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■ボランティア・マネジメント

※島田誠 19960229 「人を用いる──アメリカのNPOはどうしているか」
 (千葉大学文学部社会学研究室『NPOが変える!?』,第3章)より

 NPOの活動は,以上に記した有給職員だけによって行われるのではない。理事
の多くがボランティアであることは既に述べたかが,他にも活動に参加したい人を
受け入れる。またそれは,人件費の節約のための工夫でもある。そうした人々をひ
きつけ,適切に配分することもNPOの活動,運営にとって重要な課題になる。ま
ずNPOがボランティアにどのように対するのか(「ボランティア・マネジメント
」)についてみる。これは,後に述べるインターンの受け入れ等にも共通するもの
である。
 NPOの側では,ミッション・ステートメント(Mission Statement) と呼ばれ
る活動目的や内容を示した文書を作成し提供する(柏木[1992:32][1993f:8])。
団体の理念(Mission) は,「「利害関係をもたない人」を中心にした理事会が決
定を行う際に用いられる基準」であり,「社会に存在するさまざまなニーズや意見
がMission という形で表現され,NPOという場を通じて具現化されることになる」
(柏木[1993d:4])のだが,それが文書化「「「絶対に文書化されていなければ
ならないというわけではないが,口頭で伝えることに限界がある以上,必要性は極
めて高い」「「されたものがミッション・ステートメントである(柏木[1992:32-
33])。
 「労働力や金銭の形で示される協力を受けるには,NPOは,人々の共感をえる
ようなMISSION STATEMENT を作成しておかなければならない。この文書が重要なゆ
えんである。
 MISSION STATEMENT は,団体そのもののとボランティアに対するものと分けて作
成されることもある。だが,基本的な概念が同じであることはいうまでもない。い
ずれにせよ,このMISSION STATEMENT に基づいて,ボランティアに対するプログラ
ムを作成することになる。」(柏木[1993f:8-9])
 ミッション・ステートメント自体は抽象的・全体的なものであり,具体的な仕事
の内容についてはジョブ・ディスクリプション(JOB DESCRIPTION )が作成される。
これは米国で人事採用の際に一般に用いられる仕事の内容を詳しく示した文書であ
り,これに基づいてリクルートが行われ,ボランティアに渡される。さらに,面接
その他で採用を決定し,オリエンテーション,さらに必要であれば,団体の職員や
先輩のボランティアによるトレーニングが行われる。採用後もボランティアの活動
を管理し,評価し,補充・再配置等を行っていく。評価を金銭に反映させることは
できないから,ボランティアに感謝する集いを催したり,賞状を送って功績を讃え
るとともに,やる気を引き出すといったことも行う。さらに,こうしたプロセス全
体を通じボランティア・マネジメントがうまく機能しているか評価し,必要ならプ
ログラムの変更が行われる。(柏木[1993f:9])
 その際にはボランティアとの意志疎通が重要になってくる。また,ボランティア
に何が提供できるか(ボランティアが何を得られるか)という視点も重要とされる。
 「その一つとして,まずいえるのが,ネットワーク作りや情報入手だ。ある特定
の理念を持ったNPOの活動に関わる人々とのネットワーク作りは,ボランティア
個人の人間関係を豊かにするだけでなく,その個人の知識も豊かにするし,将来の
活動や仕事にも大きな影響を与える可能性がある。…
 これに関連して,ボランティアがNPOから得られるものとして,もう一つ考え
られるものが,職業訓練や職業選択の情報,機会の提供だ。… NPOは比較的少
人数でやっているところも多いことから,業務の全体像がつかみやすいこともある
し,責任のある仕事を任される場合も多い。ボランティアの仕事をやるうちに,次
にやる職業のアイデアを得て,そのための訓練を積むことも可能だ。アメリカでは,
ボランティア活動を履歴書に書くことが,就職の際にプラスに働く場合がほとんど
だ。また,NPOでボランティアを長期的にやるうちに,そこでの就職が決まると
いうこともよくある。…
 ただこれは,全てのボランティアが就職の機会を狙っていたり,情報収集に目の
色を変えているということではない。ボランティアが,「人のために何かをやって
いる」という気持ちを率直に感じられることも,大事な「テイク」の一つだ。… 」
(秋山[1994a:4-5])
 最後に,ボランティアに対する支援システムについて。次に記す学生のインター
ン制度もそのひとつと言えるだろうし,ボランティアの紹介や,ボランティア・マ
ネジメントをの改善などを専門に行うNPOもある(秋山[1994b])他,企業内の
支援システムもある。先に「ローンド・エグゼクティブ」を紹介したが,「日本の
ように休暇制度を作るっていうのはほとんどないです。ボランティアは奨励するけ
れども,勤務時間外にやってもらうのが原則だっていう場合が多いですね。ただい
ろんな紹介サービスをやるんですね。企業の中にコミュニティ・リレイションズっ
ていう部局があって,そういうところにリストがあってみせてもらう。ボランティ
アをすることによって,社内で表彰されたりとかそういったことはあります。また
例えばサンフランシスコのリーバイスなんは,企業の中で,ボランティア・チーム
みたいなのを作って,そのチームの中で植林をやろうとか,HIV感染者に食事の
宅配サービスをするとか,そういったことをやって,そういうことが奨励されてい
るみたいなところはあります。ですから,会社に行くのも,働くのはもちろん大事
なんですけれども,でもそれだけじゃなくて,そういったネットワークの中に入っ
ているから,この企業にする,みたいなところで,就職先を選ぶ人は少なくないと
思います。」(今田氏)


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