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障害者欠格条項をなくす会ニュースレター・2002

障害者欠格条項をなくす会
http://www.butaman.ne.jp/~sakaue/restrict/


障害者欠格条項をなくす会ニュースレター18号(20020306受信)
障害者欠格条項をなくす会ニュースレター19号(20020508受信)
障害者欠格条項をなくす会ニュースレター20号(20020712受信)
障害者欠格条項をなくす会ニュースレター21号(20020910受信)
障害者欠格条項をなくす会ニュースレター22号(20021118受信)


  
  

障害者欠格条項をなくす会ニュースレター読者の皆様

こんにちは。障害者欠格条項をなくす会ニュースレター
18号の電子メール版をお届けします。
2002年3月発行、紙版は本日差し出しました。

………障害者欠格条項をなくす会 nakusu@bk.iij4u.or.jp
URL http://www.butaman.ne.jp/~sakaue/restrict/
事務局 臼井久実子

障害者欠格条項をなくす会 ニュースレター 18号
2002年3月初旬・特別号

道交法新政令は2月6日公布、今通常国会に8法案提出へ

 道路交通法の具体的運用を決める政令と施行規則について、この間、パブ
リックコメント集中よびかけ、各政党や議会への働きかけ、警察庁との話し
合いなどを進めてきました。パブリックコメントは障害者や病者の立場から
も多数のご意見が出され、警察庁による集計とまとめは現在(3月4日)庁
のホームページ上に掲載中です。6日に新政令「道路交通法施行令」が公布、
本誌付録に条文抜粋を掲載しています。ただし政令は大枠の規定で、試案に
あげられていた具体的基準部分は、施行規則などで定めるよう6月からの法
律・政令施行にむけ庁内作業中とみられます。
 1月からの通常国会が会期中に、政府が障害者欠格条項見直し対象にあげ
たうち8法令について「障害者等に係る欠格事由の適正化等を図るための関
係法律の整備に関する法律案」提出予定です。2頁の一覧表のとおり、昨年
に見直し法案が成立した「医師法」または「道路交通法」のどちらかのパタ
ーンを踏む内容(案)です。欠格条項を残す理由は様々に語られていますが、
障害や病気によって適切な判断能力や意思疎通能力に欠ける(おそれがあ
る)人たちと決めつけた上で、試験だけではそれらの能力を判定できず欠格
条項が必要、とする点でほぼ共通しています。
 急な動きとして、精神障害者の再犯予測にもとづく拘禁をはかる特別法案
が、3月中には国会提出予定です。現在、各地で反対の集会や学習会が開催
されています。将来の危険性予測によってあらかじめ人権を制限する発想は、
欠格条項に通底しています。
 「障害者の雇用の促進等に関する法律」の「除外率」(発想は欠格条項と
共通)制度は、欠格条項見直しの影響もあり段階的引き下げなどを提案する
審議会意見書が出て、これも今通常国会に法案提出予定です。人事院勧告で、
国家公務員の一部の職種では、採用試験の身体測定の色覚検査が廃止されま
した(人事院ホームページ上2/28報道発表参照)。詳しくは次号に掲載しま
す。

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題名 /Q&A 障害者の欠格条項 (副題:撤廃と社会参加拡大のために)
編著 /臼井久実子  企画 /障害者欠格条項をなくす会
発行 /明石書店 2002年1月10日 価格 /1300円+税
番号 /ISBN4-7503-1505-2 C0036 \1300E 判型 /A5版150頁
取扱 /全国の一般書店で取扱中
書店の棚にない時は、お店を通じてご注文・お取寄せができます。

★「障害者欠格条項をなくす会」にご注文下さる時
本号に同封の郵便振替用紙に、必要事項を記入して、ご送金ください。
ご送金日から約一週間〜十日間でお届けしています。
1冊から9冊までのご注文…1冊1300円、税不要、送料ご負担お願いします。
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政府見直し対象に含まれるもの
2002年2月末調査をもとに編集

今通常国会に法案提出予定の制度と法令

制度
法令名/所管
見直し内容(案)

鉄砲又は刀剣類所持に係る許可
銃砲刀剣類所持等取締法/警察庁
従来は「精神病者」絶対的欠格。法案は「精神障害又は発作による意識障害
をもたらし、その他鉄砲又は刀剣類の適正な取扱いに支障を及ぼすおそれが
ある病気として政令で定めるものにかかっている者」を欠格とし、さらに政
令で「精神分裂病」や「意識障害をもたらすてんかん」などの病気や障害を
列記する方向。

放射性同位元素等の使用、販売業等の許可
放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律/文部科学省
従来は「重度知的障害者」「精神病者」が放射性同位元素販売業などの許可
対象として絶対的欠格。法案は「心身の障害により放射線障害の防止のため
に必要な措置を適切に講ずることができない者として文部科学省令で定める
もの」への相対的欠格とする方向。省令内容は「精神の機能の障害により…
必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者」などの規定
を検討中。

放射性同位元素又はこれに汚染された物の取扱い並びに放射線発生装置の使
用の制限
放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律/文部科学省
従来は「精神病者」が放射性同位元素廃棄業や放射性発生装置の使用などの
許可対象として絶対的欠格。法案は「心身の障害により放射線障害の防止の
ために必要な措置を適切に講ずることができない者として文部科学省令で定
めるもの」への相対的欠格とする方向。省令内容は「精神の機能の障害によ
り…必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者」などの
規定を検討中。

家畜人工授精師免許
家畜改良増殖法/農林水産省
従来は「身体に障害のある者であって家畜人工授精師としての業務を行うの
に支障がある者」「精神病者」への相対的欠格。法案は「心身の障害により
家畜人工授精師の業務を適正に行うことができない者として農林水産省令で
定めるもの」への相対的欠格とし、省令内容は「視覚、聴覚、音声機能若し
くは言語機能又は精神の機能の障害により家畜人工授精師の業務を適正に行
うにあたって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない
者」、および補助手段の利用等を考慮する規定、免許を与えないこととする
場合の意見聴取規定、資格・免許の回復規定を新設する方向。(補足)欠格
条項該当の判断は、「家畜人工授精師」の場合、都道府県知事。

獣医師免許
獣医師法/農林水産省
従来は「身体に障害のある者であって獣医師としての業務を行うのに支障が
ある者」「精神病者」への相対的欠格。法案は「心身の障害により獣医師の
業務を適正に行うことができない者として農林水産省令で定めるもの」への
相対的欠格とし、省令内容は「視覚、聴覚、音声機能若しくは言語機能又は
精神の機能の障害により獣医師の業務を適正に行うにあたって必要な認知、
判断及び意思疎通を適切に行うことができない者」。補助手段の利用等を考
慮する規定、資格・免許の回復規定を新設する方向。(補足)獣医の場合は
「獣医事審議会」が欠格該当判定を審議。

火薬類取扱い
火薬類取締法/経済産業省
従来は「(中重度の)知的障害者」と「精神病者」が火薬類取扱いの絶対的
欠格対象。法案は「心身の障害により火薬類の取扱いに伴う危害を予防する
ための措置を適正に行うことができない者として政令で定めるものに火薬類
の取扱いをさせてはならない。」とする方向。政令内容は、知的障害、精神
機能の障害により火薬類の取扱い遵守事項を判断できない者を絶対的に制限
する方向。

船舶乗務のための身体検査基準等
船員法、同法施行規則、船員労働安全衛生規則/国土交通省
従来は「精神病にかかった船員」への絶対的欠格。法案は「心身の障害によ
り作業を適正に行うことができない船員として国土交通省令で定めるものを
作業に従事させてはならない」とし、省令内容は、その船員の心身の機能の
状態が、認知、判断、意思疎通などの点で作業を適正に行うことができるか
どうかで判断する方向。「伝染病にかかった船員」への絶対的欠格はこれま
でどおり残す案。

通訳案内業免許
通訳案内業法/国土交通省
従来は「精神病にかかっている者」への絶対的欠格。法案は「心身の障害に
より通訳案内業の業務を適正に行うことができない者として国土交通省令で
定めるもの」への相対的欠格とし、省令内容は、業務を適正に行う上で必要
な認知、判断、意思疎通能力が備わっていること、現に受けている治療等に
より障害の程度が軽減している状況の考慮、免許を与えないこととする場合
の意見聴取規定を新設する方向。「伝染性の疾病にかかっている者」への欠
格条項については廃止する案。

地域伝統芸能等通訳案内業免許
地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興
に関する法律/国土交通省
従来は「精神病にかかっている者」への絶対的欠格。法案は「心身の障害に
より地域伝統芸能等通訳案内業の業務を適正に行うことができない者として
国土交通省令で定めるもの」への相対的欠格とし、省令内容は上と同様で、
免許を与えないこととする場合の意見聴取規定を新設する方向。「伝染性の
疾病にかかっている者」への欠格条項については廃止する案。



道路交通法政令等試案へのご意見

15・16・17号に続き、ご意見をお知らせいただいた中から、引用して紹介し
ます。


【原則はセルフ・コントロールに】
私は20年前に分裂病で入院した。
その時一度だけ、走っている人がスライド写真のように見えたことがある。
幻覚を見たことが、欠格条項になるならば、運転歴も20年有り、免許証はゴ
ールデンカードの私が、ここ10年は続けている配達業を免許取消になってク
ビになったらどうしてくれるのか?!誰が責任とってくれるのか?!(大阪府)

【精神症状があっても安全運転できる−自動車教習所指導員、施設勤務の経
験から】
わたくしは、19年前に京都府公安委員会で普通自動車と二輪車の技能指導
員資格を取得して、約6年間京都府下の指定自動車教習所で勤務していた経
験があります。現在は精神障害者福祉施設にソーシャル・ワーカーとして勤
務しております。
教習所では、約6年間の技能指導の中で、多くの精神症状のある方に免許取
得をしてもらいました。精神病であっても、また多少の症状が悪くても運転
は可能であります。
わたしの施設に置いても男性当事者の1/3は普通自動車の免許を持っており、
1/2は原付免許を持って、普段の足として運転しています。この3年で、交
通事故は被害者(車に当てられた)の一件、重大な交通違反は皆無でありま
す。その中には、幻聴の症状が慢性化しているケースもありますが、本当に
しんどい症状の時は、絶対に運転をしないと、本人は述べています。
また、施設内においても、任意保険に加入する等の教育を欠かしておりませ
ん。
その点などを十分考慮され、精神医療や法律の専門家に頼らずに福祉側、交
通警察側、公安委員会などの免許や地域の現場で働いておられる方の本音の
意見を、もっとヒヤリングされて地域で生きる当事者の就労や生活を脅かさ
ないように、十分に考慮されたいと思います。
(京都府 精神科ソーシャル・ワーカー)

【運転免許を剥奪されて】
私はてんかん病者として運転免許を剥奪されました。
ゴールドカード所持していましたが、軽い事故で交通違反5点を受け任意保
険などの処理手続き中、警察官に抗てんかん薬を服用していると伝えたこと
がきっかけでした。
ここに運転免許取消し処分書があります。
ふつうは記載される取消し期間が出ていません。
車にはもう乗るなということなのでしょうか?
薬をやめていないかぎり「完治しない」と警察は判断するのでしょうか?
また、かかりつけの医師の判断ではいけないのでしょうか?
(千葉県 会社員)


【聴覚障害者の立場から】
はじめまして、「貴警察庁が道路交通法施行令の一部を改正する政令試案等
に関する意見を募集している」とインターネットで見て、意見を述べさして
いただきたく筆をとりました。わたしは重度聴覚障害者です。
道路交通法施行令の一部を改正する政令試案等の「1免許の拒否や取消し等
の基準の(5)」について、次の意見を述べます。

◆ (5)の「目が見えないこと」の言葉等を削除し、次のような文に改める。
「自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある身体の障害における免
許取消し等の基準については、運転免許試験に合格しないものに対して免許
の拒否をするものとします。

理由は、別添2の(9)身体障害関係で述べられたとおり運転免許試験に合格
することがないような障害者に対して取消しの対象とすることが妥当であり、
障害を具体的に書く必要はないと考えます。ただし、次の条件が必要です。

◆障害そのものをはかる適性検査を廃止するとともに、障害者本人の運転能
力を測る適性検査にして、運転免許試験の中に織り込んでください。つまり、
者害者の免許取得の範囲を広げてください。

 理由は、その適性検査そのものが障害者にとって苦痛そのものです。例え
ば聴覚障害者に対する適性検査つまり、補聴器をつけ10m離れて90dbのサイ
レンが聞こえれば合格となる試験はなぜあるのでしょうか。しかも、もう30
年近く変わらないままです。時代は大きく変わっているのに。
 法令は、聞こえるか聞こえないかにこだわったままで、障害者自身がどう
したらどこまで運転できるのかという運転能力を少しも見ようとしない。
 実際には、聴覚障害者が運転するときに周りに気を配っていればすぐにわ
かるのだし、ETCのように、緊急車両に送信装置装置をつけ、障害者の運
転する車には受信装置によって光の点滅によって認識するハード機器の開発
でカバーできるはずでしょう。

 警察庁自ら、法律や政令等の法令あるいは障害者への偏見によって、障害
者や病気を持つ人を差別することがあってはなりません。
 なぜなら、障害者から働く権利や人間としての尊厳を奪うことが障害者ら
への差別となるからです。例えば、聴覚障害者が法令によって免許を持てな
いということは免許を持つことが要件とする職場に就くことができないとい
うことです。間接的には、法令が障害者の就職差別を行うこととなるのです。
 また、2002年春には、JRバスが地方におけるバスの運行の減便及び廃止を
する予定であり、地方に住む障害者の足は自家用車がますます頼りとなるこ
とから、法令によって障害があると言って制限することは、障害者の生きる
権利を否定し、障害者の人間としての尊厳を奪うこととなります。
 また、わたしは「耳が聞こえない人が運転するのは危ない」とよく聞きま
すが、「何を根拠に『耳が聞こえないから危ない』と、なぜはっきりと言え
るだろうか」と考えてしまいます。これも聞こえるか聞こえないかにこだわ
って障害者自身の運転能力を見ようとしていないことの現れです。
 聞こえないから危ないと一方的に決めつける前に、どこまで運転できるの
だろうかと障害者の運転能力を少しでも考えたことはあるのでしょうか。つ
まり、障害があるからダメでなく、どうしたら運転できる方向へ持っていく
ことを考えるという姿勢を示すことが、障害者の社会参加となるのではない
でしょうか。
 その結果として、障害者の働く場が広がり、障害者の納める税の収入が増
え、警察庁の予算を潤うことにつながり、さらに交通安全のための施策が打
ち出せるようになるのではないでしょうか。
 わたしたち障害者は、障害者になりたくてなったのではないのです。
 一人の人間として健常者のみなさんと同じように働き、生きていきたいの
です。どうか障害者の気持ちを汲んでいただいて、よりよい政令を慎重に立
案していただくようお願い申し上げます。(奈良県)


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よびかけ人・賛同人から エッセイ8
「酔っ払い運転の車に乗るくらいなら…」
牧口一二(まきぐちいちじ)

 もう20年も前になるだろうか、障害者への差別語が問題化し、物議をかも
していたころだ。一枚のポスターに出会い、強い衝撃を受けたのだった。そ
のポスターは交通安全を啓発するもので、世界的に知られる全盲歌手、ステ
ィービー・ワンダーの横顔(ライブ中の写真のよう)を大きく扱い、キャッ
チフレーズが「酔っ払い運転の車に乗るくらいなら、俺が運転するゼ」とな
っていたのだ!
 ブラックユーモアかな? 一瞬ドキンとしたけれど、すぐにスカッと突き
抜けた気分になった。ビッグな全盲の歌手が、酔っ払い運転のひどさを警告
しているのだ。目の見えない自分が運転したほうがマシだ、と。なんと洒落
た表現だろうか。
 このキャッチフレーズは、スティービー・ワンダー自身のセリフなのか、
ポスターを制作した会社のアイディアなのか、私は知らない。が、どちらに
せよ彼が了解した上で作られたことはまちがいない。こんな思い切ったポス
ターが制作できるアメリカ社会を羨望したのだった(いまの星条旗一色の、
「テロか正義か」と叫ぶアメリカには失望している。が、20年前にこのポス
ターを作ったアメリカのこと、もっと懐が深いはずだが…)。
 ポスターの背景に、障害者が一市民としていきいき息ずく社会が見えてく
る。障害を個性やクセぐらいに(本気で)感じなければ、この発想は出てこ
ない。仮に出たとしても、いまの日本社会は受け入れないだろう。

 ちょうど同じころ、日本の交通安全キャンペーンポスターが「障害者を差
別している」と話題になった。ポスターは、あるレンタカー会社のもので、
誰も乗っていない車いすの写真を大きく扱い、その後ろに小学校5年生ぐら
いの男の子がうつむいて立っている。そしてキャッチフレーズは「この車に
は乗せたくない、乗りたくない」とあった。つまり、交通事故を起こすと死
なないまでも車いすの身になりますよ、そして家族(ここでは小学生)を悲
しませますよ、と訴えているのだ。
 20年前といえば、日常に車いすを使っている市民が、なんの設備も配慮も
ないバリアだらけの町へ果敢に繰り出していたころで、彼女ら彼らは「われ
われの存在を否定しているポスターだ」と、抗議をはじめた。
 レンタカー会社は当初、なぜ抗議を受けるのか理解できなかった、という。
「あなた方を差別する気持ちなどまったくない。でも、車いすの身にならな
いよう気をつけるのは当然でしょう」と言い続けた。それほど障害をマイナ
スと決めつけていたのだ。障害者と健全者とのズレは大きい。
 それから20数年、世間の障害者観は大きく変わりつつあるのに法制度の下
ではここ100年旧態依然のままであった。やっと見直されることになって、
「できない」と決めつけて門前払いにしてきた法律の条文(絶対的欠格条
項)を改め、場合によっては門を開く(相対的欠格条項)に見直す、という
わけだ。しかし、障害をマイナスとしか認識できないのであれば根本的な見
直しにはならない。
 いま、子どものころに聞いた「北風と太陽」の話を思い出している。たし
か、北風と太陽、どちらが旅人のマントを脱がすことができるか、という話
だったと思う。結果は、北風が強い風を吹きかけてマントを脱がそうとして
も、旅人はかえって吹き飛ばされまいとマントの襟をしっかり握った。太陽
がさんさんと旅人に照りそそぐと、思わず旅人は自らマントを脱いだのだっ
た。
 障害者が運転免許を取得できるには、どんな工夫が必要か智恵を絞ってみ
ましょう、という心あたたかな(この言葉、嫌だな。「血の通った」がい
い)社会では事故が少なくなるのは当然だ。健全者たちもギスギス、イライ
ラしなくなるだろうから。どのような場面でもいろんな障害者が参加するこ
とで社会は血が通ったものとなる。それが活力と柔らかな精神(ユーモア)
の源ではないだろうか。
 最後に、冒頭のスティービー・ワンダーのポスターについて一言。全盲者
と運転免許の関係さえ法律で決めつけないでほしい。これから先、どんな機
械や補助手段が現れるか図り知れないのだから。

(囲み)
今回8番目のエッセイは、神奈川県秦野市のボランティアグループ「クレリ
イエール」が発行されている精神保健ミニコミ紙「クレリィエール」2002年
3月号から、ご許諾をいただき転載しました。
しばらく休載していたエッセイのコーナーを再開します。これまで、次のよ
うにご執筆いただいてきました。  1「障害者欠格条項に思う」安積遊歩
(2号) 2「欠格条項 陳腐な制度上の差別」松友了(3号) 3「『人権問題
論』の授業を通して」杉本章(4号) 4「『障害』者であるがゆえに」二
日市安(5号) 5「権利擁護コーディネーターとして」小林信子(7号)
 6「医師のノーマライゼーション」九鬼伸夫(8号) 7「初心、忘れが
ち」川端利彦(9号) :敬称略



本の情報
『風の旅人』 三重県人権問題研究所編 牧口一二 (著), 多比良建夫 (脚
色), 新谷知子 (絵)解放出版社 2001/12/01発行 1200円 A5判 150頁
ISBN: 4759261117

マンガ、「人権 コミック・シリーズ」の一つ。ベッド式の車いすを通りが
かりの人に押してもらって、どこにでも出かけた故・宇都宮辰範さんとの出
会いと別れを、牧口さんが持ち前の若々しい感性で語る。その原作をもとに
新人の新谷知子さんがビビッドな画を描いて、活字とはひと味違った作品が
できあがった。原作は下記の『何が不自由で、どちらが自由か』。

『何が不自由で、どちらが自由か―ちがうことこそばんざい』
河合ブックレット(26)牧口一二 (著)
河合文化教育研究所 1995/03/01発行 ISBN: 4879999253 750円

『ちがうことこそええこっちゃ』牧口一二 (著) 
日本放送出版協会 1998/06/01発行ISBN: 4140803770  1000円


報告連載 その3(最終)
「あきらめから挑戦へ、開かずの門をこじ開けよう!」シンポジウムから
2001年9月8日 文京シビックセンターにて
編集・文責 障害者欠格条項をなくす会


司会・金/ 次に、まとめとして、学び、働くためのサポート、支援技術の
開発と利用という具体的な問題について話していきたいと思います。今まで
の発言を踏まえ、これからの見直しに向けた課題について発言をお願いしま
す。

高岡/いろいろお話を聞いて、今回の法改正の内容と意義、また残された課
題を、もっともっと多くの障害者に訴える必要があると感じました。多くの
聴覚障害者が関わって、運動を進めてきましたが、まだまだ充分だとはいえ
ません。
 聴覚障害者の社会参加、あるいは就労、その前の高等教育機関での学習保
障を求める場合に、どのようにコミュニケーション手段を求めるかというこ
とは、障害を持っている人自身からたくさんの声を吸い上げて考える必要が
あります。また、社会のいろいろな分野の人に、その必要性を伝える必要が
あります。
 日弁連のように積極的にこの問題をとりあげ、社会的に啓発している団体
もありますが、まだまだ不十分だと思います。これからは、さらに多くの各
職能団体の方々に、実際に障害を持ちつつ仕事を進めるためには、何が必要
か、何を援助してもらいたいのかといったことをわかってもらうことが重要
です。厚生労働省や法務省だけでなく、経済産業省など、幅広い分野の関係
機関、また行政に、問題を伝える必要があると感じています。
 アメリカでは、「リハビリテーション508条」という法律があります。こ
れは、障害をもつ職員のみならず、アメリカのどんな国民でも、連邦政府の
もっている仕事や情報にアクセスできなければいけない、ということを罰則
も含めて規定している法律です。
 この法律に対応するために、日本でも改革が進められています。こうした
動きに私達の問題がリンクすれば、企業などの環境改善が大きく前進すると
思います。その例の一つが、聴覚障害者が電話をする際の電話リレーサービ
スです。これは、聞こえない人と聞こえる人が、文字や手話を通じてリアル
タイムでコミュニケーションをするためのサービスです。アメリカの法律で
は、これが通信事業者に義務づけられていますが、同様に、日本でも義務づ
けられれば、聴覚障害者の参画する分野は一気に広がると思います。
 また、別の課題として、今後、聴覚障害者の関係団体と、手話通訳、ある
いは要約筆記団体が、様々な問題をいっしょに取り組んでいく必要があると
考えています。現在、専門用語を通訳できる通訳者は、非常に少ないのが現
状です。法改正に伴って、専門分野にも対応できる通訳者を養成することが
大切です。
 また、国会などで、障害に関わる問題を取り上げるときは、障害者自身の
意見を聞く場を保障してほしいと考えます。様々な障害者を呼んで、意見を
発表する機会を与えることが必要だと思います。

里見/先ほども申し上げましたが、これから具体化される医師法、道路交通
法等の政令の中身が気になります。この点についての取り組みで重要なのは、
これから先です。今回の改正が行われて、さまざま問題が生じてくるだろう
と考えられます。今後、さまざまな相談があるのではないかと考えるわけで
す。特に精神に障害のある人には、これらは切実な問題です。
 そういう場合に、人権センターに協力する弁護士が、法律面でのサポート
をすることがますます重要になってくるでしょう。
 欠格条項をなくす会が発足して以降、特に運転免許の問題では、てんかん
や精神障害の方、また適正試験を受けなさいと言われたと心配している方が、
どこに相談してアドバイスを受ければいいのか分からない、弁護士が見つか
らないという声を上げています。このような状態では、迅速な権利の救済は
望めないわけです。弁護士も、障害者からの相談に迅速に対応できるように、
研修等をして、期待に応えられるようになる必要があると考えます。例えば、
道路交通法では、聴聞の手続きや適性検査に呼び出し時の対応等も考えなく
てはいけません。また、免許を拒否されたという場合も、処分が不当であれ
ば不服の申し立てが法律的に保障される必要があります。法律運用の過程で、
一つ一つ問題を提示しながら、今後の改善を進めることが重要になります。
 重要なのは、絶対に泣き寝入りしない、ということです。法的にも、おか
しいものは改正していくという姿勢が大切です。その中で、運用の問題点も
明らかになっていくし、改善の方向を出していくことも大事だと思います。
 会社に就職したが手話通訳の手配が受けられない、という声もありました。
そういう方は、会社の立場上、許されるなら相談センターなどに持ち込み、
聴覚障害のある人を雇用しながら労働環境を整えないのは人権侵害だといこ
とを、日弁連の人権擁護委員会などにも問題提起してほしいです。弁護士を
育てるのも当事者のサポート、つまり、当事者からの問題提起が必要です。
どうぞ遠慮なく相談を持ち込んでください。その中から、障害者の権利擁護
に関して取り組んでいく弁護士の層も広がると思います。今後のそういう方
向を具体的に打ち出していきたいと考えています。

岩崎/欠格条項がなぜこんなに増えてきたのかについて、ふれておきたいと
思います。以前、欠格条項の法律制定過程を調べた時に、二つの主要な時期
がありました。一つ目の時期が、明治の後半から大正にかけてのいわゆる近
代化が押し寄せてきた時。いろいろな資格制度ができたことで、それとセッ
トで欠格条項ができた。もう一つの時期は、戦後の日本国憲法ができたとき
です。そこで、今まで日本になかった個人主義的な基本的人権という考え方
ができてきた時に、なんらかの資格や免許を与えたくない人たちにどう対処
していくのか、という問題があったわけです。それに対処するために、それ
まで欠格条項のなかった法律の中にも、どんどん欠格条項が出てきたわけで
す。それに対抗するには、やはり当事者の声を、当事者の組織としてあげて
いくことしかないのだろうと思います。今後、特に精神障害者の欠格条項の
ことを考える上で、当事者の運動が評価されて力を増していくことは、外す
ことはできないことだと考えます。
 次に、サポートの問題ですが、精神障害の場合に非常に難しい問題がある
と思います。資格というのは当該資格のパフォーマンスを保障することだと
思います。そこが、周りからのサポートも含めて、実際、その人がどのくら
いパフォーマンスを発揮できるのかが問題になってきたわけです。しかし、
当該技能に関する重要な能力の発揮に関しては、そのサポートはあくまで手
段的なものでなければいけないと思うわけです。つまり、その人自身がコン
トロールできていなければいけません。資格というのは、その人個人が、有
資格かどうかを問うものなので、その人個人に帰責してしまうものです。そ
う考えると、精神障害を持っている人たちに、どういうサポートが考えられ
るのか。例えば、職務をする時に、誰かに半分職務をやってもらう、という
ことでは難しいと思います。しかし、基本的な働く環境の整備であるとか、
休職をすることが保障されているといった一般的な雇用環境の整備について
は問題にしていかなければならないし、問題にできるだろうと思います。も
う一つ重要なのは、養成校の問題があると思います。資格は、養成校での訓
練を必要とする場合が多いのですが、養成校段階ではねられているという問
題がある。明確には、排除はしていなくても、特別な配慮はできませんが、
それでもよければ排除はしない、というところはたくさんあると思います。
そういった状況を、個別の私立大学などで変えていくのは難しいと思います。
それには、やはり大学などへの助成金制度や法律の段階で、一定の強制力を
持って、障害を持った学生が学べる場所を確保する必要がある、と提示して
いく必要があるのだろうと考えています。

福井/今日は道路交通法に関わって具体的な話しをしてきました。
 てんかん協会は、社会啓発団体だったので、今回のように、こういう運動
に取り組んだのは、おそらく歴史に残るだろうと思っています。この運動を
通じて、やはり、当事者組織の責任を非常に感じました。あらゆる施策の検
討に障害者の参加を、というのは、声を大にして言っていきたいと思います。
今回の運動では、本当に忙しかったのですが、私たち団体も政策立案能力を
高めていかなければいけないだろうと考えています。
 また、今後の問題として、日本の教育において、てんかんについて、教員
はもちろん、子供たちにも正しく教育して欲しいと考えています。教員のマ
ニュアルに、10行ほどですが、てんかんについて書いてもらいました。こ
れは何年か後に見直しますが、さらに、教員の研修項目のなかにも、この問
題を入れてもらいたいと考えています。
 高岡さんも国会で議論されたことがよかったと言われましたが、私もずっ
と傍聴して、今回の法律見直しの経過を見守りましたが、ほんとに良かった
と思います。そして、国会議員の皆さんに、欠格条項についての基本的な勉
強をしてもらいたいという感想も持ちました。今回の法改正では、各障害者
団体が、各政党の議員を一人ひとり回りました。私は始めての経験でしたが、
一致できる要求で、各障害者団体が手を繋いで行動するというのは非常に良
いと思いました。お互いに抱える問題も良くわかります。今後も、各党への
働きかけを積極的にしていきたいと思っています。
 道交法の取り組みを通じて、欠格条項の問題について、各省庁間の連携が
できていないということに唖然としました。調整や連携がなされないまま、
道交法は警察庁だけに委ねるというのでは、本当にダメだと思いました。私
たちのような民間の団体は、そうした問題を指摘し、各省庁間を繋いでいか
なければならないのではないか、そういう役目を負っているのではないかと
思っています。
 最後に、今日は、障害のある方の発言を深く受け止めました。しっかりと
てんかん協会にも伝えていきたいと思います。
金/医師法の一部を改正する法律では、5年後の見直規定も含まれています。
それに向けた連携や取り組みなどの準備が必要だと思います。また、新しい
道路交通法の政令の部分に関しては、現在、パブリックコメントが募集され
ています。それぞれの立場から積極的に意見を出していければと思います。
(以上)


ニュースクリップ
12月22日<神戸新聞>障害あっても受験可能
鉄道運転士免許 身体基準見直し

2002年
1月4日<NHK教育TV>「きらっと生きる」106回放送(再)
手話でOK!聴覚障害者外来〜医師・藤田保さん〜
1月8日<毎日新聞>滋賀医科大に学ぶ聴覚障害学生 臨床医めざす
1月9日<京都新聞> 運転免許の制限なくして 障害者団体が要望
1月9日<宮崎日々新聞>運転免許の制限なくして 警察庁に障害者団体要望
1月9日<愛媛新聞>欠格条項の撤廃を 障害者運転免許で要望
警察庁に「なくす会」
1月9日<中国新聞>(夕刊)車の運転免許の欠格条項撤廃を
警察庁に障害者団体
1月9日<日経新聞>障害者運転免許、制限撤廃を求める
「なくす会」が要望書
1月11日<読売新聞>欠格条項撤廃で進む障害者の運転免許取得
新条件設定に懸念
1月13日<朝日新聞>(社説) 運転免許 病者へきめ細かい配慮を
1月14日<読売新聞>障害者の意見集約へ
道交法施行例改正試案で身障者運転者会(山梨)
1月17日<朝日新聞>道交法施行令改正試案
日弁連「再考を」免許交付拒否巡り
1月21日<毎日新聞>(発言席)「障害者の権利条約実現を」
障害・コミュニケーション研究所 長瀬修
1月23日<共同通信ニュース速報>運転免許の欠格条項全廃を
改正道交法に不安な障害者
1月28日<朝日新聞>(鹿児島版)国家公務員に合格した難聴の男性
1月28日<朝日新聞>(社説)障害者の権利
1月29日<北海道新聞>欠格条項の解説書を出版
明石書店『Q&A 障害者の欠格条項』
1月31日<東京・毎日・読売・日経・朝日の各紙>
人権擁護法案(仮称)大綱について
2月1日<読売新聞ニュース速報>酒気帯び行政処分強化
6月からの施行決定
2月5日<婦人民主新聞 ふぇみん>(本)『Q&A障害者の欠格条項』
2月8日<北海道新聞>道交法改正で門戸開くはずが…
「運転免許失うかも」戸惑う精神障害者
2月10日<読売新聞>障害者の欠格条項わかりやすく解説
『Q&A障害者の欠格条項』
2月26日<共同通信ニュース速報>政府、障害者懇談会を設置
新基本計画策定で
2月26日<毎日新聞ニュース速報>障害者基本計画
03年度からの10カ年計画策定へ 政府
3月1日<朝日新聞>4国家公務員試験 色覚検査を廃止へ


「障害者欠格条項をなくす会」から出したパブリックコメントより

<警察庁交通局>
2002年1月17日
警察庁交通局交通企画課法令係 殿

障害者欠格条項をなくす会 (代表 牧口一二・大熊由紀子)
事務局連絡先
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台3-2-11
DPI障害者権利擁護センター気付
TEL 03-5297-4675  FAX 03-5256-0414

「道路交通法施行令の一部を改正する政令試案等」に対する意見


担当官殿、まず、次の話をご自分の身におきかえてみて下さい。

「無事故無違反で運転してきているが、交通検問や免許更新ではいつも不安
になる。もし何かのきっかけで持病が知られれば、免許取消しの恐れもある
から」

「病気がわかれば、新道路交通法のもとでは、臨時適性検査を義務づけられ
るかもしれないと気が重い。診断によっては免許をもてなくなる。よいコン
ディションを維持するため医療は受けたいが、運転は仕事や移動にどうして
も必要だから、受診もためらっている」

 いずれも実例で、精神病者や内部障害者、てんかん既往歴のある人の声。
免許更新申請の時に「病気があるから危険にちがいない」と免許を取り消さ
れた体験や、軽微な事故でも免許取消しに至った話も寄せられている。
 欠格条項の存在がいかに日々の大きな人権侵害となってきたか、想像して
いただきたい。

 道交法の障害者観が旧法と根本的に変わっていない中で、細かな政令・施
行規則で社会参加をさらに阻み、差別偏見が助長されることを、私たちは強
く危惧している。


以下、各項目に沿って述べる。

・「第2 病気等に係る免許の拒否や取消しの基準等の整備について」

 総じて反対である。

 素案,試案ともに、飲酒して運転したり故意に自他の命を危険にさらす運
転をする人々への厳罰化という問題と、障害者や病者に「運転免許をどの範
囲で認めるか」とを、同時同列に意見募集していること自体が、アンフェア
であり、歪みをもっている。

 障害者にかかわる欠格条項の見直しとは、障害者の社会参加を法制度の障
壁でもって阻んできた歴史をふまえ、障壁をなくしていくことであるが、そ
のことに対する理解を、素案にも試案にも見いだすことができない。条文の
上では相対的欠格となっても、政令試案等は、これまで以上に厳密に免許を
制限する絶対的欠格的な内容となっている。
 なぜこうなってきたか、それは第一に、「障害者や病者が運転免許をもて
ば道路交通の危険のおそれがあり、事故を起こす前に制限しなければならな
い」という見方を、警察庁として根本的には変えていないためである。差別
偏見にとらわれた考えから改める必要がある。
 運転する限り、誰であっても「危険のおそれ」は否定できず、それだけに
交通環境の安全化が大きな課題である。運転者個人に目をむけた時には、そ
の人自身の注意力を主とした運転適性が問題で、運転適性は、障害や病気の
有無とは関係がない。事故につながりやすい不注意な運転を繰り返す人は、
障害や病気の有無にかかわらず存在する。
 第二に、現実を全体として見ようとせず「これまでは絶対的欠格だったか
ら精神病者等のドライバーはいないはずだ」といった枠にこだわって頭の中
だけで考えるのは、もうやめるべきだ。現に長年、安全運転してきた多くの
病者や障害者本人の声や経験を、真剣に取り入れて政策を形成するよう求め
る。
 第三に、あくまで「規制」をどの程度まで緩和するかで考えてきたため、
国民の等しくもつ人権を、置き去りにしてきた。欠格条項の見直しとは単な
る規制緩和の問題ではないことを、原点に立ち返って考えるべきである。

 交通安全は、障害や病気の有無にかかわらず共通の願いである。
 また、交通の安全と、障害者や病者の社会参加は対立しないばかりか、排
除せず必要な支援、環境改善を進めることで、より誰にとっても安全な交通
環境にしていくことができる。
 この見方に立ち政策を根本から検討しなおすことを求める。ものの見方の
基本から見直す姿勢をもたなければ、歴史的な悪法実施になる。


・「第2の1 免許の拒否や取消し等の基準」

 反対である。法律条文を含めて根本的な見直しを求める。

 政令試案等のように細かな規定を作って免許を制限すべきでない。病気や
障害等によってハードルが高かったり低かったりするのも不合理である。そ
れぞれの病気等への理解の度合い、あるいは偏見の度合いが基準案に反映し
ている。
 共通しては「現に病状等が重く運転危険な状態の時に運転してはならな
い」ということでよいと考える。
 今の社会で自動車運転は欠かせないもので、運転の権利が合理的理由もな
く侵害されてはならない。運転免許試験に合格すれば必要な知識技能がある
と見なされ、免許を交付されるのは当然のことである。事故を起こしてもい
ないのに、将来の危険のおそれでもって障害や病気等がある人をその例外に
するのは、もともと合理性がない。
 もし発作が起こっているなど病状等が重いときに例外的に制限する場合も、
免許自体の取消しや拒否等ではなくて、一定期間運転をやめ経過をみること
とすればよい。あるいは、視力の関係で夜は無理でも昼間は運転できるとい
う人には昼間の運転を認めるよう、その人が安全運転可能な条件下で、最大
限運転して社会活動できるように、可能性を広げるように支援することであ
る。いずれの場合も本人のセルフコントロールに信頼をおくことを原則にす
べきである。
 たとえば「目が見えない」等とわざわざ書かなくても、現在の自動車技術
や道路環境で、たとえば全盲の人が自他の命を危険にさらして運転しようと
は、本人自身思わない。

 もし、やむをえず権利制限する場合は、権利回復にむけ予断偏見を排した
公正な評価を受けられるようにすることも非常に重要である。

 身体障害関連についても、後述する運転免許試験の適性検査基準を含めて、
進んできた補助的手段の活用などを前提に古くからの基準を見なおし、さら
に多くの人が免許取得して安全運転する可能性を広げることができるように
すべきである。


・「第2の3 臨時適性検査を行う場合の免許の拒否等の基準の整備」

 反対する。法律条文を含めて根本的な見直しを求める。

 もし、全ての免許申請者と、7500万人の免許保有者に対して臨時適性検査
を行うというのならば、まだ合理性が認められるが、病者等を危険視して免
許制限することに使われるため、病者等に大きな負担と制限を負わせること
になる。


・「第2の4 免許申請書等による症状等の申告の整備(道路交通法施行規
則改正試案)」

 反対し、削除を求める。断じて導入してはならない。

 道交法や政省令が、将来の危険のおそれから最大限病者や障害者の免許を
制限しようとするものであるかぎりは、誰も、安全運転できているのに免許
取消し等の危険を冒そうとは思わないし、やむをえず病気を隠して申請する
だろう。確実に、必要な医療からも遠ざける結果になる。
 なぜ病状の申告が必要なのかの質問に警察庁は「新たに免許を取る人に、
保留を公安委員会が考えるかどうかのとっかかりにしたい」と答えている。
 病者等を免許保留することを想定して新たな障壁を設けることは、「…検
査などが欠格条項に代わる事実上の障壁にならないように」という 151国会
決議にも反する。

 警察庁は、もし交通安全を本当に願うのならば、持病があっても障害があ
っても、試験に合格し運転適性がある人ならば、病状等が運転に差し支える
ほど重い時期を除き安全運転が可能であることを、まず正面から認めるべき
である。そして、あらかじめの制限ではなく、支援策・権利回復策を確立す
べきである。そうした基本政策において日本は国際的にも、政策の進んだ国
々に大きな遅れをとっているのであり、そこを改めずに外国の規制だけを取
り出して導入理由とするのは、全くの筋違いである。
・運転免許試験の適性検査基準について(道路交通法施行規則23条)

 政令素案への意見書やこの間の話し合いにおいても、重ねて見直しを要請
しているが、「目下は政令の見直しで検討対象でない」「欠格条項にあたら
ないと見ている」との回答だった。政令試案等においては、同じ道路交通法
施行規則に、病状等の申告は盛り込もうとしているのであり、政令でないと
いうことは理由にならない。また、適性検査基準が欠格条項にあたらないと
いう回答は詭弁である。国土交通省などは、身体検査基準を含めて障害者欠
格条項見直し対象として、作業を進めてきた。
 さまざまな技術開発も進んできたことをふまえて、早急に古くからの基準
内容を見直すべきである。
 提案としては、必要な補助的手段の活用も前提として、実際に運転に必要
な要件、たとえば
・改造車で座位をとることができハンドルなどを操作できる
・ミラーや映像機器も使って視覚的に必要な確認ができる
など具体的な要件を満たすかどうかで判定するようにすればよい。具体的な
要件で考えれば、個々の障害や病気をあげつらう必要もない。
 なお、聴力については、すでに欧米の多くの国々、アジアでも韓国・タイ
で普通免許取得に不問となっており、"聞こえないから危険"というのは根拠
のない偏見だったことが実証されている。日本でいつまでも「10メートル離
れて 90デシベルの音が聞こえる」聴力基準に固執しているのは、国際的に
も恥であり、時代錯誤である。


 以上、運転免許・運転行為の権利性を踏まえ、病者や障害者の体験に裏打
ちされた意見提案をよく聞き、政省令、政策に反映することを求めるもので
す。
 決して拙速とならぬよう、慎重な検討を求めます。


--------------------------------------------------------------------
<警察庁生活安全局>

2002年1月23日
警察庁生活安全局生活安全企画課企画係 殿


障害者欠格条項をなくす会
(代表 牧口一二・大熊由紀子)
事務局連絡先
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台3-2-11
DPI障害者権利擁護センター気付
TEL 03-5297-4675  FAX 03-5256-0414


「障害者に係る欠格条項の見直しについて」に係る警備業法の一部改正試案
に対する意見

(一)警備業法の欠格条項の撤廃を
「心身の障害により業務を適正に行うことができない者」への相対的欠格と
する試案だが、心身の障害の有無と業務遂行能力とは本来別の問題である。
基本的な見方から改めて、先に精神病者への絶対的欠格を削除した風俗営業
法と同様、障害者欠格条項を削除することを求める。法律の欠格条項を存続
することは、差別偏見を存続し、国家公安委員会規則など運用しだいで対象
とする障害者や病者を締め出すことが明らかである。もしも、いぜんとして
精神病者等を「十分な判断力等を有しない者」と見ているのであれば、何の
病気等であれ判断力などの点で勤務できない状態ならば、そのまま日常の業
務を続けることは実際できないので、精神病等をことさらにとりあげてあら
かじめ職業資格の付与を制限するのは合理性がない。

(二)従事者の能力を生かす政策を
警備業関係は、9時〜5時の一般的な勤めと比べると、勤務シフトを選びや
すい面がある。また、一口に警備業と言っても、その実際の職場環境や仕事
内容はきわめて巾が広いのは周知のとおりである。勤務時間と仕事内容の選
択の巾があることは、高年齢者や、障害や病気がある人の就労にとって、望
まれる重要な条件の一つである。試案説明に「障害があっても十分な業務遂
行能力があれば」とあるが、障害等の有無にかかわらず、業務遂行能力をも
つ人もいれば、そうでない人もいる。それをまずきちんと認めて、障害等を
理由として資格取得を阻むことがないように障害者欠格条項を削除して、障
害等の有無にかかわらず個々人が能力を生かせる環境をめざす政策にむけ、
試案の再検討を求める。

以上
--------------------------------------------------------------------
<内閣府>

内閣府政策統括官(総合企画調整担当)
障害者施策担当殿

障害者に係る欠格条項の見直しに関する意見募集について

臼井久実子(障害者欠格条項をなくす会事務局長)
はじめに
 現状は、政府方針(1999年8月9日の『障害者に係る欠格条項の見直しにつ
いて』) に内在する矛盾によって、かつ、各省庁にゆだねた結果として、
中途半端な見直し状況となっている。欠格条項を全廃した法制度はまだわず
かにとどまっている。
 政府方針において、「対処の方向」として4項目があげられてきたが(対
象の厳密な規定・相対的欠格化・障害者を特定しない規定・回復規定)、社
会参加促進のための法制度の障壁の除去という趣旨に矛盾する要素を抱えて
きた。
 たとえば、厳密に規定することは絶対的欠格の対象を絞るのと同様になり、
相対的欠格も運用次第で絶対的欠格的になる。政府方針に撤廃を明記せず4
項目羅列して各省庁に判断をゆだねることの結果が、方針検討の時期から危
惧されていた。
 現実に、特に、道路交通法と、警察庁が現在検討中の政令試案等において、
上記の危惧が的中した。このままでは従来以上に運転免許を厳しく制限し、
社会生活の権利を侵害する法制度になると強い懸念が広がっているところで
ある。そのようなことになれば、何のための欠格条項見直しか。
 医師法等においては、従来に比べると門戸を広げうるものになったが、い
ぜんとして、「障害等がある」ことと「業務を適正に遂行できるか」を結び
つけて、適正に遂行できないと見なされる障害等への相対的欠格を残してい
ることが大きな問題である。
 必要なのは、制限ではなくて、可能性を開くように支える環境づくりであ
り、補助的手段を必要なかぎり得られるようにすることである。関連する実
践例や技術の情報が広く行き渡るようにすることは特に急ぐ課題である。
 各省庁とも各々やりとりしてきたが、試験に合格してもなお、障害や病気
がある人々に対して特別なハードルを課すことに、あるいは、「将来の危険
のおそれ」を根拠にあらかじめ資格等の制限しようとすることの根拠につい
て、合理的な説明は得られていない。


提言1 総括を出し、2003年度から見直し作業を再スタートし、一括見直し
のための中枢機能と法律をもつこと
 2002年度末で「63制度」の見直し作業は期限を迎える。期限には目標設定
の意味があるが、長年にわたり存続してきた欠格条項は、3年やそこらで見
直しを「終了」できるものではない。NPOとしてこの課題に取り組んでき
て、一人一人の権利をないがしろにしてきた障害者観の変革は、長期かかる
根深い問題であることを知らされることが多い。
 今回の意見募集には、障害者施策推進本部としての中間総括案と情報公開
という、国民に意見を求める上で必要な条件が備わっていないが、それらを
整え継続して意見を求めつつ、2003年度以降は、各省庁のバラバラな判断に
ゆだねるのではなく、一括して欠格条項の廃止を促進する中枢機能と法律を
もつことが必要になっている。
 障害者に係る欠格条項は、1999年に対象とされた「63制度」以外にも多数
あり、対象も定め直す必要がある。
 各省庁ともに、「障害等がある」ことと、「業務などを適正に遂行できる
か」は別々の問題だという見地に立てるようになるまで、政府として統括す
る見直し作業を続ける必要がある。法律条文が変わったというだけでなくて、
実際に、制度運用にあたる人々、国民の大多数の意識が変わることが課題で
ある。

提言2 平等に受験できる環境づくりを−受験要項の書きかえ急務
 従来から、視覚障害者の受験への配慮があったあんまハリマッサージ師や
作業療法士などは例外として、「医師法等の一部を改正する法律」の施行後
も、関連するほとんどの国家試験は、その受験要項に、法律が変わったこと、
従来は受験欠格があったものについても受験できるようになったこと、受験
の上でのサポートの用意があることなどを掲載していない。また、連絡先と
して電話番号だけを掲載するなど、聴覚言語障害をもつ受験者にとっては問
合せることも困難な要項が大部分である。
 安心して受験でき、受験の上で必要なサポートを得られる環境づくりを急
ぐべきである。省庁が学校に障害等をもつ受験予定者を問い合わせることも
行われているが、こうしたことは廃止し、個々の受験者が必要な情報を手に
して、必要なサポートについても申込める受験要項を、障害当事者の意見を
十分に聞いて作成すべきである。
 受験要項の記述は、自治体の障害者採用試験などに、参考にできる先例が
ある。

提言3 定期的な、具体的進捗内容のわかる情報公開を
 「定期的に関係各省庁から見直しの進捗状況についての報告を求め、障害
者施策推進本部に報告するとともに、一般に公表する」(政府方針 3 見
直しの促進)ことが、きわめて不十分である。このパブリックコメント募集
と同時に出されている表も、法律名・制度名、見直しが終了したかどうかだ
けで、何から何へどう変わったかのレポートがない。
 正確な進捗状況の公表=情報公開を、少なくとも年一回時期を決めて行う
よう求める。
(以上)

活動日誌
1月 8日 各政党(自民、共産、社民、公明、自由、民主)を訪問 道交法政令
試案等についての要望・説明
道交法政令試案等について「市民政策円卓会議」開催(市民政調主催)
記者会見
1月14日 内閣府に意見提出(P14〜15)
1月17日 道交法政令試案等に対するパブリックコメント(P10〜13)
1月24日 警備業法へのパブリックコメント(P13〜14)
2月20日 事務局会議

「障害者欠格条項をなくす会」の趣旨
この会は、障害者への「欠格条項」をなくす目的で障害種別や立場をこえて
ネットワークづくりをすすめます。
1.今こそ、障害者自身の体験と智恵を!
 欠格条項で悔しい思いをしてきた障害者自身の体験と智恵を、「欠格条項
見直し」の動きに反映させましょう。
2.外国ではどうなっているかも調べ役立てています。
3.省庁交渉、各政党との協議など進めています。
◎会員になってください!
年会費は団体=五千円/年、個人=三千円/年で「年」の数え方はその年の4
月1日〜翌年3月末です。ニュースレター(年6回・特別号を含む)をお届け
しています。会員お申込みは本号に同封の郵便振替用紙に、内訳と、お名前、
団体名(ご担当名)、送り先ご住所、電話・FAXを記入してご送金ください。
郵便振替用紙は郵便局備えつけのものもご利用になれます。


〈事務局から 読者の皆様へ〉
18号は特別号(不定期)として、会員に限らず本のご注文などをいただいた
方々にお届けします。2002年度の新規会員を募集中です! 本のご講読や委
託販売もご協力をお願い申し上げます。
『Q&A 障害者の欠格条項』(明石書店)は、多くの方のご尽力で刊行に
こぎつけました。一般書店で流通していますが「なくす会」でも扱っており
ます。地域で開催される企画での販売用などご注文も頂いており有難うござ
います。テキストデータも完成し、視覚障害などの理由で活字媒体でのご利
用が困難な方からのご希望に応じて、明石書店から配布を始めました。本の
奥付にその申込方法説明と引換券があります。
2001年度も多大なご支援ご協力をありがとうございました。会員各位には、
3月前半に郵便で会計概算報告などをお届けします。なお、帯封宛名の下に
最新のご納入年度を「P2001」のように記しています。「P」は「個人会員」、
「P2001」なら「2001年度分までご納入済み」、「P」がなく年のみは「団体会
員」です。
視覚障害者で、ニュースレターの点字版などをご希望の方は、東京の事務局
までご連絡いただけましたら、データ形式や送付方法相談の上お送りします。
会員になっていただく事以外に特別の料金は不要です。

《付録》別紙1枚
オモテ面
新「道路交通法施行令」の条文(2002年2月6日公布、同年6月1日から施行)より

(免許の拒否又は保留の基準)
第33条 法第90条第1項第1号又は第2号に該当する者についての同項ただ
し書の政令で定める基準は、次に掲げるとおりとする。
 一 法第90条第1項第1号又は第2号に該当する場合(次号の場合を除
く。)には、運転免許(以下「免許」という。)を与えないものとする。
 二 6月以内に法第90条第1項第1号及び第2号に該当しないこととなる
見込みがある場合には、免許を保留するものとする。
※ 以下省略

 第33条の2の2 法第90条第1項第7号に該当する者についての同項ただ
し書の政令で定める基準は、次に掲げるとおりとする。
 一 法第90条第1項第7号に該当することを理由として同項ただし書の規
定により免許を保留された者が当該保留の期間内に重ねて同項第7号に該当
した場合において、その者が法第102条第4項の規定に違反して同条第3項
の通知に係る適性検査を受けないと認めるときは、当該適性検査を受けない
ことについてやむを得ない理由があるときを除き、免許を与えないものとす
る。
 二 法第90条第1項第7号に該当する場合(前号に該当する場合を除
く。)には、免許を保留するものとする。

(免許の拒否又は保留の事由となる病気等)
 第33条の2の3 法第90条第1項第1号イの政令で定める精神病は、精神
分裂病(自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれ
かに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈しないものを除く。)
とする。
2 一法第90条第1項第1号ロの政令で定める病気は、次に掲げるとおりと
する。
 一 てんかん(発作が再発するおそれがないもの、発作が再発しても意識
障害及び運動障害がもたらされないもの並びに発作が睡眠中に限り再発する
ものを除く。)
 二 再発性の失神(脳全体の虚血により一過性の意識障害をもたらす病気
であつて、発作が再発するおそれがあるものをいう。)
 三 無自覚性の低血糖症(人為的に血糖を調節することができるものを除
く。)
3法第90条第1項第1号ハの政令で定める病気は、次に掲げるとおりとする。
 一 そううつ病(そう病及びうつ病を含み、自動車等の安全な運転に必要
な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれ
がある症状を呈しないものを除く。)
 二 重度の眠気の症状を呈する睡眠障害
 三 前2号に掲げるもののほか、自動車等の安全な運転に必要な認知、予
測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状
を呈する病気

(免許の取消し又は停止の事由となる病気等)
第38条の2 法第103条第1項第1号イの政令で定める精神病は、第33条の
2の3第1項に規定するものとする。
2 法第103条第1項第1号ロの政令で定める病気は、第33条の2の3第2
項各号に掲げるものとする。3 法第103条第1項第1号ニの政令で定める
病気は、第33条の2の3第3項各号に掲げるものとする。
4 法第103条第1項第2号の政令で定める身体の障害は、次に掲げるとお
りとする。
 一 体幹の機能に障害があつて腰をかけていることができないもの
 二 四肢の全部を失つたもの又は四肢の用を全廃したもの
 三 前2号に掲げるもののほか、自動車等の安全な運転に必要な認知又は
操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるもの(法第91条の規定により条
件を付し、又はこれを変更することにより、その能力が回復することが明ら
かであるものを除く。)。

※以下引用省略


ウラ面
1月13日<朝日新聞>(社説) 運転免許 病者へきめ細かい配慮を
(記事本文は引用省略)

編集人 障害者欠格条項をなくす会(共同代表 牧口一二・大熊由紀子)
通信係 〒543-0072 大阪市天王寺区生玉前町5-33
大阪府障害者社会参加促進センター内
    障害者の自立と完全参加をめざす大阪連絡会議(略称:障大連)気付
TEL・FAX 06-6779-8109
(通信係には、電話ではなく、郵便又はファックスでご連絡ください)
事務局 〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台3-2-11総評会館内
DPI障害者権利擁護センター気付
TEL 03-5297-4675  FAX 03-5256-0414
メールアドレスnakusu@bk.iij4u.or.jp
HP  http://www.butaman.ne.jp/~sakaue/restrict/
会費  団体会費 \5,000円/年  個人会費 \3,000円/年
振込  郵便振替 00150-8-130574 「障害者欠格条項をなくす会」
 みずほ銀行・馬喰町支店 普通預金 1563449
 「障害者欠格条項をなくす会 会計 杉山真和」
発行人 関西障害者定期刊行物協会  大阪市城東区東中浜2-10-13
 緑橋グリーンハイツ1F
定価  200円

 

◆障害者欠格条項をなくす会ニュースレター17号(20020106受信)

障害者欠格条項をなくす会ニュースレター読者の皆様

こんにちは。障害者欠格条項をなくす会ニュースレター17号
(12月末発行・特別号)の電子メール版をお届けします。
本年もよろしくお願いいたします。

今号も15、16号に続き、道路交通法の政令等についての特集です。
年末に「政令試案等」が出て、17日までパブリックコメント募集中です。
最後のほうに、昨年9月のシンポ報告の続き(その2)を掲載しています。

最初にあるように、1月半ばにかけて、政府の見直し作業全般についてと
各制度について、それぞれパブリックコメントが募集されています。

明石書店から新刊の『Q&A 障害者の欠格条項』(企画 障害者欠格条項
をなくす会)や、『ジョイフル・ビギン15号(障害者欠格条項特集)』の紹
介を掲載しています。

………障害者欠格条項をなくす会 nakusu@bk.iij4u.or.jp
URL http://www.butaman.ne.jp/~sakaue/restrict/
事務局 臼井久実子


KSKP障害者欠格条項をなくす会 ニュースレター 17号
電子メール版
2001年12月末発行・特別号

政府方針による欠格条項見直し、2002年度末で期限へ
 通常国会提出の法案も
 内閣府・各省庁から意見募集
 1月17日まで道交法政令試案等パブリックコメント募集中!

「道路交通法施行令の一部を改正する政令試案等」に対する意見の募集
警察庁交通局交通企画課法令係
http://www.npa.go.jp/police_j.htm
1月17日まで
方法: 電子メール、郵送、FAXのどれか
※本誌に障害者・病者への運転免許制限に関する部分を全文掲載しています。

障害者に係る欠格条項の見直しに関する意見募集
内閣府政策統括官(総合企画調整担当) 障害者施策担当
http://www8.cao.go.jp/shougai
pubcomme.html 1月14日まで
方法: 電子メール(意見提出様式あり)または郵送
※1999年8月の政府方針による見直し作業全般についての意見募集
内閣府以下の詳しい内容は、それぞれのインターネットホームページをご覧
ください。

警備業法の一部改正試案に対する意見の募集
警察庁・生活安全局生活安全企画課企画係
1月24日まで
方法: 電子メール、郵送、FAXのどれか
http://www.npa.go.jp/comment/seianki/seianki.html

銃砲刀剣類所持等取締法の一部改正試案に対する意見の募集
警察庁・生活安全局銃器対策課企画対策係
1月17日まで
方法: 電子メール、郵送、FAXのどれか
http://www.npa.go.jp/comment/juutai/juuki.html


学校教育法施行令の一部を改正する政令案について意見募集
文部科学省・初等中等教育局特別支援教育課企画調査係
1月16日まで
方法: 郵便又は電子メール
http://www.mext.go.jp/b_menu/public/index.htm
※障害児や病弱児は特殊教育諸学校へという分離教育原則を前提にその具体
的基準を決めている法令。政府の見直し対象63制度には入っていないが非
常に影響が大きい。

火薬類取締法の一部改正に関する意見の募集
経済産業省・原子力安全・保安院保安課
1月15日まで
方法: 電子メール、郵送、FAXのどれか
http://www.meti.go.jp/feedback/data/i11214aj.html

家畜改良増殖法及び獣医師法の一部改正についての意見・情報の募集
農林水産省・生産局畜産部 (家畜)畜産技術課総務班,(獣医)衛生課獣医事班
1月14日まで
方法: 電子メールまたは郵送
http://www.maff.go.jp/www/public/public011214.pdf
※現在pdf文書形式でしか広報されていない。


船員法の一部改正について意見募集
国土交通省・海事局船員部労働基準課
1月14日まで
方法: 電子メール、郵送、FAXのどれか
http://www.mlit.go.jp/kisha/pubcom/pubcom67/pubcomt67_2_.html
通訳案内業法及び地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定
地域商工業の振興に関する法律の一部改正について意見募集
国土交通省・総合政策局観光部旅行振興課
1月14日まで
方法: 電子メール、郵送、FAXのどれか
http://www.mlit.go.jp/kisha/pubcom/pubcom67/pubcomt67_3_.html

放射線同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の欠格条項の見直し
についてご意見募集
文部科学省・科学技術・学術政策局 原子力安全課放射線規制室
1月14日まで
方法: 電子メール、郵送、FAXのどれか
http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2001/011203.htm



道路交通法施行令はこの一月で確定へ(二月上旬公布予定)
政令試案等へのパブリックコメントを出そう!

 障害者欠格条項をなくす会からは、昨年9月の「政令素案」に対し、これ
では「絶対的欠格」になり必要な医療からも遠ざけるとして、「その人自身
が安全運転できるか個人評価を柱に、原則はセルフ・コントロールにおくよ
う」意見を出してきました(本誌16号に掲載)。病気や障害がある人も、な
いとされる人と同程度に安全運転が可能であり、実績もあり、社会参加と交
通の安全は対立しません。また、病気等の有無にかかわらず、「危険のおそ
れがない」とは誰も断言できないことです。等しく人権をもつことをふまえ、
どういう条件があれば安全に運転できるか、交通環境の改善と支援策を進め
ることが先決です。
 年末に、免許課から「政令試案等」発表、1月17日(木)までパブリック
コメント募集中です。素案に続き、政令(施行令)と省令(施行規則)に関す
る内容です。政令は1月のうちに確定し、2月上旬には公布の予定となってい
ます。残る日数わずかですが、内容へのイエス・ノーをはっきり出した意見
がどれだけ集まるか、この時期前後の世論が、法律の実際運用に影響を与え
ます。
「政令素案」の障害や病気にかかわる項に対するパブリックコメントは約
200件、総コメント数の約1/2を占め、項目によっては「免許取得の範囲
を素案より広げるべき」が「免許取得の範囲を素案の内容まで広げるべきで
ない(欠格条項の廃止に反対)」を大きく上回り(警察庁の集計による。P
5からの各ページの中央の列=『政令試案等本文』を参照)、無視できない
ものになっていることがうかがえます。
 「障害者欠格条項をなくす会」からは、「政令試案等」をもとに、下記ア
〜エに関連して国会議員を通じて質問を出し、各政党に申入れをし、1月8
日には記者会見等も準備中です(詳細は事務局までお問合せ下さい)。
 道交法「一部改正」に伴う意見公募はこれが最後のチャンス。ぜひ、一言
でもコメントを出しましょう!

ア)もし、この「政令試案等」のとおりに進めた時に、病気等があり、免許
試験に合格し現に問題なく運転してきている人々が、免許を取消・停止され
る事態が多々起こりかねないこと、そして従来以上に、これから免許をとろ
うとする人々が拒否・保留される可能性が心配されています。また、誰でも
が起こす可能性がないとは言えない不注意による事故で、その事故が軽微な
事故でも、障害や病気があるだけで格段に重い処分となる可能性があります。
容易に免許の拒否や取消等につながりうる内容であり、取消処分を受けた人
の再取得、補助的手段や支援策にはほとんどふれていません。

イ)障害や病気がある→危険のおそれがある→予防的に制限しようという見
方は、基本的に、絶対的欠格の88条*がつくられた時と変わっていないこと
がうかがえます。政令等の案は、法律の絶対的欠格条項は外すかわりに、制
度の隅々までこの見方を徹底するものといえます。その結果、対象の病気等
を広げ**、大変厳しく締め出す内容になっています。これでは、意図にかか
わらず、障害者欠格条項の見直しの趣旨に逆行することになります。

**「政令試案等」では、「政令素案」にはなかった、脳梗塞、脳出血、くも
膜下出血、一過性脳虚血性発作等(脳卒中関係)などの病気が追加され、さ
らに追加する可能性があるとしている(本誌p13の左端列)。

*88条は、精神病者・知的障害者・てんかん病者・目が見えない者・耳が聞
えない者又は口がきけない者などに免許を与えない・取り消すとしてきた条
文。2001年6月成立・今年6月施行となる新法では、88条は削除したが、一
方で、政令で定める病気等について、免許の拒否・保留・停止・取消などを
できる条文が90条・103条・104条に入っている。

ウ)「政令試案等」も、素案に続いして欧米の制限規定を紹介、病状申告制
度導入の根拠としていますが、欧米では、原則として試験に合格した人は誰
でも運転できるが、やむをえない場合に運転行為を制限する(免許の拒否や
取消しはよほどの合理的理由がなければできない)という考え方が基本で、
意義申し立て・権利回復への道も確立していることは、全く紹介しようとし
ません。日本の政令試案等の考え方は、ちょうど欧米と反対で、病気等があ
る人については、試験に合格しても将来の危険のおそれをもって制限の対象
に考え、絶対安全と認めた場合に限って免許を認めるものです。

エ)病状の申告等という、何らかの病気等がある人にとってそれだけで新た
な障壁になるものを導入することは、国会決議(運転免許の適性試験・検査
については、これが障害者にとって欠格事由に代わる事実上の免許の取得制
限や障壁とならないよう、…見直しを行うこと)から見ても、明らかに反し
ます。「政令等試案」では、申告の時に病名の記載は求めないとありますが、
申告すれば、臨時適性検査か診断書の提出が求められると予想されます。


道路交通法政令などへのご意見
15号・16号に続き、ご意見をお知らせいただいた中から、引用して紹介しま
す。

ある人の病状がどの程度続き、どの時点で良くなり、いつ再発するかなどを
判断することは神業に近くなります。もし、再発しないという診断書を書い
て再発したらどうなるか。自分が訴えられないために、精神科医は決して再
発しないなどという診断書は書かないでしょう。これではすべての精神分裂
病患者は免許がもらえないことになります。やはり、基本的には、免許試験
に合格しているのに,事故を起こしてもいないのに、先に免許拒否するとい
うことに問題があります。
 (北海道 精神科医師)

運転免許の件 ものすごく腹が立っております。前よりもっと悪くなってい
ますよ。聴覚障害者への扱いは変わらないばかりでなく、てんかんのかたが
たと同様な扱いになるおそれが大きくなりました。つまり偏見によって決定
される可能性があるということです。今度のパブリックコメントには何がな
んでも訴えなければなりませんわ。(奈良県 聴覚障害者)

9月の政令素案以降も、「日本精神神経学会」「なるこ会」(睡眠障害の患者
会)など各方面から意見書などが出されています。インターネットを通じた
活動も活発で、そのひとつ「全国インターネット患者会」iddm.21は、9月に
運転免許の欠格条項についての基礎調査アンケートを緊急実施しまとめ、働
きかけを行い、会のホームページでそれらを紹介しています。
http://www1.plala.or.jp/HIDEYUKI46HONMA/


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 障害をもつ人も、もたない人も共に生きる社会をめざした情報を発信して
いきます。15号は「障害者欠格条項」を特集しました。当事者の目から見た
「障害者政策」など障害者ならではの情報満載。

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障害者総合情報ネットワーク(ビギン)事務局までご連絡を。
電話03-3251-3886 FAX03-5297-4680


警察庁より道交法施行令・施行規則の「一部改正」パブリックコメント募集

平成13年12月
警察庁交通局
 
「道路交通法施行令の一部を改正する政令試案等」に対する
意見の募集について
  最近の交通情勢にかんがみ、悪質・危険な運転者に対する対策等の強化、
病気等に係る免許の拒否等の基準の整備等を内容とする道路交通法施行令の
一部を改正する施行令及び免許申請書等による症状等の申告の整備を内容と
する道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令を制定することとしてお
ります。現在、検討している内容は、「道路交通法施行令の一部を改正する
政令試案等」(別紙)のとおりです。これに関し御意見のある方は、平成1
4年1月17日(木)まで(必着)に次のあて先に御意見をお寄せ下さい。
(電話による御意見は受け付けておりません。また、頂いた御意見に対して
の個別の回答は致しかねますので、あらかじめその旨御了承願います。頂い
た御意見は、住所、電話番号、電子メールアドレスを除き公開される可能性
があることを御承知おきください。)

通信方法
あて先
(1)郵送の場合

警察庁交通局交通企画課法令係
(〒100-8974 東京都千代田区霞が関2-1-2)

(2)電子メールの場合
kaisei-iken@npa.go.jp

(3)FAXの場合
03-3581-9337

文書のもくじ
第1 悪質・危険運転者対策等の強化について
第2 病気等に係る免許の拒否や取消しの基準等の整備について
第3 第二種運転免許制度の見直しについて
別添2 「運転免許の処分基準等の見直し素案」に対して寄せられた主な意
見及びこれに対する警察庁の考え方について(病気等にかかる免許の拒否の
基準等関係)
別添3 各病気ごとの具体的な運用基準案
別添4 諸外国における運転免許申請時等の運転適性に係る申請書記載事項

もくじの第2の部分と、別添付2、3を、原文のまま掲載します。別添4は
18ページです。なお、外国の状況については本誌16号に、各国の非営利組織
や政府機関に対して日本の障害者関係団体が協力して調査した結果を、表に
まとめて掲載しています。

第2 病気等に係る免許の拒否や取消しの基準等の整備について
 本年6月の道路交通法の改正により、精神病者、知的障害者、てんかん病
者、目が見えない者、耳が聞こえない者、口がきけない者その他一定の身体
の障害のある者等は、免許を受けることができない(運転免許試験(以下
「試験」といいます。)の受験資格がなく、免許取得後にそうした者に該当
することとなった場合には取り消さなければならない。)とされていたのを
改め、知的能力や身体的能力については試験で確認することとされました。
 一方、試験で確認することが困難な、幻覚の症状を伴う精神病であって政
令で定めるもの、発作により意識障害又は運動障害をもたらす病気であって
政令で定めるもの、その他自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがあ
る病気として政令で定めるものにかかっている場合等には、公安委員会は、
政令で定める基準に従って、免許の拒否や取消し等ができることとされまし
た。
 また、これらのほか、痴呆にかかっている場合や、目が見えないことその
他自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある身体の障害として政令
で定めるものが生じている場合等については、政令で定める基準に従って、
免許の取消しや効力の停止等ができることとされました。
 なお、この項目については、本年9月に素案を公表して約3週間にわたっ
て意見募集を行うとともに、学会、専門医や患者団体等の方々からの御意見
を伺い、その結果等を踏まえて作成したものです。
<備考>
※9月に実施した意見募集においては、この部分については、総論賛成が2
1件、総論反対が10件、個別項目に言及された意見が184件でした
(個別項目に対する意見募集結果等については、該当部分に記述しており
ます)。

1 免許の拒否や取消し等の基準

(1)幻覚の症状を伴う精神病であって政令で定めるものは、精神分裂病と
し、免許の拒否等の基準については、以下のとおりとします。

a 自動車及び原動機付自転車(以下「自動車等」といいます。)の安全な
運転に支障を及ぼすおそれがある症状を呈するおそれがないと認められる場
合には免許の拒否等を行わないこととします。

b aとは認められない場合のうち、6月を超えない期間内にaと認められ
るようになると見込まれる場合については免許の保留又は効力の停止を行う
こととします。

c aとは認められない場合のうち、b以外の場合については免許の拒否又
は取消しを行うこととします。

<備考>
※精神分裂病については、これまでは、一律に免許を受けることができない
こととされていましたが、aの場合には、免許を受けることができること
とするものです。
※ 9月の意見募集においては、37件の意見のうち、
・賛成意見7件
・免許取得の範囲を素案の内容まで広げることに反対との意見5件
(欠格事由の廃止に反対する意見を含みます。)
・免許取得の範囲を素案より広げるべきとの意見19件
・その他6件
でした。【「運転免許の処分基準等の見直し素案」に対して寄せられた主な
意見及びこれに対する警察庁の考え方について(病気等に係る免許の拒否の
基準等関係)(別添2)参照】
※ 具体的な運用基準については、現在検討中ながら、現時点での素案は別
添3のとおりです。

(2)発作により意識障害又は運動障害をもたらす病気であって政令で定め
るもの及びその病気にかかっている場合における免許の拒否等の基準につい
ては、以下のとおりとします。
@ てんかん

a 発作の再発のおそれはないと認められる場合、発作の再発により意識障
害及び運動障害がもたらされない場合、並びに発作の再発が睡眠中に限って
起こると認められる場合については、免許の拒否等を行わないこととします。
b a以外の場合のうち、6月を超えない期間内にaに該当することとなる
と見込まれる場合については免許の保留又は効力の停止を行うこととします。
c a及びb以外の場合については免許の拒否又は取消しを行うこととしま
す。
<備考>
※ てんかんについては、これまでは、一律に免許を受けることができない
こととされていましたが、aの場合には、免許を受けることができるこ
ととするものです。
※ 9月の意見募集においては、16件の意見のうち、
・賛成意見6件
・免許取得の範囲を素案の内容まで広げることに反対との意見5件(欠格事
由の廃止に反対する意見を含みます。)
・免許取得の範囲を素案より広げるべきとの意見2件
・その他3件
でした。【(別添2)参照】
※ 具体的な運用基準については、現在検討中ながら、現時点での素案は別
添3のとおりです。

A 失神(脳全体の虚血による一過性の意識障害をもたらす病気をいいま
す。)a 「発作の再発のおそれがないもの」又は「発作の再発が立ってい
る状態のときに限られるもの」のいずれかに該当すると認められる場合には
免許の拒否等を行わないこととします。

c a及びb以外の場合については免許の拒否又は取消しを行うこととしま
す。
<備考>
※ 失神は、神経起因性(神経調節性)のものや不整脈によるものなど原因
は様々ですが、運転中に脳全体の虚血による意識障害が起こった場合、
自動車等の運転が全く不可能となり、道路交通に著しい危険を生じさせ
ることとなると考えられます。
※ 失神は、再発性でないものが多いともされていますが、このような場合
は、免許の拒否等の対象とはなりません。また、意識障害が専ら立って
いる状態で起こる場合が多いとされていますが、このような場合も、運
転中(坐位)に起こるおそれはないので、当然、免許の拒否等の対象と
はなりません。
※ 9月の意見募集においては、8件の意見のうち、
・賛成意見5件(免許取得の範囲を素案よりも厳しくすべきとの意見を含み
ます。)
・反対意見2件(免許取得の範囲を素案より広げるべきとの意見を含みま
す。)
・その他1件
でした。【(別添2)参照】
※ 具体的な運用基準については、現在検討中ながら、現時点での素案は別
添3のとおりです。

B 低血糖症(血糖値が低下することにより自律神経症状又は中枢神経症状
を呈する病気をいいます。)
a 自動車等の運転中において、前兆を自覚しないまま、意識障害をもたら
すおそれがあると認められる場合については、(i) 6月を超えない期間内に
そうしたおそれがなくなると見込まれる場合については、免許の保留又は効
力の停止を行うこととします。
(ii) (i)以外の場合には免許の拒否又は取消しを行うこととします。
b a以外の場合には免許の拒否等を行わないこととします。
<備考>
※ 低血糖症には糖尿病患者がインスリン注射等の治療を受けることによる
薬剤性低血糖症のほか、内分泌系のものもあります。運転中に低血糖に
より意識障害に陥った場合、自動車等の運転が全く不可能となり、道路
交通に著しい危険を生じさせることとなると考えられます。
※ 低血糖症は、ほとんどの場合、意識を失うまでに、悪心、振戦、瀕脈、
冷汗等の前兆を自覚し、運転中止の措置が可能とされており、そのよう
な場合は拒否等の対象とする必要はないと考えられます。他方、ごく一
部に、そうした前兆を自覚できず突然意識を失ったり意識朦朧となった
りする場合(無自覚性低血糖)がありますが、無自覚性の低血糖症であ
っても、血糖の自己コントロール(運転前に血糖値を上げるなど)によ
り運転中の事故を防止できるのであれば、拒否等の対象とする必要はな
いと考えられます。
※ 9月の意見募集においては、低血糖症ではなく「低血糖による意識障害
を伴う糖尿病」としておりましたが、101件の意見のうち、
・賛成意見7件(免許取得の範囲を素案よりも厳しくすべきとの意見を含み
ます。)
・反対意見88件(免許取得の範囲を素案より広げるべきとの意見を含みま
す。)
・その他6件
でした。【(別添2)参照】
※ 具体的な運用基準については、現在検討中ながら、現時点での素案は別
添3のとおりです。

(3)(1)及び(2)のほか、自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそ
れがある病気として政令で定めるもの及びその病気にかかっている場合にお
ける免許の拒否等の基準については、以下のとおりとします。

@ そううつ病(そう病及びうつ病を含みます。)
a 自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある症状を呈するおそれ
がないと認められる場合には免許の拒否等を行わないこととします。
b aとは認められない場合のうち、6月を超えない期間内に呈しないと認
められるようになると見込まれる場合については免許の保留又は効力の停止
を行うこととします。
c aとは認められない場合のうち、b以外の場合については免許の拒否又
は取消しを行うこととします。
<備考>
※ 9月の意見募集においては、19件の意見のうち、
・賛成意見6件(免許取得の範囲を素案よりも厳しくすべきとの意見を含み
ます。)
・反対意見11件(免許取得の範囲を素案より広げるべきとの意見を含みま
す。)
・その他2件
でした。【(別添2)参照】
※ 具体的な運用基準については、現在検討中ながら、現時点での素案は別
添3のとおりです。

A 睡眠障害

a 重度の眠気が生じるおそれがあると認められる場合については、

(i) 6月を超えない期間内に重度の眠気が生じるおそれがなくなると見込まれる場合については、免許の保留又は効力の停止を行うこととします。

(ii) (i)以外の場合には免許の拒否又は取消しを行うこととします。

b a以外の場合には免許の拒否等を行わないこととします。

<備考>
※ 日中における過度の眠気をもたらす病気としては、睡眠時無呼吸症候群
やナルコレプシー、特発性過眠症等がありますが、その中でも重度の眠
気が生じるおそれがあるもののみを対象とします。「重度の眠気」とは、
眠気のうち、運転中のような起きていなければならないときでも我慢し
がたいような度合いの眠気をいいます。
 なお、前日の夜が仕事等で睡眠不足の状態であった場合には、翌日は当然
眠気がありますが、この場合は、病気とはいえないので対象ではありません
(過労等により居眠り運転のおそれがある中での運転は禁止されています)。
※ 9月の意見募集においては、睡眠時無呼吸症候群及びナルコレプシーを
政令に掲名することとしておりましたが、睡眠時無呼吸症候群について
は、12件の意見のうち、
・賛成意見5件(免許取得の範囲を素案よりも厳しくすべきとの意見を含み
ます。)
・反対意見5件(免許取得の範囲を素案より広げるべきとの意見を含みま
す。)
・その他2件
であり、ナルコレプシーについては、15件の意見のうち、
・賛成意見5件(免許取得の範囲を素案よりも厳しくすべきとの意見を含み
ます。)
・反対意見9件(免許取得の範囲を素案より広げるべきとの意見を含みま
す。)
・その他1件
でした。【(別添2)参照】
※ 具体的な運用基準については、現在検討中ながら、現時点での素案は別
添3のとおりです。

B @及びAのほか自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがあると認
められる病気
a 6月を超えない期間内に自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれが
ある症状を呈しないと認められるようになると見込まれる場合については、
免許の保留又は効力の停止を行うこととします。
b a以外の場合には免許の拒否又は取消しを行うこととします。<備考>
※ この項の病気としては、
○ 精神障害(例:急性一過性精神病性障害、持続性妄想障害)であって自
動車等の安全な運転に支障を及ぼす症状(幻覚、妄想、そう、抑うつ、精神
運動興奮等)を呈するおそれがあると認められる場合
○ 脳梗塞、一過性脳虚血発作等のように発作により意識障害、見当識障害
や身体の麻痺、視覚障害等が生じるおそれがあると認められる場合
等を想定しています。
※ 9月の意見募集においては、精神障害等を想定しているとしたところ、
11件の意見のうち、
・賛成意見4件(免許取得の範囲を素案よりも厳しくすべきとの意見を含み
ます。)
・反対意見4件(免許取得の範囲を素案より広げるべきとの意見を含みま
す。)
・その他3件
でした。【(別添2)参照】

※ 精神障害に係る具体的運用基準については、精神分裂病乃至そううつ病
と同様のものとする方針です。脳梗塞等に係る現時点での具体的運用基
準の素案は、別添3のとおりです。

(4)痴呆にかかっている場合については、以下のとおりとします。
a 6月を超えない期間内に回復すると見込まれる場合については、免許の
効力を停止することとします。
b a以外の場合には免許を取り消すこととします。
<備考>
※ 痴呆にかかっている場合については免許の拒否や保留の対象としていま
せんが、これは、試験に合格することはないからです。
※ 9月の意見募集においては、11件の意見のうち、
・賛成意見6件(免許取得の範囲を素案よりも厳しくすべきとの意見を含み
ます。)
・反対意見1件
・その他4件
でした。【(別添2)参照】
※ 具体的な運用基準については、現在検討中ながら、現時点での素案は別
添3のとおりです。

(5)目が見えないことその他自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれ
がある身体の障害として政令に定めるものが生じている場合における免許の
取消し等の基準については、以下のとおりとします。
@ 目が見えない場合については、免許を取り消すこととします。
A 次の障害のいずれかが生じている場合については、以下のとおりとしま
す。
a 体幹の機能に障害があって腰をかけていることができないもの
b 四肢の全部を失ったもの又は四肢の用を全廃したもの
c a及びbを除き自動車等の安全な運転に必要な認知又は操作に関する能
力を欠くこととなるもの
d a、b及びcを除き自動車等の安全な運転に必要な認知又は操作に関す
る能力を欠くこととなるおそれがあるもの
○ a、b又はcの障害が生じている場合には、免許を取り消すこととします。
○ dの障害が生じている場合は、その身体の状態に応じた条件を付すこと
等により、6月を超えない期間内に自動車等の安全な運転に支障を及ぼすお
それがなくなると見込まれる場合には、免許の効力を停止することとし、そ
れ以外の場合は取消しとします。

<備考>
※ 上記のような身体の障害が生じている場合については免許の拒否や保留
の対象としていませんが、これは、条件を付すことにより自動車等の安
全な運転に支障を及ぼすおそれがないと認められる場合を除けば、試験
には合格しないからです。
※ 身体の状態に応じた「条件」は、眼鏡等、補聴器、義手、義足等のほか、
運転する車両の限定(例:「手動式アクセル・ブレーキに限る。」)も
あります。
※ これまでは、両上肢を用いることができず、かつ、下肢のいずれかをリ
スフラン関節以上で欠いている場合等については、免許を与えないこと
としていましたが、
このような障害がある場合であっても、補助手段を用いることにより自動車
等を安全に運転できるのであれば、免許の取消し等の対象外とします。

※ 9月の意見募集においては、5件の意見があり、
・賛成意見3件
・免許取得の範囲を素案の内容まで広げることに反対との意見2件
(欠格事由の廃止に反対する意見を含みます。)
でした。【(別添2)参照】

(6)アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者については、
以下のとおりとします。
a 6月を超えない期間内に回復すると見込まれる場合については、免許の
保留又は効力の停止を行うこととします。
b a以外の場合には免許の拒否又は取消しを行うこととします。
<備考>
※ 9月の意見募集においては、11件の意見があり、
・賛成意見2件
・免許取得の範囲を素案の内容まで広げることに反対との意見5件
(欠格事由の廃止に反対する意見を含みます。)
・免許取得の範囲を素案より広げるべきとの意見3件
・その他1件
でした。【(別添2)参照】

2 免許の拒否又は取消しに係る欠格期間
 本年6月の道路交通法の改正において、上記1により免許の拒否又は取消
しを行った場合において政令で定める基準に従い当該処分を受けた者が免許
を受けることができない期間(欠格期間)を指定することとされましたが、
この期間に係る基準については、当該処分を行った日から起算して1年とし
ます。

3 適性検査を行う場合の免許の拒否等の基準の整備
(1)試験に合格した者に対して臨時適性検査を行う場合の免許の拒否・保
留の基準について
 本年6月の道路交通法の改正により、公安委員会は、試験に合格した方に
ついて、一定の病気にかかっていると疑う理由等があるときは、臨時適性検
査の通知をするとともに、その受検を担保するため、政令で定める基準に従
って、免許(仮免許を除きます。)の拒否や保留ができることとされました
が、この処分の基準については、以下のとおりとします。

a 臨時適性検査の通知を行う場合には、免許の保留を行うこととします。
b 最初の臨時適性検査を受けなかったことから再度臨時適性検査の通知を
受け、やむを得ない理由がないのに当該臨時適性検査を受けないと認めると
きは、免許の拒否を行うこととします。

<備考>
※ 臨時適性検査とは、一定の場合に、公安委員会が専門医により臨時に行
う適性検査のことです。
※ 9月の意見募集においては、14件の意見があり、
・賛成意見8件
・反対意見5件
・その他1件
でした。

(2)免許(仮免許を除きます。)を受けた者に対して臨時適性検査を行う
場合の免許の取消し・停止の基準について
 本年6月の道路交通法の改正により、臨時適性検査をやむを得ない理由が
なく受けない場合には、公安委員会は、政令で定める基準に従って、免許の
取消しや効力の停止ができることとされましたが、この処分の基準について
は、以下のとおりとします。
a 臨時適性検査の通知を受け、やむを得ない理由がないのに当該臨時適性
検査 を受けないと認めるときは、免許の効力の停止を行うこととします。
b aで免許の効力の停止を受けた後、停止期間内に再度臨時適性検査の通
知を 受け、やむを得ない理由がないのに当該臨時適性検査を受けないと認
めるとき は、免許の取消しを行うこととします。
 なお、仮免許を受けた者については、臨時適性検査の通知を受け、やむを
得ない理由がないのに当該臨時適性検査を受けないと認めるときは、仮免許
の有効期間が6月であることを踏まえ、仮免許を取り消すこととします。
<備考>
※ これまでは、臨時適性検査の通知を受けた者は臨時適性検査を受けなけ
ればならないこととされていましたが、その受検を担保するための規定
がなかったことから、年間数十件から約百件の受検拒否事案がありまし
た。
 道路交通法改正によりそうした受検拒否に対して免許の取消しや効力の停
止といった処分を行うことができることとした理由は、そうした現状を踏ま
え、交通の安全の見地から受検を担保する必要があるとともに、受検を拒否
する者は上記1における取消し・停止事由に該当する可能性が推認されるた
めです。
※ 9月の意見募集においては、14件の意見があり、
・賛成意見9件
・反対意見4件
・その他1件
でした。

(3)免許の保留又は効力の停止を受けた者が適性検査の受検命令又は診断
書の提出命令に違反した場合における免許の拒否等の基準について

 本年6月の道路交通法の改正において、上記1により免許の保留又は効力
の停止を行う場合、公安委員会は、必要と認めるときは、当該処分の際に、
その者に対して適性検査の受検又は診断書の提出の命令を行うことができる
こととされました。また、その命令に違反したとき(検査を受けなかったと
き、診断書を提出しなかったとき)には、公安委員会は、政令で定める基準
に従って、免許の拒否等ができることとされましたが、この処分の基準につ
いては、以下のとおりとします。

a 命令に違反したときは、免許の保留又は効力の停止を行うこととします。

b aで免許の保留又は効力の停止を受けた後、保留又は停止期間内に再度
の命令を受け、やむを得ない理由がないのにその命令にも違反したときは、
免許の拒否又は取消しを行うこととします。

<備考>

※ 上記1における免許の保留又は効力の停止は、現時点では自動車等の安
全な運転に支障を及ぼすおそれがあるが、6月以内に回復するなどによ
りそうしたおそれがなくなる見込みがある場合に行われますが、病気や
中毒といったものの性質上、将来の状況(回復等の見通し)を完全に予
測することは困難です。適性検査の受検又は診断書の提出命令の制度は、
このような観点から、保留や停止の期間が満了するまでに自動車等の安
全な運転に支障を及ぼすおそれがなくなったかどうかを確認するために
設けられたものです。

(参考)免許の拒否等の基準を定めることに伴い、現時点では上記1による
取消し等の対象とは認められませんが、一定の期間内に取消し等の対象とな
っているおそれがあると認められる場合に、当該期間の経過後に臨時適性検
査を行うこととします。

具体的には、
○ 精神分裂病、てんかん、そううつ病等にかかっている場合で、現時点で
は症状の再発のおそれは認められないが、一定の期間の経過後に再度検査を
行う必要があると認められるような場合
○ 筋ジストロフィーやパーキンソン病等にかかっている場合で、現時点で
は運転能力があるが、進行性の病気であるために、一定の期間の経過後に再
度検査を行う必要があると認められるような場合
○ いまだ痴呆にかかっているとはいえないが、既に認知機能の低下等がみ
られ、一定の期間の経過後に再度検査を行う必要があると認められるような
場合
等を想定しています。
 なお、専門医の診断書が提出されるなど、当該期間を経過したときにおい
て臨時適性検査を行う必要がないと認められるときは、臨時適性検査を行わ
ないこととします。
<備考>
※ 9月の意見募集においては、16件の意見があり、
・賛成意見8件
・反対意見7件
・その他1件
でした。

4 免許申請書等による症状等の申告の整備(道路交通法施行規則改正試
案)
 免許を受けようとする場合又は免許証の更新を受けようとする場合に、上
記1の免許の拒否や取消し等の対象となる病気等であるかどうかについて、
公安委員会が的確に把握できるようにするため、免許申請書及び更新申請書
において、以下のいずれかに該当する方は申告していただくこととします
(具体的な病名の記載は求めません)。

○ 病気を原因として又は原因不明により、意識を失ったことがある方。
○ 病気を原因として身体の全部又は一部が発作的にけいれん又は麻痺を起
こしたことがある方。
○ 十分な睡眠時間を取っているにもかかわらず、日中活動しているときに
眠り込んでしまうことが週3回以上ある方。
○ 現在、拒否や取消しの対象とされている病気に関して、医師から、免許
の取得又は運転を控えるよう助言を受けている方。
<備考>
※ これは、自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある病気にかか
っている者を把握するための方法が現在のままでは不十分ではないかと
いう国民の方々からの意見が寄せられていることを踏まえ、諸外国の制
度を参考として行おうとするものです。

※ 9月の意見募集においては、44件の意見のうち、
・賛成意見18件
・反対意見22件
・その他4件
でした。【(別添2)参照】
※ 諸外国における運転免許申請時等の運転適性に係る申請書記載事項の例
としては、別添4があります。


別添2
「運転免許の処分基準等の見直し素案」に対して寄せられた主な意見及び
これに対する警察庁の考え方について(病気等に係る免許の拒否の基準等
関係)

(1)精神分裂病関係
 免許取得の範囲を素案の内容より広げるべきとのご意見としては、
@ 適切な薬の処方により、幻覚を予防することは可能である。
A 患者の中には幻覚や妄想があっても事故を起こすことなく運転している
人がいる。
B 障害者の社会参加にとって免許は不可欠である。特に地方では、免許を
取り消されると通院もできなくなる。等がありました。

 これまでは、精神病にかかっている方は、一律に免許を受けることができ
ないこととされていたのですが、警察庁としては、精神分裂病にかかってい
ても、自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある症状を呈するおそ
れがないのであれば、免許の拒否、保留、取消し又は停止等(以下「拒否
等」といいます。)は行わないこととする考えです。即ち、例え幻覚や妄想
の症状があっても、その程度が非常に軽微なものであって、自動車等の安全
な運転に支障を及ぼすおそれがある症状を呈するおそれがないのであれば、
運転を可能とする考えです。
 一方、交通の安全の見地から精神分裂病にかかっている方の免許取得に反
対するご意見もありました。
 警察庁としては、精神分裂病にかかっている方のうち、運転を可能とする
方を自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある症状を呈するおそれ
がない場合に限ることにより、交通の安全と障害者等の社会参加が両立する
ことを確保したいと考えております。

(2)てんかん関係
 免許取得の範囲を素案の内容まで広げることに反対とのご意見もありまし
た。警察庁としては、てんかんにかかっている方であっても発作消失期間が
相当長く今後も発作が起こるおそれがないような場合には、運転を認めてよ
いと考えており、運転を可能とする方をそのような自動車等の安全な運転に
支障がないと認められる方に限ることにより、交通の安全と障害者等の社会
参加が両立することを確保したいと考えております。

(3)失神関係
 免許取得の範囲を素案の内容よりも厳しくすべきとのご意見や、その一方
で、1年以上発作がなく定期的に治療を受けていれば運転を認めるべきとの
ご意見がありました。警察庁としては、交通の安全と障害者等の社会参加が
両立することを確保する観点から、失神にかかっている方であっても今後発
作が起こるおそれがないような場合には運転を認めてもよいと考えておりま
す。

(4)低血糖症関係
 免許取得の範囲を素案の内容より広げるべきとのご意見(免許の拒否等の
対象とすべきでないとの意見を含みます。)としては、
@ 「今後発作が起こるおそれがない」という基準では、何十万人もが対象
となる可能性がある。インスリン治療の患者はすべて意識を失うおそれはあ
るが、ほとんどの者は、血糖値を良好にコントロールし、また、低血糖にな
った場合にも前兆を自覚して意識を失うまでに適切な措置がとれる。
A 低血糖発作を起こすのは糖尿病だけではないのに糖尿病のみを規定する
のは不適切である。
B 糖尿病自体で低血糖発作になるのではなく、治療の副作用としてなるの
だから、糖尿病を他の病気と同列に扱って病名として明記することは疑問で
ある(素案では「低血糖による意識障害を伴う糖尿病」としておりました)。
C 運転免許取消しをおそれて血糖値を比較的高い数値でコントロールする
ようになると、治療上問題がある。運転中のみ血糖値を高めにコントロール
するなどすれば、(平素は意識を失ったりしていても)交通事故は防げる。
D 事故を起こした者のみ処分すれば足りる。
  等がありました。
 @〜Bまでのご意見に対する警察庁の考え方等については、今回の試案及
び該当部分の備考等を参照して頂ければご理解いただけるものと考えており
ます。Cについても、たとえ運転中以外で意識を失ったりしても、医師が
「意識消失等の前兆を自覚できており運転を控えるべきとはいえない」又は
「意識消失等の前兆を自覚できないことがあるが、運転中における意識消失
等を防止するために必要な知識を有しており、医師の指導に従い意識消失等
を防止するための措置を忠実に実行していると認められることから、運転を
控えるべきとはいえない」旨の判断を行った場合には、免許の拒否等を行わ
ないこととすることを考えております。
 Dについては、今回の制度改正の趣旨はあくまでも事故の防止であり、事
故を起こした者のみ免許の取消し等を行うのでは、足りないものと考えてお
ります。
 その他、低血糖症状を感じた場合に駐停車禁止場所でも停車できるように
して欲しいとのご意見が散見されましたが、駐停車禁止場所であっても「危
険を防止するため一時停止すること」は可能です(道路交通法第44条)。
逆に、前兆を自覚し運転中に意識を失うなどのおそれがあるのに運転し続け
る行為は禁止されています(同法第66条)。

(5)そううつ病関係
 免許取得の範囲を素案の内容より広げるべきとのご意見(免許の拒否等の
対象とすべきでないとの意見を含みます。)としては、@ うつ病は誰でも
かかる病気であり免許の取消し等の対象とすることは不適当である。A 寛
解の状態にない者であっても自動車等の安全な運転に支障がない者は多数い
る。等がありました。
 そううつ病は多くの場合回復するとされており、6ヵ月以内に自動車等の
安全な運転に支障を及ぼす症状が現れるおそれがなくなると見込まれるので
あれば、免許の拒否又は取消しは行わない考えです。また、そううつ病にか
かっていても、自動車等の安全な運転に支障を及ぼす症状を呈するおそれが
ないのであれば、免許の拒否等は行わないこととする考えです。

(6)睡眠障害関係
 素案においては、睡眠時無呼吸症候群及びナルコレプシーを明記しました
が、免許取得の範囲を素案の内容より広げるべきとのご意見(免許の拒否等
の対象とすべきでないとの意見を含みます。)として、
@ 投薬治療により発作の回数は激減する(ナルコレプシー)。
A これらの病気にかかっていても安全な運転に支障をきたさない者が多数
存在する(睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシー)。
B ナルコレプシーは過眠症の一部に過ぎないので掲名すべきでない。
  等がありました。
 警察庁としては、これらの病気にかかっている方であっても自動車等の安
全な運転に支障がないのであれば免許の拒否等は行わないこととする考えで
す。また、ナルコレプシー等を掲名するのではなく「睡眠障害」としました。

(7)その他の病気関係
 免許取得の範囲を素案の内容より広げるべきとのご意見としては、
○ 持続性妄想障害、急性一過性精神病性障害を例示としてあげている理由
が不明
等の意見がありました。警察庁としては、精神分裂病やそううつ病以外にも、
精神障害に係る症状が自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがあるよ
うな病気は拒否等の対象とすることが適当であると考えており、これらの障
害は、その一例として挙げたものです。
 その他、重大な脳疾患は極めて危険であるといったご意見もありました。
警察庁としては、自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作
に支障を及ぼすおそれがある症状を呈するおそれがある病気にかかっている
場合については、試案に明示している病気以外についても、交通の安全の確
保の観点から、免許の拒否等を行うこととする考えです。

(8)痴呆関係
 痴呆の方の運転を絶対に認めるべきでないといったご意見がある一方で、
専門医であっても痴呆の程度を見極めるのは困難であるといったご意見もあ
りました。警察庁としては、痴呆にかかっている方については取消し(回復
の見込みがある場合は停止)の対象とするとともに、いまだ痴呆には至って
いないが、認知機能の低下がみられ、今後痴呆となる可能性がある方につい
ては、試案でお示ししたとおり、臨時適性検査を行うことにより、交通の安
全を確保する考えです。

(9)身体障害関係
 免許取得の範囲を更に広げるべきといったご意見がない一方で、身体障害
者を優遇しすぎているといったご意見がありました。警察庁としては、運転
免許試験に合格することがないような障害については取消し等の対象とする
ことが適当であるとともに、運転免許試験に合格するような障害であれば、
取消し等の対象とする必要はないものと考えております。

(10)アルコール等中毒関係
 免許取得の範囲を更に厳しくするべきとのご意見としては、
@ 診断では明らかに依存症であるのに自分は依存症ではないと思い込んで
診断自体を拒否する。
A 薬物中毒は10年間免許を与えるべきでない。等がありました。一方で、
免許取得の範囲を更に広げるべきとのご意見としては、
○ アルコール依存症であっても断酒を続けていれば運転はできる。
等のご意見もありました。警察庁としては、アルコール等中毒者である方に
ついては運転を認めるべきではないとの考えですが、6月以内に回復する場
合も想定されることから、そうした場合には保留又は効力を停止することに
より、交通の安全を確保したいと考えております。

(11)免許申請書等による症状等の申告の整備について
 賛成意見(より厳しくするべきとの意見を含みます。)としては、
@ 過去1年以内に意識障害が起きたかどうかについては、他国と同様に免
許申請時に本人が申告することが望ましい。
A 自分の症状を明示することは、自分のことを分かってもらえるという面
もあり、患者本人にとって安心できるところもある。
等がありました。
 また、反対意見としては、
@ プライバシーに関連することであり申請書等の管理を適正にできるか疑
問。
A 交通の安全よりも患者の差別につながる。
等がありました。
  警察庁としては、諸外国のような病名そのものを申告して頂くような形
式は採らず、試案にてお示ししたような形式としたいと考えております。ま
た、申請書等の個人情報を適正に管理するべきことはもちろんです。


別添3各病気等ごとの具体的な運用基準(案)

1 精神分裂病関係(1)精神分裂病にかかっている方が精神分裂病の症状
により交通事故を起こしたときは、取消しとします。

(2)(1)以外の場合については、以下のとおりとします。

(ア)医師(※)が「寛解の状態にあって残遺症状も軽微であり、免許証の
有効期間中に症状が再発するおそれは認められない。」旨の診断を行った場
合には、拒否等を行わないこととします。
※ 臨時適性検査の場合は専門医に限りますが、診断書の提出の場合は、専
門医に加えて、本人を継続して診察している主治医でもよいこととしま
す。以下各病気について同じです。

(イ)医師が「寛解の状態にあって残遺症状も軽微であり、免許証の有効期
間中に症状が再発するおそれがないとまでは言い切れないが、今後少なくと
も1年(又は2、3、4年)で症状が再発するおそれは認められない。」旨
の診断を行った場合には、拒否等を行わずに、1年後(又は2、3、4年
後)に臨時適性検査を行うこととします。

(ウ)医師が「6月以内に(ア)又は(イ)に該当すると見込まれる」旨の
診断を行った場合については、6月の保留又は停止とします(医師の診断を
踏まえて6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、
当該期間を保留・停止期間として設定します)。

 保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出命令を発出し、
@適性検査結果又は診断結果が上記(ア)又は(イ)の内容である場合には
それぞれに従って対応します。
A「結果的にいまだ(ア)又は(イ)の診断はできないが、それは期間中に
○○といった特殊な事情があったためで、さらに6月以内に(ア)又は
(イ)に該当すると見込まれる」旨の内容である場合にはさらに6月以内の
保留又は停止とします。
Bその他の場合には拒否又は取消しとします。
(エ)その他の場合は拒否又は取消しとします。

2 てんかん関係
(1)以下のいずれかの場合については拒否等を行わないこととします。
(ア)発作が過去2年以内に起こったことがなく、医師が「今後発作が起こ
るおそれがない」旨の診断を行った場合
(イ)医師が、1年間の経過観察の後「発作が意識障害及び運動障害を伴わ
ない単純部分発作に限られ、症状の悪化のおそれがない」旨の診断を行った
場合
(ウ)医師が、2年間の経過観察の後「発作が睡眠中に限って起こり、症状
の悪化のおそれがない」旨の診断を行った場合

(2)医師が、「6月以内に上記(1)に該当すると見込まれる」旨の診断
を行った場合には、6月の保留又は停止とします(医師の診断を踏まえて6
月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を
保留・停止期間として設定します)。
 保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出命令を発出し、
@適性検査結果又は診断結果が上記(1)の内容である場合には処分を行わ
ないこととします。
A「結果的にいまだ(1)の診断はできないが、それは期間中に○○といっ
た特殊な事情があったためで、さらに6月以内に(1)に該当すると見込ま
れる」旨の内容である場合にはさらに6月以内の保留又は停止とします。
Bその他の場合には拒否又は取消しとします。

(3)その他の場合については、拒否又は取消しとします。

(4)上記(1)に該当する場合については、一定期間が経過するごとに臨
時適性検査を行うこととします。

(5)なお、日本てんかん学会は、現時点では、てんかんに係る発作が過去
に2回以上あった場合には、投薬なしに5年間発作がない場合を除き、通常
は、大型免許及び第二種免許の適性はないとの見解を有しているので、これ
に該当する者がこれら免許の申請又は更新申請を行った場合には、上記
(2)(3)の処分の対象とならない場合であっても、当該見解を説明の上、
当面(※)、免許申請・更新申請に係る再考を勧めるとともに、(これら免
許取得者に対しては)申請取消の制度の活用を慫慂することとします。

※ 現在の規定では、免許の拒否や取消し等を免許ごとに行うことは想定さ
れていないため、大型免許及び第二種免許を含めすべての免許について
上記(1)のように観察期間を2年等としたところですが、今後、大型
免許及び第二種免許についてより長期間とすることを検討する方針です。

3 失神
(1)神経起因性(調節性)失神

 過去に、神経起因性失神で、意識を失い交通事故を起こしたことがある方
及び2回以上意識を失ったことがある方については、以下のとおりとします。
(ア)医師が「運転を控えるべきであり、その状態が6月以内に解消される
見込みがない」旨の診断を行った場合については、拒否又は取消しとします。
 なお、神経起因性失神は、適切な治療を受ければ多くの場合は短期間に回
復するものとされており、このような診断がなされるケースは、体質的に治
療抵抗性である場合や、体質上投薬できない場合、医師の指導に基づいた服
薬等を行わない場合等に限られます。
(イ)医師が「坐位で意識を失うおそれはない」旨の診断を行った場合、及
び、直近の意識消失を踏まえた治療の開始後6月を経過し医師が「自動車等
の運転中において意識を失うおそれがあるとはいえない」旨の診断を行った
場合には、免許の拒否等を行いません。
(ウ)その他の場合については、6月の保留又は停止とします(医師の診断
を踏まえて6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、
当該期間を保留・停止期間として設定します)。この中には、経過観察中の
者だけでなく、治療を受けていない者も含まれます。なお、神経起因性失神
の場合、回復までに要する期間がごく短期間で足りるケースが多いとされて
います。
 保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出命令を発出し、
@適性検査結果又は診断結果が上記(イ)の内容である場合には拒否等を行
わないこととします。
A「結果的にいまだ(イ)の診断はできないが、それは期間中に○○といっ
た特殊な事情があったためで、さらに6月以内に(イ)に該当すると見込ま
れる」旨の内容である場合にはさらに6月以内の保留又は停止とします。
Bその他の場合には拒否又は取消しとします。

(2)不整脈を原因とする失神

(ア)植込み型除細動器を使用している方については、拒否又は取消しとし
ます。
(イ)ペースメーカーを使用している方については、以下のとおりとします。
なお、(b)に該当する方はほとんどいないとされています。
(a)使用開始後6月を経過し、医師が「運転を控えるべきとはいえない」
旨の診断を行った場合には、拒否等を行わないこととします。
(b)使用開始後に不整脈により意識を失ったことがある場合及び医師が
「運転を控えるべきであり、その状態が6月以内に解消される見込みがな
い」旨の診断を行った場合については、拒否又は取消しとします。

(c)その他の場合については、6月の保留又は停止とします(医師の診断
を踏まえて6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、
当該期間を保留・停止期間として設定します)。
 保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出命令を発出し、
@適性検査結果又は診断結果が上記(a)の内容である場合には拒否等を行
わないこととします。
A「結果的にいまだ(a)の診断はできないが、それは期間中に○○といっ
た特殊な事情があったためで、さらに6月以内に(a)に該当すると見込ま
れる」旨の内容である場合にはさらに6月以内の保留又は停止とします。
Bその他の場合には拒否又は取消しとします。

(ウ)その他の方で、過去に不整脈で意識を失い交通事故を起こしたことが
ある者及び2回以上意識を失ったことがある方については、以下のとおりと
します。
(a)医師が「運転を控えるべきであり、その状態が6月以内に解消される
見込みがない」旨の診断を行った者については、拒否又は取消しとします。
 具体的には、植込み型除細動器が必要と診断されたケースや又はペースメ
ーカーを使用するべき状態にあるが健康上の理由等により手術できないよう
なケースや、医師の指導にしたがった服薬をしないようなケースが想定され
ます。
(b)直近の意識消失を踏まえた治療の開始後6月を経過し医師が「運転を
控えるべきとはいえない」旨の診断を行った場合には、拒否等を行わないこ
ととします。
(c)その他の者については、6月の保留又は停止とします(医師の診断を
踏まえて6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、
当該期間を保留・停止期間として設定します)。この中には、経過観察中の
者だけでなく、治療を受けていない者も含まれます。
 保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出命令を発出し、
@適性検査結果又は診断結果が上記(b)の内容である場合には拒否等を行
わないこととします。
A「結果的にいまだ(b)の診断はできないが、それは期間中に○○といっ
た特殊な事情があったためで、さらに6月以内に(b)に該当すると見込ま
れる」旨の内容である場合にはさらに6月以内の保留又は停止とします。
Bその他の場合には拒否又は取消しとします。

(3)その他の失神
(ア)過去に、意識を失い交通事故を起こしたことがある方及び2回以上意
識を失ったことがある方で、原因が特定されている場合は、(1)に準じる
こととします。
 なお、起立性低血圧の診断を受けている場合は、「運転を控えるべきであ
り、その状態が6月以内に解消される見込みがない」旨の診断がなされるケ
ースが十分に予想されます。
(イ)過去に、意識を失い交通事故を起こしたことがある方及び2回以上意
識を失ったことがある方で、原因が特定できていない場合には、6月の保留
又は停止とします(医師の診断を踏まえて6月より短期間の保留・停止期間
で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定しま
す)。
 保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出命令を発出し、適性
検査結果又は診断結果として原因(上記したもの以外にてんかん、低血糖発
作による意識消失もあり得る)が特定された場合にはその原因に応じた対応
とします。また、「さらに6月以内の経過観察により原因の特定を行う」旨
の内容である場合にはさらに6月以内の保留又は停止とします。その他の場
合には拒否又は取消しとします。

4 低血糖症
(1)薬剤性低血糖症
(ア)過去1年以内に、起きている間で、インスリン等の薬の作用により、
前兆を自覚することなく意識の消失その他の自動車等の安全な運転に支障を
及ぼす症状(以下「意識消失等」といいます。)が現れたことがない場合
(無自覚性の低血糖症にかかっているとして免許を取り消された方が再取得
しようとする場合を除きます。)については、以下の場合を除き拒否等を行
わないこととします。
(a)医師が、「運転を控えるべきであり、6月以内に当該運転を控えるべ
き状態が解消されると見込まれない」(※)旨の判断を行った場合について
は、拒否又は取消しとします。
※ このような判断がなされるのは、自動車等の運転中において前兆として
の低血糖症状を自覚することなく意識の消失等が現れるおそれがある場
合に限られるとのことです。以下同じ。
(b)医師が、「運転を控えるべきである」旨の判断を行った場合であって、
(a)以外の場合については、6月の保留又は停止とします(ただし、医師
の判断を踏まえて6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場
合には、当該期間を保留・停止期間として設定します)。
 保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出命令を発出し、
@適性検査結果又は診断結果が「運転を控えるべきとはいえない」旨の内容
である場合には拒否等を行わないこととします。
A結果的にいまだ運転を控えるべき旨の診断はできないが、それは期間中に
○○といった特殊な事情があったためで、さらに6月以内に運転を控えるべ
きとはいえない旨の診断を行う見込みがある」旨の内容である場合にはさら
に6月以内の保留又は停止とすることとします。
Bその他の場合には拒否又は取消しとすることとします。

(イ)過去1年以内に、起きている間で、インスリン等の薬の作用により、
前兆を自覚することなく意識消失等が現れたことがある場合及び無自覚性の
低血糖症にかかっているとして免許を取り消された方が再取得しようとする
場合については、以下のとおりとします。
(a)過去1年以内に、自動車等の運転中において前兆を自覚することなく
意識消失等により交通事故を起こした場合については、取消しとします。
(b)(a)以外の場合については、以下のとおりとします。(i) 医師が、
「意識消失等の前兆を自覚できており運転を控えるべきとはいえない」又は
「意識消失等の前兆を自覚できないことがあるが、運転中における意識消失
等を防止するために必要な知識を有しており、医師の指導に従い意識消失等
を防止するための措置を忠実に実行していると認められることから、運転を
控えるべきとはいえない」旨の判断を行った場合には、拒否等を行わないこ
ととします。
(ii) 6月以内の経過観察の結果次第ではアの判断が行われる可能性がある
と認められる場合には、保留・停止とします(具体的措置は上記ア(b)に
準じます)。
(iii) その他の場合には拒否又は取消しとします。

(2)その他の低血糖症
 上記(1)に準じます。

5 そううつ病
(1)そううつ病の症状により交通事故を起こしたときは、取消しとします。
(2)(1)以外の場合については、以下のとおりとします。
(a)医師が「残遺症状が軽微であり、交付する免許証の有効期間中に症状
が再発するおそれは認められない。」又は「軽症のうつ病であり運転を控え
るべきとはいえない。」旨の診断を行った場合には、拒否等を行わないこと
とします。
(b)医師が「残遺症状が軽微であり、現時点において交付する免許証の有
効期間中に症状が再発するおそれがないとまでは言い切れないが、今後少な
くとも1年(又は2、3、4年)で症状が再発するおそれは認められな
い。」旨の診断を行った場合には、拒否等の処分を行わずに、1年後(又は
2、3、4年後)に臨時適性検査を行うこととします。
(c)医師が「6月以内に(a)又は(b)に該当すると見込まれる」旨の
診断を行った場合については、6月の保留又は停止とします(医師の診断を
踏まえて6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、
当該期間を保留・停止期間として設定します)。

 保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出命令を発出し、
@適性検査結果又は診断結果が上記(a)又は(b)の内容である場合には
それぞれに従って対応します。
A「結果的にいまだ(a)又は(b)の診断はできないが、それは期間中に
○○といった特殊な事情があったためで、さらに6月以内に(a)又は
(b)に該当すると見込まれる」旨の内容である場合にはさらに6月以内の
保留又は停止とします。
Bその他の場合には拒否又は取消しとします。(d)その他の場合は拒否又
は取消しとします。

6 睡眠障害
(1)睡眠障害にかかっている場合で、日中における過度の眠気の症状(以
下「過眠症状」という。)がない場合については拒否等の対象としません。
また、過眠症状がある場合であっても睡眠障害国際分類に基づき「軽度の眠
気」「中等度の眠気」と診断された場合については、拒否等の対象としませ
ん。

(2)過眠症状を呈する睡眠障害にかかっている場合で、睡眠障害国際分類
に基づき「重度の眠気」と診断された場合については、以下のとおりとしま
す(このような診断がなされる可能性のある睡眠障害としては、例えば、睡
眠時無呼吸症候群、ナルコレプシー、特発性過眠症などがあります)。
(ア)医師が、「6月以内に重度の眠気が生じるおそれがなくなる見込みが
ないとはいえない」旨の診断を行った場合については、6月の保留又は停止
とします(ただし、医師の診断を踏まえて6月より短期間の保留・停止期間
で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定しま
す)。
 保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出命令を発出し、@適
性検査結果又は診断結果が「重度の眠気が生じるおそれはない」旨の内容で
ある場合には拒否等を行わないこととします。
A「結果的にいまだ重度の眠気が生じるおそれがない旨の診断はできないが、
それは期間中に○○といった特殊な事情があったためで、さらに6月以内に
重度の眠気が生じるおそれがない旨の診断を行う見込みがある」旨の内容で
ある場合にはさらに6月以内の保留又は停止とします。
Bその他の場合には拒否又は取消しとします。

(イ)医師が、「6月以内に重度の眠気が生じるおそれがなくなる見込みが
ない」旨の診断を行った場合については、拒否又は取消しとします。


7 脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作他(脳卒中関係)
(1)慢性化した症状
 見当識障害は「痴呆」、運動障害(麻痺)、視覚障害(視力障害、視野障
害等)及び聴覚障害については「身体の障害」に係る規定等(※1又は※2)
に従うこととします。
※1 運動能力に係る適性試験の合格基準に達しないような障害で、例えば、
体幹の障害があって腰をかけていることができないもの、ハンドルその他
の装置を随意に操作することができないもの等がこれに当たります。
※2 適性試験の合格基準に達しないような障害及び技能試験に合格しない
ような障害(例;半盲症、重度な視野狭窄)をいいます。

(2)発作の再発
(ア)脳梗塞等の発作により次の障害のいずれかが繰り返し生じている場合
については、拒否又は取消しとします。
○ 意識障害又は見当識障害(痴呆に相当する程度の障害に限ります。)
○ 運動障害(免許の取消し事由に相当する程度の障害(上記※1)に限り
ます。)
○ 視覚障害等(免許の取消し事由に相当する程度の障害(上記※2)に限
ります。)
(イ)(ア)を除き、過去に脳梗塞等の発作で(ア)に掲げる障害のいずれ
かが生じたことがある場合については、以下のとおりとします(完全に回復
して「脳梗塞等にかかっている」とはいえない場合は対象外です)。
(a)医師が「発作の再発のおそれがあるとの観点から運転を控えるべきで
あり、その状態が6月以内に解消される見込みがない」旨の診断を行った場
合については、拒否又は取消しとします。
(b)「運転を控えるべきであるが、6月以内に当該運転を控えるべき状態
が解消されると見込まれる」との診断を行った場合については、6月の保留
又は停止とします(ただし、医師の診断を踏まえて6月より短期間の保留・
停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として
設定します)。この中には、経過観察中の場合だけでなく、治療を受けてい
ない方に対して初回の臨時適性検査を行うような場合も含まれ得ます。また、
初めての発作により交通事故を起こした場合の医師の診断は、慢性化した症
状が取消・停止事由に該当する場合を除いては、これに該当する場合が多い
と想定されます。
 保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出命令を発出し、
@ 適性検査結果又は診断結果が「運転を控えるべきとはいえない」旨の内
容である場合には拒否等を行わないこととします。
A 「結果的にいまだ運転を控えるべきとはいえない旨の診断はできないが、
それは期間中に○○といった特殊な事情があったためで、さらに6月以内に
その診断を行う見込みがある」旨の内容である場合にはさらに6月以内の保
留又は停止とします。
B その他の場合には拒否又は取消しとします。
(c)その他の者については、拒否等を行わないこととします。

8 痴呆

(1)アルツハイマー病の痴呆及び血管性痴呆
取消しとします。

(2)その他の痴呆
 痴呆となった原因を踏まえ、診断内容に応じて以下のとおりとします。
(ア)医師が、「痴呆について回復の見込みがない」又は「痴呆について6
月以内に回復する見込みはない」旨の診断を行った場合には、取消しとしま
す。
(イ)医師が、「痴呆について6月以内で回復する見込みがある」旨の診断
を行った場合には、6月の停止とします(医師の診断を踏まえて6月より短
期間の停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を停止期間として
設定します)。
 保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出命令を発出し、

@ 適性検査結果又は診断結果が「痴呆について回復した」旨の内容である
場合には拒否等を行わないこととします。
A 「結果的にいまだ回復した旨の診断はできないが、それは期間中に○○
といった特殊な事情があったためで、さらに6月以内にその診断を行う見込
みがある」旨の内容である場合にはさらに6月以内の停止とします。
B その他の場合には取消しとします。

(参考)
 回復の見込みがあると診断される可能性がある痴呆の原因としては、甲状
腺機能低下症、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症等があります(ただ
し、いずれも比較的稀であるとされています)。

(3)痴呆ではないが知能の低下がみられ今後痴呆となるおそれがある場合
 医師が「軽度の認知機能の低下が認められる」「境界状態にある」「痴呆
の疑いがある」等の診断を行った場合には、その後痴呆となる可能性がある
ことから、1年ごとに臨時適性検査を行います。なお、医師の診断結果を踏
まえてより短い期間ごと(例:6月)に適性検査を行うことが適当と認めら
れる場合には、当該期間ごとに臨時適性検査を行います。

別添4
諸外国における運転免許申請時等の運転適性に係る申請書記載事項

【イギリス】
 免許申請書及び更新申請書には、「てんかん発作、めまい、失神、意識喪
失等の発作、インシュリン等の投与をしている糖尿病、深刻な物忘れ、重大
な精神障害等の疾患に罹患し、又は罹患したことがありますか。」といった
健康状態に関する質問が記載されており、申請者は質問に答えなければなら
ないこととされている(虚偽記載は罰せられることとされている。)。

【フランス】
  免許申請書には、「自分の知る範囲において、運転免許の取得又は保持
に不適格であり得ますか。あるいは有効期間の限定された免許の付与につな
がるような疾患(心臓、視覚、耳鼻咽喉、神経、てんかん、じん臓、糖尿
病)にかかっていますか。」といった健康状態に関する質問が記載されてお
り、申請者は質問に答えなければならないこととされている。

【アメリカ】
 (ニューヨーク州)
  免許申請書及び更新申請書には、「痙攣、てんかん、気絶若しくは目眩
又は意識喪失を引き起こす症状、心臓病、聴覚障害等の疾患のために、治療
を受けたことがあり、又は現在治療を受けていますか。あるいは、これまで
にその疾患が悪化しましたか。」といった健康状態に関する質問が記載され
ており、申請者は質問に答えなければならないこととされている(虚偽記載
は罰せられることとされている。)。
 (フロリダ州)
  免許申請書及び更新申請書には、「てんかんや目眩の症状があるかどう
か、薬物やアルコール中毒であるかどうか、他の精神的または身体的な障害
があるかどうか」といった健康状態に関する質問が記載されており、申請者
は質問に答えなければならないこととされている(虚偽記載は罰せられるこ
ととされている。)。

【カナダ】
 (オンタリオ州)
  免許申請書及び更新申請書には、「自動車の安全な運転に影響を及ぼす
心臓病、発作、糖尿病、てんかん、意識喪失、認識障害その他の疾患又は身
体障害が罹患していますか、又は罹患したことがありますか。「はい」の場
合には症状を記載して下さい。」といった健康状態に関する質問が記載され
ており、申請者は質問に答えなければならないこととされている(虚偽記載
は罰せられることとされている。)。


報告連載 その2
「あきらめから挑戦へ、開かずの門をこじ開けよう!」シンポジウムから
2001年9月8日 文京シビックセンターにて
編集・文責 障害者欠格条項をなくす会

司会・金/ 7月の法改正により、薬剤師免許を取得した早瀬さんに発言していただきたいと思います。

早瀬/先だって、7月に法改正があり、薬剤師免許を取得することができま
した。今までの欠格条項をなくすために、全日本ろうあ連盟の方をはじめ多
くの団体から協力をいただきました。本当に感謝いたします。ありがとうご
ざいます。実際に免許をいただいた時に、ものすごく感動いたしました。
 これで本当にやっと、今までの3年間の思いや結果が現れました。薬剤師
として歩んでいくときに、大きな財産になると思います。また3年間の間に
いろいろな方とお会いすることができました。そして、その方々からのご協
力をいただいたので、みなさんにとっても、大きな財産になっていくと思い
ます。やっと免許をもらえたのは、みなさまのご協力があったからこそのこ
とです。本当に感動いたしました。今後、障害を持っている子供たちにも自
分達の夢のために、何か資格をとっていこうという夢に対しても、その道が
出来たと信じています。
 今の仕事ですが、薬剤師に近い仕事をしています。製薬会社ですが、一年
間出向で、日本薬剤師会で働いています。そこは、薬局、または一般の病院
などから相談を受けています。もちろん電話もありますが、今後はインター
ネットやEメールを使って相談を受け付けていこうということで、私は、現
在、その仕事をしています。今までのように電話だけでは、ろう者としては
不便でした。町の薬局などの場合も、なかなかコミュニケーションができず、
恥ずかしい、というとき、面と向かってはお話できませんが、でも、相談が
できる、という方法として、メールでの相談が必要になってくると思います。
 これからも、ろう者だけではないですが、聞こえる方、聞こえない方とも、
夜時間のあるときなどにEメールをやりたいなと思います。北海道、沖縄と
遠くはなれた地方の方とも、電話ではなく、パソコンメールで連絡を取るこ
とができます。聴者にも多く利用していただきたいと思います。ろう者だけ
でなく、聴者と一緒にできる仕事をして、とてもうれしく思っています。
 これからですが、例えば今まで、学生で講義を受けている時に、手話通訳
とか、ノートテイクをお願いしたい、でも、数が少なく、専門用語が多いの
で技術が伴わない、だから、依頼もできず、その結果、ろうの学生が個人で
勉強することが多かったわけです。それを変えていくためにも、今後、通訳
士も専門性を持つ人を教育していく必要があると思います。実際、今、専門
用語、病気、薬の名前、いろいろあるんです。ほとんど指文字です。手話表
現ではありません。手話表現を作っていく必要もあるのではないかと思いま
す。もう一つ、例えば、車椅子の方の場合、スロープなどの設備、お手洗い
の引き戸がありますよね。施設のバリアフリーが広がっていると思います。
しかし、一般の聞こえる方の心のバリアフリーがまだですよね。例えば、同
じ職場でなかなか理解が得られないとか、先ほどの「通訳を依頼したいのだ
が、守秘義務があるために通訳の派遣を求めることができない」という質問
にもありましたが、そのあたりも、目に見えないところのバリアフリーがま
だまだだと思うわけです。解決のためにも、実際のろう者、職場の状況をみ
なさんに見ていただきたいし、ろう者としてもアピールしていくべきだと思
います。
 私の場合、病院、薬局などの中で、出来るだけお医者様、薬剤師の方々に、
ろうとは何であるか、とか簡単な手話を教えたりしたいし、そのような活動
も考えています。実際、私一人だけでやるのは無理ですが、パソコン、また
はビデオなどを使って、実際に医者や薬剤師に配るという方法も考え中です。
私個人では無理ですので、皆様方のご協力をいただきたいと思っています。
薬剤師免許が取得できましたので、今後いろいろな場所で働いて、もっと自
分自身の経験を積み重ねていき、先ほど話した夢をまた伝えることができた
らいいなと思っています。

金/続いて会場から、国会の参考人として発言もされた熊谷さんです。医師
法では、法律上は、身体障害に関する欠格条項は特に定められていませんが、
これから医師として現場で働くとき、様々な試行錯誤があると思います。ご
自身の経験についてお話しいただければと思います。

熊谷/現在、東京大学の小児科で研修医をしている熊谷です。今年の5月に
医師国家試験に合格し、6月に医師免許を取得しました。働き初めて2ヶ月、
その間、いろいろと困難もありました。今日は、現時点で、障害をもちなが
ら医師として働くことの難しさ、自分なりの克服の仕方などについて、少し
話させていただければと思います。
 自分のスタンスは、いつも、困難にぶちあたると具体的に問題を列挙する
というスタンスです。医者として働く時に、まず、医者の仕事はなんだろう
と考えました。自分なりの解釈では、医者の仕事は大きくいって五つありま
す。一番目は問診です。二つ目は診察です。三つ目は検査です。四つ目は、
文献検索です。それまでの三つで得られた情報を教科書や論文と比較対照し
て、治療方針をたてるという作業です。そして、5つ目が治療です。この五
つのなかで自分が困難を感じるのは、診察と治療です。それ以外のことに関
しては、全く障害は関係ありません。だから、この二つに自分の目標を絞り
込みます。
 診察というのは、聴診器を持って胸の音を聴いたりするわけです。自分の
場合は車いすなので、患者さんへのリーチは非常に難しい。ベッドに寝てい
る患者さんなど、自分が乗り出してベッドに近づかないと患者さんの体のい
ろいろな場所にふれられないといった困難があります。今、車椅子を改造し
て、直立するようなものを作っている段階です。聴診器も、テニスラケット
のような柄をつけて、遠くに寝ている患者さんでも届くように改良していま
す。そういったことで、診察は問題なくできる見通しはたっています。ただ
し、治療には限界があります。外科的な治療や手術に近い治療は、自分はで
きないと感じています。ただし、簡単な処置、例えば、消毒、ガーゼ交換と
いったことに関してはなんなく出来ます。
 自分のスタンスは、これまでの法制度のように人間を分類して制限を加え
るのではなく、仕事内容、業務内容を分解していくというものです。これは
できる、これはできない、こうすれば出来るということを、オーダーメイド
で、個々人の体や心の状態、あるいは、生活のリズムにあわせて工夫をする
必要がある。そういった作業に、協力の手を差し伸べなければいけないと思
います。
 幸い、自分は周囲の人の理解に恵まれましたが、具体的に目標を設定して
はじめて周りもスムーズになりました。具体的に一つずつ取り組むスタイル
をとれば、決して、できないことはないというか、大きな夢を譲ることはな
いと考えています。国会のほうでもそういう発言をしました。今後も、職場
で介助者を是非つけていただき、介護者の給与も保証していただくという方
向になるよう、国に対して働きかけたいと考えています。

金/介助者の人件費を公的に保障してほしいというのは、欠格条項の撤廃に
向けた課題の一つです。そういうことを私たちも一緒に取り組みたいと思い
ます。次に、日本弁護士連合会(日弁連)の市川さんです。日弁連では、1
1月に「障害者差別禁止法の制定」をテーマとした人権大会を催すことにな
っています。その辺りのことを含めてお話下さい。

市川/弁護士の市川です。11月の人権大会シンポジウムの事務局長をしてい
ます。日弁連は、当初は、公正証書遺言の問題から、障害のある人に対する
差別の問題について過去三年間にわたって提言を続けてきました。その中心
になっていた村越弁護士が、今年、日弁連の人権擁護委員長になったため、
今年の大会で障害者差別法の制定を提言しようということになりました。
 ちょうど、8月末、国連の社会権規約委員会で「障害者差別禁止法」を日
本で作っていないのは問題である、早期に制定すべきだという勧告がでまし
た。社会権規約は、いわゆる条約と同じで、各国に対して強制力を持ってい
ます。勧告は、その委員会が述べたもので、大変重みがあり、タイミングと
しても、日本での差別禁止法が現実に課題になってきている時期にだされた
重要なものだと考えています。
 今までの、障害者観というのは、障害のある人とない人を二つに分けて、
国がなにかしらの施しを与えて障害のある人はそれを待つだけという考え方
でした。これからは、障害のある人もない人も、一つの社会の中で、当然一
緒に働き、生活をすることが前提だと思うわけです。そこで出てくる問題に、
社会がどこまで歩み寄れるかを考えるという発想が必要です。
 障害者差別禁止法は、そういう発想のもとに出来ています。そのための障
害を持つ人の働く権利や移動する権利を明確に規定することが課題になりま
す。差別禁止法は、働くことや移動することについて制限を科してはいけな
いということを明らかにする法律であるという点で、欠格条項の撤廃に貢献
すると思います。ただ、欠格条項を包括的に禁止する規定をつくるというの
は、法律的に難しいとは思います。また、障害者の具体的な欠格条項の施行、
実施の問題ですが、差別禁止法が出来た後、どう運用するかは大きな問題で
す。社会がどのように歩み寄っていくのか、手話通訳の問題もそうですが、
就業する職場での手話通訳を、どのように求めていくか、今後、外国での調
査なども参考にしながら、まとめていこうと思っています。

金/社会的に大きな影響をもつ日弁連が、差別禁止法の制定を人権大会で取
り上げるのは、わたしたちにとっても勇気づけられる話しです。欠格条項の
問題も含め、包括的な取り上げ方がされるよう、連携して積極的に進めてい
けたらと思います。続いて会場からご発言を。

田中/田中邦夫です。今までのお話から、私の考えをまとめると、第一に、
省令がどうなるかの監視が必要。第二に、より低いレベルの内部規則の様な
ものに欠格条項が生き残らないかの監視が必要だと思っています。民営化路
線などで、資格認定業務が民間に委ねられ、その結果なくなったはずの欠格
条項が蒸し返されるといったことの監視も含みます。さらに障害者の権利擁
護という意味では、選挙制度のバリアフリー化という問題があります。障害
者も健常者と同等の情報を得て、物理的にも同等に選挙に参加できるべきで
す。最近主張していることですが、選挙の実態における 障害者の権利の制
限は、公職選挙法に規定されているものではなく、多くは政令・省令ですら
なく、告示か、それ以下の規程、さらにはその都度の当局の解釈によってい
ます。差別が法律の表面には出ていないという点で、改正前の著作権法も似
たような状況でしたが、これほどではなかったと思います。著作権法改正に
ついては、欠格条項改正運動と平行して行われ、一応の成果を見たのですか
ら、今後は選挙制度のバリアフリー化も、欠格条項の今後の監視と併せて、
運動の目標としていくことが望ましいと思います。
殿岡/全国障害学生支援センターの代表をしています。全国障害学生支援セ
ンターは、日本のいろんな大学に通う障害を持っている学生さん、それから、
これから大学を目指そうとしている学生さんをサポートする団体です。年に
1度、『大学案内障害者版』というのを発行しています。
 障害を持っている学生さんを受け入れるというのが、受験可という状態で
す。受験不可というのは、受験を申し込んでも受け入れられない状態です。
また、可否未定というのは、障害学生からの申し出があった段階で、今後の
状況を判断して決めるという状態です。欠格条項の相対欠格と似ているとこ
ろがあります。不可、あるいは可否未定と答える大学にその理由を聞いたと
ころ、本学の卒業資格を得ても、障害学生の希望する資格に法令に制限、つ
まり欠格条項があり、資格の取得が出来ないからとの答えです。
 今年の回答については、当面11月末をめどに実施、公表します。これが
どのように変化するか、あるいは、本来法律上の制約がない大学教育の分野
が今後どのように変化していくのか、私たちとしても注意深く見ていこうと
思っています。
   (次号につづく)<前号シンポジウム報告記事の誤字訂正>
 前号16号、16ページの左列 下から7行目に「残因症状」とありますが、正
しくは「残遺症状」です。おわびして訂正いたします。


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