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公益信託
※黒永英樹 19960229 「どのようにお金の流れをつくるか」
(千葉大学文学部社会学研究室
『NPOが変える!?──非営利組織の社会学』,第4章)より
1922年に信託法が制定されているから,公益信託という制度自体は古くからある
と言えるのだが,実際には半世紀以上にわたってこの制度が使われない状況が続き,
ようやく1977年に2件誕生し,以後,増えてきている。
公益信託は,信託銀行などの受託者に一定の財産を信託設定し,主務官庁から許
可を得れば原則的には成立する。その運用益や元本で公益活動を行う。信託銀行等
(受託者)がその管理・運用および日常運営等に当たる。人を雇用したり事務所を
確保したりする必要はない。助成財団と同様の機能を持つが,システムとしては財
団より単純で,設立にともなうコストは財団設立より少なくてすむ。
(社)信託協会『公益信託要覧 平成3年版』によると,日本の公益信託は,91
年3月末で344件,信託財産残高は268.6億円となっている(1年で,40件,57億円
増加)。財団と異なり資金量は比較的小さく,当初信託財産(91年3月末の総額
207.9億円)の規模は全体の4分の3が5000万円未満,約40%が2000万円未満であ
り,5億円以上は1.7%(6件)である。目的別では,奨学金給付29.1%,医学研
究・医学教育振興11.9%,学術研究助成 8.4%と,教育関係の助成が多い。(経済
団体連合会編[1992:324-325])
依託者は「個人が過半数を占めており,信託財産が5億円以上で単一企業が設定
した公益信託となると,富士フィルム・グリーンファンドなど極めて限られてく
る。」(電通総研編[1991:219]。経済団体連合会編[1992:320]には企業が主体
となった公益信託として,「世界愛鳥基金」(1991年3月末で2億円,目標は10億
円),「文化基金」(5億円)の事例が紹介されている。)「しかし,管理運営コ
ストが財団ほどかからないにもかかわらず,助成財団とほぼ同じ機能を果たせるこ
とから企業のフィランソロピー活動の対象として注目に値するシステムであろう」
(電通総研編[1991:219])といった,企業による公益活動との関わりについての
指摘がある。
(社)信託協会 1989 『公益活動と信託』,(社)信託協会
(社)信託協会 1991 『公益信託』,(社)信託協会
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