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1998




■1998.7.25 「みんなで言うぞ やめろ 受精卵の遺伝子診断」集会決議


<1998.7.25 「みんなで言うぞ やめろ 受精卵の遺伝子診断」集会決議>

 「みんなで言うぞ!やめろ受精卵の遺伝子診断」集会決議

 日本産科婦人科学会は、先月、体外受精・胚移植の適用範囲の拡大および受精卵の遺伝子診断の臨床実施を承認しました。
 これは、今以上に生命の始まりに手を入れること、生命の質を選別すること、またそれが女性のからだを通して行われることを意味します。私たちは、障害者と女性に対する差別の塊ともいえるこの着床前診断を、医療の場に持ち込むことに強く反対し、情報公開や議論の継続を求めてきました。
 学会は、3月末の倫理委員会で着床前診断実施を認める見解をまとめたものの、相次ぐ批判や反対の声を無視することはできす、4月の理事会では承認を見合わせ、「見解案を公表して、社会でひろく議論してもらう」と言明しました。この見解案に対して、多くの団体・個人が意見書を送付し、6月にひらかれた公開討論会でも、障害や遺伝病をもつパネラーや参加した女性たちが強い疑念や反対を表明しました.そして、学会長や倫理委員長により、「社会的責務の遂行、情報公開、議論の継続」が再度確約されました。それにもかかわらずの、この突然の承認決定は、市民への裏切り行為にほかなりません。検討期間の短さからして、見解案に対する各方面からの意見の集約も、十分な論議もなされていないのは明らかであり、いまだに寄せられた意見や疑問に対する学会の見解も示されていません。
 その場しのぎの「広く意見を聞く」「情報公開」という言い逃れを続けたあげく、論議を−方的に打ち切り、既成事実を作っていこうとする今回の暴挙は絶対に許されません。断固抗議するとともに、次の点について強く要望します。

1.医学的にも社会的にも、未だ論議は尽くされていません。理事会での「実施承認」を即刻撤回し、十分論議が尽くされるまで着床前診断の臨床実施を凍結すること。

2.着床前診断に関する専門的な情報や学会での審議過程・内容をすべて公開すること。とくに、今回の見解案について学会へ寄せられた全ての意見を公表し、それらに関する学会の審議過程や討議内容を具体的に明らかにすること。

3.今まで着床前診断について、我々市民団体は、医学的・社会的・倫理的に多くの疑問・批判を提起してきましたが、学会はいまだこれらにまともに答えていません。学会の社会的責務として、提出した質問や意見に対して私たちに誠実に応答すること。

      1998年7月25日
      「みんなで言うぞ!やめろ 受精卵の遺伝子診断!」参加者一同


採録:利光恵子(立命館大学大学院先端総合学術研究科
UP: 20070322 REV:
出産・出生とその前後  ◇生存学創成拠点
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