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■大阪市全身性障害者介護人派遣事業発足の経過

 この記事は「中部障害者解放センター通信」より転載させていただきました。

 大阪市全身性障害者介護人派遣事業は,1986年に発足した。(大阪市単費の
制度)
 大阪市が,この制度の検討を行うに当たって,大阪青い芝の会との交渉によると
ころが大きかった。
 大阪青い芝の会は,80年より「生活一斉要求調査活動」(生調)を展開してい
った。この生調活動は100項目に及ぶアンケート調査で,生活や労働,教育,医
療など各分野に沿って,在宅障害者・施設障害者の実体を把握しようとするものだ
った。
 大阪府下で200件近くの調査を行ったが,その調査を通じて深刻な実体があら
ためて明らかになった。特に,生活−介護に関する部分は,予想以上の状況だった。
月1回程度のボランティアによる外出以外はテレビの前で過ごす毎日,親の高齢化
により月1回程度しか入浴できない状況……。
 調査結果の集約と平行して,「入浴問題を考える学習・検討会」等も何度か行う
中で,あらためてホームヘルパーの問題も浮き彫りになってきた。ホームヘルパー
は,当時,家事援助だけで入浴やトイレ介護などに対応できない,あるいは女性ヘ
ルパーしかいないので同性介助を得られない。さらには,入浴やトイレ等は信頼で
きる介護者に頼みたい等々。
 もちろん,こういった議論がスムーズにまとまった訳ではない。障害者と介護者
の「緊張関係」を作ることと,行政による介護保障との関係等も含めて様々な意見
が出された。しかし,先述の調査活動と在宅障害者も交えた学習・討論会によって
介護保障制度の意義,必要性が整理できたといえよう。また,さらに,その頃神奈
川で進められていたケア付き住宅建設運動や東京の脳性マヒ者介護派遣事業など自
治体の運動や制度を知ることも役に立った。
 ともあれ,そうした経過を経て,84年度から障害者の地域自立を考える介護制
度を求めていくことになる。その際,制度の在り方として,ホームヘルパーの問題
点を解決することが出発点だった。その当時議論となったのは以下のような点であ
る。
 1ホームヘルパーは家事援助しかできない。トイレや入浴等の身辺介護ができる
  制度を(身辺介護保障)
 2もし,身辺介護が出来るとしても,今のホームヘルパーは女性だけで同性介助
  が保障されない。
 3ホームヘルパー制度はどのような介護者が来るかわからないし,時には「生活
  指導」的なことまで言われたりする。自分で介護者を選ぶことができるような
  制度を(介護者を選ぶ権利保障)
といった点である。
 85年の2月には,長時間に及ぶ交渉の末,85年度中に新たに介護保障制度を
発足させることを確約させた。以降,東京の脳性マヒ者介護人派遣事業等の要綱を
取り寄せ具体的な検討を行い,86年の2月に大阪市全身性障害者介護人派遣事業
の発足を見たわけである。
 初年度は,時給650円×12時間と月に7800円で,「交通費にもならない」
と笑い話に言っていた。それから,6年,現在は時給1290円×126時間と月
16万円余りにまで延びてきた。90年度からは制度発足以来の問題であった所得
制限が世帯非課税から本人非課税に,さらに91年度よりは時間制限はありながら
も施設障害者にも適用されるようになった。
 これらの改善は,一重に地域で自立している障害者が自らの生活をかけて介護保
障の重要性を訴え続け,かつ,具体的なデータを提示した説得力ある交渉を行って
きたからに他ならない。

 以上が,大阪市全身性障害者介護人派遣事業発足にいたる経過である。発足当時
は,大阪市のホームヘルパー制度は家事援助しかなかったこと,さらに身障者向け
ホームヘルパーが市全体でわずか42人と極端に少なかったこと等が幸い(?)し
て,全身性障害者介護人派遣事業発足とそれ囲碁の制度改善の有効な根拠となった。
 当時と比べると,この6年の間にもホームヘルパー制度にも変化の兆しが見られ
る。今年度から大阪市のホームヘルパーは社協痛くされるとともに,10年後には
2600人まで増やすという。さらに,身辺介護や朝夕派遣,男性ヘルパー等も検
討していくとの確約を得ている。
 だが,たとえホームヘルパーが多少改善されようとも,やはり障害者が自分で選
んだ介護者を雇うことの重要性には変わらない。「高齢者福祉のおこぼれを障害者
に」といった状況がかいま見える中,障害者側からの介護保障を求める声の高まり
が求められよう。ホームヘルパーか介護手当かといった二者択一の議論を越えて,
障害者の地域での自立生活といった点から,それぞれに対する問題提起こそが重要
になっていると言えるだろう。
1992年(中部障害者解放センター・尾上浩二)

*注:95年現在は,153時間×1380円。
◎当組合発行『生活保護他人介護料特別基準受給の手引き+全国各地の介護人派遣
事業実施状況』より転載。


……以上……

  *全国介護保障要求者組合の機関誌より

  ◆障害者の介助(介護)に関わる地方自治体の制度
  ◆介助(介護)
  ◆大阪中部障害者解放センター(大阪市)
   http://www.osaka.xaxon-net.or.jp/~chubu/

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  *http://ehrlich.shinshu-u.ac.jp/tateiwa/1.htm