第10章 就労の場としてのCIL                                  Ishii, Masaaki                                   石井 雅章 T はじめに   重度の障害を持つ人の働く場は以前からも,現在も少ない。従来,障害者は,家庭,または施設,あるいは学校といった場所で主に生活をしていた。するとそこに「働く場」が欠如していることに気づく。自立生活は,上に挙げた,障害者が従来生活してきた場所から離れて生活することを目指している。であるならば,労働という観点から考えても,新しい状況が生まれるかもしれない。現実には,障害者が自立生活をしたからといって,すぐにその雇用の場が開かれたとはいえない。それはむしろこれから重要になってくる問題であろう。  しかし,従来とは異なった形の新しい障害者の雇用の場が存在している。それは「自立生活センター(以下CIL)」である。もちろん,CILは重度の障害者が働きそこでお金を得るために作られた組織ではないし,利益を得ることを目的としてはいない。また,いくらCILが障害者の新たな働く場であるとしても,ごく少数の人に限られるために障害者の雇用問題に対する解決にはならない。1)だが,CILの持ついくつかの特徴によって,そこは障害者の雇用の場として存在している。さらに,CILで働く人は障害者に限らない。健常者にとっても,従来多くみられた無償奉仕(ボランティア)ではなく,有償の仕事を通してCILとかかわっている。  ここでは二つの作業を行いたい。第一に,「働く場」としてのCILの現状を分析することである。これには今回行った「数量調査」の結果を利用することにする。第二に,CILが「働く場」となることにどのような意味があるのかを考察することである。 U 働く場としてのCILの現状  さて,CILにおける雇用の現状はどのようなものであるのか。どんな特徴があり,問題があるのか。まず,これをCILに対する「数量調査」,そして,一部のCILのスタッフへのインタビューにもとづいてみていきたい。2)  1 職員数  まず職員数についてみてみよう。各センターの職員数に関する質問に対する回答を見てみると,全体の職員数は,10人前後のところが多く,フルタイムの職員とパートタイムの職員の数のどちらが多いかは,団体によって異なりフルタイムが多いところが6団体,パートタイムが多いところが7団体であった。  ほとんどの団体が有給で障害のない人を雇用している。その中のフルタイムで働いている人とパートタイムで働いている人の数は,フルタイム,パートタイム両方の形態で雇っている団体が6団体,パートタイムのみの団体が6団体であり,パートタイムの比率の方が高い。  それに対して,障害を持つ人の職員数は,各団体によって差がある。全く職員の中に障害者のいない団体が1団体,無給の(つまりボランティアとして)職員のみのところが3団体あり,有給でのみ雇用している団体が5団体,有給の職員,無給の職員それぞれがいる団体が4団体である。  職員の中の障害を持つ人とそうでない人の割合は,ほぼ同じ団体が5団体であり,どちらかに片寄っている団体は,障害者が多いところが3団体。障害を持たない人の多いところが5団体であった。  2 勤務形態と仕事内容  ほとんどのCILは月曜日から金曜日の9時から5時まで活動している。3)しかし,職員の勤務形態は必ずしもそれに合わせてはいない。障害者の職員の場合体力的な問題も絡んでくる。あるCILで働いている障害を持つAさんの場合はフルタイムで週5日働いているが次のように述べている。 Aさん:(勤務日数は)「週5日です。」 質問者:「9時から5時まで」 Aさん:「そうですね,大体。ただ,9時にでて来るのは体力的にきついので,9時半から来ているんですけれども。」  次に,仕事内容についてであるが,これは,CIL全般の仕事を各部門に分けて,それぞれを分担して行っているようである。例えば,介助サービスを取りまとめる介助部門,ILプログラムやピア・カウンセリングを企画して実行するILP部門,機関誌を発行する通信部門といったようにである。通常の企業で行っているような形式とさほど変わりはない。障害者,健常者を問わず基本的には事務職と考えてよい。しかし,CILが特徴的なのは,事務職の他に障害者,健常者それぞれに別の仕事が付随してくることである。 Aさん:「(スタッフとして)そうですね,総務関係。ほとんど管理っていうか。あと,ILプログラムを少しづつ担当し始めたんですけど。」  Aさんに代表されるように障害者の場合,ピア・カウンセラーやILプログラムのスタッフとして活動する職員もいる。これは,それらがピア(仲間)であること,つまり,障害を持った者同士で行うことを原則としているからである。つまり,それらは障害を持った職員でしかできない仕事に類する。  健常者の職員は,介助サービスにおいて介助スタッフの調整に穴が出たときのための臨時の介助スタッフとして待機しているという面がある。これは,CILの介助サービスが障害者のニーズにあったものを目指していることと関連している。重度障害者の場合,一日にかなりの時間介助を必要とすることも多く,介助者の都合によって介助を受けられなくなることは大きな打撃となるからだ。そのために,CILの職員は臨時の介助者としても存在しているのだ。健常者の職員であるBさんは言う。 Bさん:「今日はね,前からの依頼で入ったんだけど,事務局にいるスタッフは, 緊急の時に,例えば入るべき人が子供が熱出したりして,って当日の朝電話がかかって来たりするのね。そういうときに対応するために常職のスタッフがいるので。そういう意味では,緊急の介助が入ればそれが優先になるのね。」4)  Bさんによると,健常者の職員は,定期的な介助者としても仕事をしているそうである。つまり,健常者の職員は,事務職員,介助スタッフ,臨時の介助スタッフの三つの仕事を持っていることになる。  3 職員について  それでは,どのような人たちがCILで働いているのだろうか。障害者の職員の場合,CILの設立に直接的に関わってきた人はもちろん,そのほかにそれらの人たちの知人やCILに出入りするうちにスタッフになった人,あるいはそこに就職するつもりで仕事としてとらえて職員になった人など様々なパターンの人がいる。 質問者:「就職先として,ここに?」 Cさん:「そうよ。職員なんです私。常勤の。それでここに来たんです。」 質問者:「職に就かれましたか?」 Cさん:「ずっと,就いてました。」 質問者:「それは? 職種というか……。」 Cさん:「薬剤師をしてたんです。それで,ほんとに,いまだったらそうはしなかったんですけど,やっぱりねえ,昔だから,手に職を,障害者だから手に職をって考えで,先生や親が勧めてくださって……。だからなんの……そんなもんかなって,もっとね,福祉とか,みなさんが勉強してるようなことをしたかった。今は,思うけれども……。」 質問者:「やはり,引っ越してきたのはここの活動に興味があったからですか。」 Cさん:「ええ,正直言って,福祉の関係ならどこでも良かったんですね。友人達がいらっしゃいって言ってたとこが,都内にはあったんですけど。ミスタードーナッツの知り合い5)も多くいまして,どうしても人もいないし,一緒にやっていってって,引き込んで……。」  障害者自身が福祉関係職の仕事をしたいという意識を持っており,それでCILで働いている人もいる。 Dさん:「結局ここをやめたときに,こういう会社とか,こういうところに勤めるのは無理だって,自分で。自分でやらなきゃいけない。それで資格だっていって,だから,資格結構取っていますよね。で,やらなきゃいけないってことになってただ仕事はどうしようかなって思ったときに,一般の企業的な,一般の社会的な仕事よりは,自分に関係した,一番問題にしている部分? 福祉ですね,私の場合。介助だとか,移動だとか。そういうものに関しての仕事に就ければって思ったわけですよ。」    次に,健常者の職員の場合,その特徴としては,福祉系の学校を卒業した人が割合として多いようである。6)特に運営している職員との個人的なつながりや,アルバイトとして,あるいは,ボランティアとして介助を経験してきた人が,そのまま職員となっているケースもあるようである。また,これからも考えられるものとしては,ケアスタッフから職員になるケースが多いだろう。CILの設立に関係した障害者の介助をしていたことから,CILで働くようになった人もいる。  Bさんの場合,ケアスタッフとして設立当初から参加し,それ以前は視覚障害者の施設で働いていた。コーディネーターは2年目から。パートタイムで週3回。きっかけは,市の広報に載っていたのを見たのがきっかけではないかと話す。 Bさん:「あの,私の場合は,自分の生活の中からできる仕事,日常生活の中からできる仕事だということが一つあります。(中略)たまたま介助関係でずっときているのが一つ。」  就職先としてのCILについては,金銭的な不安や,安定した職場なのかという疑問が,周囲の人の意見の中にあるようである。 Eさん:(親に反対されたことに対して)「(給料が不安定な事)それもあるけど,やっぱり,福祉関係職というと何かボランティア的なところが一番にああいう人は思い浮かぶみたいで,『そんなお金にならない仕事を』と。お金に結びつかないっていう考えがあったみたいで後はやっぱり,ここはこんなちっぽけな所だし,『保険とかはちゃんとあるのか……』そういう心配を。」 Bさん:「お金に結びつかないっていう考えが,一番に立つと思うんです。」  やはり,障害者関係の仕事は奉仕的なもの,お金にならないものととらえられることが多いようだ。それでは,CILで働いた場合に職員はどのくらいの給料を得ることができるのだろうか。そこで,次は給料の面をみていきたい。   5 給料について  数量調査によって,障害者と健常者の得る給料の支払われ方に違いがあることがわかった。そこで,ここではそれぞれの場合の具体例を分類してみていきたいと思う。どのくらいの給与が支払われているのかについて回答してくれた団体が少ないので,一般化して考えることはできないが,それぞれ3つの具体例を挙げて考えてみる。 A.健常者の場合 (1)HANDS世田谷  障害を持たない職員は5人。うちフルタイムは4人でパートタイム1人。フルタイムは月給で15万から20万。パートタイムは時給 800円。 (2)自立生活センター立川  障害を持たない職員は4人。うちフルタイムは3人でパートタイム1人。フルタイムは手取りで,月給18万から27万,交通費,社会保険費支給。パートタイム時給 900円。 (3)大阪中部障害者解放センター(但し,回答は障害者と健常者の区別が無くされているので,その両方が含まれている。)  フルタイムの職員が11人(うち障害者2人)。パートタイムは4人(同じく1人)。月給は14万から25万5千円,社会保険費(その中に厚生年金も含む)を総支給額から差し引く。交通費支給。ボーナス約2カ月分。パートタイムは一律時給 700円。 B.障害者の場合 (1)HANDS世田谷  パートタイムのみで6人。時給 660円。 (2)自立生活センター立川  障害を持つ人の職員数はフルタイムで5人,パートタイムで1人。フルタイムは手取り月給12万から18万円で,交通費,社会保険料支給。パートタイムは時給 700円で交通費支給。但しインタビューの時の資料によると,障害者の場合,給料から年金分(特別介護保障は除く)を差し引いたものが実質の給料になるとなっている(詳しくは以下でふれる)。この金額は年金分が差し引かれたものである。 (3)大阪中部障害者解放センター  上記の内容と同じであるが,ここでもアンケートに但し書きがついており,障害者の給料は月給から年金分を差し引いたものである,と書いてある。  このようなデータをみると,給料の金額はCILでの給料を収入の中心として考えてもそれほど低くはない。またあるCILでは勤続年数によって昇給がある。つまり,収入を得ることを目的としてCILで働くことが金銭的には可能である。但し,各団体の収支状況を見ると決してこのような給料を払うことが楽であるとはいえないし,ここで挙げられている団体は,かなり組織として確立されているところなので,どこのCILでもこのような雇用形態がとれるとは言い難い。    さて,障害者と健常者に支払われる金額の違いについて考えてみよう。基本的には障害の有無に関係なく同じ給料が支払われるのだが,年金をもらっている人はそこから年金分を引くという制度がどうやら一般的である。あるCILでは話し合いによって給料を決めているが,その金額については上にも述べたように,障害者,健常者を問わずに妥当であると思われる金額を設定している。そして障害者に支払われる金額は,給料から障害者年金に相当する分を差し引いたものとなる。但し東京都の場合,重度心身障害者手当というものがあり,それは重度障害者であるために特別にかかる費用を埋めるものと考え,給料からは差し引かないことにしている。  パートタイムの時給に関しては,障害の有無によって差がある。JILのスタッフとあるCILの職員の話によると,その理由は,勤務中の介助料は職員自身が負担するのでその分を給料から差し引いたためか,あるいはフルタイムと同じ考え方で,時給から年金による収入分を差し引いたためであると考えられる。なぜ,給料から年金分を差し引くのか。給料はCILでの仕事に対して支払われるのだから,必ずしもそこから年金分を差し引かなくてもよいはずである。その点についてJILの事務局で働くFさんは次のように言っている。 Fさん:「みんなで少ない資金を分けあっていこうという考えじゃないかな。」  つまり,限られた資金でCILを運営していく上での手段なのである。したがって,障害の有無によって仕事に対する給料が異なるわけではない。あるCILの代表は次のように言っている。 Gさん:「ここならここで,今常勤が8人いるのね。8人いるんだけれども,一応,安いながらも, 300万から 400万の賃金保障なのね。だから,健常者の場合だと,まあ,月給が25万で,プラスボーナス,とか,諸手当っていうかたちで, 300万なり, 400万いくのね。で,障害者の場合だと,そこから年金も差し引くわけ。年金分を。だから,25万のところを,俺なら,16万から17万,で,プラス年金で,だいたい同じようになるの。ただ,障害があるがゆえに,どうしてもかかる費用ってあるじゃない。重度の障害者の場合は,まあ,うちの場合でいくとね,東京都の重度手当っていうのがあるのね。これが月56,000円でるんだけど,その分に関しては,年金には入れない,と。なんか,代表の押しつけかなって。でもそういう部分ってわかるよ。だから,年金の分に関してはそういう風に入れる。大変ですよ,労使交渉があるからさ。でも,なんとかさ,みんなが納得するような部分がないときついでしょ。ただ,ダメだではなく,これこれこうだから,こうなんだよ,だから, 300万, 400万で線引こうよ,って。これで,安いんだけど,みんなで頑張っているんだから,そのかわり,うちらの年金の分は差し引く,と。」  6 働く場としてのCILの発展性  以上のように,CILは給料的にも労働の場として機能しているように思われる。CILは単なる障害者の運動や介助サービスの確保だけではなく,障害者が実際に働く場所を少ないながら獲得したと言えよう。そして今後,働く場として発展性もあると考えられる。 ある程度介助サービスの発達した団体では,センターの他の活動として,ピア・カウンセリングや,自立生活プログラムを実施しているところが多い。7)そのピア・カウンセリングや自立生活プログラムのカウンセラーやリーダーといったものも,一つの職業として成り立つであろう。現在はセンターの運営スタッフが兼ねていることが多いようだが,それらの参加者が資格をとり,それによって給料を得るといったことも可能であろう。事実,ILプログラムやピア・カウンセリングに対する助成金を受けている団体は多い。例えば,あるCILでは,プログラムに対して,自治体から 360万円の補助金を受けている。これは,自治体にILプログラムや,ピア・カウンセリングは障害者自身で行うことが効果的であると自治体に認めさせ,その給料の一部として払われているものである。障害者にとっての何種類かの職業の形態を,CILが提供していると言ってもよいであろう。  このことはCILの運営に関わっている人も意識している。 Gさん:「ピア・カウンセリングというのは,新たな労働だと思うの。だから,立川市に対しても,今,立川市は 900万出しているのね,あの,補助金として。あの,東京都の振興財団が, 1,400万。で, 900万金出している。」 質問者:「あの,ピア・カウンセリングへの助成金ですか?」 Gさん:「全部の。ところが,立川は,ILプログラムに対して, 360万の助成金を出してるの。どうしてかっていうと,ピア・カウンセリングっていうのは,ピア,障害を持った仲間が,相談をすることが一番であると行政に認めさせたの。だから,その給料を2人分くれ,と。で,15万であるならば,その半分を立川市で保障してくれ,と。で,2人分の給料で 180万プラス,を保障させたの。そういう意味で,ピア・カウンセリング,資格制度を推薦する気は無いけれども,そういう面での,仕事として認知させて下さい。そういう面でここの部分はあるのね。」    実際にピア・カウンセラーとして給料をもらい働いている人もいる。 質問者:「カウンセリングをやっていく中で,自分も得るものってもちろんありますよね。そういうのってどういう風な感じなんでしょうかね?」 Hさん:「……喜びじゃないでしょうかねえ。私がここでこうやって暮らしてることがみんなにっていう,ここでこうやって暮らしているからこうやってお金なんかも使うことができるし,みたいな。」    あるCILの職員の中にはILプログラムを実行生,実習生として受けた後にピア・カウンセラーとして働きはじめた人もおり,CILの利用者が職員となるケースもこれから増えてくるだろう。    これまで,働く場としてのCILの現状をみてきたが,ここでもう一度まとめてみたい。  まず,CILで働いて得られる給料は,その収入を基本として生活を営んでいくことが可能である水準に達していると考えられる。また,事務職をはじめとして,さらにILプログラムのリーダーやピア・カウンセラーもCILから給料をもらって働く一つの職業として成り立つであろう。また,職員の言葉からもわかるように,CILで働くようになったきっかけは人それぞれであるが,実際にCILを自分の仕事場としてとらえて,そこで働いている人もいる。  では,なぜCILは働く場としての機能を持つのだろうか。CILの設立の経緯には様々な形があるが,その多くは介助サービスを行うことや,障害者が自らの力で生活していくことを目指しており,最初から障害者が働けるところを作ろうとしてできたとは言い難い。8)つまり,別の目的から生まれたCILが働く場として存在するようになった。いいかえれば,これはCILの副次的な機能である。しかし,その機能はCILがそもそも持つ特徴によって生じたものであると考えられる。  とりあえず回答を出しておこう。  まず一つは,CILは障害者主導で運営されているということである。9)介助サービスやILプログラム,ピア・カウンセリングにしても,それをうまく実行していくことができるのは障害者自身で運営しているからと言えよう。なぜなら,障害者が主導でサービスを運営することで,サービスを利用する側の求めているものをしっかりと把握することができるからだ。いいかえれば,障害を持っていることを仕事の武器としていることが,CILが働く場として存在している理由なのだ。  もう一つは,障害者の介助やILプログラム,ピア・カウンセリングにしても,無償奉仕(ボランティア)を排除し,有料の介助サービスとしている点である。有料の介助サービスをうまく運営していくために企業のような運営形態をとっていることがCILで働いてある程度安定した収入を得られる理由であろう。つまり,有料のサービスを計画し,調整し,運営していくという作業は,当然,有給の仕事となり得るということなのだ。  このようにCILが働く場としての機能を持つのは,CIL運営の基本的スタンスに大きく影響を受けていると言えよう。そして,CILの持つこの機能はその活動の中で介助サービスやILプログラムほど強調されないが10), 現実には大きな役割を持つと考えられる。 V 「働く場」としてのCILの意味  1 疑問「どうして有料=有給なのか「    これまでの議論でみてきたようにCILが「働く場」としての機能を持つことは確かであろう。これから先は,「働く場」としてのCILの機能をもう少し深く考察していきたい。一つの疑問を手がかりにして考えたい。  なぜ,CILの運営は有給システムを取り入れているのか。有給システムとは簡単に言えば,そこで働く人を有給で雇うことを表している。上で述べたCILのサービスが有料であることと職員の雇用が有給であることは,実は簡単には結びつかない。なぜなら,サービスは有料システムにして,職員はボランティアとして働くという方法も考えられるからだ。どうして有料=無給ではなく,有料=有給とするのか。この疑問を2つのレベルで考えてみよう。  2 個人の収入  まず,職員自身の収入という点から考えよう。  単純に考えれば,職員に給料を支払うことは,その人の生活を保障する意味があるのは当然である。有給であればそれだけそこで働く人の手元にお金がいくことになる。収入が多い方がいいのは当然である。  ではCILでは働く場合,それだけ多くのお金がその人の元にいくであろうか。決してそうとはいえないのである。普通,一人で生活をしている障害者の得る収入は公的なものとして障害基礎年金と生活保護がある。そこにCILの給料が加わればその人の収入は大きくなるのだが,現実にはそうはいかない。なぜなら,今まで生活保護を受けていた人は,それが受けられなくなり,結局はほとんど同じぐらいのお金にしかならないということもあるからだ。  少し計算をしてみよう。生活保護の基準額は年齢によって若干異なるのだが,ここでは,1992年度について,30歳の一人暮らしの障害者(1級)の場合を考えてみたい。20歳から40歳の人の基準額は第1類(食費,衣料費など)が37,330円で,第2類(光熱費など)が39,360円。11) そして,障害者加算として,障害者手帳1,2級所持者は25,190円が上乗せされる。12) 重度障害者の場合はさらに13,180円加算される(重度障害者加算)。これらを合計すると 115,060円となる。これに加えて介護が必要な障害者の場合,それに対する支給が上乗せされる。金額は,特別介護料の他人介護加算が65,400円以内まで,さらに特別基準では98,100円以内までの実費が介護に必要なお金として支払われる。これをフルに活用し,住宅扶助の特別基準(知事承認の場合は54,600円まで)も加えれば13), 生活保護の1か月の総額は25万円ほどになる。生活保護とは別に障害者基礎年金もある。障害基礎年金は収入としてみなされるため,年金を受けているときは生活保護の支給額から引かれることになるが総額は変わらない。また,自治体の心身障害者福祉手当(13,000円)は収入とはみなされないので,さらに上乗せすることもできる。  これとくらべてCILで働いた場合,生活保護が受けられなくなるとすれば,給料約15万円と障害者年金(月額75,550円)で22万から23万円程度となる。生活保護を受けることで利用できる制度,例えば年金保険料の免除や上下水道の基本料金の免除などが利用できないことを考えれば,金銭的にはCILで働く方が厳しくなってしまう。  年金についても考えておこう。障害基礎年金は,制度的にはその人が障害者で,収入が一定の基準以下であれば支給される。CILで働くこと自体は年金の支給には影響しない。しかし,前節のアンケート調査を思い出していただきたい。健常者と障害者の給料は基本的には同額であるのだが障害者の職員の場合そこから年金分の金額を差し引くことになっていた。ということは,公的な制度をうまく活用するのとCILで働いて給料を得ることは,金銭面に関して際立った差はないことになる。  今までの議論を整理すれば,CILでの働き方には二つの方法が考えられることになる。一つは,公的な資金14) をCILが獲得し,それを職員の給料として支払う方法である。つまり,公的なお金をCILを通して,間接的に障害者に支払うというやり方である(これはCILが実際にしている方法だ)。もう一つは,公的な制度,例えば生活保護や年金によって生活費を直接障害者に支払う方法である。その収入を生活の基盤として,障害者がCILで無償ボランティアとして働くというものである。  これまでみてきたように,この二つの方法に一人一人の障害者の収入の差はない。なぜCILはこれらの二つの選択肢のうち前者の方法を取り入れているのだろうか?15)  3 CILの収支  別の視点から考えてみよう。CILで給料として支払われるお金はどこから出ているのだろうか。CILは利益を得るための団体,つまり営利団体ではない。ということは,運営によって生じる利益を職員の人件費にするということはできない。利益自体が生まれないのだから。では,CILで働く人の給料の財源は何なのか。  まず一つ考えられるのは,介助サービス部門である。確かに介助サービスは有料であるのでそこにはお金の動きがある。しかし,ここから職員の給料を導き出すことは現実ではできない。具体例をみてみよう。ヒューマンケア協会の場合,利用者が支払う介助料は基本として16) 一時間 800円である。そして事務費として介助料の中から 100円はヒューマンケア協会に支払われる。つまり,介助サービスの運営でヒューマンケア協会に入ってくる収入は 100円だけとなる。ヒューマンケア協会の1992年度の介助サービスの実績をみてみると介助総時間数は14,230.5時間であるから,すべての介助サービスが昼間に行われたと仮定するならば,事務費として協会に入ってくる金額は約 150万円程度になる。この金額では職員の年収の一人分にもならないことがわかる。  これはヒューマンケア協会に限ったことではない。介助料の中に手数料を含んでいる団体がほとんどであるが,その手数料は 100円から 200円である。そして,介助サービスが軌道にのっている団体でも一か月の総介助時間は平均 1,200時間であり,手数料の総額は月に10万円から20万前後にしかならないからだ。つまり,介助サービス部門で動くお金はほとんどその中でまわっており,CILの職員の人件費には関係ないと言える。  CILの収入でもう一つ考えられるのは入会金や会費である。しかし,これらも1992年度の決算書を見れば人件費になり得ないことがわかる。これらの総額は賛助会費も含めても,やはり約 170万円程なのだ。  それでは,CILで働く人の給料,すなわち人件費は何で賄われているのか。  それは,各団体が受けている各種の助成金だと考えられる。上で述べたピア・カウンセリングやILプログラムという名目の他に,介助サービスに対するものや特に名目を定めていない助成金がある。ヒューマンケア協会の場合,それらは年間収入の約60%を占めており,職員の人件費(介助スタッフは除く)が年間支出の60%以上であることから,自治体その他の助成金がCILの職員の人件費として重要なものであることがわかる。いいかえれば,CILへの助成金を得ることができるかどうかが,CILが障害者の働く場としての機能を持つための鍵なのだ。17)  CILの収入の多くが助成金であることと支出の大部分が人件費であることがすぐに密接な関係があるとは言えない。助成金による収入が直接人件費として使われているかどうかは,なかなかわからないからだ。しかし,実際にCILに支払われている助成金は人件費の名目であるものが多い。また,CILが助成金を要求する際にもそのことが意識されている。どのように助成金を得ているかについてGさんは次のように語っている。 Gさん:「あのね,介助派遣に関しては,数字でやったのね。だから,行政との比較とかね,うちはこれだけやってるし。これだけのスタッフがいる。一般登録が 220から 230と,それから,特別部門ていうのがあって,特別部門ていうのは,介護を仕事としているスタッフがいるの。その人に対していくらいくら払うって。それに対して,うちは特に男性が多いの。特別部門は,今3人だけれども,その3人に対して,1人 400万, 1,200万必要なんだ,と。それに対して,行政だと 800万必要じゃないかと,1人に。で,その半分を保障してくれっていうかたちで,せまっているわけね。そういう面ではうちの実績はこうである,こうであるっていうかたちで,介護部門では,行政に,数字でやっているし,これからは,やっぱり,そういうかたちの行政交渉をしてなければ,やっぱり,何でもかんでも出せっていうのはできないからね。」18)  このように人件費名目で助成金を獲得し,それを給料として職員に配分するのだ。  しかし,助成金がCILの人件費を賄う大きな財源になっているということは,逆に職員を無償ボランティアにすれば,助成金を人件費以外のCILの運営費として使えることを意味する。  ということは,CILの収支という点からも二つの方法が考えられるだろう。一つは,職員を有給で雇用することで,人件費として多額の助成金を得る方法である。ただし,助成金として得られたお金の多くは人件費として支出される。二つ目は,職員をボランティアとして雇うことで人件費を抑え運営していく方法である。こちらは逆に,人件費として得られる助成金収入がなくなるために,収入の総額は減ってしまうが支出は少ない。19) どちらの方法をとるにしても,人件費以外のCILの運営におけるお金の動き方に,また,CILの収支そのものに大きな相違はない。  この視点から考えてみても,CILが有給システムを取り入れていることは単純には説明できないのである。  4 「働く場」の持つ意味とは?  このように見てくると,CILが有給の「働く場」であることは,CILにとっても,またそこで働く人にとっても,「金銭的な理由」によるものではないことがわかる。つまり,金銭面に関して言えば,CILを有給システムにしなければならない理由は見当たらないのである。金銭面での結果が同じであるにもかかわらずなぜ,CILは有給の雇用システムを取り入れているのだろうか。そこには,個人,またCILにとって,金銭面以外の違いが存在することは間違いない。その違いは何なのだろうか。その違いこそが,「働く場」としてのCILが持つ重要な特徴なのではないか。  結論も二つにわけて考えてみよう。まずはCILで働く人,個人個人のレベル。次にCILそのもののレベルである。 (1)個人のレベルとして何が違うのか  まず,これまでの議論を整理しておこう。CILで働く障害者にとって,結果としてほぼ同じ額の収入を,公的な制度によって得る方法と,公的な助成金を獲得したCILから労働への給料として得る方法の二つがある。CILでは後者を選択しているのはなぜだろうか,というのがここでの問題である。  一つには,生活の基盤となる収入を生活保護や年金のような公的な制度に頼りたくないという理由がある。つまり,年金や生活保護を使って生活していくことに対する否定的な意識が存在しており,多少の金銭的な利点を失ってもCILで働く方がいいと考えである。その点について,ある障害者は次のようにいっている。 Iさん:(生活保護や年金に対しては)「それはあの,本人が選べばいいと思うんですよ。自分は仕事をするから生活保護はいらないと,そういう人はそれでいいし,自分は仕事しないで地域活動するけれども,生活保護という形でもお金はもらいたいという人はそれでもいいしね,どちらの生き方も価値ある生き方と思うから,それが両方とも社会の中で,例えば生活保護を受けていると,今の日本ではちょっとこう何もできない,「不能者」だという考え方をされてしまうけれども,そうではないっていう考え方が認められればね,そういう社会になってほしいと思いますね。で,その社会をつくるためには,障害者がもっと活動しなくてはと思うんですね。」  Iさんが言うように現状では生活保護を受けている人に対するネガティブな視線がある。すなわちそれは,何もできない「不能者」という視線だ。根本的ではないがCILで給料をもらって働くことでこのデメリットは解消される。それは,障害者に対する「何もできない」という他者からの視線を消滅させることでもある。CILで働いてその給料として収入を得ることで,障害者に対するこのような考え方の不当性を訴えることができる。いいかえれば「働ける障害者」をアピールすることができるのだ。  しかし,それは実は「働ける能力」そのものをアピールしているわけではない。障害者の能力という点から考えれば,以前と変わったのではない。無償でボランティアの仕事をしながら生活保護を受けていても,「働ける障害者」であることに変わりはない。なぜなら基本的には同じことをしているからだ。にもかかわらず,この場合には,他者からの「不能者」だという視線は解消されずに実際に存在するであろう。それが,CILで「有給で働いている」という形を見せることで,「働ける障害者」であることを他者に向かってアピールできるようになるのだ。  他者に対して訴える力を持つことは,それと同時にそこで働く人のアイデンティティの強化にもつながるだろう。Hさんは次のように語っている。 質問者:「そういうことはピア・カウンセリングを始める前まではなかったことですか?」 Hさん:「グループで活動していたとき,ミニコミ紙を作ってたんですけど,4人,5人ぐらいのグループで,表だった目的を持ちながらお互いの自立を支えるっていうことになってたんですね。ある意味で大学のサークルみたいに自分達がやりたいからやるっていう感じで,対等といえば対等ですけど,……社会から認められる,ペイされるとか,そういうことはなかったわけですね。いまの,自立センターなんかだとある程度ペイされてますけど,そうじゃないいわゆる障害者運動みたいな組織の中で活動している人たちの中でも,例えば私みたいな後輩を育てるっていうようなことをしている人はいっぱいいると思うんですね。ただそこの中で,感謝はされますけど活動自体が給料なんかの見える形で入ってくることはなかったりとか,自分の仕事だって思えるようなことじゃないわけですよね。それとか一生懸命自分にこれが仕事だとか思おうとして自分で自分に言い聞かせたりとかもちろん大学のサークルも同じなんだけど,もちろん障害者関係の大学じゃないから援助がでるわけじゃないから,みんな手弁当で,自分の自腹を切ってやると,それで後輩達に自分達が伝えたいということを伝えるんだっていうことで,一生懸命活動やるわけだけれども,なんでこんなに一生懸命やっているのに自分達の仕事にならないのかと。市役所なんかは(やっていることが)そんなに変わらないのになんであっちはあんなにいい給料もらって,ちゃんと社会的地位もあって,なんで私たちは単なる障害者運動みたいな区分でしかないのか,一生懸命同じように頑張ってみても。ただ,自立生活センターのピア・カウンセラーっていうのはね,それこそお金もらえますから,この前も研修費とかいって,会議なんかだけ出たりとか,きちんと名刺というかピア・カウンセラーっていう名刺とかあるんですけど単純なことですけど,一番社会との関係で,究極の目的として自分の仕事としてアピールできるというか仕事としてやってられるという重み,やっぱり全然違いますからね。」  Hさんの言っているように,障害者が同じような活動を一生懸命にしても「単なる障害者運動」としか見てもらえない。「仕事」と思おうとしても「仕事」にならないのだ。それがCILで給料をもらって働くことで「仕事」として認められるようになり,自分の仕事としてやっているという重みが出てくる。上で述べられている名刺の話はまさに象徴的なものであろう。「自分はこのような人間で,こういうことをしている」ということをCILで働くことで獲得するのである。もちろん,CILで働かなくてもそのような自己定義は行える。しかし,それを他者にアピールする力は,働いて給料をもらうことによって格段に大きくなるのだ。   (2)CILとして何が違うのか  CILについて考えてみても同じ様なことが言える。CILの活動はそれまでの要求運動と違う。ボランティアで集まった人達による「こういう風にしてほしい」という要求運動ではなく,「自分達でこのようにやるから,既にやっているからその分の給料が欲しい」とCILは主張する。彼らのやっていることは,無給の「運動」ではなく有給の「事業」なのである。  同じ能力で,同じ活動をしているのに,一方は無給の「単なる障害者運動」になり,もう一方は有給の「事業」になる。それは,CILが有給システムを取り入れることで生じる「差」であり,また,健常者がしている「仕事」と同じように障害者の活動が「仕事」になることを表している。  障害者は能力がないから仕事ができないのではなく,活動をしても「仕事」と認められないために「何もできない」というレッテルを貼られるのだと考えられる。CILはその活動を有給にすることで,障害者が力を持った主体であることをアピールするのである。  さらに,次のようなことも言えよう。障害者それぞれに支払われる生活保護や年金とCILが受ける助成金では,同じように公的資金を財源にしていても意味が違うと言える。障害者が個人で受ける生活保護や年金などの制度は,「もらうもの」という受動的な意味を持つために,それを収入として無給の「運動」をしても,行政が主体であるように思われてしまう。それに対して,CILの活動は,助成金を「獲得する」,職員に給料を「支払う」というように,行動の主体性を強調することができる。有給の事業にすることで,CIL自身が力を持った主体であることが明確になるのだ。  働く場としてのCILは,そこで働く人,あるいはCILそのものにとって金銭的には大きな変化はもたらさない。しかし,誰が「主体」かをはっきりと認識させる力がそこにはあるのだと考えられる。 注 1) もちろん,CILの運営スタッフも,CILが障害者の雇用問題を解決するなどと考 えているわけではない。全般的な就労の場の拡大によって障害者の雇用問題を解決していこうとしているようだ。例えばAさんは次のようにいっている。  (CILの他に一番やりたいものは)「本当の事言うと,労働的な部分の活動をやり たい。だから,印刷業とか,いろんなのやりたいって,未練がましく残っていうのは, そういうのがある。だから,障害者の働く場を拡大していきたい。そして,制度的に 確立したい。」 2) ここで使った質問に対して回答して頂いた団体は次の13団体である。   AJU車いすセンター,大阪中部障害者解放センター,オフィス・アイ・エル,   静岡障害者自立生活センター,札幌いちご会,自立生活企画,自立生活センター立川,   生活援助為センター,第一若駒の家,HANDS世田谷,ヒューマンケア協会,   広島レモンの会,ホットハートしみず(五十音順) 3) 土曜日も活動しているCILもある。 4) Bさんによると,臨時の介助は職員一人につき週1回ぐらいはあるそうだ。 5) ミスタードーナッツが資金を提供している「財団法人広げよう愛の輪運動基金」と「日本リハビリテーション協会」が主催する,障害を持つ人の海外での研修制度の参加者。 6) JILの職員の話による。 7) ILプログラムやピア・カウンセリング自体は運営規模の大小に関わらず実施されている。JILの「運営とその他に関する小委員会」のメンバーであるJさんによるとできたばかりのCILはILプログラムやピア・カウンセリングから活動をはじめることが多いそうだ。 8) 但し,ヒューマンケア協会の運営の理念には「障害者の新たな職域作りを目指す」と ある。 9) 全国自立生活センター協議会(JIL)の加盟要件の中に障害者主導の運営であるこ とが明記されている。 10) CILやそのスタッフ自身が,CILが持つ働く場としての機能を意識していることもある。例えばヒューマンケア協会の場合,8)で述べたように運営方針の中で障害者の職域作りと明記している。また以下のあるCILのスタッフであるKさんの言葉もそのことを表している。 Kさん:「(CILは)考えとしては,障害を持った人間の職場として(それを)サポートするという仕事としてとらえている。(中略)もちろんそういう障害を持った方が実力をつけてここのスタッフになるということも多々あるんですけど,作業場みたいにここに来て何かをするという場ではなくて,集まってきて組織を作っていくという場なんです。」 11) 光熱費に関しては冬季加算もある。 12) 入院している人は若干異なる。 13) 住んでいる家の家賃等に対する扶助。基準を超えた場合は基準額まで支払われ,残り は自己負担になる。以上,生活保護制度については,東京ソーシャルワーク編[1992]。  障害者関係の加算については第5章(小山)注10に掲載されている。 14) 助成金の中には企業が設立した財団からのものもあるので,全てが公的な資金とは言 えない。ただこうした財団からの助成は,機器の購入や,単発の事業(研究やイベント) に対するものが多く,通常の活動に対して行われることは少ない。 15) FさんによればCILによく顔をみせて仕事を手伝ってくれるボランティアのような 障害者もいるそうだ。 16) 午後5時以降,翌日の午前9時までは1時間 1,000円(事務費 100円を含む)。また 緊急介助の場合は特別料金となる。 17) もちろん全てのCILがそのようなわけではない。札幌いちご会の場合,呼びかけて 書き損じはがきを送ってもらっており,それを換金した収入が収入全体の半分以上を占 めている。 18) 人件費の多くを助成金に頼っていることは,必ずしも否定されるべきものではない。CILの介助サービスなどは公的な事業としてとらえることもできるからだ。つまり,CILが行政の仕事を肩代わりしていると考えれば,その人件費は公的なものでまかなうべきと考えることもできる。 19) 人件費の名目でない助成金であれば,別の方面へそのお金をまわすことができる。