルパー」方式の具体的
な方法について書きます。


1 市のヘルパー担当窓口に行く

 介護を必要としている障害者のAさんと、ヘルパーとして登録可能な同性の介護
者Bさんで一緒に市のヘルパー制度の窓口に行きます。
 この時Aさんの担当ワーカーがいない場合でも、聞くことは一般的なことなので
他の地区担当のワーカーや係長などに話をします。


2 ヘルパーの委託先などについて聞く

 現在各自治体で行なわれているヘルパー確保の形態としては
1.市の公務員ヘルパー(常勤・非常勤)
2.市に登録する市登録ヘルパー
3.社協など委託先の常勤・非常勤ヘルパー
4.社協など委託先に登録する登録ヘルパー、
 この4つが行なわれています。(登録をやっていない市も4割程度ある)。
 ほとんどの市では、公務員ヘルパーを何人か確保し、あとはどこかの組織に委託
をしています。
 そこでまず、担当者に
1.市の公務員のヘルパーが何人いるか、
2.ヘルパー制度の委託先はどことどこか、
 この2点を確認(聞く)します。(委託先としては社協、療護施設、特別養護老
人ホーム、在宅介護支援センター、厚生省のガイドラインを満たす民間業者、福祉
公社(公社の名前は、福祉振興協会、ホームヘルプ協会など色々)などがありま
す。)


3 その委託先に介護者が登録できるかどうか聞く

 市の担当者に、委託先で(または、市が直接)、主婦などがヘルパーに登録する
仕組みがあるか聞きます。
 多くのヘルパー利用者は、自分の市で登録ヘルパー(ヘルパーを広く一般に向け
て登録募集し、雇用でなく、契約関係で、臨時のヘルパーに名簿登録しておく方式)
があるかどうか知りません。自分の家に派遣されてくるヘルパーが、非常勤のヘル
パーか、登録ヘルパーかは、見た目では分からないからです。

 登録ヘルパーと 非常勤ヘルパーの違い

市や委託先との雇用関係
国の補助基準
(9年度介護単価)

 非常勤ヘルパー(時給型)
 雇用関係あり
 時給1440円

 登録ヘルパー
 雇用関係なし
 時給1440円
 (登録ヘルパーは、市役所の植木の手入れをする職人と同じように、雇用関係が
 ない)

 そこで、市の担当者に、委託先で(または、市が直接)、主婦などがヘルパーに
登録する仕組みがあるか聞きます。(ここできちんと調べてください。間違うと、
次の、アとイ、の分かれ目で間違えた方に進みますので特に注意。)

ア:登録する仕組みがあれば、次の4の説明へ進みます。

イ:市や委託先で、登録ヘルパーを行ってなければ、
 今月号の札幌市や浦和市のやり方を参考に、まず市と話をし、次に委託先と話を
します。(Howto介護保障別冊資料集「自薦登録方式のホームヘルプサービス
事業」の98・99ページの厚生省資料のコピーを持っていく。くわしくは札幌市
や浦和市のページを参照の上、当会・制度係にお電話ください。)


4 登録の方法を聞く

 社協や福祉公社などの「登録ヘルパー」はもともと、主婦などの空いている時間
を活用するために考え出された方式ですので、基本的には、いつでも、誰でも登録
できるようになっています。
 市の担当に登録の方法を聞きます。(ただし最近できた福祉公社などが登録ヘル
パーを募集している場合などは「3級研修」修了者という条件を付けているところ
があります。この場合、研修を受ければ「登録は可能ですよね」と、確認をとりま
す。)
 市の担当者が(詳しいことを)わからない場合には、その場で委託先に電話をし
て聞いてもらいます。

 「登録はできても、必ずしもBさんがAさんの所へ行けるとは限りません」とい
うようなことを言われるかもしれませんが、「そのへんは委託先に行って直接話し
てみます」と言ってとりあえず帰ります。


5 介護者が委託先へ登録に行く

(注:なるべく、打ち合わせした介護者が1人で行った方がよいが、介護者が以下
のように話をできない場合、障害者がついていく)。
 Howto介護保障別冊資料集1巻「自薦登録方式のホームヘルプサービス事業」
の98・99ページの厚生省資料のコピーを持っていくこと。

 まず、登録の要件(3級研修修了の条件など)があるかどうか確認します。

ア:研修などの要件が無ければ、
 「登録したい」と言って、ヘルパー登録し、6に進みます。

イ:研修の要件がある場合には、
 「3級の研修は内容的にほとんど高齢者を対象に考えられていて、障害者の介護
にはあまり役にたたない。実際に3級を受けた人が重度障害者の介護ができますか?
私は研修は受けていなくても介護経験があるので介護できる。厚生省もこうやって
介護経験のある人の登録を考えるように書いているでしょ(上記冊子の98,99
ページの厚生省の指示文書を見せる)だから研修については私のような者について
は例外として考えられませんか?」
 とりあえずこのように言います。(委託先は行政ではないので、怒ったりせずに
静かに話をしてください。間違えないように。)
(委託先の職員の頭が固い場合は、ここでがんばっても登録はなかなかすぐには難
しいので、市にいって、交渉を行わねばなりません。とりあえず、自薦の場合には
特例で、研修の条件を外すか、先に登録して働いて研修は後回しにしてもらうか、
派遣事業の対象者のみ研修条件なしにしてもらうか、などの方法があります。くわ
しくは当会・制度係にご連絡ください。個別に交渉方法をお話しします)。
 逆に研修が要件ということは、研修さえ受ければ登録できるということでもあり
ますので、交渉と同時進行で、研修を受けてしまう・介護福祉士の専門学校の生徒
を雇うという方法も行ってください。


6 今介護をしている障害者Aさんの所へ、ヘルパーとして行きたいという説明を
する

(引き続き、委託先に一人でやってきた介護者が以下のように説明する)
 「重度障害者のAさんは、
・外出介護、トイレ、入浴介護、ベッドから車椅子への移動、などの介護ができる
 ヘルパーが必要
・トイレや入浴介護では同性のヘルパーが必要
・言語障害があるので慣れている人にヘルパーとして来てほしい
・早朝、夜間、泊りの時間にもヘルパーが必要」
 こういったことを、厚生省の要綱・指示文書(3ページ先・4ページ先をコピー
する)も見せながらきちんと説明し、市の公務員ヘルパーや、委託先に現在登録し
ているヘルパーでは、本人のニーズに合ったヘルパー派遣になっていないことを強
調します。
 その上で、自分ならばAさんのニーズに合った介護ができるということで特にA
さんの所への派遣を希望します。

 「他の人の介護はできますか?」と聞かれた場合、
 「どうしても必要な人がいれば考えますが、今はAさんの介護もあるのでわかり
ません。いちおうご連絡ください。」ぐらいに答えておいて、とりあえず登録だけ
します。
 こういった話をして一定の理解が得られればまずは成功です。ただし、結果はお
そらく「どこに派遣するかはこちらの判断で決めることですので、介護者の希望に
そえるかどうかはわかりません。」という答えだと思います。
 その場合には、「局長(所長)さんなどと検討してご連絡下さい、私の方でも市
の方ともう一度話してみますので」と言って帰ります。


7 委託先に回答を聞く

 一週間ぐらいたったら委託先に回答を聞きます。ダメだった場合にはもう一度市
役所へ行きます( Howto介護保障別冊資料集1巻「自薦登録方式のホームヘ
ルプサービス事業」の98・99ページの厚生省資料のコピーを持っていく)。


8 市役所に障害者A、介護者B一緒に行く

 委託先にBさんが登録したのにAさんの所へは派遣できないと言われたことを説
明し、Aさんとしては、「Bさんが一番自分のニーズに合った介護をしてもらえ
る」「全身性障害者特有の介護技術を持っている」のでヘルパーとして是非Bさん
を派遣してもらいたい、ということで担当者をつよく説得し、だめならば、上司を
出してもらい同じ話をします。(行政の人には厚生省の指示文書(次ページに掲載)
は特に有効。必ずコピーして持っていってください。)

係長、課長などへの具体的説明方法

 1.Howto介護保障別冊資料集1巻「自薦登録方式のホームヘルプサービス事
業」99ページの厚生省要綱を見せ「障害の状況に応じて(略)本人の意向を尊重
しつつ、最も適切な便宜を選定(略)に努めること」というところと、2.同98ペ
ージの厚生省の指示文書を見せ、「利用者の個別の事情を十分考慮し適任者の派遣
を行うように努めることは当然」の部分を確認してもらいます。
 そして「ここに書かれているように、もっとも適任な人材を派遣するのは当然で
すよね」と確認を取ります(課長が「そうですね」というまで説明する。これを
「確認を取る」といいます)。
 その上で「私の介護には、全身性障害者特有の特殊な介護があり、特有の介護技
術を有している人が必要。介護経験者でなければ無理」
「車椅子からベッド、車椅子から便器、入浴など、抱える介護があり、若い体力の
ある人が必要」
「私の介護にはトイレや入浴、着替えがあり、同性のヘルパーが必要」
といい、「自分の介護をできる人材をヘルパー派遣してください」といいます。
 課長が「なるほど」となるまで説明をし終えたら、
 「現状で派遣されてくるヘルパーが満足な介護をできない以上、私が推薦する人
を派遣してください」といっていきます。
(この説明は、委託先が人材を決めている市の場合は、6のところで、委託先でも
行ってください)
 最終的には、「検討してご連絡ください」と言って帰ります。



9 本人推せんの「自選登録ヘルパー」が実現

 市から、AさんのヘルパーとしてBさんを派遣しますという返事があれば「自選
登録ヘルパー」実現です。あとは登録者を増やして、第2段階へ入り、ヘルパーの
時間数を増やす交渉を重ねていきます。
 ここまでやっても市の担当者がダメと言っている場合には、当会・制度係にご相
談ください。
 この続き(制度を「自薦」にできた後は、自薦のヘルパーの派遣時間数を延ばし
ていく交渉に入れます)は「交渉のやり方ガイドブック2」に掲載しています。


 ここまでの、市や委託先との話し合いを行うには、Howto介護保障別冊資料
集1巻「自薦登録方式のホームヘルプサービス事業」に掲載している厚生省の指示
文書、関係全要綱、解説記事などをよく読んで十分な知識をつけてから行ってくだ
さい。その上で、ここに書いてある文書を参考に話を進めてください。


 現在、30以上の自治体で、ヘルパーの自選登録が実現しています。ほとんどが、
きわめて簡単な、(市の)窓口での説得だけで、自選登録OKになっています。
(厚生省が「そうするのが当然」と言っているから、当たり前のことですが)
 当会・制度係には、この、「全国各地でうまくいった方法」(ノウハウ・情報)
があります。当会・制度係が交渉の相談を受けて、自選登録にできなかった自治体
はありません。ぜひ、電話をかけてきてください。
 制度係 フリーダイヤル 0077−2329−8610

 交渉のやり方ガイドブック2に掲載していた厚生省の資料・解説は、すべて、
Howto介護保障別冊資料集1巻「自薦登録方式のホームヘルプサービス事業」
に掲載しました。

 交渉のやり方ガイドブック2をたくさんの皆さんにお申し込みいただきましたが、
「自立生活をしていて介護の必要な当事者」といっしょに交渉を行う予定のない方
には残念ながらお送りすることができません。
 そこで、どの方にもお送りできる資料集としてHowto介護保障別冊資料集1
巻「自薦登録方式のホームヘルプサービス事業」と、2巻「全国各地の全身性障害
者介護人派遣事業」を作りました。厚生省の主管課長会議資料や要綱類・各自治体
での成功事例と要綱類はすべて掲載しました。ぜひご購入ください。
(発送係にFAXを送っていただければ注文できます。TELでも注文できます 
TEL/FAX 0077−2308−3493(通話料無料)まで。)


REV: 20170129
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