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言語研究会・1999

言語研究会


《《《《《言語研究会からのお知らせ》》》》》

1999年度言語研連絡人:祐成 保志
  ysuke@スパム対策mba.sphere.ne.jp
 
 9月も半ばを過ぎたというのに暑い日が続いていますが、皆さまいかがお過ご
しでしょうか。前回のお知らせに引き続き、今後の活動予定をお知らせいたしま
す。


<<<<<<<<<<<<<<< 次々回の活動予定 >>>>>>>>>>>>>>>>>

★日時:9月30日(木) pm1:00〜3:00

 題目:日本企業におけるセクシュアル・ハラスメント問題
  ―女性労働者のセクシュアル・ハラスメントへの対応をめぐって―
 報告者:Jessica Lam 氏
     (東大大学院修士課程在籍:社会学)
 コメンテーター:赤堀 三郎氏
     (東大大学院博士課程在籍:社会学)
 場所:東大本郷キャンパス法文2号館 地下実験室
    (社会学研究室の真下)

 次々回は、社会学研究室の修士論文検討会との併催というかたちで行います。
ふるってご参加ください。また、言語研での発表を希望される方は、ご遠慮なく
祐成にお申し付けくださいますよう、お願いいたします。

 今回のお知らせは、以上です。

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祐成 保志(Sukenari Yasushi)

◆199909
 言語研究会員の皆さまへ

《《《《《言語研究会からのお知らせ》》》》》

1999年度言語研連絡人:祐成 保志
            ysuke@スパム対策mba.sphere.ne.jp

 
 9月も半ばというのに暑い日が続いていますが、皆さまいかがお過ごしでしょ
うか。さっそく、次回の活動予定と、これまでの活動内容について、お知らせい
たします。


<<<<<<<<<<<<<<< 次回の活動予定 >>>>>>>>>>>>>>>>>

★日時:9月27日(月) pm3:00〜6:00

1.pm3:00〜4:30
 題目:アルチュセール・ルネッサンスについて(仮題)
 報告者:今野 晃氏(東大大学院博士課程在籍:社会学)
2.pm4:30〜6:00
 題目:アイデンティティの記述を考える
 報告者:赤堀三郎氏(東大大学院博士課程在籍:社会学)

 場所:東大本郷キャンパス法文2号館 地下実験室
    (社会学研究室の真下)

 次回は以上のお二方に報告していただきます。単独開催としては久々の言語研
ですので、ふるってご参加いただきますよう、お願い申し上げます。ご不明な点
などございましたら、祐成までご一報ください。


<<<<<<<<<<<<<<< これまでの活動 >>>>>>>>>>>>>>>>>>

○言語研7月の活動

★日時:7月9日(金) pm3:00〜5:00
 題目:近代日本における文化ナショナリズムと「地方」
    ―戦前期における「民謡」の社会的付置を手がかりとして―
 報告者:武田 俊輔氏(東大大学院修士課程在籍:社会学)
 コメンテーター:宮本 直美氏(東大大学院博士課程在籍:社会学)
 〜修士論文検討会と併催〜

☆連絡人より
 武田氏の報告は、大正中期から昭和初期にかけて生産された「民謡」「新民
謡」という大衆歌謡ジャンルを素材としながら、ナショナル・アイデンティティ
の生成を、ネーション内部の地域的アイデンティティとの関連で論じる興味深い
ものでした。
 コメンテーターの宮本氏からは、「文化」「民謡」などの概念の含意から、修
士論文全体の構成に至るまで、懇切なコメントとアドバイスが提出され、参加者
は5人と少なめでしたが、密度の濃い議論が展開されました。


○1999年度夏合宿

 以下の日程で、言語研夏合宿が行われました。参加者は計10名。初参加の方が
3名ほどいらっしゃいました。報告をめぐって、活発かつ率直な議論が行われ、
連絡人も、大変勉強させていただきました。

■ 日時:1998年8月28日(土)14:00 〜 8月29日(日)12:00
■ 場所:(財)大学セミナー・ハウス

 報告内容については、報告者ご自身による要旨をご覧ください。(報告順)

---------------28日--------------

☆韓国の民主化と所得分配政策  
              野上裕生氏(アジア経済研究所)

この報告は韓国の民主化と所得分配政策の変化を考察し、開発と民主化という
点から所得分配政策を考えることを試みる。そして、経済発展と民主化の過程で
社会的公正と所得分配問題はどのような役割を果たしたかを考えてみたい。1960
年代以降の韓国の所得分配政策は開発指向的政策体系の一つとして産業政策を補
完するもの、その影響を事後的に緩和するものという政策が強かった言えるだろ
う。このような政策は過去の厳しい経済調整を行なう上でも、その社会的コスト
を緩和する点で、一定の役割をしてきた。しかし、1980年代以降の経済成長とと
もに国民の要求が多様化し、所得再分配の課題も変化してきている。一方このよ
うな要求に対応できないことが韓国の民主化の加速にも作用した。また実際の所
得分配の不平等と人々が社会の中で実際に認識する不平等とのギャップは経済発
展に伴い大きくなり、民主化を通じた再分配の要求を高めるであろう。そこでこ
の報告では、まず第一に所得分配の不平等が韓国の民主化に及ぼした影響を考え
たい。
第二に、民主化の過程で所得分配政策が二種類の失敗をいかにして解決したか
を考察したい。第一は本来政策的支援の対象にすべき階層を対象にできなかった
失敗、第二は本来再分配政策の対象にすべきでなかった階層を対象にした失敗で
ある。1980年代以降の韓国でも社会政策の進展が見られたが、所得格差の是正と
いう点でのこれらの政策の実績を評価してみたい。


☆アルチュセールとスピノザ:重層的決定の係争過程をめぐって
              今野晃氏(東京大学大学院)

 アルチュセールの「重層的決定」という概念は、これまで、一般的には社会を
経済的な審級に還元せずに「多元的に」とらえる分析枠組みとして理解されてき
た。しかし、アルチュセールの議論を厳密に追えば、彼の提起した「重層的決
定」は「多元論」でさえないことが明確になる。つまり、社会的な現実とは認識
において数えることのできる二つや三つの説明変数に還元することはできないこ
とを、「重層的決定」は含意している(そうした意味において「多元論」ではな
い)。
 こうした点を理論的に深化させる上で重要なのが、スピノザの係争過程(仏
proces)に関する議論である。実在を認識に還元しないスピノザの認識論的態度
をアルチュセールとの理論的関係においてとらえることで、アルチュセールの
「重層的決定」は新しい社会科学方法論を提起する。


☆社会ゲーム論:フレームワーク
              桜井芳生氏(鹿児島大学)
              http://member.nifty.ne.jp/ysakurai/

 社会学(者)の視点から、昨今の非協力ゲーム論・進化ゲーム論の発展を高く
評価し、感謝しつつも、それに不満を感じ、その不満の克服をめざすフレーム
ワークを構想した。社会ゲーム論と暫定的に呼んでみる。ゲーム論に対する大き
な不満の第一は、選好関数の所与性である。第二の不満は、意味的事態の軽視で
ある。われわれは、この不満の克服をめざす過程において、通常のゲーム論と
は、異なるフレームワークを採用することになった。これは、既存の人気のある
社会学諸理論に対しても、あまり類似的でない。われわれのフレームワークはお
もに以下のような主要仮説の基づく。「長期選好関数の存在」「社会状態の、非
協力ゲーム(ないし、進化ゲーム)的メカニズム(ナッシュ均衡)(ないしES
S)による、『かなりの程度』の決定」「しかし、人間は、選好関数によるゲー
ム論的メカニズムでまったく安心してしまうほど「ふっきれた」マシンではな
い」「すなわち、人間のゲーム・マシンとしての非安心性」「その非安心性によ
る、いくつかの問題の生起」「問題1,選好の自己不明証性」「問題2,均衡の非
一意性」「問題3,教育における一見自明な規律、の発生」「問題をごまかすた
めの、「自他弁証」としての「意味」の生起」「意味の相互承認としての「物
語」の生起」「ゲーム論と社会ゲーム論との検証可能な差異」「短期選好関数の
シフトによる、ゲーム論的「均衡」値の移行」「新均衡値へのたおやかな移行
が、物語・意味によって、障害せられる場合の存在」「その場合における、新
「意味」「物語」の構築作業としての文化革命」「「世代」間「意味・物語」
ギャップの生起場合の存在」「世代間文化闘争の、「非論理的」「時間的」決
着」。
 おもに以上である。(著作権保持)

---------------29日--------------

☆第三世界化する日本
              金原克範氏

 今回は、近年の我が国の教育現場にみられる英語コミュニケーション(のみ
の)重視傾向に関して批判的報告を行う。
 1996年7月19日に提出された第15期中央教育審議会答申では「国際化と教育」
に関して提言が行われ、学生の留学・教員の海外研修・外国語指導助手の招致・
留学生の活用等が具体策として提案されるなど、近年の我が国では、教育現場へ
の英語コミュニケーションの導入が盛んに取りあげられている。
 しかし、1978年にドーアが『学歴社会・新しい文明病』で取り上げているとこ
ろでは、スリランカ・ケニア等では旧宗主国の言語が学校指導において多用され
ていたにも関わらず、教育的効果をあげることはできなかった。ドーアはこの分
析において、仮説として後発諸国が先進国の情報を単純に模倣することを採点の
基準とする“学歴中心主義”に陥っていることを、教育効果減衰の最大の原因と
してあげている(後発効果)。
 日本が世界に向けて提唱したライフサイエンス部門の共同研究推進プロジェク
ト=ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムでは、事業開始年度の
1990年度では日本人プロジェクトリーダーは3割存在していたのに対し、本年度
1999年度では0(ゼロ)割にまで減少するなど、近年の我が国の科学研究の生産
性は有意に低下している。
 各国ごとに、プロジェクト・リーダー産出と海外留学生の産出とを比較してみ
ると、両者には負の相関が存在している。留学生を多く派遣する国では、プロ
ジェクト・リーダーの産出はごくわずかであり、リーダーを多く輩出する国で
は、海外への留学生派遣はわずかである。
 以上の現象はドーアの仮説を裏付けるものであり、近年の我が国にみられる英
語重視傾向と、相反する科学研究の生産性の低下は、我が国において後発効果が
見られることを示しており、報告者は両者の相関から、我が国の教育環境が近年
急速に第三世界的教育環境に近づいていることを結論する。


☆靖国神社問題の最終的な解決
              橋爪大三郎氏(東京工業大学)

 靖国神社が国家によって維持されえたのは、神道が宗教でないとする明治国家
の政策によった。明治国家は、維新の殉難者を祀る「霊」の考え方を創始し、招
魂社→靖国神社を創設した。
 戦争が度重なるごとに、戦死者の霊はふえ、第二次大戦ののち213万柱が新
たにつけ加わる。
 占領軍の政策により、靖国神社は宗教法人となったが、そこに祀られている
「霊」は、公共的な性格をもったままである。戦後憲法と靖国神社との矛盾の解
決が残された宿題となっている。
 そこで、この問題の最終的な解決のため、1)靖国記念公園案、2)靖国神社
借景案、3)新公園案など4つのプランを立て、その得失を考察した。靖国記念
公園案がベストであるが、実現性は楽観できないという結論をえた。

今回のお知らせは、以上です。



●199908

言語研会員各位
               言語研究会1998年度連絡人 今野 晃

 暑中お見舞い申し上げます。暑い日が続いておりますが、みなさまにおかれま
してはお変わりなくお過ごしのことと思われます。

 さて、先日お伝えいたしましたとおり、下記の日程で言語研究会夏合宿を行い
ます。参加希望の方は、メール末のフォーマットで今野まで返送していただきた
く存じます(なお、参加を希望されない方は返送不要です)。

 セミナーハウスへの予約の都合によりまして、今回の夏合宿は、昨年度の連絡
人今野が幹事を務めさせていただきます。合宿に関する問い合わせは今野にまで
よろしくお願いいたします。

<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<< 言語研夏合宿のお知らせ >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

★夏合宿のご案内
先日お知らせした通り、言語研究会では恒例の夏合宿を下記の通り行います。
内容は、希望者によるオリジナル発表とそれをもとにしたディスカッションです。
ふるってご参加ください。
               「記」

■ 日時:1998年8月28日(土)14:00 〜 8月29日(日)12:00
■ 場所:(財)大学セミナー・ハウス
192-0372 東京都八王子市下柚木1987−1
TEL (0426) 76-8511 FAX (0426) 76-1220
[集合:8月28日・14:00にセミナーハウス本館1階ロビー]
■ 交通:(1) JR八王子駅・南口2番バス停で京王バス「由木折返場」または「南大
沢駅」行きに乗車して約25分、「野猿峠」(やえんとうげ)下車、徒歩すぐ。
(2) 京王線北野駅・北口3番バス停で京王バス「由木折返場」または「南
大沢駅」行きに乗車して約10分、「野猿峠」下車。
(3) 京王線南大沢駅・南口4番バス停で京王バス「北野駅」または「八王
子駅」行きに乗車して約15分、「野猿峠」下車。
■ 費用:宿泊費(部屋によって多少異なります),食費(夕・朝・昼),施設改修
協力金,研修室使用料込みで約7,000円前後の予定。また、研究会後のコンパ代
 に1000円程度を予定しています。
■ 出欠について:以下のフォーマットをカット&ペーストした上、電子メールで、
連絡人(今野)へ、8月25日(水)まで(できればもっと早く)ご送付下さい。
  <特に発表を希望される方は、なるべくお早めにお知らせ下さい>

**************************************
            言語研夏合宿への参加通知

参加を → 【希望する・希望しない】
発表を希望しますか? →【希望する ・ 希望しない】
ご連絡先:(変更等ありましたら)
【名前: 】
【所属: 】
【e-mail:     】
【住所: 】
【TEL: 】
【FAX: 】
**************************************

 ご不明な点は今野まで。


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今野 晃:言語研究会1998年度連絡人
東大大学院人文社会研究科博士課程在籍:社会学
e-mail:DZB20327@スパム対策nifty.ne.jp
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●199907《《《《言語研究会からのお知らせ》》》》》

  祐成 保志(東京大学大学院博士課程)
  ysuke@スパム対策mba.sphere.ne.jp
 
 梅雨空が続いておりますが、皆さまにおかれましてはお変わりなくお過ごしのことと存
じます。

 先日、今野晃さんよりご案内がありましたように、今年度の連絡人は、わたくし祐成が
つとめさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 早速ですが、今年度最初の活動予定をご案内させていただきます。ふるってご参加いた
だきますよう、お願い申し上げます。ご不明な点などございましたら、祐成までご一報く
ださい。

  <<<<<<<<<<<<<<< 次回の活動予定 >>>>>>>>>>>>>>>>>

  ★日時:7月9日(金) pm3:00〜5:00
   題目:近代日本における文化ナショナリズムと「地方」
      ―戦前期における「民謡」の社会的付置を手がかりとして―
   発表者:武田 俊輔氏(東大大学院修士課程在籍:社会学)
   コメンテーター:宮本 直美氏(東大大学院博士課程在籍:社会学)
   場所:東大本郷キャンパス法文2号館 地下実験室
      (社会学研究室の真下)
   〜修士論文検討会と併催〜

 また、7月中旬以降または9月以降に修士論文構想を発表したいというお申し出もいただ
いております。詳細につきましては追ってお知らせいたします。

 また、言語研での発表を希望される方は、ご遠慮なく祐成にお申し付けくださいますよ
う、お願いいたします。

●《《《《《言語研究会からのお知らせ・活動報告》》》》》

 今野 晃:DZB20327@スパム対策nifty.ne.jp
 (1998年度言語研連絡人)

 言語研会員のみなさま、ご無沙汰しております。1998年度連絡人の
今野です。前年度連絡人の不手際によりまして、今年度のみなさまへの
連絡が遅くなってしまい申し訳ありませんでした。ここにお詫び申し上
げます。

・今年度の連絡人について

 今年度の連絡人は祐成保志さん(東京大学大学院・社会学博士課程一年)
にお引き受けいただけることになりました。今後、みなさまへは祐成さん
より連絡がゆきますので、よろしくお願いいたします(なお、私今野もい
くつかの用件につきまして、連絡人のお手伝いをさせていただく予定でお
ります)。また、私の不手際により連絡人に引継が遅くなってしまいまし
た。みなさまにご迷惑をおかけして申し訳ありません。

・1999年度夏合宿の予定

 8月28日(土)・29日(日)に、大学セミナーハウス(東京都八王子市)
におきまして夏合宿を予定しております。みなさまの参加をお待ちしており
ます。なお、夏合宿の申し込みその他のことにつきましては、私今野が連絡
・申し込み等を引き受けておりますので、夏合宿の申し込み、問い合わせは
今野までよろしくお願いいたします。なお、正式のアナウンスメント・参加
申し込みのメールは、7月に送らせていただきます。よろしくお願いいたし
ます。

・言語研1998年度春合宿の報告

 以下におきまして、言語研春合宿が行われました。参加者は計13名、京都
から参加いただいた方、また初参加の方が2名ほどおられました。活発な議論
が行われ、私は大変勉強させていただきました(個人的感想で申し訳ありませ
ん)。

 以下に発表内容の要旨を送らせていただきます。要旨は発表者自身によるも
のです。また、要旨をいただけなかったものもあります。

■ 日時:1998年3月20日(土)14:00 〜 3月21日(日)12:00
■ 場所:(財)大学セミナー・ハウス

☆江戸時代の儒教思想と西洋医学
                  北澤一利氏(北海道教育大)

☆自由主義の構図
                  河村倫哉(東大大学院在籍)

☆『自殺主義と科学』
                   金原克範氏

 本報告では、社会学的「疎外」状況こそ自殺の主原因であるという
デュルケム『自殺論』の主結論に対し、ひとつの対案を提出する。
 社会学的「疎外」状況の強さにより対象者の現状を判断する方策は
『宮崎勤精神鑑定書』などにみられる鑑定者の手法通り、現在の社会
問題解析手法の主流となっている。しかしこの方法では、個人の外界
への興味・関心を正確に捉えることはできない。そして報告者は、共
同体中心主義にではなく、個人の外界への興味・関心の持続こそ、自
殺主義の対極的判断があると結論する。

☆コミュニケーション変動の記述法
                  赤堀三郎氏(東京大学大学院在籍) 

 現代社会の記述法を考えるにあたって、本報告は「コミュニケーション・
コードに係る変動」に着目する。ここではまず、ニクラス=ルーマンの社会
システム理論を踏まえてコミュニケーション・コードを二つのサイドをもつ
非対称的な区別として捉える。その上で、コミュニケーション変動をコミュ
ニケーション・コードが新たに生まれる「創発」と、コミュニケーション・
コードという非対称的な区別に基づいた意味構成が反転する「横断」の二パ
ターンに分類する。このような枠組は、さまざまな異なる観点が複雑に絡み
合う「多次元的」な社会を分析するにあたって有用である。

☆「地球温暖化対策における環境的公正」
                   野上裕生氏(アジア経済研究所)

要旨:この報告では地球温暖化対策を世代内の一致した
協力による世代間の協力の視点からその根拠を与え、
その時に許容される温暖化削減ルールとしてロールズと
アトキンソンの均等所得分配の概念の応用可能性を考える。
        
☆世紀をまたぐ日中関係
                  橋爪大三郎氏(東工大)

来世紀の日中関係を展望するため、明治維新以来の中国と日本の関係を
回顧し、国民国家形成の過程で日本と中国が衝突しなければならなかっ
た必然について考察した。また特に、日清戦争、日露戦争、満州事変、
日華事変、大東亜戦争にいたる日本の対中政策、中国の対日政策の原
則と変遷を考察した。本稿は、香港中文大学の雑誌『二十一世紀』に発
表の予定。

☆江戸時代の儒教思想と西洋医学
                  北海道教育大 北澤一利氏

 1774年に解体新書の翻訳を行った杉田玄白の@進歩的歴史観とA現存制度に対する
主体性に注目した。前者の出自は明かではないが、後者は古学派荻生徂徠の影響であ
ると考えられる。
 解体新書翻訳の理由を「一度着実な実証にもとづく説を唱えておけば、いつかは、
千年来おかしてきた誤りが改められる日もくるにちがいないと、ただそう期待してい
るまで(和蘭医事問答)」と説明する玄白には進歩的歴史観が認められる。この歴史
観は玄白に先立つ儒者にはみられない新しいものである。
 解体新書は解剖の入門書であり、医学専門書のレベルからみれば高度なものではな
い。まして西欧医学の完成品ではない。玄白はこの「未完成品」をもって、由緒格式
が正統な「完成品」を公開するのが常識であった当時の漢方医学に正面から対抗した
。蘭学に対する厳しい規制があった中で、細心の注意を払って翻訳をやり遂げた玄白
には、既存秩序に対する主体性を認めることができる。
 丸山眞男によれば、秩序に対する自由な主体性は徂徠によってはじめて可能になっ
たという。玄白は多数の著作の中で頻繁に徂徠を引用している。

(発表順)

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今野 晃:言語研究会1998年度連絡人
東大大学院人文社会研究科博士課程在籍:社会学
e-mail:DZB20327@スパム対策nifty.ne.jp
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REV: 20170427
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