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『人生を物語る――生成のライフストーリー』

やまだ ようこ 20000730 ミネルヴァ書房,281p.

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last update:20170531

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■やまだ ようこ 20000730 『人生を物語る――生成のライフストーリー』,ミネルヴァ書房,281p.ISBN-10: 4623032477 ISBN-13: 978-4623032471 3,000+ [amazon] [kinokuniya]

■内容

(「MARC」データベースより)
 心理学、教育学、人間学、社会学、文化人類学、医療人類学など、学問分野も方法論も異なる研究者たちが、それぞれの文体で紡ぎだしたライフストーリー研究。

■目次

はじめに  やまだようこ

T 人生を物語ることの意味 ― ライフストーリーの心理学 やまだようこ  1
  1.ライフストーリー研究とは?  2
   物語の定義 2
   経験の組織化と意味の行為 4
   時間と物語 6
   生成するプロセスとしての物語 7
   出来事と意味 8
  2.ライフストーリー研究の系譜 11
   ライフストーリー研究の古典と方法論 11
   ライフヒストリー(生活史)とライフストーリー(人生の物語) 14
   ライフストーリーとナラティヴ心理学 16
  3.ライフストーリー研究がもたらす新しい視点 20
   論理・実証モードと物語モード 20
   共同行為としての物語 23
   文化の物語と人生の物語の関係づけ 25
   物語は複数の物語を許容する 26
   物語としての自己 27
   物語は世代を生成的につなぐ―generativity(生成継承性) 30
   物語の共同行為者、参与者、実践者としての研究者 32

U 病いの語りと人生の変容 ―「慢性分裂病」への臨床民族誌的アプローチ 江口重幸 39
  はじめに 39
  1.臨床民族誌的アプローチ 41
  2.事例 Bさん 44
  3.事例のまとめ 48
  4.「病識」とライフストーリー 51
  5.医療人類学と物語論的アプローチ 55
  6.物語論の系譜とピエール・ジャネ 57
  7.慢性的な病いとは何か:漱石とベルグソンをてがかりに 60
  8.生成するライフストーリー 63
  むすび 66

  ライフストーリーの生成可能性: 江口論文へのコメント 下地明友 73

V 喪矢と生成のライフストーリー ― F1ヒーローの死とファンの人生 やまだようこ  77
  1.喪失の語り 77
   「私」の人生の恩人、セナ 79
   「私たちは……」という問い方 82
   論理―実証様式と物語様式 83
   共同行為としての物語 84
  2.喪失から生成へ  88
   語りの生成力―他者のことばを自分のことばで語り直す 89
   仮定法化された現実 91
   仮定法の構文「……かもしれない。だったら……」 92
   仮定法の役割―時間軸の過去から未来への転換 94
   生成継承性(ジェネラティヴィティ) 96
   生前の関係性と生成力 97
  3.文化の物語の継承と「私」の物語の生成  99
   「死者の望みを受け継ぐ」物語 99
   「死者のおかげ」物語―死者の神格化、奇跡、聖なる救済物語 100
   「いのち」から倫理へ 103「
   「死者が見守る」「死者と同行する」物語 105

   再生の物語へ(リ・ジェネラティブストーリー): やまだ論文へのコメント  南博文  109

W 「同志会」という共同の物語 ― 沖縄のある集落出身者たちの並ぶ場所  石井宏典  113
  1.ふるさと会に集う人びと 113
   備瀬同志会の午後 113
   同志、一心、共栄 115
  2.語りをきく位置  116
   工場(こうば)を体験する 116
   現場に立つことの意味 119
   対する局面、並ぶ局面 121
  3.メッキ現場という場所  124
   兄姉を頼っての出郷 124
   焼け跡からの再開 126
   規模拡大と独立者への援助 128
   代替わりへの決断 130
   過当競争のなかの再編 133
  4.並び居る場所から生まれ成る物語 136
   競争原理と共同原理 136
   同郷と同志―交錯する2つの共同性 140

   並び対する語りの綾―体験の組織化の重なり  石井論文へのコメント 當眞千賀子  143

X 語ることによる経験の組織化 ― ブッシュマンの男たちの生活史から  菅原和孝  147
  1.迷い込んだミミズク―個人的な序論 147
  2.グイの男たちへのインタビュー 149
  3.反復される語り―出来事の「起承転結」にみられる変異  159
   反復が生みだされる過程 151
   二つのヴァージョンの比較 154
  4.性愛と感情生活―語りえないことを語る  159
   セクシュアリティの言説 159
   忘れるということ 160
   痛いけれど痛くない 167
  5.身体に基づく説明と理解―出来事の基底となるもの  165
   「妻をライオンに殺された男」 165
   身体のかかわりを再演する 167
  6.邪術の因果論―「共感」できない物語  171
   死の連鎖 171
   物語のなかで死ぬ 173
  7.「身体のかかわり」としての語り―結びにかえて  175

  綴密であることの不様さについて: 菅原論文へのコメント  高木光太郎  182

Y 頭部外傷者の<物語〉/頭部外傷者という<物語〉  能智正博  185
  はじめに  185
   頭部外傷者という〈物語〉 186
   語りの収集の現場 188
  1.〈物語〉としての頭部外傷  190
   記憶の中の空白 191
   自己像の中の空白 194
   「頭部外傷者」であることの意味 196
  2.自己のとらえ直しの語り  198
   「他よりもましな自己」 199
   「成長した自己」 200
   「回復途上の自己」 202
   「今ここに生きる自己」 204
   「プロテストする自己」 205
   語りの枠組み 207
  3.語りの類型化を越えて  209
   新たな「法則」定立へ 209
   個別事例のより深い理解に向けて 211

  物語の力:能智論文へのコメント  下山晴彦  215

Z 旅することと人生の物語  稲垣恭子  219
  1.アイデンティティを語る旅  221
   運命の旅から人生を求める旅へ 221
   小説と人生 222   自己の起源を語る物語「家族小説」 223
   近代小説における旅と人生 225
  2.定住へ向かう旅と人生の物語―『ロビンソン・クルーソー』  226
   浮遊するロビンソン 226
   定住するロビンソン 229
   フライデー―書き換えられる物語 233
  3.放浪する人生の回想  234
   ジェイムズ・バーンの自伝における旅と人生 236
   ノルベール・トリュカンの自伝における旅と人生 238
  4.移動の物語としての人生  241
   「バハマからのレポート」 242

  「移動」と「定住」: 稲垣論文へのコメント  宮原浩二郎  248

[ 生成する自己はどのように物語るのか ― 自伝の教育人間学序説  矢野智司  251
  1.自己と物語との関係  251
   物語による時間の構造化 251
   物語としての自己 253
  2.自己についての物語の歴史性  254
   自己が自己を語る物語としての「自伝」の歴史性 254
   最初の自伝の困難さ 255
   近代市民社会の成立と「語る自己」と「語られる自己」の出現 257
   近代的個人主義の誕生と聖なる存在 258
   「聖なる存在」として自己を語り直す 260
   文学・芸術作品の「語る自己」に対する二重の関係 261
  3.再生としての自己の語り直し  262
   自己の語り直しと過去の意味の変容 262
   自己の語り直しの学習類型 264
   事例としての自伝 265
  4.現代における語り直しとニヒリズムの昂進  267
   現代における語り直し 267
   語り直しの反復とニヒリズムの昂進 269
  5.語り直しの語り直し  270
   物語からの解放―自己変容V 270
   物語の崩壊と溶解体験 271
   事例としてのベンヤミン 273
  おわりに ― 忘却と回想  275

  物語ることと黙ること: 矢野論文へのコメント  西平直  279

執筆者紹介

■引用

■書評・紹介

■言及



*更新:焦 岩
UP: 20070506 REV: 20170531
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