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埼玉県浦和市で自薦登録が一部実現




埼玉県浦和市で自薦登録が一部実現

 主婦などが登録する普通の登録ヘルパーのない浦和市で、新しい方法で「自薦」
のしくみをホームヘルプ事業に導入する取組みが成功しました。特別な方法でなく、
新しい制度を作ったわけでもありません。どの市町村でもまねできる方法ですので、
ぜひ同じように取り組んでみてください。

注意:浦和市に直接問合わせしないでください。皆さんの市の交渉の都合で、問合
わせしたい場合は、必ず当会に電話してください。市に問合わせが可能かどうか浦
和市の団体と調整します。問合わせには事前に交渉団体から市への根回しが必要に
なります。これをしないと迷惑をかけますので必ず守ってください。
以下、浦和市の虹の会(TEL048−855−8438)に記事をいただきまし
た。

解説(虹の会より)
◆現在、浦和市は、24時間の巡回型と滞在型を併用して行っている。が、上限が
 あり、一日5時間程度ということになっている。
◆これまで、ヘルパーの質などについては問題が起こる度に利用者本人と虹の会で
 市役所に行ったりしており、そのたびに「推薦登録をやればこれら問題はいっさ
 い起こらない」と言うことを伝えていた。
◆今年の4月から、これまでの漠然とした「推薦登録が必要」という要望の仕方で
 はなくて、「副会長である松沢に対する推薦登録の実現」という具体的な形を提
 示して話しあいを行っていた。結果、6月下旬には推薦登録派遣を委託業者(民
 間の会社)を通して行うことが決まった。(介助者は、形式的に会社に時給で雇
 われている、ということになる。)
◆開始は8月1日。派遣時間などについては、とりあえず7月までの時間と同様と
 いう形で始まった。


(以下は浦和市の「虹の会」の通信より転載)

浦和の介助保障施策に関する学習会・報告
ヘルパーの推薦登録を実現させる!
現在の派遣もこのままじゃダメ!

 去る9月10日、埼玉県障害者交流センターで、「浦和市の介助保障施策に関す
る学習会」を行いました。当日は浦和市だけでなく、他の市からも来ていただき、
総勢26名でヘルパー制度に関して情報交換やこれからどうしたらいいのかといっ
たことを話し合いました。
 内容を取りまとめて報告します。

*浦和市の状況について

 まず、浦和市の現状についての報告が佐藤・松沢から。
 浦和の介助保障制度は、ヘルパー事業とガイドヘルプ事業のみ。(全身性障害者
介護人派遣事業は行われていない) ヘルパーに関してはすべてが委託で行われて
おり、いまだ上限がある。 
 ガイドヘルプは月72時間・単価1280円と、今年度になって県内でもあまり
いいレベルではなくなってしまった。(編注:鴻巣・川越・所沢・狭山・入間・朝
霞・草加・蓮田などが、今年度より月120時間実施)
 こうした制度が伸び悩む状況の中ではあるが、一つ特筆すべきことがある。8月
からヘルパーの推薦登録派遣が、虹の会の副会長である松沢に対して行われている
のだ。おそらく県内では初めてのことだろうと思われる。
 松沢は、これまでもヘルパーの質の問題などで委託業者や市へ話をもっていった
りしており、主治医からの「障害的にも介助者は固定したほうが望ましい」という
指示も合わせて、市とは推薦導入の方向で話合いをしていた。 結局、市は、委託
業者(民間)と利用者(この場合松沢)とヘルパー(介助者)の三者で合意がなさ
れている、という約束の上で、松沢に関しては推薦登録派遣を認めたのだ。(どち
からかといえば「消極的な導入」、という感じか。)


*浦和の推薦登録ヘルパー

 開始は8月から。
 これまでの行政(=委託業者)が派遣していた時間数がそのまま推薦登録派遣と
いう形となった。(曜日によって時間が違うので一定ではないが月130時間強。)
 時間単価は1280円。
 ヘルパーとして登録した介助者はこれまで介助に来てくれていた人で一人をのぞ
き、特に資格はない。


*なぜ推薦登録にこだわるか

 次に「なぜ、私たちは推薦登録にこだわるのか」ということについて村山から話
があった。
 現状では、24時間巡回派遣についても一回30分とかの単位でしかなく、また
決められた時間にしか来ない。その時間には家にいなければならないので、生活が
大変制限されている。
 また、内容的にもやってくれない介助があったり(ヘルパー外の介助者にはやら
せているごく簡単なことでも)、自分が望まない形でのヘルパー交代があるなど様
々な問題がある。もちろん、ヘルパーの質の問題もある。
 こうしたことを解決していける一つの方法が推薦登録派遣である。
 介助者を選ぶことで、介助者に対して、介助の内容に対して、責任を取ることが
できるし、その分、もっと自由に介助者を使うことができるようになる。
 そういう意味で、推薦登録が松沢にだけという形にせよ認められたことは、大変
意義深い。


*お風呂はやめてくれ
 そして意見交換。出された意見をいくつか要約して報告。
 「私はいいんだが、奥さんが、『これ以上ヘルパーが増えるんじゃよけい気疲れ
するから週3回でいい』とか言ってて、そういうのが事業自体を縮小させている。」
 「推薦登録はいいと思うが、結局それだけ人を集められるかという問題もあると
思う。」(当日はきちんと答えなかったが、事務局としては財源さえあれば人は集
められると思っている。現実的に私たちもそれで集めている。これまでのボランテ
ィアを募集するのとは『全く』違う、ということは確かだ)
 「お風呂をやめてくれとか、毎日のシャワー浴はやめてくれとか、●●は医療行
為だとか、業者が市役所の人を連れてくるという感じで一緒に来て、説得にかかろ
うとする。だから、私なんかは抵抗するけど、黙ってたら、どんどん禁止されるよ
うになってしまう。」
 「お風呂の付添いがいると言われて、お風呂は結局ヘルパーでは入っていない。
それから第一土曜日の午前中はミーティングだからとかで、派遣されない。業者と
市と利用者で話し合おうと言っているのになしのつぶて。」
 「虹の会も浦和西部地区の委託業者と市と三者同席で何度か話し合ったことがあ
るが、結局、話合いが成立しないようなことになってしまった。私たちは、それ以
降、市に対してのみの運動ということで動いてきた。」
 「推薦だけじゃなくて、現状のヘルパー派遣についても考えて行かなければなら
ないと思う。」
 「松沢を含め虹の会の場合は、ヘルパー派遣に対する問題点をずーっと指摘して
きたという経緯がある。ヘルパーの質が低いとか、もっと細かいことも含めていち
いち市に話をしていたという経過がある。その中で、やはり推薦登録という形が一
つの解決方法として出てきたんだと思う。」
 「知的障害なんですけど、市のヘルパーに来てもらうとしても、何をやってもら
うのかというと…かなり難しい。特に外出とか、そういう援助がほしいと思うけど、
現状の制度では拾えていない。推薦が通れば十分使える。」
 「肢体障害より、知的障害者のほうが推薦が必要かもしれない」という意見もあ
りました。


*「障害者には派遣しない?」
 市内の人だけでなく、他市の人からもヘルパーの状況についての話があった。
 「私は鳩ヶ谷にすんでいるが、親も老齢になって、ヘルパーを派遣しろと言った
ら、老人には出しているが障害者には出さないとか言っている。『来年から出す』
ようなことを言っていたのに、異動があって、話が振り出しに戻ったりと、なかな
か進んでいない。」(この鳩ヶ谷の件については、全く進んでいない市もあるんだ、
という驚きとどよめきがあった)
 「春日部でも、推薦を申請したが蹴られた。介助者が学生だからダメとか言われ
た。」(松沢が登録した介助者のうち、数人は学生)


*「老人」とは別枠で
 「ヘルプ内容が、老人対象という感じがする。研修に障害者を呼ぶとか、そうい
うことが必要。」
 「制度の枠自体も、老人と分けさせる。例えば予算についても分けるとか、そう
いう風に障害者に対するヘルパーと老人に対するヘルパーを分けることが必要。」


*どんな運動を展開するか
 今回、この話合いを通してわかったことは、現状のヘルパー派遣というのは、か
くも使えないものであるということ。
 ヘルパーの質や介助内容など、解決すべき問題は山ほどある。それを解決する一
つの方法が推薦登録である。
 浦和市は、松沢に限って、という限定つきで推薦登録を認めている。ある意味で
は、推薦登録は始まったとはいえるが、まだ始まっていないとも言える。
 推薦登録を、市がきちんと認知し開けたものにすることが必要である。
 加えて、現状のヘルパー派遣を良くしていくために、個々の問題についても、積
極的に取り組んでいきたいと思っています。
 当日も話が出ましたが、風呂の件や委託先による格差の問題など、言いたいこと
があったら、ぜひ相談してください。一緒に市役所に行きましょう。


当日の話も含めて、要望書を市に提出します。

(転載は以上)


REV: 20170129
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