HOME > BOOK >

TOXIC PARENTS

スーザン・フォワード,玉置悟 訳 19990325 毎日新聞社,318p.,1600円

last update: 20170426


子供は一生苦しむ。
「毒になる親」に傷つけられた子供の心は、歳を重ねても癒されることはない。
不安、怒り、過剰な義務感、つきまとう罪悪感・・・・・。
子供時代に植え付けられた「感情の種」が、大人になったあなたに害を与え続ける。
〔TOXIC PARENTS/スーザン・フォワード著 1999年毎日新聞社〕


*この文章は、本来、本の紹介でなく以下の標題のレポートです。
 「青少年の問題と家族の問題について」
 西川由起(立命館大学政策科学部3年)
 掲載:20020802


数年前、
・神戸連続児童殺傷事件(1977年犯人当時14歳)
・女性教諭刺殺事件(1988年中学校一年生)
・警察官刺殺事件(1988年中学三年生)
・「人を殺す経験がしたかった」と主婦刺殺(2000年高校三年生)
・女性を監禁し、耳たぶを切る(2000年少女二人)
といった事件が相次いで起こり少年犯罪の凶悪化が大きく叫ばれた。
そしてその時に解決策としてとられた方法が、唯一「少年法の改正」だった。
しかし、そんなことでこの問題は解決するのだろうか。
私は絶対に解決しないと断言する。
ここにはもっと根本的な原因が存在する。
抑圧された子ども達の心の解放。
これなくして根本的な解決は望めないだろう。
自由民主党政務調査会法務部会は、「少年法のありかたについて(案)」の結びで
『(略)少年非行の背景にはさまざまな要因があり、教育も含めた幅広い観点から総合的な政策が必要である。我々は、いたずらに少年を厳罰に処するべきであるとの考えにたつものではないが、少年の規範意識の低下が指摘される中、罪を犯せば罰せられるとの法的規範を明示して、犯罪の抑止を図る必要がある上、少年に自己の行為について責任を自覚させ、自省を促すことも、事実認定手続きの適正化とともに、重要な課題である。少年も一個の人格であり、これを尊重する必要があることは当然であって、社会生活には責任が伴うことを少年に教え、少年の健全な育成を図ることは、我々に課された義務であるとの認識の下、今後とも引き続きこれらの課題に取り組んでいく決意である。』
としながらも、その後これらの問題に積極的に取り組んでいるとは言いがたいし、またやはりこれが第一にとられるべき対策だったとはとても思えない。

それではこれらの問題に対してどのように取り組んでいくべきか。
それをこれから研究していきたいわけであるが、私は「これらの問題の根本原因は、親子関係に由来する。さらに、親子関係の改善さえ図れれば全てはうまくいく。」と思うのである。何か大きな問題にぶつかった時、支えられるのはやはり家族なのではないだろうか。
少年犯罪の問題だけではない。人とは弱いものである。私たちも何がきっかけで彼らのような運命に陥るか分からないということを知ってもらいたいのだ。
そしてこれらの問題は女性の権利の問題と切っても切り離せないものであると考え、女性政策の期末レポートとして一冊の本を紹介したい。

 子ども虐待の定義

(児童虐待の定義)
第二条 この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童
を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)
に対し、次に掲げる行為をすることをいう。
 一 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
 二 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。
 三 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置その他の保護者としての監護を
   著しく怠ること。
 四 児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

   資料:児童虐待防止法(2000年5月17日成立)〕
   →一般的に児童虐待防止法で定義された四類型が用いられる。

(児童虐待の定義)
親、または、親に代わる保護者により、非偶発的に(単なる事故ではない、故意を含む)、児童に加えられ
た、次の行為をいう。

1)身体的暴行
外傷の残る暴行、あるいは、生命に危険のある暴行。(外傷としては、打撲傷、あざ<内出血>、骨折、頭部外傷、刺傷、火傷など。生命に危険のある暴行とは、首をしめる、ふとん蒸しにする、溺れさせる、逆さ吊りにする、毒物を飲ませる、食事をあたえない、冬、戸外にしめだす、一室に拘禁するなど)

2)保護の怠慢ないし拒否
遺棄、衣食住や清潔さについての健康状態を損なう放置。(遺棄とは、いわゆる棄児。健康状態を損なう放置とは、栄養不良、極端な不潔、怠慢ないし拒否による病気の発生、学校に登校させないなど)

3)性的暴行
親による近親姦、または、親に代わる保護者による性的暴行。

4)心理的虐待
以上の1)、2)、3)を含まない、その他の極端な心理的外傷をあたえたと思われる行為。 
 心理的外傷とは、児童の不安・怯え、うつ状態、凍りつくような無感動や無反応、強い攻撃性、習癖異常
など、日常生活に支障をきたす精神症状が現れているものに限る)

  〔国際児童虐待常任委員会(ISCCA、Internatonal Standing Committee on Child Abuse)が、児童の不当な扱い(child maltreatment)について、型と程度を定義したもののうち、「家族内における不当な扱い」に、ほぼ拠る。〕
ISCCAは、児童の不当な扱いの6つの型として、以上のほかに、"A.5.Institutional maltreatment'(施設における不当な扱い)、"A.6.Extrafamilial exploitation of children" (家族外における児童の濫用・搾取)…a.ポルノグラフィと売春、b.児童労働の搾取、をあげている。
そのほか、 "A.7.Other areas in which forms of extrafamilial maltreatment may take place"(家族外の不当な扱いの型が生起しうる他領域)として、薬物やアルコール依存への誘発、マス・メディアの刺激、児童向け広告、その他、食料…偏在による不足・飢餓、健康…最適と思えぬ食品(母乳の代用品等)・高価すぎる薬品・医療等の偏在、教育…不適合・不必要なコースと機会均等の不足、住居…適切な住宅の供給不足・高層の問題・遊び場の不足、収監…刑務所の選択不足・収監された親の子どもに対する配慮不足、紛争と戦争…殺人・苦悩・絶望、をあげている。

しかし同時に、ある行動を不当な扱い、ないし、虐待と解釈するかどうかについては、文化差もあって容易ではないが、それには、つぎの3要件が定義の基礎となる、と指摘している。

i)行為そのものよりも、その動機に焦点をあてること。つまり、加害欲求、罰のゆきすぎ、児童の濫用、児 童の社会化、愛情の表現(緊急予防など)のためなのか。
ii)暴行全般への態度、そして、声なき集団としての子どもたちに対する態度を、現実的に評定すること。
iii)子どもにあたえた身体的、精神的結果の有害度

以下 『TOXIC PARENTS』スーザン・フォワード著 1999年毎日新聞社の紹介(要約)

@TOXIC PARENTS(「毒になる親」)とは?

子どもに対するネガティブな行動パターンが執拗に継続し、それが子どもの人生を支配するようになっている親。

「執拗に継続する」において例外・・・1、肉体的な暴力 2、性的な行為
  →これらの場合はほんの一回の出来事であっても、子どもの心に計り知れないネガティブな影響を与えてしまう。

・ 「神様」のような親
・ 義務を果たさない親
・ コントロールばかりする親
・ アルコール中毒の親
・ 残酷な言葉で傷つける親
・ 暴力を振るう親
・ 性的な行為をする親

ATOXIC PARENTSは子どもの将来にどのような影響を与えるか。

 「一人の人間として存在していることへの自信が傷つけられており、自己破壊的な傾向を示す。」
 ほとんど全員と言っていいくらい、いずれも自分に価値を見出すことが困難で、人から本当に愛される自身がなく、そして何をしても自分は不十分であるように感じている。
 「毒になる親」の子どもがこのように感じるのは、意識的であれ無意識的であれ、親から迫害を受けた時に、「自分がいけなかったからなのだろう」と感じるためであることが多い。外部の世界から自分を守るすべがなく、生活のすべがなく、生活の全てを親に依存している小さな子どもは、親が怒っているのは自分が何か"悪いこと"をしたからだろうと感じるのが普通である。自分を守ってくれるはずの親が実は信頼できない人間だったなどということは、小さな子どもには考えもつかないからだ。
 そのような子どもは、「罪悪感(なんとなく後ろめたい感じ)」や「自分が不十分な感じ」を心の奥に抱えたまま育っているので、成長して大人になった時にポジティブで落ち着いた自己像を持つことが非常に困難になる。自分に対する基本的な自信がなく、生きていくことの価値がなかなか見いだせないようになるのはそのためなのだ。この心のメカニズムは成長後も継続し、人生の様々な局面に影響を及ぼすようになる。

 「親に人生をコントロールされたりなどするものですか。親なんか大っ嫌いなんです。むこうもそれは知っていますよ。」
 けれども私と話しているうちに、彼女はそのように怒りを煽られているという事実こそ、いまだに心をコントロールされている証拠なのだということにしだいに気付きはじめた。
 〔引用:TOXIC PARENTS/スーザン・フォワード著 1999年毎日新聞社 p.27〕

 どのような大人に成長するかということは、成長の過程において自分の力ではコントロールできない家庭環境というものによって大きく影響され、それによってその後の人生の多くが決定されてしまうということも忘れてはならない。


……以上。コメントは作成者の希望により略、以下はHP制作者による……


REV: 20170426
性暴力/DV:ドメスティック・バイオレンス  ◇こどもの権利/児童虐待  ◇フェミニズム (feminism)/家族/性…  ◇BOOK  ◇2002年度講義受講者へのメイル 
TOP HOME (http://www.arsvi.com)